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もっと早く出会いたかった作品「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(1999)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、1997年公開のドイツ映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』ですよー!

この作品、生涯ベストに挙げる人も多いんですが、実際観たら確かにその気持ちは分かるなーって思いました。
もし僕ももっと早く出会っていたら、「生涯ベスト級の一本」になっていたかもしれない。そんな映画でした。

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画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp

概要

本国ドイツで大ヒットとなったアクション・ロード・ムービー。余命わずかと宣告され、たまたま末期病棟の同室に入院させられたマーチンとルディ。二人は死ぬ前に海を見るために病棟を抜け出し、ベンツを盗んで最後の冒険へと出発した。その車がギャングのもので、中に大金が積まれていたことも知らずに……。道中、残り少ない命の彼らに怖いものなどなく、犯罪を繰り返し、ギャングのみならず、警察からも追われる身になるのだが……。(allcinema ONLINEより引用)

感想

ザ・90年代な映画

検査に来た病院で、余命幾ばくもないと宣告されて同室に入院することになったマーチン(ティル・シュヴァイガー)とルディ(ヤン・ヨーゼフ・リーファース)。
まだ海を見たことがないというルディに、マーチンは「天国ではみんな海の話をする」と切り出し、二人で病院を抜け出して海を見に行く事になります。

そのための“足”として盗んだベンツはなんとギャングの車で、トランクにはボスへの上納金が入っていたからさぁ大変。

そんな事とは露知らず、二人はダッシュボードに入っていた拳銃を手にガソリンスタンドと銀行を襲い、その金で豪華な服を買い高級ホテルに泊まり娼館にも行っちゃう。

元より、いつ死んでもおかしくない病気(マーチンは脳に腫瘍、ルディは骨肉腫)の二人には怖いものなどなく、顔も素性も隠すことなく犯罪を続けたため、警察とギャング双方から追われるハメに――というストーリー。

この映画、基本的にはノワールコメディのロードムービーなんですが、二人の余命が残りわずかだという設定が冒頭にで提示されていることで、ある意味でニューシネマ的な味わいも併せ持っています。

また、カットの撮り方や編集のテンポ、ボブ・デュランの同名曲をドイツのバンド「Selig」がカバーした主題歌を始めとした音楽の使い方なんかは、ダニー・ボイルの「トレイン・スポッティング」に近く、いわゆるタランティーノ以降のザ・90年代映画の「悲劇的な物語を笑いを交えてポップに描く」という文脈で作られていて、この作品を感受性の高い10代~20代前半で食らった人が「生涯ベスト!」って言うのも納得でした。

ストーリーの方はイギリスやハリウッド映画ほどドライではなく、どちらかといえばエモーション高めで、その辺も日本人好みなのかなって思ったりしましたねー。

最後の時を誰とどこで迎えるか

冒頭、同じ病室に入院することになったマーチンとルディ。
ヘビースモーカーで不良っぽいマーチンに対してルディは真面目な男で、劇中でハッキリとは描かれないけど、恐らくは対照的な人生を送ってきたであろう事が分かる。
まぁ、普通の状態だったら絶対友達にはならないだろう二人ですが、お互いガンで余命わずかという共通点がお互いの距離を一気に縮めるわけです。

そして、何故かたまたま病室に隠されていたテキーラを見つけた二人は、それを飲んですっかり酔っ払って、その時に前述した「天国の話」になる。

生まれてから一度も海を見たことがないというルディに、マーチンは「それじゃぁ天国の話題についていけない」といい、二人で病院を抜け出して海を見に行こうと誘います。

多分、この話は口からでまかせで、病室のベッドで死んだように最後の時を待つ事が受け入れられなくて逃げ出したかっただけ。

だから本当は海じゃなく山でも川でも良かったんですよね。
それはルディも一緒で、だから二人は(酔いに任せて)病院を抜け出し、盗んだベンツで走り出すわけです。

病院のベッドで死を待つくらいなら、せめて最後くらいは好きなように“生きたい”し、最後をどこで迎えるかも自分で決めたい。

でも一人ぼっちで最後を迎えるのは怖い。最後を看取ってくれる“誰か”と一緒にいたい。

マーチンはそう思ってルディを(強引に)誘ったし、ルディもそんなマーチンの気持ちが分かっているから、マーチンに最後までつきあったのでしょう。

その無鉄砲とも言える彼らの行動はに、間抜けなギャングの二人が絡むことで物語は思いもよらない方向へと転がっていき、マーチンとルディの行き当たりばったりな行動に振り回される警察との三すくみのスラップスティックな物語になっていくんですね。

今の僕が本作にそこまで共鳴出来ないは、年齢的に今の僕の死生観と劇中の二人の死生観との間には深い溝があって、だから最後の瞬間まで“生きよう”と藻掻く彼らを羨ましく思いながらも、どこかで一抹の寂しさとノスタルジーを感じてしまう自分もいるのです。“あの頃の自分”もこんなふうに思っていたなと。

そう考えると、映画にはそれぞれ出会うべき年齢があって、本作に関して言えば、もちろん今観ても良い映画なんだけど、出来ればもっと早く出逢いたかったなーって思った次第です。

興味のある方は是非!!

 

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