今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

アバンタイトル“は”最高!「移動都市/モータル・エンジン」(2019)

ぷらすです。

3月に公開された、「ホビット」シリーズのピーター・ジャクソンが製作を務めたSFファンタジー映画『移動都市/モータル・エンジン』が、地元の映画館でもひと月遅れで公開されたので、朝一の回で観てきました!

タイヤ付きの巨大都市が荒廃した地球を走り回って、文字通り弱肉強食の争いを繰り広げるという設定が超気になってたんですよねー。

というわけで、今回はまだ公開中の作品なので出来るだけネタバレに気をつけて感想を書きますが、これから本作を観る予定の人や、ネタバレは絶対嫌! って人は先に映画を観てから、この感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

https://eiga.k-img.com/images/movie/88165/photo/bf677c3c30c39049.jpg?1545378429

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

イギリスの作家フィリップ・リーヴの小説「移動都市」シリーズを原作にしたSFファンタジー。人々が巨大な移動都市に暮らす世界を舞台に、ある目的のために移動都市に潜入した少女の戦いが描かれる。『ホビット』シリーズなどのピーター・ジャクソンが製作を務め、クリスチャン・リヴァーズがメガホンを取る。主演は『殺意の誓約』などのヘラ・ヒルマー。(シネマトゥディより引用)

感想

ざっくりストーリー紹介

本作はイギリスの作家フィリップ・リーヴの小説「移動都市」シリーズを原作にしたSFファンタジー
古代人による“60分戦争”によって世界は崩壊。生き残った人類の多くは巨大なエンジンとタイヤの上に築いた移動都市で移動生活をしていた。
この世界は、資源確保のため巨大都市が小都市を“捕食”する文字通り弱肉強食の世界
しかし次第に資源は底をつき始め、新たな資源確保のため巨大移動都市ロンドンの実力者ヴァレンタイン( ヒューゴ・ウィーヴィング)は、鉄壁の防御を誇る反移動都市同盟を守る巨大な壁を崩すため、古代世界を滅ぼしたロストテクノロジーメデューサ」を起動させようと企んでいる。

一方、幼い頃ヴァレンタインに母を殺され復讐を誓うヘスター・ショウ( ヘラ・ヒルマー)と、下層階級出の青年トム・ナッツワーシー (ロバート・シーハン)は、反移動都市同盟とともに、ヴァレンタインの野望を食い止めようと奮闘する。というストーリーで、なんて言うかこう、非常に既視感があるっていうか、「あ、これ知ってる!」っていうストーリーでしたねーw

アバンタイトル“は”最高!

巨大移動都市ロンドンが、小さな採掘都市ソルツヘイクンを発見。
(比喩ではなく文字通り)“捕食”するまでのチェイスシーンが描かれるアバンタイトル

https://eiga.k-img.com/images/movie/88165/photo/9a7adb67d3c18c03/640.jpg?1548131082

画像出典元URL:http://eiga.com / わー逃げろー!

平和なソルツヘイクンがロンドンから逃げるために、走行モードにトランスフォームする描写は萌えるし、中々エンジンが掛からずにどんどんロンドンが迫って来るシークエンスにはドキドキハラハラ。
エンジンが掛かって急発進し、全速力で逃げるソルツヘイクンの様子を高台に集まって見ながら歓声を挙げるロンドン市民の様子。
ロンドンでは通れない峰の合間を見つけ「これで逃げ切れる!」と思ったら、その手前にの地面には大きな亀裂があって急カーブ。
ロンドンから発射された銛に貫かれ、ジリジリと大口を開けるロンドンに引き込まれていき、完全に飲み込まれたところでロンドンの“口”が閉じてタイトルバーン!

……もうね、最高ですよ!!

