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“マブリー”の魅力詰め合わせ映画「犯罪都市」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、みんな大好きマ・ドンソク主演の実録犯罪映画『犯罪都市』ですよー!
今やマブリーの愛称で国民的人気俳優となった韓国の俳優マ・ドンソクが悪いヤクザをボコりまくるスカっとする映画です!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『殺されたミンジュ』『アンダードッグ 二人の男』などのマ・ドンソクが主演を務めたクライムドラマ。韓国に進出してきた中国人の犯罪者集団と戦う刑事の活躍を描く。『国選弁護人 ユン・ジンウォン』などのユン・ゲサン、『時間回廊の殺人』などのチョ・ジェユン、チェ・グィファらがそろう。監督はカン・ユンソン。マ・ドンソクが屈強な肉体を生かしたアクションを見せる。(シネマトゥディより引用)

感想

マブリーがヤクザより怖い刑事を好演

マ・ドンソクのプロフィールについては「ファイティン!」の感想でも書いたので、ここでは割愛しますが、ざっくりどんな人かと言えば、役者としては遅咲きながら、持って生まれた愛嬌と厳ついにも程がある肉体を武器に、(韓国映画界でも1・2を争う強面にも関わらず)今や国民的人気俳優となった韓国版シンデレラ・おじさん

そんなマブリーが本作で演じるのは、ソウル南部・衿川(クムチョン)警察に勤務する<強力班>のマ・ソクト刑事。強力班というのは日本で言えばマル暴って感じですかね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / どんなマフィアより怖い顔のマブリー

衿川にはチャイナタウンがあって、そこには中国からやってきた“朝鮮族”と呼ばれる人たちが住んでいるんですが、その中には当然マフィアもいましてね。

彼らと韓国のマフィアはちょいちょい小競り合いをや揉め事を起こしたりしてるんですが、ソクト刑事はそんな両者の間に入って(主に腕力で)両者の揉め事の調停をして街の均衡を保っていたわけです。

ところがある日、中国から朝鮮族犯罪集団「黒竜組」の3人が乗り込み、サクっとボスを殺害して朝鮮族マフィア「毒蛇組」を乗っ取ったことで、街のパワーバランスが崩れてしまう。

そこで、マ・ソクト率いる警察の強力班は街の平和を守るため「黒竜組」の一掃を試みるが――という内容。

さらには、「黒竜組」に縄張りを荒らされた韓国マフィアも復讐のため動き出して、事態は黒龍組、韓国マフィア、ソクト率いる強力班の三つ巴の様相を呈していくのです。

で、ユン・ゲサン演じる「黒竜組」のボス、チャン・チェンってのが、見た目はロン毛でチャラいんですが、これが絵に書いたような冷酷かつ非情な男でしてね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 極悪非道の黒龍組ボス、チャン・チェン(右)

毒蛇組のボスをバラバラ死体にしてゴミ袋に詰めて捨てちゃったり、敵対する韓国マフィア「イス組」ボスの祝いの席に乱入→イス組ボスを殺害するわ、女子供にも平気で暴力を振るうわ、いざとなれば平気で子分も見捨てる最低のクズ野郎なのです。

そんな彼に従う二人の子分も凶暴で強面だし、他のマフィア組員も全員強面ばかりなんですが――その中でも一番の強面が、我らがマブリー演じるソクト刑事っていうねw

このソクト刑事、マフィアには全く容赦なく暴力を振るうんですけど、市井の人には優しく、後輩にとっては頼れる兄貴的存在。

いわば暴力刑事人情派なのです。

特に女性と子供には優しくて、食堂で働く15歳の朝鮮族少年には、どうやら昔から目をかけてやってるっぽいんですよね。

なので、マフィア同士で揉めようが殺し合いをしようが、基本的には冷静なんですけど、彼らが市井の弱き人々に暴力を振るった途端、ソクト刑事は怒りスイッチがONになって犯人を全力で追い詰めて叩きのめすのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 怒りスイッチON!

実録もの

実はこの映画、2004年に衿川で実際に起こった警察による朝鮮族マフィア一斉検挙をベースに脚色しているのだそう。主演のマ・ドンソクは、映画やドラマで役立たずだったり腐敗した組織として描かれる警察像を常々不満に思っていたんだそうです。
自分の知ってる(警察の)友人は全員頑張っていると。

で、本作ではそんな“リアルな警察像”を目指したらしいんですけど……これがホントにリアルなのだとしたら、それはそれで問題があるのでは?と思いましたねーw

本作のソクト刑事の立ち位置って、近年の日本映画で言えば「孤老の血」の役所広司的な感じなんですが、役所広司と違って「ヤクザごときでは絶対彼を殺せない」っていう絶対的な安心感があるんですよね。何故なら演じてるのがマ・ドンソクだからw

マブリーの魅力が詰まったマブリー映画

いわゆる「韓国ノワール」って陰惨でドロドロで痛い描写が多いのが特徴。
もちろん本作でも“痛い”シーンは多々あるんですが、それでも本作は他の「韓国ノワール」とは一線を画しています。

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画像出典元URL:http://eiga.com / マフィアのみなさんも強面揃い!

それはやっぱ、マブリーの持つ愛嬌を引き出した演出が大きいと思うんですよね。例えば、

・ドタバタ走って、逃げる犯人を捕まえた後「膝が痛いだろうが」とこぼすマブリー。

・(悪い人ではないけど)後輩をいびる班長の財布を抜き取って、みんなで銭湯にいくマブリー。

・腕が太すぎて自分の傷が見えないマブリー。

・自白を拒む犯人にヘルメットを被せてボコるマブリー。

・目をかけている少年が売るパンを(マフィアの金で)大量に購入してあげるマブリー。

・自分より大きなマフィアの用心棒をパンチ一発でKOしてみせるマブリー。

・マフィアの店に立ち寄ったら進められるまま酒を飲んで寝てしまい、「黒竜組」の襲撃に気づかないマブリー。

・クライマックスで追い込んだチャン・チェン「一人か?」と聞かれて「まだ独身だ」と返すマブリー。

こんな彼の一挙手一投足を観ているだけで何故か多幸感に包まれるんですよねー。

キャラクターの背景は多くを語らない演出

本作の悪役チャン・チェンと二人の子分は、劇中でその背景がまったく語られません。
ただ、彼らは異常なほど金に執着している様子が描かれるだけなんですが、その描写で金への執着が彼らの出自と関係していることが、それとなく分かる演出をしていたり、彼ら朝鮮族に対する韓国内での立ち位置などもそれとなく描かれていたます。

また、(恐らく)チャン・チェンとは鏡像関係にある15歳の少年に対し、ソクト刑事が「お母さんを恨んでないのか」と問いかけ、少年は「お母さんにも人生があるから」と返す。特にこれ以外で少年の背景は一切語られていないんですが、15歳の少年が学校に行かず働いている理由を、このやりとりだけでそれとなく分かるように提示する演出も実に上手いなーと思いましたねー。

決して語りすぎず、描きすぎず、最低限の描写とセリフでそれとなくキャラクターの背景を匂わせるに留めるという演出は実に気が効いてるし、ソクト刑事がそんな彼をもっと幼いころから気にかけている事も、この短いセリフから伝わってくる。

そういうムダのない映画的描写が、やっぱ韓国映画は上手いと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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