ぷらすです。
今回ご紹介するのは、みんな大好きデヴィッド・フィンチャー監督の『ドラゴンタトゥーの女』ですよー!
今回久しぶりの鑑賞ですが、結構アチコチ忘れてたので見返して良かったです。
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
『ミレニアム』3部作として映画にもなったスウェーデンのベストセラー小説をハリウッドで映画化。『ソーシャル・ネットワーク』のデヴィッド・フィンチャーが監督を務め、白夜のスウェーデンを舞台に、数十年に及ぶ血族の因縁と猟奇的ミステリーに彩られた物語が展開する。キャスティング選考も話題になった天才ハッカーのヒロインを演じるのは、『ソーシャル・ネットワーク』のルーニー・マーラ。彼女と協力し合うジャーナリストを、『007』シリーズのダニエル・クレイグが演じる。原作とは異なる衝撃のラストに注目だ。(シネマトゥデイより引用)
感想
本作の原作は、スウェーデンのジャーナリスト兼作家のスティーグ・ラーソン原作のミステリー小説「ミレニアム」3部作の第一弾。
この三部作は最初にノオミ・ラパスが主演してスウェーデンで映画化され、その後、第一弾となる本作がデヴィッド・フィンチャーが監督、007シリーズのダニエル・クレイグとルーニー・マーラでリメイクされたことで大きな話題になりました。
デヴィッド・フィンチャー
すでにご存知の方も多いでしょうが、ここで一応本作の監督、デヴィッド・フィンチャーの略歴をざっくりとご紹介。
カリフォルニア州マリン郡で育ったフィンチャーは、10代の時にオレゴン州に移り現地の高校を卒業。18歳で8mmカメラを用いて映画製作を始めます。
そして、1980年にジョージ・ルーカスが開設した「ILM」のアニメーターとして働きはじめ1984年まで所属。
独立後の1986年、ビデオ製作会社「Propaganda Films」を設立し、マドンナ、ジョージ・マイケル、エアロスミス、ローリング・ストーンズなどのミュージックビデオや、数多くのCMを手掛け1992年に「エイリアン3」で映画監督デビューします。
しかし、この「エイリアン3」は、名作と言われ人気も高かった前作の続編であり、ビックバジェット作品ということもあって企画・脚本段階からモメにモメまくり、監督に抜擢されたものの経験もなく若輩だったため発言権も少なかったフィンチャーにとって苦いデビューとなってしまいます。
この経験で深く傷ついたフィンチャーは、「新たに映画を撮るくらいなら大腸癌で死んだ方がましだ」と、次作に着手するまでの1年半にわたって脚本すら読まなかったそうですよ。
その後、監督した「セブン」(95)「ファイトクラブ」(99)などの大ヒットで、一躍ヒットメーカーとなったのは、ご存知のとおりです。
ミュージックビデオやCM畑出身だけに映像には並々ならぬセンスとこだわりを持ち、本作のOPでも、レッド・ツェッペリンの「移民の歌」のカバーに乗せた、超カッコイイCG映像は超かっこよかったです。
スウェーデン版 金田一シリーズ
そんな本作のストーリーをザックリ説明すると、「ミレニアム」誌で大物実業家ヴェンネルストレムの武器密売をスクープするも、名誉毀損で訴えられ裁判で敗訴し全財産を失ってしまったミカエル・ブルムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)。
画像出典元URL:http://eiga.com /裁判で敗訴、窮地に立たされるミカエル
失意に暮れる彼のもとに、「一族の中から姪のハリエットを殺した犯人を見つける見返りに裁判判決を逆転させるような証拠を渡す」という大物実業家からの依頼が。
そこでミカエルは彼に興味を持ったドラゴンの刺青をしたフリーの天才女ハッカー、リスベット(ルーニー・マーラ)とともに捜査を進めるうち、ミカエルは猟奇連続殺人に関わる一族の秘密に辿り着く。という物語。
かつてスウェーデンを牛耳っていた旧家の、第二次世界大戦に絡む因習と謎を、探偵役のミカエルとリスベットが解き明かしていくという展開は、横溝正史の「金田一シリーズ」に少し似てるなーって思ったりしましたねー。
リベンジからアベンジ、そしてヒーロー誕生へ
一方、ミルトン・セキュリティーのフリーの調査員である天才ハッカーのリスベットは、父への殺害未遂“最悪な出来事”を行ったことで精神病院に隔離された過去から、成人後も金銭を後見人に管理されています。
ところが、物語序盤で後見人が脳溢血で倒れ、新たな後見人は金銭を渡す代わりに彼女に性的な“サービス”を要求し、挙句レイプまでするクズ野郎。
画像出典元URL:http://eiga.com /自分をレイプしたクズ野郎を執拗に追い詰めるリスベット
そんなクズ野郎に、リスベットが行う“復讐”は、その前のレイプシーンがあまりにも酷いだけに、胸のすく思いでしたねー!☆拍手!!(゚∇゚ノノ\☆(゚∇゚ノノ\☆(゚∇゚ノノ\喝采!!☆
その後、リスベットはミカエルと合流して捜査を進める事になるんですが、この時のミカエルの誘い文句が「少女殺しの犯人探し」で、リスベットはハリエットに自身を重ね合わせてミカエルと手を組む事を決めるのです。
つまり、自身の生活とクズ男への“リベンジ”(個人的な復讐)に自身の能力を使っていたリスベットが、この瞬間、少女殺しの犯人を見つける“アベンジ”(公共のための復讐)のために能力を使う事を決めるわけですね。
画像出典元URL:http://eiga.com /「女007」に覚醒したリスベット
これこそが、本作でフィンチャーが描きたかった部分で、つまり本作は女007リスベット誕生の物語であり、相棒のミカエルはボンドガールなのです。
そんなミカエルに現役ボンド役のダニエル・クレイグを配役するところは、さすがフィンチャーだなーって思いましたねーw
もちろんこれらの要素は原作やスウェーデン版でも描かれていますが、フィンチャー版はもう一つの軸であるミステリー要素より、明らかにリスベットの物語を見せることに比重を置いた描き方をしていますしね。(犯人のアイツなんか、登場した瞬間からずっと企んでる顔してますしねw)
同時にリスベットは、これまでフィンチャーが描いてきた主人公像を踏襲したキャラクターでもあります。
フィンチャーが作品を超えて描き続けているテーマは、乱暴に言えば「ぼんやりしてると巨大な権力に飼いならされ、気が付けば踏み潰されてしまうぞ! お前ら目を覚ませ!」で、それは多分「エイリアン3」のトラウマが関係してると思うんですが、本作のリスベットは小柄で痩せっぽっちな体で巨大な権力に立ち向かう、まさにフィンチャーが思い描く理想のヒーローなのです。
タバコ
本作序盤、失意のどん底だったミカエルは、タバコと一緒にライターを購入します。
これは、ミカエルが今まで禁煙していた事を示していて、以降、事件に関わっている間の彼は事あるごとにタバコを吸っているんですね。
それはリスベットも同じで、彼女はヘビースモーカーとして描かれていますし、ミカエルとタッグを組み、セックスをした後なんかは一本のタバコを回し飲みしたりします。
画像出典元URL:http://eiga.com /アウトローはタバコを吸う
つまり本作でのタバコは、アウトロー、つまり“支配から解き放たれた者”を表すアイコンであり、“アチラとコチラ”を分けるアイテムなのです。
なのでタバコや喫煙に注目して、本作を観るのも面白いのではないでしょうか。
興味のある方は是非!!!
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