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これはヒーロー映画だ!「タクシー運転手 約束は海を越えて」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、1980年に韓国で実際に起こった光州事件を元に劇映画化した『タクシー運転手 約束は海を越えて』ですよー!

韓国最高の俳優と言われているソン・ガンホ演じるタクシーの運ちゃんが、光州事件に巻き込まれ、色々あって使命に目覚めるという胸熱な映画でしたよ!

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概要

1980年に韓国で起きた光州事件でのドイツ人記者と韓国人タクシー運転手の実話を、『JSA』『密偵』などのソン・ガンホらの出演で映画化したドラマ。光州へ取材に向かうドイツ人ジャーナリストと彼をタクシーに乗せた運転手とのやり取りを、コミカルかつシリアスに描く。監督は『映画は映画だ』『高地戦』などのチャン・フン。『ヒトラー ~最期の12日間~』などのトーマス・クレッチマンのほか、ユ・ヘジン、リュ・ジュンヨルが共演する。(シネマトゥディより引用)

感想

光州事件とは

本作で取り上げられている「光州事件」を、恥ずかしながら僕はほとんど知らなかったんですが、これがどんな事件だったかというと、

朴正煕大統領の暗殺後、「ソウルの春」と呼ばれる民主化ムードが続いていた韓国では(済州島を除く)全国に非常戒厳令が宣布されていました。

そんな1979年12月、クーデターによって全斗煥保安司令官が韓国軍を掌握。
マスコミにも箝口令を敷き、海外のマスコミも完全にシャットアウトするわけです。

そんな軍事独裁政権に反発した労働者と学生による民主化要求デモが激しさを増す中、光州市では学生によるデモ鎮圧のため機動隊と空挺部隊を投入。
機動隊や軍隊の暴行によって逮捕者400人、負傷者は80人にも上り、これに怒った市民が角材、鉄パイプ、火炎瓶などを使用して軍部に対抗。
陸軍部隊と市民の衝突は市街戦の様相を呈していき、市民は武器庫を襲撃して武装蜂起し、内戦状態となった光州市では多くの死傷者を出した。という事件らしいです。(詳しくはこちら

軍部の情報統制と操作によって、この事件は当時、韓国国内でも殆ど知られていなかったらしいんですね。

ざっくりストーリー紹介

そんな、戒厳令最中のソウル市内。
個人タクシーの運転手キム・マンソプ(ソン・ガンホ)は、すっかり客足が減って生活に困っているシングルファーザー。

完全ノンポリな小市民の彼はデモを起こす学生に批判的なんですが、ある日、外国人ビジネスマンを光州市に送迎するだけで10万ウォンもの大金が貰える事を盗み聞きし、先回りしてドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せ、光州市に向かう。という物語です。

最初はただの呑気なオッサンのキムさんが、光州での地獄のような体験と、仲良くなった人々が傷つく様子を見て義憤に駆られ、(身の安全と使命感の狭間で葛藤しながらも)渦中に飛び込んでいくという物語なんですね。

名優ソン・ガンホの演技に涙

そんな呑気なタクシー運転手のキムさんを演じるのは、韓国最高の俳優と言われているソン・ガンホ

劇中、彼は終始ただの気の弱いタクシー運転手、つまり普通の人です。
病気で奥さんを亡くした彼は、11歳になる一人娘と二人暮らしなんですが、戒厳令やデモのせいで儲けがなく、娘に新しい靴も買ってあげられないし、家賃を4ヶ月も滞納している。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ちょっと頼りないけど良きパパなのです。

その家賃を稼ぐため、外国人記者のピーターを乗せて光州市に行こうとしたら、道路は全て封鎖されていて、ただならぬ雰囲気。
彼は、ピーターに運賃先払いを要求して払う払わないで揉めたり、まるで戦場のような光州市の有様に、ピーターを置いてひとりで逃げ出そうとしたり、一度は本当に逃げ出したりするんですよね。

しかし、一人娘をソウルに残している彼の気持ちを察して、責めることなく送り出してくれた光州市のタクシー運転手ファン・テスル(ユ・ヘジン)の優しさや、仲良くなった大学生ジェシ(リュ・ジュンヨル)、おにぎりを振舞ってくれた名も知らぬお姉さんや、気のいい町の人々を思うと、いてもたってもいられず。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 左からファン・テスル(ユ・ヘジン)、キム・マンソプ(ソン・ガンホ)、ピーター(トーマス・クレッチマン)、ジェシク(リュ・ジュンヨル)

しかし、もし自分が死んだり捕まったりしたら、一人娘が孤児になってしまう。でも、ピーターが韓国を無事脱出して事件の全容を明るみにしなければ、光州市の惨劇は止まらないという葛藤に……。っていうシーンでのソン・ガンホの演技はホント素晴らしくて、もう号泣ですよ!・゜・(ノД`)・゜・アニキ-!

ヒーローとは

僕の好きなアメコミヒーローが、ヒーロー足りうる定義っていうのは、能力や武器の強さではなく、例え何の力もなくても、理不尽や巨悪に立ち向かうため、自分のなすべきことをする意思や精神の強さだと思うんですね。

だから、バットマンは超人のスーパーマン以上の人気を博しているわけです。

その根底に有るのは、理不尽な暴力から自分たちの権利を自らの手で守るというビジランテ(自警団)精神なのです。

本作は、まさにそうした人々を描いた物語であり、そういう意味で本作はまさにヒーロー映画なのです。

 もちろん、劇映画としてかなり盛ってる部分や変更を加えている部分も多々あるようだし、正直、最後の逃走劇は流石にちょっと蛇足では? とも思うんですが、ドイツ人記者と成り行きで彼を乗せたタクシー運転手のキムさんは実在し、この二人のおかげで光州事件が世界に知られることになったのは紛れもない事実ですからね。

 あと、ソン・ガンホ演じるキムさんが、途中から急にヒーロー然と振舞うのではなく、あくまでもタクシー運転手として、一市民として、なけなしの勇気を振り絞って使命を果たすという描き方も好感が持てたし、軍部の中にも上層部のやり方に疑問を持っている人がちゃんといるという描き方のバランスもいいなって思いました。もちろん劇映画としても超面白かったですよ!

 

興味のある方は是非!!

 

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