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地味だけど面白い!「特捜部Q 檻の中の女」(2013)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、前々から気になっていたけど、タイミングが合わなくて中々手を出せなかった映画『特捜部Q 檻の中の女』ですよー!

デンマークの作家J・エーズラ・オールスン原作の同名小説シリーズを、北欧版?「ドラゴンタトゥーの女」のスタッフが実写映画化し大ヒットした「特捜部Q」シリーズ第一弾です!

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画像出典元:http://eiga.com

概要

デンマークの作家J・エーズラ・オールスン原作の『特捜部Q』シリーズを映画化したサスペンスドラマ。未解決事件を扱う窓際部署所属刑事の活躍が、スリルあふれる描写で綴られる。捜査ミスにより部下を殉職させ、自身も重傷を負った経験を持つ殺人課の刑事・カール。新設部署である特捜部Qへ配属されることになったが、そこは未解決事件の残務整理を主な業務とする閑職部署だった。仕事をしていく中で、カールは5年前に起きた女性議員の失踪事件に興味を持つ。議員のミレーデが、船から姿を消した後自殺として処理されていたのだ。助手アサドの力を借りながら、カールは再調査に挑むのだが…。(allcinema ONLINEより引用)

感想

僕はこれまで、「ぼくのエリ 200歳の少女」(2010)と「ミレニアム」シリーズ3部作など、北欧映画に詳しいわけではないけどそれなりに縁があったりします。
なので本作も前々から気になってはいたんですが、タイミングが中々合わなくて今まで観れてなかったんですね。

で、先日、にっきにっきさんのレビューを読んで、俄然興味が湧いたので早速TSUTAYAでレンタルしてきましたよ。

usnk.hateblo.jp

 

地味だけど丁寧

まず、本作のストーリーをざっくり説明すると、

殺人課のエースながら独断的なカール(ニコライ・リー・カース)は捜査中に応援を待たずに現場に突入、部下を殉職・重症を負わせ、自身も重傷を負ってしまう。

3ヶ月後復職したものの、彼と組みたがる刑事はおらず、彼は新設部署「特捜部Q」に転属させられてしまう。
新設部署といえば聞こえはいいが、そこは過去20年分の未解決事件の資料整理を行う窓際部署で、カールは事実上左遷されてしまったのだ。

そんな彼の相棒はアラブ系のアサド(ファレス・ファレス)。
カールにとって都落ちである特捜部Qも「二年間倉庫でスタンプばかり押していた」彼にとっては栄転だった。

アサドはカールを「ボス」と呼び、壁に貼った事件の資料を見せ、どれから始めるか尋ね、カールは5年前の女性議員の自殺事件に目を留めて――という物語。

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画像出典元:http://eiga.com /カール(左)とアサド(右)

最初はギクシャクしていた二人が事件の再捜査を通してお互いを認め合うようになっていくっていう典型的なバディもので、一言で言うと北欧版「相棒」みたいな映画でした。

ド派手なアクションがあるわけではなく、ヒゲ面のオッサン二人がアッチコッチ行って聞き込みをする絵面が映画の3分の2を占めるという実に地味な映画

なのに、シッカリ面白いんですよ!

というのも、脚本、キャラ造形や配置、構成や見せ方が、一つ一つ丁寧で、目新しい事は殆どしてないんだけど、観客に飽きさせずに見せる工夫が随所に施されているっていう非常に好感の持てる作品だったんですね。

あまりにも雑な捜査と結論に違和感を感じたカールとアサドは事件の再捜査を始めるんですが、その過程で少しづつ犯人に近づいていく様子と、実は生きていたミレーデが犯人に加圧室に閉じ込められ、1年ごとに1気圧下げられるという壮絶な拷問を受け、それでも生き伸びるため必死に正気を保とうとする様子が交互に描かれていきます。

そして、後半部分では犯人の目的と衝撃の動機が明らかになっていくという正統派のミステリーサスペンスなのです。

キャラ萌え映画

そんな本作のメインキャラは、短気でワンマンだけど事件の真相に迫るカンの良さと行動力があるカールと、(恐らく人種差別で)ずっと窓際部署にいて、けれど腐らず、穏やかで優しい性格でカールをフォローするアサドという正反対の二人。

二人共ヒゲ面のオッサンなんですが、何ていうか、物語が進むうち、この二人の関係性に萌えてくるんですよねw

最初はアサドの名前を間違えたり、アサドの淹れる濃すぎるコーヒーに文句を言ったりしてるカールですが、一緒に捜査を進めるうち次第にアサドの能力を認めるように。
後半、店のコーヒーを飲んで「お前の淹れる濃すぎるコーヒーの方よりまずい」(意訳)とボソっと呟くカールには、思わずツンデレかよ! (。・д・)ノ)´Д`)ビシッとツッコんでしまいましたよw

頑固者のカールですが、根は悪い奴じゃなくて、暴走もルール違反も全ては事件を解決するためなんですよね。

自分の独断のせいで、全身麻痺になってしまった部下の見舞いに行って、恨み言を言われて傷ついたり、励まされて元気になったり、カールは基本単純でいい奴なのです。

一方のアサドは、むしろ年上のカールよりもずっと大人で、ついつい先を焦って突っ走るカールには出来ない事を地道に補いながら、事件を解決に導くヒントを得ていきます。

アサドいい奴! 友達にしたい男ナンバー1

そんな二人のキャラ萌え映画としても、本作はしっかりツボを押さえてて「こいつらをもっと見ていたい」って気持ちにさせるのです。

北欧映画ならでは

「ぼくのエリ 200歳の少女」(2010)と「ミレニアム」シリーズもそうなんですけど、いわゆる北欧映画って、ハリウッド映画やイギリスやフランスなどのヨーロッパ映画、はたまた中国や韓国などのアジア映画とも違う、独特なエグさがある気がします。

それは多分、歴史や文化や風土の違いからくるものなんでしょうけど、撃たれたり、斬られたり、刺されたりして血がドビューの「ギャー!」っていうグロさとは違う、地味に心を抉ってくるっていうか、残酷さの種類が違うっていうか。(いつも上手く言えないんですよねー)

本作でも、犯人はある過去の復讐のためにミレーデを誘拐。
加圧機の中に閉じ込めて、一年に1気圧ずつ下げていくっていう、「普通そんなの思いつかないよ!」っていう気の長い拷問を5年間も続けるわけです。
5年ですよ!?

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画像出典元:http://eiga.com 加圧室に5年も閉じ込められるミレーデ

食事の入ったバケツと排便用のバケツを毎日取り替え、ミレーデが歯痛になったら、ペンチを差し入れて自分で歯を抜かせる(中々のトラウマシーンでした)など、東洋とも西洋とも種類の違う残酷さと、独特な陰湿さや粘り強さのようなものを感じるんですよね。あと、ほんのちょっとの横溝正史感も。

それが(特に冬のシーンなどでの)クリアな映像と相まって、北欧映画でしか出せない空気感を醸し出しているんだと思います。

ともあれあと3本シリーズが出てるので、これから引き続き観ていこうって思いましたねー!

興味のある方は是非!!!

 

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