その合間にも、主要キャラを一通り登場させて、それぞれの役割をサラッと説明して、本編に移行するのも良かったし、スチームパンク的なデザインも個人的に大好物でしたねー。

ただ、いざ本編がスタートすると急に鈍重になる感じで、そこはかなりもったいないと思ったし、登場キャラが多い割に各キャラクターの背景の描かれ方が全体に薄いんですよね。

これ、本来だったら全3部作くらいのスケールの物語だと思うんですけど、それを約2時間にギュッと圧縮してしまったためにダイジェスト感が出てしまった感は否めませんでしたねー。

ジブリ

あと、本作を観た多くの人が指摘するように、この映画全体に漂うジブリ感が凄かったですねー。

設定は風の谷のナウシカストーリーは天空の城ラピュタ
移動都市のデザインはハウルの動く城主人公のヘスターはもののけ姫のサンを連想させます。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88165/photo/d06b37ef95d40799/640.jpg?1548130865

画像出典元URL:http://eiga.com / 天空都市も出る

まぁ、この手の作品の設定やテーマを描く以上、どうしたってストーリーや世界感は似てしまうだろうし、そもそも宮崎さんの初期作品も海外のファンタジー小説を元ネタに発想してるわけですから、世界観が似るのは当たり前ですよね。

モチーフ

そんな本作のモチーフになっているのは、大航海時代のイギリス(というか西洋諸国)です。
産業革命で世界のトップに立ったイギリスが、資源確保のために諸外国を次々に植民地化していった歴史を、本作では終末SFファンタジーとして描いているんですね。
対する、反移動都市同盟は中国(というかチベットっぽいけど)を中心とした東洋諸国をモデルにしています。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88165/photo/242e2c9d95813260/640.jpg?1548131081

画像出典元URL:http://eiga.com / 見た目はいかにも悪役っぽいヴァレンタイン

そこに、核兵器原子力のメタファーとなる「メデューサ」を登場させることで、権力に取り憑かれたヴァレンタインがコントロール不能な行き過ぎたテクノロジーに手を出してしまう愚かさをプラスし、苦難の末にヴァレンタインの野望を食い止めるのが未来の象徴であるヘスターとトムを中心とした若者たちという構造になってるわけですね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88165/photo/da10c5eeecca1fc8/640.jpg?1550723135

画像出典元URL:http://eiga.com / 主人公ヘスターとトム

まぁ、日本のオタクなら100万回観た例のヤツです。

そこに色んな人種の多様なキャラクターが絡んで物語は進んでいくわけですが、時間の関係もあってどうも舌っ足らずな印象を受けてしまうんですよね。

密度が低い

前述した最高のアバンから本編に移ると、飲み込まれたソルツヘイクンの市民たちはどうやら登録されてロンドン市民になるらしい事がわかります。
恐らくは最下層の労働力として――って事だと思うけど、それにしても市民を食わせるため、不足している資源を確保しようとロンドンは小都市を捕食しているわけで、普通に考えたら人口増やすのはおかしくね? と。

人口が増えるなら、小都市を襲って資源を確保したところでプラマイゼロでは? って思うんですよ。

普通に考えたらロンドンに恨みがある小都市の人間を受け入れたりせずに、奴隷として売り払うなり、捨てるなり、殺すなりしそうなもんじゃないですか。

なんでそこだけ人道的(に見えちゃう)なんだと。

本作では捕まった人間が何らかの酷い目に遭うという描写がないので、普通に衣食住を揃えてくれるならわざわざ逃げることなくね? って思っちゃうし、逆に彼らが非人道的な扱いを受ける描写がないことで、ロンドンやヴァレンタインの悪役っぷりがボヤけちゃうんですよね。

それだけでなく、映画のキャパの割にキャラクターや物語や世界感の説明が圧倒的に不足してるので、全てが抽象的というかスカスカで、前述したようにダイジェスト版みたいな印象を受けてしまうのです。

https://eiga.k-img.com/images/movie/88165/photo/833f17527b09f4d8/640.jpg?1551678520

画像出典元URL:http://eiga.com / へスターを付け狙うシュライク

ロンドン博物館に飾られている「古代アメリカの神とされる銅像」がミニオンでしたみたいな小ネタを入れるヒマがあるなら、もっと脚本や設定の密度を上げて物語に反映させたほうが良かったのでは? と思いました。

まぁ、全年齢向き(というかぶっちゃけ子供向き)の映画みたいだし、あまりハードな描写は出来なかったのかもしれないし、個人的には大画面であの“都市チェイス”の映像を観れただけでも映画館で観る価値はありましたけどねw

興味のある方は是非!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング