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信仰との距離感とコミュニケーション「特捜部Q Pからのメッセージ」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「特捜部Q」シリーズ第3弾『特捜部Q Pからのメッセージ』ですよー!
最新作「~カルテ番号64」が今年1月に公開されたみたいですが、今のところレンタルで観られる最新作です。

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

ユッシ・エーズラ・オールスンのミステリー小説「特捜部Q」シリーズの映画化第3弾。原作「特捜部Q-Pからのメッセージ-」を基に、未解決事件を担当する特捜部Qの刑事たちが助けを求める手紙の謎を追うさまを描く。前作に続き『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』などのニコライ・アーセルが脚本を担当。特捜部Qのメンバーも、ニコライ・リー・コスとファレス・ファレスが続投する。(シネマトゥディより引用)

感想

シリーズ三作目となる本作で扱う題材は、ズバリ宗教で、「エホバの証人」が事件に絡んでくるんですが、僕はエホバの証人って「輸血拒否」くらいの知識しかないんですよね。

なので、本作で描かれた内容がどのくらい事実に沿っているのかはまったく分かりませんし、一応ネットで調べてみたんですが、本作に登場する「神の弟子教」なる団体が実在するか、(実在するとして)エホバの証人との関係も分かりませんでした。

ざっくりストーリー紹介

(恐らく前作の事件で)心身共に消耗し、課長から休職を命じられているカール(ニコライ・リー・コス)。その最中、コペンハーゲン警察で未解決事件を捜査する「特捜部Q」に、血に染まったボトルメールが届きます。

欝状態のカールを連れ出し復職させたアサド(ファレス・ファレス)は、秘書のローセ(ヨハン・ルイズ・シュミット)と共に海水で文字の滲みほとんど読めないメールを解読。

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画像出典元URL:http://eiga.com /ボトルメールをサクサク解読していくアサドとローセ

灯台の絵、Pから始まる名前の差出人の子供が誘拐されて助けを求めている事、その子は(恐らく)エホバの証人の信者であることを確認。アサドは過去10年で行方不明になった子供を調べようとするも、カールが「ここ10年で行方不明になった子供は2人。どちらもエホバの証人ではない」と指摘するんですね。

一方、スカルスの「神の弟子」教区内の農場に暮らす農夫イリーアスの家に、教団の伝道師の神父ヨハネが教区を離れる挨拶に訪れ、イリーアスの妻子と共に食事を共にした翌日、イリーアスの娘マウダリーナとその弟セームエルは下校途中に、面識のあるヨハネスに車で家まで送っていくと欺かれ、誘拐されてしまいます。

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画像出典元URL:http://eiga.com 

その頃、アサドが依頼した研究所による分析の結果、タールで文字が書かれた手紙に記された地名はバレルプにあるラウトロプヴァングだと判明。
また、過去に子供が拐われた同様の事件が起こっていた事が判明し、カールとアサドはバレルプの学校を訪ね、教師に聞き込み。
教師はかつて自らが担当していた生徒トレクヴェとその兄ポウルエホバの証人の信者であり、両親の意向で宗教活動の為に中退した事を明かします。

学校での聞き込みを元に調べると、バレルプ在住のトレクヴェの父親が、妻と一緒に睡眠薬で自殺していた事が判明。
ヤク中の不良仲間と団地の一室に屯する15歳のトレクヴェを発見し、一緒に誘拐されたポウルを目の前で殺されたこと、両親は事件について明かすとエホバに罰せられると信じ黙秘していた事を告白するんですね。

そこへビヴォー署から誘拐の連絡が入り、カールとアサドはスカルスの「神の弟子」教区内へ捜査に向かうのだが、――という内容。

誘拐された子供たちの両親がすぐに通報していれば解決が難しい事件ではなく、今回の誘拐事件も起こっていないわけですが、そこに宗教が絡むことで事がややこしくなってしまっているわけです。

信仰と戒律

無宗教のカールは、そんな被害者の両親の気持ちが分からず、宗教そのものを否定するような事を言い、アサドが信仰するイスラム教も同じだと口を滑らせることで、二人は初めての喧嘩をするわけですね。(まぁ、痴話ゲンカ程度なんですけども)

この喧嘩のシーンは、いわば信仰=悪というイメージにならないようバランスを取るためのシーン。
エホバの証人についてはカルト教的な扱いになっていますが、これはキリスト教圏だからなのかな? (エホバの証人キリスト教の分派ではなく、似て非なるものらしい)

犯人のヨハネスもまた、エホバの証人信者だった母親との過去がキッカケとなって数々の誘拐事件を起こすようになってますしね。

ただ、本作ではエホバの証人神の弟子教自体の善悪を問うているわけではなく、人は信仰とどう向き合うのかが本質的なテーマになのだと思います。

カールとアサドの口論で、アサドは「宗教とは人生に安らぎを与える大きな柱のようなもの」(意訳)的な事を言っていて、そんなアサドの対比として戒律が厳しいエホバの証人を物語に登場させることで、信仰との距離感みたいな事を描いているのかなーと。

同時に本作では「宗教は人を分けるものではない」という事も描かれていて、最初はアラブ系のアサドを敵視するイリーアスが、最後にアサドを“一人の人間として”認めるというシーンは、思わずグッときてしまいましたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com /今回はアサドが大活躍!

クライマックスでは、明らかにキリスト教エホバの証人?)の洗礼の儀式を連想させるシーンがあって、起こっていることは凄惨なのに、映像的には美しいシーンになっているのが印象的でした。

他にも見る人が観れば分かるアイコン的なシーンがあったのかもですが、宗教全体に疎い僕には、それ以上はちょっと読み取れませんでしたねー。

本作では、扱いの難しい信仰という題材を、本作では最後まで上手くバランスをとって描いていたと思うし、最後も上手く着地させたように感じました。

カールとアサドの相棒感もすっかり安定し、紅一点のローセもレギュラーとして定着した「特捜部Q」の次回作「~カルテ番号64」が今から楽しみです!

興味のある方は是非!!

 

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