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驚異の新人キム・ダミの圧倒的存在感「The Witch/魔女」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは韓国のバイオレンスアクション映画『The Witch/魔女』ですよー!

いわゆる韓国ノワールものとは違い、物語自体は漫画っぽいエンタメ映画なんですが、練りこまれた脚本の妙や主役のジャユンを演じた新人女優キム・ダミの圧倒的な存在感、そしてある意味で凄く新鮮だったアクションシーンなどなど、韓国映画の力を見せてくれる作品でしたねー。

ちなみに今回は若干のネタバレを含むので、これからこの映画を観る予定の人やネタバレは絶対に嫌!という人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『新しき世界』『V.I.P. 修羅の獣たち』などのパク・フンジョン監督が放つアクション。幼いころの記憶をなくした少女の特殊な能力が呼び起される。ヒロインを演じるのは、本作でファンタジア国際映画祭の最優秀女優賞を受賞したキム・ダミ。その脇を『嘆きのピエタ』などのチョ・ミンス、『密偵』などのパク・ヒスン、『オクジャ/okja』などのチェ・ウシクらが固めている。(シネマトゥディより引用)

感想

韓国産「異能バトル」

早速、軽いネタバレなんですが、本作はいわゆる「異能バトル」モノだったりします。

ある特殊な施設で育ち8歳の時に脱走。
記憶をなくし人里離れた農家の夫婦に育てられた少女ジャユン(キム・ダミ)は、頭の手術をしなければ余命2~3ヶ月と医者に言われてしまいます。

しかし両親は決して裕福とは言えず、ジャユンは手術費捻出のため歌のオーディションを受けることに。
しかし、そこで特技として見せた“手品”をキッカケに、謎の集団に追われるようになるというストーリー。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ごく“普通”の少女として育つジュユンだったが… 

実は彼女が育った施設とは、脳の研究によって人知を超える人間を作り出そうとしている組織の施設で、彼女と他の子供たちはモルモットとして人体実験を受けた結果、人並み外れた超能力を得ているわけです。

記憶を失い普通の少女として育てられた彼女ですが、彼女を追ってきた組織との対決によって、その恐るべき能力がついに開放されるわけですね。

つまり本作は「脳を100%使ったらトンデモ能力が使えるようになる系SF」で、同じ題材を扱ったリュック・ベッソン監督2014年の作品「ルーシー」の系譜にある作品と言えます。

最初に「漫画っぽい」と言ったのはそういう事で、序盤でその事はある程度匂わされているので、いざジャユンの能力の片鱗が見える後半でも「あー、はいはいそういうヤツねー」と、正直ナメてかかってたわけですが、ジャユンの“真実”が分かるクライマックスで「そういうことかー!」と、まんまと一杯食わされていた事に気づくっていうね。

そして、物語的な動きがなくてモヤモヤする序盤から中盤の中に、実は巧妙にクライマックスに向けての伏線が張られていた事に気づいて、見事な作劇に舌を巻いてしまいましたよ!

驚異の新人キム・ダミ

さらに驚かされるのが主人公ジャユンを演じたキム・ダミの圧倒的な存在感
彼女は無名の新人で、本作の主演で多くの映画賞を受賞。一気にスターダムに駆け上ったんだとか。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 新人とは思えないキム・ダミの存在感

それも納得で、いわゆるアイドル的な分かりやすい可愛らしさとは違って、ぱっと見は地味な普通の少女のようにも見える彼女。
しかし、なぜか目が離せない不思議な魅力があって、ミーハーな親友ミョンヒとのやり取りなどは何処にでもいそうな普通の少女に見えるのに、何故か目が行ってしまう。
さらに、謎の集団に付け狙われて怯えたり、“能力”の副作用で苦しんだりする表情を見ると心底同情してしまうんですが、一転、クライマックスで能力を開放してからの彼女は心底恐ろしいと思わせるうすら笑いを浮かべながら、同じ能力を持つ敵を次々と殲滅していくんですよ。

そんなとても新人とは思えない見事な存在感に目が釘付けになるし、またある意味で突拍子もない設定すらすんなり飲み込ませるだけの説得力を彼女は持っているんですよね。

っていうか、こんなに返り血が映える女優を見たことがないw

そんな彼女の影に隠れがちですが、親友ミョンヒを演じたコ・ミンシの超ウザイんだけど何故か憎めない演技も良かったですねー。

新鮮な異能バトル

そしてやはり超能力ものといえば「異能バトル」の見せ方ですよね。
実は本作のバトルシーンでは、それほど目新しいことはしていないんですよ。(多分)

例えば映像の早回しだったり、ジャッキー映画でもよく使われていた「コマ抜き」だったり、人が吹っ飛ぶようなシーンは多分ワイヤーアクションだったり。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 韓国のお家芸ナイフバトルもあるよ!

ただ、例えばジャユンのショットから相手の顔のショットに振って、再びジュユンにカメラを振ると消えている。そこで驚いた相手にカメラを振ると後ろにジュユンが立ってるみたいな。

ホラー映画なんかでよく使われるカメラワークを、本作では異能バトルの演出として採用して効果的に使っているんですね。

そして、足りない部分や細かいディテールをCGで補強するという、非常に丁寧な演出と構成で、クライマックスの異能バトルに一味違った新鮮味を与えているのです。

残念だったところ

そんな感じで全体的にとても面白く観れた本作ですが、あえて残念だったところを挙げるとすれば、ラストシーンでしょうか。

自分を苦しめたドクター・ペクや異能集団を倒したジュユンは、ある目的のため両親の元を離れます。
その後、ドクター・ペクの双子の妹の元に現れたジュユンが、彼女と話しているその後ろに少女?が立っているわけですが「お前は誰やねん!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」と。

その後「第一部完」みたいなテロップが出るんですよね。

つまり最初から続編ありきの作品だった事が分かるんですが……いや、いいんですよ。面白い作品だったし続編が出ればそりゃぁ観ますよ。
ただ、ラストシーンは両親との別れにしたほうが良かったと思うし、ドクター・ペクの妹とのやり取りはEDロールの後ろにオマケ的につけるとかさ。

何にせよ、宙ぶらりんな状態で終了させない方が良かったんじゃないかなーと。
長い物語の途中であれ、キチンと物語のオチをつけて一本の映画として終わらせて欲しかったってのが正直なところで、「あーまたか」と折角アガっていた気分がちょっと冷めちゃうんですよね。

そういうのはアベンジャーズで散々観てきてるし、いまさら真似たところで二番煎じ三番煎じ感が出ちゃって、損するばかりで得はしないんじゃないかなと。

……まぁ、そんな文句を言いながらも続編が出たら観ちゃうんですけどねw

興味のある方は是非!!

 

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