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“あの頃の子供たち”に宛てた感謝の手紙「トイ・ストーリー4」(2019)

ぷらすです。

先日やっと話題の『トイ・ストーリー』を観に行ってきました。

賛否両論吹き荒れている本作ですが、個人的には「続編を作るならあのラストしか有り得ない」って思いましたねー。

というわけで、今回はまだまだ公開中の作品でもあるので、出来るだけネタバレはしないように気をつけて書きますが、これから本作を見に行く人やネタバレは絶対に嫌!という人は、映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

人間とおもちゃの物語を描き大ヒットした『トイ・ストーリー』シリーズ第4弾。外の世界へ飛び出したおもちゃのフォーキーとウッディたちの冒険を描く。『インサイド・ヘッド』の脚本に参加したジョシュ・クーリーが監督を務め、吹替版のボイスキャストはウッディ役の唐沢寿明をはじめ、所ジョージ日下由美辻萬長らが続投する。(シネマトゥディより引用)

感想

ピクサーの成り立ち

本編に触れる前に、まずは本シリーズがピクサーにとってどういう位置づけの作品かについて、ざっくりとお話したいと思います。

ピクサー・アニメーション・スタジオは、上司に「CGアニメ作りたいっす」って言った5分後にディズニーをクビになったジョン・ラセターを始めとした創業メンバーによって設立したCGアニメ制作会社です。

ディズニーをクビになったラセターは、ルーカスが作ったVFX制作会社インダストリアル・ライト&マジック(ILM)のコンピュータ・アニメーション部門に入ります。

これがピクサーの前進。

この部署はCG作成ツールの研究をしていて、『スタートレックII カーンの逆襲』や『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』などに携わっていたわけですが、いわゆる金食い虫ってやつで、ルーカスフィルムは1986年、当時アップルコンピュータを追い出されたスティーブ・ジョブズに売却。「ピクサー」が誕生します。

当初は政府機関や医療機関等を顧客とするCG制作用の専用コンピュータを中核とした、高級ハードウェアの製造会社でしたが、売上は芳しくなく、そこでコンピュータ性能の実演のためデモンストレーション短編CGアニメーションを制作したのがラセター。短編CGアニメーションルクソーJr.」を公開。(OPの電気スタンドのアレね)

その後、CGコマーシャルなどを手がけていたんですが、ディズニーとCG長編アニメーション映画の制作のため、2600万ドルの契約を行い、1988年に制作した世界初のフルCG短編アニメ「ティン・トイ」(トイ・ストーリーの前進となる作品)がアカデミー賞で短編アニメーション賞を受賞し、1995年、世界初のフルCG長編アニメ『トイ・ストーリー』が世界的大ヒットになり、以降はご存知の通り。

その後、ディズニーとピクサーは契約を巡って対立しますが、当時ディズニーの稼ぎ頭だったピクサーを切ることに株主が大反対、結局、当時のディズニーCEOだったマイケル・アイズナーが解任され、ラセターはディズニーの技術部門のトップを兼任することになるんですね。

ピクサートイ・ストーリー

その後、数々の名作が作られる中で「トイ・ストーリー」は節目節目に続編が制作されます。

内容については今更イチイチ説明する必要もないと思いますが、ざっくり一言で言えば「オモチャの存在理由」がテーマですかね。

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その内容は続編を重ねるごとに徐々に哲学的になっていき、前作ではある意味“死生観”にまで踏み込んでいくことになります。

そして、本シリーズはピクサーと深くリンクしていて、つまり子供部屋はピクサーであり、子供を楽しませるオモチャは作品を作るクリエイター自身(特に創業メンバー)の心情や葛藤が反映された、ある意味で私小説”的作品でもあるわけですね。

だから、その折々でのクリエイターの気持ちや思想が作品にダイレクトに反映されているのです。

特にウッディたちは父親からアンディに譲られた、当時から既に時代遅れのオモチャであり、それはそのままジョン・ラセター以下創業メンバーの分身でもあるんですね。(バズだけは新しく買い与えられたオモチャで、これはピクサー設立後に参加したクリエイターを反映している)

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1995年の「トイ・ストーリー」から24年間、現実のジョン・ラセター以下創業メンバーのピクサーやディズニー内での立ち位置や苦悩が、そのままシリーズを重ねる度にウッディの葛藤に反映され、そして本作「トイ・ストーリー4」でウッディはついに“ある決断”をして、バズはそんなウッディの背中をそっと押すのです。

賛否両論

まぁ、ここが評価の分かれ目で、このウッディの決断を是とするか否とするか。
特に子供の頃に「トイ・ストーリー」に出会ったファンにしてみれば、「これまでの24年間を全否定されたように感じてしまう」という意見もよく分かります。

また、ある人のレビューでは「これまで自分で道を決めてきたウッディが、今回はボーに流されるように消極的に決断したように見えるのが悲しい」(意訳)との意見も。

まぁ、確かにその気持ちもよく分かる。

実際、本作のストーリーに関しては、監督のジョシュ・クーリーやピクサー上層部もかなり迷ったようですしね。

ただ、それに関して言えば、個人的には、前作からずっとウッディは“その事”で悩んでいて、ボーとの再会、そしてバズの後押しでやっと覚悟が固まったんじゃないかなと。

でも、ピクサー創業メンバーに年の近い僕から見れば、(前述したように)「トイ・ストーリー」がピクサー私小説”的作品である以上、続編を作る時点でこのラストは不可避で、先に「カーズ/クロスロード」を観た人なら本作のラストにも納得出来るんじゃないかと。

むしろ僕は、(批判を承知で)このラストを選んだことにピクサーの誠意を感じるし、本作はトイ・ストーリーと一緒に成長してくれた“あの頃の子供たち”に宛てた感謝の手紙のようにも思いました。

同時に幼稚園で先割れスプーンやアイスの棒で、新しい“友達”フォーキーを作ったボニーは、次の世代の新たなクリエイターの芽は既に出てきているというピクサーの力強い宣言にも感じましたねー。

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興味のある方は是非!!!

 

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