ぷらすです。
今回ご紹介するのは、「きっと、うまくいく」「PK」などで、世界的評価を受けるインドの大スター、アーミル・カーン主演とプロデュースを務めた最新作『ダンガル きっと、つよくなる』ですよー!
元アマチュアレスリング選手マハヴィル・シン・フォーガットと彼の娘であるフォーガット姉妹の半生を描いた伝記映画で、まるでインド版「巨人の星」のような超熱いスポ根ものでしたねー!
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
『きっと、うまくいく』『PK ピーケイ』などのアーミル・カーンを主演に迎えた、実話を基にした感動作。オリンピック出場を諦めた男が、娘たちをレスリングの世界で羽ばたかせようとする。メガホンを取るのは、脚本家としても活動しているニテーシュ・ティワーリ。共演は、ザイラー・ワシーム、スハーニー・バトナーガルら。(シネマトゥデイより引用)
感想
本作は2010年にインドのデリーで行われたスポーツの国際大会「コモンウェルスゲームズ」(イギリス連邦に属する国や地域が参加して4年ごとに開催される総合競技大会)の女子レスリングで、インド人として初めて金メダルを狙うギータ・フォーガットと、その父親で元レスリングのインド王者マハヴィル・シン・フォーガットの物語を軸に、レスリングに全てを捧げたフォガト一家の実話を脚色した伝記映画です。
ザックリストーリー紹介
アマチュアレスリングのインド代表になったマハヴィル(アーミル・カーン)は国際大会でインド人選手初の金メダルを目指すが、生活苦を理由に引退を余儀なくされる。
彼は、国際大会でインド人初の金メダルという夢を将来生まれてくるだろう息子に託そうとするが、残念ながら彼は男の子に恵まれず4人の子供は全員女の子。
一度は夢を諦めたマハヴィルだったが、ある日長女のギータ(ザイラー・ワシーム)と次女のバビータ(スハーニー・バトナーガル)が男の子に喧嘩で勝ったことから二人にレスリングの才能を見出し、周囲の反対を押し切って二人を女子レスラーにすることを決意し、特訓を始める。
最初は横暴で強権的な父親に反抗する二人だったが、結婚式の席での友達の言葉をキッカケに本気でレスリングに取り組むとギータの才能が開花。
数々の大会で男子相手を破り優勝するようになる。
やがて州代表になったギータ(ファーティマー・サナー)は、国立スポーツ・アカデミーのインド代表団入りして国際大会を目指すが、新しい仲間やコーチとトレーニングするうち、次第に父親の厳格な特訓方法を「古臭い方法」として嫌悪するようになる。
しかし、国際大会では連敗するようになり――というストーリー。
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この作品、インドでアマチュアレスリングの全国チャンピオンでありながら、生活のため夢をあきらめざるを得なかった父親が二人の娘にレスリングを叩き込んでいくというスポ根ものですが、その奥には父親の娘たちに対する深い愛情が秘められていたという感動の物語なんですねー。
アーミル・カーンの肉体改造が凄い
「きっと、うまくいく」の撮影時、44歳にして大学生役を演じたアーミル・カーン。
映画を観た人なら、若々しい彼の実年齢を知って驚いたんじゃないでしょうか。
そして本作の撮影時52歳の彼は、レスリング現役時代(20代前半?)からコモンウェルスゲームズでの初老時代(50代)のマハヴィル・シン・フォーガットを演じたわけですが、実際のフォーガットに合わせて元々70kgだった体重を97kgまで増量し、先に初老のフォーガット時代から撮影を始めて、撮影中に元の70kgまで減量するという無茶苦茶な肉体改造を実行。
画像出典元URL:http://eiga.com / このムキムキの肉体から
増量中も痩せた時に筋肉が落ちないように、過酷な筋トレをしていたそうです。
さらに体重を増やすのと同時進行で、少女時代と成長した娘役の4人(少女期と成人期)とともに、2ヶ月に渡って本格的なレスリングの特訓したんですねー。
その甲斐あってか、彼らのレスリングシーンは(少なくとも僕のような素人が見る限り)とてもリアリティーがあるように見えたし、本人が演じてるからこその迫力も出ていると思いましたねー。
画像出典元URL:http://eiga.com / でっぷりおじさんに
ちなみに増量に関して監督からは、太って見えるボディースーツの着用を提案されたそうですが、アーミル・カーンは「体重が増えると、息づかいが変わる。ボディランゲージが変わり、歩き方、座り方、立ち上がり方、全てが変わる」(本人談)ことから、リアリティーを重視して実際に太ったんだそうですよ。まさに役者バカの鏡!
