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マカヴォイの独壇場「スプリット」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、前回ご紹介した「アンブレイカブル」とともに、現在公開中のM・ナイト・シャマラン最新作「ミスター・ガラス」と世界観を共有するシャマランユニバース三部作の1本『スプリット』ですよー!

この映画、個人的にはシャマラン映画の中で一番好きな作品になりました!(って言っても、ちゃんと観たのは本作を含めて3本だけどw)

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

シックス・センス』などの鬼才M・ナイト・シャマランが監督、製作、脚本をこなして放つスリラー。女子高校生たちを連れ去った男が、23もの人格を持つ解離性同一性障害者だったという衝撃的な物語を紡ぐ。複雑なキャラクターを見事に演じ分けたのは、『X-MEN』シリーズなどのジェームズ・マカヴォイ。高校生対23の人格による激しい攻防戦に息詰まる。(シネマトゥデイより引用)

感想

とはいえ、シャマランですからね。
今回も正直どこまで書いていいのかよく分からないんですよねーww
ほら、シャマランと言えばどんでん返し、どんでん返しといえばシャマランじゃないですか。

まぁ、本作と先日ご紹介した「アンブレイカブル」と本作が「ミスター・ガラス」に繋がるというのは公式でも発表されてるので、その辺はもう書いていいと思うんですが。

というわけで一応、ラストの決定的なネタバレだけはしないように感想を書いていくつもりですが、「ネタバレは嫌!」という人は先に本作を観てから、この感想を読んでくださいね。

開始5分で物語は動き始める

本作の内容をざっくり一言で言うと、3人の女子高生が多重人格のジェームズ・マカヴォイに誘拐されるという物語です。(これはネタバレじゃないよ!)

で、映画が始まると誘拐される少女3人の1人の誕生パティーが行われるんですが、その中にはクラスに馴染めない問題児の女の子ケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)も呼ばれてるんですね。

で、パーティーの主役だった女の子のお父さんが、ケイシーともう一人の女の子を車で家に送って上げることになります。

先に、三人を車に乗せたお父さんは、誕生日プレゼントをトランクに積んでいる。
その後ろ姿に、カメラがゆっくりと迫っていくんですが、振り向いたお父さんの言葉でそのカメラが何者かの主観映像だった事が分かるんですね。

そこでカメラが車内の三人に切り替わり、乗り込んできたのは坊主頭のマカヴォイ。
後ろの二人が「車を間違えているわよ」と注意すると、男はおもむろにス麻酔らしきスプレーを三人に吹きかけたところで、画面が暗転してタイトルどーん!

うっひょー!☆拍手!!(゚∇゚ノノ\☆(゚∇゚ノノ\☆(゚∇゚ノノ\喝采!!☆

もう完璧! 

映像が車内に切り替わってからは、助手席に座ったケイシーの視点に変わり、彼女の感じた違和感を映像で見せながら、徐々に不穏さを盛り上げるという心憎い演出もいい!

やるじゃんシャマラン!( *• ̀ω•́ )b グッ☆

そして、ケイシーが目覚めると、そこにはすでに目が覚めていた二人が怯えていて、観客は彼女たちと同じく何も分からない状況に放り込まれ、物語が進むうち、少しづつ状況や真相を理解していくという作りになっていくわけです。

 一時は、不向きなビックバジェットの映画を手がけた為に、評論家からもファンからも酷評され、迷走してると言われたシャマランですが、2015年の「ヴィジット」を経て本作で完全復活したと言われてるし、僕もそう思いますねー。

僕は熱心なファンではないですが、シャマランはどちらかといえばワンシチュエーションの小作品の方が得意に思えるし、そういう意味で本作は、まさにシャマランにピッタリの題材。

そして「アンブレイカブル」から16年、途中(失敗作も含む)8本の作品を手がけたことで、その強烈な作家性はそのままに、語り口がグッとスマートになって見やすくなっているように思いました。

マカヴォイの独壇場

そんな本作を成功に導いた功労者といえば、数々の作品に引っ張りだこの実力者ジェームズ・マカヴォイ
本作では、なんと23+1重人格者を演じています。
といっても、主にメインで登場する人格は5人。

神経質で潔癖症のデニス。

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画像出典元URL:http://eiga.com 多分デニス。

女性人格のパトリシア
9歳の少年ヘドウィグ

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画像出典元URL:http://eiga.com  ヘドウィグ

リーダー格で社交性のあるバリー
主人格で2014年9月18日から副人格達に乗っ取られていたケビン

それぞれ別の人格である彼(彼女)らが、身体の主導権を握るには“照明”という権利が必要で、それをコントロールしていたのがリーダー格のバリー。
バリーは彼の主治医であるセラピストのカレン・フレッチャー博士との面会の時など対外的なシーンで主に登場します。

他に、オーウェル、ジェイド、ともう一人の計8人 を演じ分けているわけですが、さらに、(姿は直接移りませんが)デニスとパオリシアの会話を一人で演じたり、フレッチャー博士の前でデニスがバリーに成りすますシーンもあったりしするので、バリーを演じるデニスをマカヴォイが演じているという非常に難しい芝居もしてるんですよね。

後半ケイシーの前で、各人格が次から次へと入れ替わるシーンでは、さすがのマカヴォイも「自分が一体誰を演じているのかこんがらがってしまった」と、インタビューで答えていたようです。

