ぷらすです。
今回ご紹介するのは、アニメ化もされた奥浩哉の同名マンガの実写映画化『いぬやしき』ですよー!
先に書いておくと、僕は原作もアニメも観ていなくて、この映画で初めて「いぬやしき」を観たので、もし先に原作かアニメを観ていれば印象は違ったかもしれません。
あと、出来るだけ結末などには触れないように書くつもりですが、ある程度、後半部分の展開にも触れていくので、これからこの映画を観る予定の人や、ネタバレは嫌って人は、先に映画を観てから、この感想を読んでくださいね。
いいですね? 注意しましたよ?
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
映画にもなった「GANTZ」などで知られる奥浩哉の人気漫画を、『GANTZ』シリーズなどの佐藤信介監督が実写映画化。突然の事故をきっかけに、超人的な能力を得た初老のサラリーマンと高校生が、それぞれの目的で強大な力を行使するさまを描く。自分の力を人助けのために生かす主人公を木梨憲武、同じ能力を手に入れるも悪用する大量殺人鬼を、『るろうに剣心』シリーズなどの佐藤健が熱演。本郷奏多、二階堂ふみ、伊勢谷友介らが脇を固める。(シネマトゥデイより引用)
感想
本作の監督は、同じ奥浩哉の大ヒットマンガ「GANTZ」の実写版も務めた佐藤信介。
「GANTZ」の感想でも書きましたけど、アクションやCG描写には力を入れる割に、ストーリーテリングやキャラの描写には、興味がないのかなーっていう印象です。(脚本は別の人なので、そちらに問題があるのかもしれませんけども)
では、本作はというと(読んでないけど)原作マンガのダイジェスト版っぽいなーっていう印象でしたねー。
全10巻の原作を、約2時間にまとめるんだから致し方ないのかもですが、キャラや関係性の描写が足りないので、彼ら(というか主に獅子神)の行動原理が飲み込みずらいし、感情移入も出来ないんですよね。
ざっくりストーリー紹介
うだつが上がらないサラリーマン犬屋敷壱郎 (木梨憲武)は、念願のマイホームを購入したものの、会社や家族から蔑まれ、おまけに末期ガンであることが発覚。
途方にくれて夜の公園でしょぼくれていると、近くのベンチで座っていた獅子神皓 (佐藤健)と共に謎の爆発に巻き込まれ、宇宙人のテクノロジーで兵器ユニットを搭載した機械人間になってしまう。
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犬屋敷はその能力で、医者に見放された病人の命を救うことに生き甲斐を見出すが、獅子神は人類に絶望し抹殺する道を選択。やがて相容れない両者の死闘が始まる。
という物語。
序盤は延々と犬屋敷のしょぼくれた日常が続き、機械人間になってからは獅子神の人生の歯車が狂っていく様子を描き、クライマックスでは同じ力を持ちながら相容れない二人の決戦を描いていく構成になっているんですね。
ダイジェスト版っぽい
ただ、観ていると「あー、これ多分(原作を)かなり端折てるんだろうなー」ってのが、原作を知らない僕でも分かるくらいキャラ(特に獅子神)の描写が足りてなくて、なので犬屋敷以外のキャラにまったく感情移入が出来ないんですよね。
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例えば犬屋敷の家族は、ただただ嫌な部分だけが強調されて、犬屋敷が何故この家族をそこまで大事にするのかって思うし、獅子神が最初に起こす(後に彼自身が追い詰められるキッカケになる)ある事件も、「え、なんで?」って、あまりに唐突に感じてしまうので、後に起こる悲劇に対しての獅子神の怒りに対しても「いや、全部お前の自業自得だし、ただの八つ当たりじゃん」としか思えないわけです。
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ウィキペディアを読むと、獅子神が最初の事件を起こすに至るまでを、段階的に描いているようだし、後半では犬屋敷の家族の再生も描かれているらしいんですが、そこを端折っているので、気は弱いけど善人な犬屋敷と、心に闇を抱える少年 獅子神という、記号的なキャラクターになっているんですよね。
獅子神の親友でいじめられっ子のチョッコーも、犬屋敷をナビゲートするだけの便利キャラぽくなってるし、犬屋敷の息子がカツアゲされてる問題なんか、最後まで放置したままですしね。
アクションシーンについて
で、二人が対決するアクションシーン。
「ハリウッドに比べてCGがショボイ」とか、そういうのは正直どうでもいいんですよ。っていうか、今やCG技術も上がってきてある程度の水準は担保されてますからね。
実際、劇中でも犬屋敷と獅子神の空中でのチェイスなんかは見ごたえがあったし、体のアチコチが開いて武器が出てくるシーンも、個人的にはちょっと上がりました。
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ただ、基本的にどういう機能がついてるのかの説明がなくて(セリフで、じゃなく自分で機能を発見していく描写を入れるとか)、なので例えば、単純に物理攻撃だと思ってた指鉄砲が、ネットワークを通してモニター越しの人間を打ち抜くシーンとか「え、どういうこと?」と困惑したし、「それが出来たら、もう何でもアリじゃん」と、鼻白むというか。
あと、クライマックスで犬屋敷が必死で瀕死の娘を救うシーンを2回やるとか、構成的にも上手くないし、タイムリミットサスペンスもまったく機能していない。
そもそも二人にどういう能力(機能)があって、どういう弱点があるのかっていうルールがぼんやりしてて最後の決着もロジックがないので、同じ機能のハズなのにどうしてそうなったか分からないんですよね。(多分こういう事だろうなーってのは何となく分かるけどさ)
っていうか、その前のシーンで死んだと思った獅子神がしれっと復活したので、あれ? こいつ自己修復機能がついてるの? って思って混乱しましたよ。
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なので結局、どっかで見たようなテンプレの上っ面をただ真似てるだけに見えちゃうのです。
テンプレといえば、獅子神による大量虐殺の引き金になるネット民が引きこもりのデブだったり、サイトも書き込みの言葉使いもあからさまに2ちゃんなのが、(原作通りなのかもですが)まだそれやってるの? って感じでしたねー。
君塚良一かよ! っていう。
むしろ今はTwitterとかフェイスブックなどのSNSや、YouTubeみたいな動画投稿系サイトの方が主流なんじゃないかなーって思ったりしましたねー。
ちなみに、一部で酷評されてる木梨憲武の演技は、個人的に言うほど悪くないって思いました。
演技自体はそんなに上手くないのかもだけど、木梨さんが長年芸能界で培ってきた年輪の重みが犬屋敷に乗っかっていて、説得力のある存在感を出していたように思いましたねー。
興味のある方は是非!
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