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リベンジ、サバイバル、おっぱい!「女囚701号 さそり」(1972)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、篠原とおる原作の劇画を実写化した1972年の作品『女囚701号 さそり』ですよー!

ずっと観たいと思ってたけど、地元のレンタル店に置いてなかったので、アマゾンプライムでレンタルして観ることができましたー!

いい時代になったねー。

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概要

ビッグコミック」に連載された篠原とおるの『さそり』を、神波史男松田寛夫が脚色。監督は本作がデビューとなる伊藤俊也。主演の梶芽衣子による主題歌「恨み節」もヒットし、この曲は後にクエンティン・タランティーノ監督作品「キル・ビル」で使用された。  
女子刑務所からの脱走を企てたナミと由紀子だったが、二人のもくろみは失敗に終わる。ナミは刑事の杉見と恋人同士だったが、麻薬のおとり捜査に使われた上、杉見に裏切られてしまった。ナミは復讐のため杉見を襲うが、逆に逮捕されてしまったのだ。ナミは刑務所で他の女囚から嫌われていたが、唯一、由紀子とだけは親しかった。ある日、刑務所で暴動が起こり、由紀子が射殺されてしまう。(allcinema ONLINE より引用)

感想

女優 梶芽衣子の代表作

梶芽衣子は日本映画界が斜陽に差し掛かった1965年、高校卒業と同時に日活に入社し、本名の太田雅子として「悲しき別れの歌」でデビュー。

「日本残侠伝」(1969)で梶芽衣子に改名し、1970年~「野良猫ロック」シリーズに出演し1・2作目は脇役を演じていたのが、3作目から主役に抜擢されます。

1972年、日活がロマンポルノ路線に移行したためフリーになり、その後東映に移籍すると、本作でその人気を決定づけたんですね。

劇中でほぼ喋らずに相手を睨みつける無口なキャラクターや、全身黒ずくめに鍔広のハットというアイコン的なファッションは彼女のアイデアだそうですよ。

レイプリベンジでプリズンブレイクでおっぱい!

ごく普通の女の子だったナミは、初恋の相手で刑事の杉見に全てを捧げ、麻薬のおとり捜査を頼まれて暴力団が経営するクラブに潜入します。
しかし、正体がバレたナミは暴力団員たちにレイプされ、しかもそれが全て杉見のシナリオだった事を知るんですね。

ナミは復讐のため、杉見を襲うも逮捕され、女子刑務所に収監されてしまうわけですが、この映画はナミがどうやって刑務所を脱獄し杉見に復讐を果たすかというプリズンブレイク(脱獄)ものなのです。
まぁ、脱獄シーンは映画冒頭のアバンしか出てきませんけども。

この頃、業績不振だった東映はテレビに取り込まれない客層を狙い、実録ヤクザものやエログロものを量産しているんですが、本作はまさにその走りといえる作品で、女子刑務所の実態を描く実録もの? として、陵辱シーンやヌード、リンチなどのエログロ要素も満載。こんなにおっぱいが沢山出てくる映画ってそうはないと思いました。

さらに自分(女性)を利用して私腹を肥やす杉見や権力者たちにナミが復讐する、レイプリベンジムービーでもあるという、色々な要素を全部乗っけたようなカオスな作品なのです。

その背景に有るのは、学生運動末期、反体制という時代の空気。
本作ではナミという主人公を通してそこを描いていて、「野良猫ロック」などで梶芽衣子自身が持つキャラクターとも相まって、若者を中心に異例の大ヒットになるのです。

その辺は日の丸のアップに君が代のBGMから、ナミが収監されている刑務所の所長が表彰されるシーンへ続く映画冒頭や、クライマックスで宙を舞ったナミのナイフが日の丸と重なるなど、非常に分かりやすいアイコンが映画随所に散りばめられていることからも明白で、つまり、理不尽に女性を虐げる男社会を描いている物語に、権力者に搾取される若者たちの反抗を重ね合わせているわけですね。

アバンギャルドな映像と演出

そんな本作で特徴的なのは、ナミの回想シーンなどで使われるアバンギャルドな映像演出。

ナミが何故、刑務所に収監され脱獄しようとしているのかを回想するシーンでは、まるで舞台演劇のような演出で見せたり、ラブシーンを真上から撮ったり、レイプシーンを真下から(透明なガラスの下から?)撮ったり。
また、クライマックスでナミのターゲットが殺されるシーンでは、必ずターゲットの顔に緑のライトが当てられるなどなど、鈴木清順っぽい演出になってるんですよね。

この辺の(マンガや前衛舞台的な)当時流行のカルチャーが取り入れることで物語を抽象化し、普遍性が強調されたからこそ今観ても色褪せない作品になっているんだと思うし、この時、この時代じゃないと作れない作品だからこそ、未だにカルト的人気を誇る伝説的な作品になったんだろうと思いましたねー。

あと、女囚の皆さんがみんなイイ顔の人ばかりだし演出も演技も映像も全てが過剰で、こんな刑務所や刑務官がいるか!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ とツッコミを入れながら楽しめる楽しい作品でもあるので、機会があれば是非見て欲しい一本でしたよ。

興味のある方は是非!!!

 

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