アニャ・テイラー=ジョイの存在感

そんなマカヴォイに負けず劣らず、本作で重要な役割なのがアニャ・テイラー=ジョイ演じるヒロインのケイシー

彼女は友人や先生などとも距離を取る、孤独な少女です。
それには、彼女の生い立ちや家庭環境が関係していて、それゆえ他の二人のように、むやみにデニスたちに立ち向かおうとしたり、無計画に彼らから逃げ出そうとはしません。

 しかし、9歳の少年ヘドウィグが表面に出ている時は、言葉巧みにヘドウィグから情報を引き出したり、言葉で丸め込んで逃げる隙を伺ったりするんですよね。

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画像出典元URL:http://eiga.com いい味だしてるアニャ・テイラー=ジョイ

ただ、怯え、悲鳴を上げて逃げ惑うだけのヒロインではなく、彼女は頭脳をフル回転させながら、生き残るチャンスを狙っているのです。
そんな難しい役どころをアニャ・テイラー=ジョイは見事に演じてるんですね。

大きな瞳でケイシーの心情を上手く表現し、マカヴォイ演じる複数の人格と対等にわたい合う存在感を表しているのです。

 

というわけで、ここからネタバレ。

どういう物語なのか

前述した通り、本作は「アンブレイカブル」の続編です。

アンブレイカブル」は、ミスター・ガラスことイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)の計略によって不死身の男デヴィッド(ブルース・ウィリス)が能力を覚醒、ヒーロー? になるまでの物語でしたが、本作は23人格のケビン(ジェームズ・マカヴォイ)が、24人目の人格を目覚めさせ、スーパーヴィラン(悪者)として覚醒するまでの物語なんですね。

母親に虐待されていたケヴィン少年は、自分を守るため22の人格を作り出した多重人格者。
大きくなってからは、彼の副人格バリーがリーダーとして、それぞれの人格をコントロールしながら社会生活を送っています。

で、長い間、そんな“彼ら”のカウンセリングをしてきたのがセラピストのカレン・フレッチャー博士。

彼女は女子高生誘拐事件をテレビで知り、さらにケビンの複数人格からメールを受けとったことでケヴィンの副人格が事件に関わっているのでは? と疑いを持ち始めるのです。

ケヴィンの副人格たちは、前述したように“照明”という主導権を握る権利を得て表出してきますが、 デニスとパトリシアはある危険思想を持ち始めたことで、照明の権利をバリーに取り上げられてしまっているのです。

しかし、権利を持っていた9歳のヘドウィグを上手く言いくるめ仲間に引き込んだ二人は、バリーから照明を奪取して封じ込め、女子高生誘拐事件を起こすんですね。

二人はなぜ女子高生を誘拐したのか

デニスとパトリシアは、24番目の人格「ビースト」がいることを確信。
彼を覚醒させるための“生贄”として、3人を誘拐してきたわけです。

彼女たちを(物理的に)食べさせることで「ビースト」は(物理的に)人知を超えた生物に進化する。ということらしいんですね。

ビーストはケヴィンの副人格の中で、最も恐ろしい破壊衝動の塊であり、世界に自分たちを認知させるという、ケヴィンの中の承認欲求が具現化した姿なのです。

そうした超能力者というか進化した人類を、X-MENでプロフェッサーXを演じたマカヴォイに演じさせるんですから、「シャマランの狙ったな?」 と邪推せずにはいられませんw しかも「ビースト」だしねw

一方、ケイシーが学校で問題を起こすのは、家に帰りたくないから。
彼女の父親は、彼女が小さい時に心臓発作で亡くなっていて、以来、ケイシーは叔父に引き取られて暮らしているのですが、彼女は叔父からずっと性的な虐待を受けているのです。

当初、彼女がほかの二人の「三人であいつを倒そう」という誘いに乗らないのは、大人の男の恐ろしさが身に染みて分かっていて、かつ、幼少期に父親と行っていた狩りで、力の違い(戦力差)を冷静に見極められるからなのです。

つまり、ケビンとケイシーの二人は同じ境遇を持つ鏡像関係にあり、ケビンが副人格を作りトラウマや怒りを外に向けるのに対して、彼女はずっと内=自分に向けてきたんですね。

本作のラストは賛否両論あるようですが、僕はケイシーのその後に含みを持たせる終わり方は、個人的には好きでしたねー。

そして「ミスター・ガラス」へ

で、ネットでレビューを読んだところ、実はこのケビン「アンブレイカブル」でも登場しているのだとか。
劇中、能力に目覚めたデヴィッドが、人ごみの中で母親から虐待されている少年を“見つける”んですが、どうやらその少年が後のケビンということらしいんですね。

本作の最後でも、事件の報道をレストランのテレビでデヴィッドが見ているというシーンで挿入され、現在公開中の「ミスター・ガラス」に繋がる事がわかります。(これが今回のどんでん返し)
「ミスター・ガラス」の予告を観ると、デヴィッド・イライジャ・ケビンの他に、ケイシーも登場するようで、もうワクワクが止まりません!!

出来れば、この熱量のまま今すぐに「ミスター・ガラス」を観にいきたいんですが、僕の地元では公開してないっていうね。(ノω;)

まぁ、もちろん細かいアラは色々見えるんですが、物語の進みがスムーズなのでノイズというほどは気にならないし、ラストで「ビースト」になったケビンに賛否あるかもですが、「スリラー映画」ではなくて「ヒーロー映画」として観れば、僕的には十分に許容範囲でしたねー!

興味のある方は是非!!!

 

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