今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

映画の定義って何?

ぷらすです。

先日書いた「ROMA/ローマ」感想に、仲良くしてもらっているブロガーKONMA08 (id:konma08)さんから、ある質問を頂きました。

aozprapurasu.hatenablog.com

「ぷらすさんの映画の定義って何すか?」と。

KONMAさんは、「ROMA/ローマ」がアカデミー賞で作品賞を始め10部門でノミネートされた事から、この疑問を持たれたようで、僕以外の映画ブロガーさんにも同様の質問をして、その回答を一本の記事にまとめていらっしゃいます。

konma08.hatenablog.com

僕の回答はリンク先、KONMAさんの記事を読んでいただくとして、ちょっと言葉足らずだった部分を補足する意味で、今回は「僕の考える映画の定義」について、書きたいと思います。

メディアとしての違い

漫画やアニメの実写映画化といえば、マーベルコミックやDCコミックなどのヒーロー映画から、日本の少女漫画を若手人気俳優が演じる映画まで沢山ありますよね。

日本人のほとんどが原作を知らないアメコミはともかく、日本のマンガ原作の実写化は何かと批判されがちなジャンルではあるかと思います。

原作ファンにしてみれば、大好きで思い入れのあるキャラや物語を勝手に変えられるのだからある意味当然とも言えますが、個人的にマンガ(アニメ)の実写化で失敗した作品って、

1・原作通りにやろうとして失敗。
2・原作を変えすぎて失敗。

のどちらかなのではないかと。

2の「原作を変えすぎて失敗」は分かりやすいと思いますが、1の「原作通りにやろうとして」は良いことじゃないの? と思われるかもしれません。

ところが、マンガと実写映画では「メディアとしての文法」が違うので、そもそも「原作通り」は無理なんですよね。

なぜなら、マンガは絵とセリフの組み合わせで物語を読ませるべく進化した、全てが(作為的に)デフォルメ・記号化された世界だからです。

それらは、マンガ(アニメ)というメディアだから成立する表現で、これを現実の人間でやると、どうしても違和感が出てしまうんですよね。

例えば、キャラクターが叫びながら殴りかかる怒りの表現はマンガ(アニメ)なら成立するけど、これを実写映画で人間がやると「そんなやついないだろう」って観ているほうが共感出来ない=表現として成立しない。

僕が言う「文法が違う」というのはそういう事で、だからマンガ(アニメ)作品を実写映画化するなら、映画用の作劇に「翻訳」しなくてはならず、実写映画化の成否はこの翻訳の出来にかかっていると言っても過言ではありません。
それはマンガ(アニメ)→実写に限らず、小説・演劇などのメディア全般に言えることですが。……って、あれ、何の話だっけ?w

ドラマと映画の違い

では、同じ(実写)映像メディアである、ドラマと映画は何が違うのか。

端的に言えば、ドラマはセリフ劇であり、映画はアクションであるって事だと個人的には思っています。

「人が演じる」と言うと、まず舞台演劇(以後、演劇)がありますよね。

演劇の特徴は、言うまでもなく人間が舞台上で芝居を演じて、客席で観客が観るということ。

観客は自分の座る席から動くことは出来ないので、映像で言えばカメラ据え置きで舞台で動く人間を映している状態。

また、舞台という限られた空間の中で芝居が行われるので、「ここは何処で、自分たちは何者で、今はどういう状況・感情か」をセリフで説明し、観客と共有することで物語は進んでいきますよね。
つまり、舞台は基本的にセリフ劇なのです。

その演劇の作劇(文法)に近いのがテレビドラマ。

元々は、斜陽になった映画業界からスタッフ・キャストが移ってきて始まったテレビドラマですが、当時のテレビは画面が小さく映像もあまり良くない状況。

また、お母さんは家事をしながらテレビを“聞いている”ことが多かった時代なので、映像を観なくても内容が分かるようにドラマはセリフ主体の劇になり、現在もその作劇文法は引き継がれています

一方、映画は写真を動かすことから始まったメディアで、つまりはアクション=動きで見せる事こそが真骨頂。

無声映画は、(映像の合間に簡単な状況説明やセリフ字幕は入るものの)基本的には役者の表情や動き、つまり「アクション」でキャラクターの置かれた状況や感情の動きを描き、トーキーの時代になってもその根底には映画=アクションという文法が根付いていて、ズームアップやロングショットといった撮影技法、モンタージュなどの編集技法も、「アクション」をより効果的に見せるために発明されたんですね。

なので、僕が「映画的」という時は、基本的にはセリフに頼らず映像で見せる作品を指しています。(もちろん例外は沢山ありますけど)

「ROMA/ローマ」

そういう意味で、「ROMA/ローマ」は極めて「映画的」な作品です。
セリフを極限まで排し、アクションと音で状況やキャラクターの感情を表現した作品で、「アカデミー賞」で多くの賞を取るのも納得ですよ。

ただし、(スマホだのタブレットだのは論外として)家のテレビやPCモニターで観たときに、この作品の良さを100%味わえるかと言われれば、かなり難しいな気はしますけども。

個人的に「ネット配信」を前提に作られた映画は「映画」と言えるかと聞かれれば、YESと答えます。
なぜなら、僕の映画体験は家のテレビで観た映画から始まっていますから。

なので「作品」と「ネット配信であること」は本来切り離して考えるべきだし「ネット配信だから映画ではない」と答えるのは、今の自分自身を否定することになってしまいますしねー。

ただ、出来ればネット配信だけでなく、映画館上映+DVD発売・レンタルと、出来るだけ作品に触れられる間口は広げて欲しいとは思いますけどね。いや、マジで。

というわけで、「映画の定義」についてでしたー。(´∀`)ノ

*個人の感想です。

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング