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“青春映画”であり“暴力映画”「怪怪怪怪物!」(2017) *ネタバレ有り

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、台湾発の学園ホラー『怪怪怪怪物!』ですよー!

この作品、TSUTAYAに行く度パッケージやタイトルのインパクトが気にはなってたんですけど、「どうせB級ホラーなんだろう」とスルーしてきたんですよね。
ところが先日、よく観ているネット番組で紹介されていたので気になってレンタルしてきました。

で、この作品はネタバレしてもさほど面白さに影響がないと思うので、今回はネタバレを気にせず感想を書いていくつもりです。
なので、これからこの映画を観る予定の人やネタバレは絶対に嫌!って人は、先に映画を観てからこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

日本でリメイク版も製作された大ヒット青春映画「あの頃、君を追いかけた」を手がけた台湾の人気作家ギデンズ・コー監督、オリジナル脚本による学園ホラー。いつもクラスメイトにからかわれ、いじめられているリン・シューウェイはある日、問題を起こし、いじめっ子の3人とともに奉仕活動として独居老人の手伝いを命じられる。そして、手伝いのために訪れた老人宅でシューウェイたちは、夜中に2匹のモンスターと遭遇。モンスターを捕獲したシューウェイたちは、彼らなりの調査と実験をスタートさせ、友情を深めていく。しかし、次第にモンスターがシューウェイたちの手には負えない存在となり……。2017年・第30回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映作品。「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2018」(18年10月12日~/東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて開催)上映作品。(映画.comより引用)

感想

青春映画であり暴力映画

 

監督は自伝的ネット小説を自ら映画化して大ヒットした青春映画「あの頃、君を追いかけた」のギデンズ・コー。監督作品としては本作が2作目という新進気鋭の監督らしいです。

で、本作の感想を一言で言うと「超胸糞悪いイヤ~~~~な映画」(褒め言葉)でしたねー。

一応ジャンルとしては“ホラー”ですが、内容はどちらかというと“青春映画”であり、“暴力映画”でもあるって感じで、怖くはないんだけど、とにかく救いがないっていう久しぶりの胸糞映画でしたよ。(*´д`;)…

物語は、まず人を食う怪物の姉妹がいましてね。
彼女たちは姉妹仲がとても良くて、狩った獲物(浮浪者のおじさん)を美味しく頂いているときに、お姉ちゃんが妹に好物?の心臓をあげると妹は嬉しそうにムシャムシャ食べ、それをお姉ちゃんが優しく見守るっていう、ハートウォーミングなシーンからスタートするわけです。(まぁ、おじさんの呻き声がしばらく聞こえてたりしますけどw)

で、場面変わってある高校の教室。

給食費を盗んだ疑いで生徒の前に立たされている主人公リン・シューウェイ目掛けて、クラスメイトが紙くず?を投げつけているんですね。
横に立つ美人教師は、そんな彼らを止めるでもなく「先生には当てないで」なんて言う始末で、もう一発で主人公の置かれている状況が分かる非常に手際の良いシーンです。

もちろん、リンは無実で犯人はリンを犯人に仕立て上げ囃し立てるリーダーのドアンを始めとしたいじめっ子グループ。

彼らの常軌を逸したイジメを告発しようとリンはいじめられている様子をスマホで録音し、担任に証拠として突きつけるも担任教師は決していじめを認めず逆にリンを厄介者扱いし、リンとドアンたちに独居老人のアパートでのボランティアを命じるのです。

しかし、ドアンたちは老人たちに対してもヒドイ仕打ちを行い、それに加担するうちリンも徐々に楽しくなってきちゃうんですね。

で、そんな独居老人の一人がお宝を隠し持っているのでは?と思った彼らは、夜中に忍び込んで彼のアタッシュケースを盗み出すんですが、その時食事中の化物姉妹を発見。

驚いてアパートから逃げ出そうとする彼らを先回りして捕らえようと、道路に飛び降りた妹は、偶然通りかかった車に轢かれてしまいます。

で、ドアンたちは彼女をアジトに連れて行き、太陽の光が弱点だと知ると、鎖で縛り付けて「化物には何をしてもいい( ̄ー ̄)ニヤリ」とヒドイ拷問を始めるんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 彼らの化粧を見て、監督は望月峯太郎のファンなのかな?と思いました。

もう、この時点で(主人公を含む)登場キャラのあまりのクソっぷりにゲンナリですよ。(*´д`;)…

リンはといえば、一緒になって妹をいじめるわけですが、彼女が餓死しないよう自分の血を飲ませながら「僕は味方だから」なんて言ったり。
でも、具体的に彼女を助けるアクションは何も起こさないままで、妹への拷問はエスカレートしていくわけです。

そんなある日、リンをいじめた別のクラスメイトを怒ったドアンが病院送りに。
そのせいでクラスメイト親が怒鳴り込んでくるも、担任はドアンの父親が刑務所送りになっていることや、母親が体を売っていることなどを怒鳴り込んできた親に話し、ドアンに赤っ恥をかかせるんですね。

事前の“実験”で、化物の血が太陽に晒されると燃え上がることを知っていたドアンは、担任の水筒に妹の血を混入させます。
すると、その水を飲んだ担任はバスケの試合中に担任は太陽光で自然発火してしまうんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 燃え上がる担任をスマホで撮影する生徒たち。ダメだコイツら…

一方、突然妹がいなくなったお姉さんは悲しみにくれていたんですが、ある日“食事中”にたまたま(獲物の部屋で)観た担任の自然発火ニュースで、妹が高校に捕まってることを確信。しかし誰の仕業かまでは分からないのでその高校の制服を着ている生徒を次々に襲い始めます。

そして、ある晩スクールバスを襲ったお姉さんは、一緒に拷問に参加していたドアンのガールフレンドを含む生徒を全員皆殺しに。(このシーンでスイカジュースがトラウマになる人多数)

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画像出典元URL:http://eiga.com / MK5(マジで殺される5秒前)のガールフレンドは表情を変えずにスマホで怒りのお姉さんをパシャリ。狂ってる。

怒り狂ったドアンは、妹を囮にお姉さんをおびき出し、ガソリンで焼き殺すという復讐計画を立てるのだが――。

はい、ここからネタバレします。

タバレストーリー紹介

しかし、別のクラスメイトから自分を助けてくれたと思ったドアンが、実は自分の獲物(というかオモチャ)を勝手にいじめた事に腹を立てただけだったと知ったリンは、ドアンたちを裏切ってお姉さんに殺させるんですが、その後アジトに入ってきたお姉さんに殺されかけます。
しかし日の出を知らせるアラームを聞き、あらかじめ姉妹の脱出用にとネジを外しておいた板を外して太陽光を部屋に入れると、その光は鎖で縛られた妹を直撃。

お姉さんは自分を盾にしつつ、必死に妹の鎖を引きちぎろうとしますが、既のところで力足りず妹共々燃えてしまうんですね。

いじめっ子も死に、担任も死に、怪物姉妹も死に。これで一件落着かと思ったんですが続きがありまして。

結局いじめっ子がいなくなってもやっぱりいじめられるリン。
ある日、給食のスープを運んでいた彼は、そのスープに妹の血を混ぜてクラスメイトに飲ませ、自分も飲みます。

そして、教室から出て廊下を歩く彼の背後では悲鳴が起こり、彼はその声を聞きながらガッツポーズ。そして彼自身も燃えていく。というオチでしたとさ。

ね?うんざりするほど嫌な話でしょ?

そして、前述したようにこの映画が青春映画であり、暴力映画だと書いた理由も分かってもらえたと思います。

高校生という大人でも子供でもなく、むき出しの残酷さを持つ年代をメインキャラクターに暴力の連鎖を描く本作は、単に暴力を見せる映画ではなく、暴力について考える映画=暴力映画なのです。

同時に、このリンたちのクラスは世界の縮図として描かれていて、「終わらない暴力の輪の中に一度入ってしまえば決して抜け出すことは出来ず、この世界(社会)は強者が弱者を暴力で支配することで成り立っている」というギデンズ・コー監督のシニカルなメッセージが込められているのだと僕は感じましたねー。

そんな本作の中で2人、印象的なキャラクターが登場します。
教室の外(廊下)で授業を受けているいじめられ子の女の子と、主人公が買い物をする商店の知的障害を持つ男の子です。

この二人に対してリンは「僕はお前とは違う!」と言うんですね。
女の子に対しては序盤と最後に2回言うんですけど、序盤と最後ではその言葉の意味は180度変わっています。

本作でこの二人だけが、輪の外にいるキャラクターなのです。

序盤、心配して声をかける女の子に対し、リンは彼女をクラス=社会からはじき出された存在と考えていて、自分も彼女のようになるのを恐れている
商店の男の子に対しても同様に半分は同じ感情だけど、もう半分はそんな彼を羨んでさえいる。
そして最後、妹の血入りのスープを飲もうとした女の子から器を取り上げて捨てたリンが彼女に向かって言う「お前と僕は違う」は、暴力の連鎖で成り立つクソのような社会を見限る勇気が持てなかったリンの悔恨の言葉でもあり、その輪から抜け出した彼女への祝福の言葉でもあるわけですね。

まぁ、その後のクラスの燃え方を見ると、「これ、彼女も巻き込まれてね?」と思ったりするわけですがw

事ほど左様に、内容が内容だけに観る人を選ぶ映画だし、決して爽快な物語ではないんですが、個人的には(好きではないけど)中々見ごたえのある作品だなって思いましたねー。

興味のある方は是非!

 

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