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低予算ながら久しぶりの拾い物だった!「スカイライン-征服-」(2011)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年続編が公開されたSF映画『スカイライン-征服-』ですよー!

実は本作の続編が観たくて、だったら1本目から見なきゃダメかなと思って一緒にレンタルしたんですが、ネットでは思いのほか評価が低かったのでハードル下げ気味で観始めたんですよ。

そしたら思いのほか面白くて、久しぶりの拾い物でしたよ!

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概要

戦うすべもないごく普通の人たちへのエイリアンの襲撃を、『アバター』や『2012』を手掛けたVFXチームによる圧倒的な映像で描くSFディザスター・ムービー。『AVP2 エイリアンズVS. プレデター』のグレッグ、コリン・ストラウス兄弟がメガホンを取り、リアリティーを重視した視点で人類滅亡の危機を描き出す。主演は「24 TWENTY FOUR」のエリック・バルフォー。今までにない観点で描かれる地球最後の日の描写に、興味が尽きない。(シネマトゥデイより引用)

感想

期待してなかったけど

実はレンタル店で本作自体は以前から見かけてはいたんですが、パッケージのルックが如何にもB級っぽいのでずっとスルーしてたんですよね。

でも続編の方にはみんな大好きザ・レイド」のイコ・ウワイスも登場すると聞いて、レンタルが始まるのを待ってたんですが、でも続編って聞くとやっぱり最初から観たくなるのが人情ってもんじゃないですか。

で、今回続編の「スカイライン-奪還-」のレンタルが始まったタイミングで、本作も合わせて借りてきたんですが、本作の方はさほど期待してなかったわけです。
ネットの評判も悪かったですしね。

ところが、実際観てみたら思いのほか面白くてビックリ
キャスト陣はよく知らない役者ばかりだったんですが、逆にそれが先の展開が読めない感じでプラスに働いてましたねー。

宇宙人侵略もの

この作品はスピルバーグの「宇宙戦争」やエメリッヒの「インデペンデンス・デイ」などに連なる「宇宙人侵略もの」です。

ある日突然地球に襲来した宇宙船。
その宇宙船から照射される青い光を見た人間は全員、宇宙船に吸い込まれてしまうんですね。

高層マンションのペントハウスで主人公たちが寝ていると、突然激しい揺れとともにブラインドの隙間から青い光が漏れ込んでくる。
すると隣室から悲鳴が聞こえ、何事かと部屋に入った主人公はまともに青い光を観てしまい――というシーンから物語はスタートします。

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そこで、主人公ジャロッド(エリック・バルフォー)と恋人のエレイン(スコッティ・トンプソン)のロスアンゼルスに向かう飛行機の中まで時間が戻る構成。

この機内のシークエンスでは二人が友人の誕生パーティーに向かっていること、顔の長い主人公ジャロッドは優しく親切な男である事が提示されます。

シーン変わってフェラーリのオープンカーで高級マンションにやってくる黒人テリー(ドナルド・フェイソン)のシークエンス。
高級車を乗り回し屋上のペントハウスに暮らすことから、彼が大金持ちであることが分かる。そしてテリーの電話でどうやら映画関係者(監督?)であることも。

で、ジャロッドとテリーが会ってパーティーが始まってからのシークエンスで、エレインが妊娠している事が分かる。
エレインの告白に喜ばず「まだ早すぎる」なんて言っちゃうジャロッド。
かなりのクズ発言ですが、これでジャロッドが“まだ大人になりきれていない”事が分かるんですね。

そしてパーティーが終わりみんなが寝静まった早朝4時すぎ、冒頭のシーンになっていよいよ宇宙人の侵略シークエンスに戻る――という、まぁ今時の展開です。

なんですが、恐らくは予算の関係で物語の大半はこの高級マンションの中でのすったもんだに終始するんですよね。

本作の制作費は1千万ドル。ハリウッド制作のSF映画としては低予算の部類らしいので舞台をマンションに限定したんですね。

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でもその分、使うべき部分にはしっかり予算をかけていて、宇宙人が襲来してくる冒頭とラストのシークエンスは迫力もあるし、全体としてのルックはちょっと安っぽい部分もあるけど、その分はストーリーと語り口の上手さでカバーしているんですよね。

侵略パニックをメタファーにミニマムな物語を描く

本作のストーリーラインは大きく分けて2本。

一つは、突如地球に宇宙人が侵略し征服される様子を描くパニック映画としての物語。
もう一つは、主人公ジャロッドの成長譚。

前述したように主人公ジャロッドは、困っている人を放っておけない気の優しい男ですが、その一方で恋人エレインの妊娠を喜ばずに傷つけてしまうクズ野郎でもあります。
それはつまり責任という現実から逃げ回る、大人になりきれていない男だということなんですね。
そしてその設定がラストの展開への布石になっているわけです。

だから映画終盤まで、ジャロッドはとにかく迫り来る“現実”から逃げ出すことしか考えてないし、その事をエレインに責められマンションの管理人オリヴァー(デイヴィッド・ザヤス)からは「現実を見ろ」と言われ続けます。

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そして終盤、進退極まってやっとジャロッドは“現実”と向き合い大切な人を守ろうと奮闘するんですが、それまではずっとコイツの頼り無さや弱さにイライラさせられるんですよねー!
その辺が、本作が低評価な理由の一つかもしれませんw

本作の主軸はあくまでジャロッドが“大人”になるまでの物語で、宇宙人や宇宙船はあくまで現実の困難であり通過儀礼のメタファーなんですね。

誠実で丁寧なストーリー運び

H・G・ウェルズが1898年に発表したSF小説宇宙戦争」の昔から、映画のみならずあらゆるメディアで散々擦られまくっている「宇宙人侵略もの」

アホみたいにデカイ宇宙船で攻めてくる「インディペンデンス・ディ」
スピルバーグが監督しトム・クルーズ主演の宇宙戦争
日米戦艦と宇宙船が戦う「バトル・シップ」
故郷を失ったガミラス星人に攻められる宇宙戦艦ヤマト
本作の監督ストラウス兄弟に訴訟を起こしたソニー・ピクチャーズが制作・公開した「世界侵略:ロサンゼルス決戦」などなど。

これだけ本数が作られると、さすがにもう新しい切り口は無理だろうと思ってたんですが、本作の設定は新しかったんですよねー。

宇宙船やエイリアンが放つ青い光を見た人間は、次々に母船に吸い込まれたりエイリアンに飲み込まれたりするんですけど、じゃぁ彼らは一体何の目的で大量の地球人を集めているのかが最後に分かって「そういう事か!」と。

そして何度か青い光を直視し吸い込まれそうになるも、ギリギリのところで助かるジャロッド。
それがクライマックスからラストシークエンスで彼が取る、ある行動のフリになっているのもロジカルで上手いなーって思いましたよ。

予算の関係とはいえ舞台を限定することで、密室劇的なサスペンスも生んでいる構成の上手さも含めて、非常に誠実で丁寧なストーリー運びで好感の持てる面白い作品だったと思います。

興味のある方は是非!!

 

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