そんなアーミル・カーンの肉体の変化に注目しつつ観てみると、その変化にビックリすると思いますよ。(あと老け方にも。っていうか老けてるアーミル・カーンの方が実年齢に近いんですけどねw)
インドの現状を描く
「きっと、うまくいく」では身分制度と格差問題に、「PK」では宗教問題に踏み込んだアーミル・カーン。
本作では、インド(というかヒンドゥー教?)における女性蔑視や、スポーツ環境の地域格差の問題に踏み込んでいます。
マハヴィル・シン・フォーガットはハリヤーナ州のバラリという小さな村の出身。
この村に限らず、インドの特に進歩が遅れている地域では殆どの人々が、男の子が産まれて家を継いでくれることを望み、女の子は幼い頃から家事を教えられて14歳で(会ったこともない男性と)結婚し子供を産むのが普通。
つまり、女性には他の先進国のような人生の選択の自由は与えられていないわけですね。
本作では、そんな風習の中で二人の娘にレスリングを教えるフォーガットや娘たちを最初村人は揶揄したり嘲笑したりします。
また、田舎のレスリングジムや大会はマットの上ではなく土の上で行われるんですね。
これは、クシュティーというインドの古式レスリングらしく、いわゆるポイント制のアマチュアレスリングとは若干ルールなども違うようです。
で、娘のために役場にアマレス用のマットを買ってほしいと頼むフォーガットを、役場の人間は「女のレスリングに出す金なんかねぇ!」と冷たくあしらうんですね。
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しかし、ギータが男ばかりの大会で結果を出していくことで、(奥さんを含めた)周囲の目は徐々に変わっていくのです。
フォーガットは横暴な父親!?
とはいえ、序盤のフォーガットはかなり横暴でひどい父親に見えます。
嫌がる娘を無理やり鍛え、体を作るため信仰上の菜食主義を破り、男の子のようにTシャツに短パンを履かせて、大事にしている長い黒髪もバッサリ短髪に切ってしまう。
日本人の僕から見ても「おいおい…」って軽く引くくらいの暴君ぶりだし、もっと言えば自分の夢を娘たちに無理やり押し付ける毒親にすら見えるように描かれているんですね。
そんなフォーガットへの見え方が変わるのは、ギータとバビータに結婚する友達がある言葉を言うのがキッカケで、さらにフォーガットが娘のためだけでなく、インド全土の女の子の未来を見据えていた事が終盤明かされ、最初の彼に抱いていた印象がグルッとひっくり返る構造になっているんです。
しかし、実はフォーガットの考えは最初から一貫していて、序盤の方で「レスリングする女なんて嫁の貰い手がない」という奥さんに、「二人は男に選ばれるのではなく、男を選べる人間にする」と言うシーンがあるんですね。
まぁ、実際のフォーガットさんがそこまで考えていたのかは分かりませんし、劇映画としての脚色なのかもですがw(この映画は事実を元にしてるけど、内容は劇映画としてかなり脚色されているらしい)
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それでも、ベースはあくまで伝記映画ということもあって、アーミル・カーンの演技もかなり抑えていたし、インド映画の歌って踊るシーンもなし。(歌に映像を合わせるようなシーンはあるけど)
そういう意味で「きっと、うまくいく」や「PK」とはかなり毛色の違った作品ではあるし時間もかなり長めだけど、「バーフバリ」なみの興奮と感動で体感時間は60分くらいに感じた超面白くて熱い映画でしたよ!
興味のある方は是非!!
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