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カメ止めを超えられるか「スペシャルアクターズ」(2019)

ぷらすです。

上田慎一郎監督の新作『スペシャルアクターズ』を観てきました!

奇跡の大ヒットで社会現象にもなった「カメラを止めるな!」からおよそ1年半。
果たして上田監督は「カメ止め」を超える作品は出来るんだろうか?と思いながら観たんですが、結論から言うと前作ほどの衝撃はなかった。けど、ちゃんと面白かったですねー!

というわけで、今回は劇場公開されたばかりの作品なので、出来るだけネタバレしないように気をつけて書きますが、これから本作を観に行く予定の人やネタバレは絶対にイヤ!という人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね?注意しましたよ?

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概要

『カメラを止めるな!』がインディーズ映画としては空前のヒットを記録した上田慎一郎監督作。ある秘密を持つ売れない役者が、カルト集団と闘おうとする。上田監督が脚本、編集、宣伝プロデューサーを兼任。松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第7弾で、オーディションで選ばれた俳優たちが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

「カメ止め」という重圧

上田慎一郎監督の前作「カメラを止めるな!」は、製作費約たった300万円のインディーズ映画ながらネットを中心にクチコミで話題になり、最終的には興行収入31.2億円の大ヒット作を記録し社会現象にもなりました。

その事で映画監督上田慎一郎の名前は広く世に知られたわけですが、それだけに、多くのファンは「果たして監督はこれ以上の作品を作れるのか」と思ったし、上田監督自身のプレッシャーも想像を絶するものだったようです。

それはそうですよね。
“あの”「カメ止め」の監督最新作となればコッチだって当然期待してしまうし、逆にあれだけの話題作の後だけに、意地悪な目で見ている人も納得させるだけの作品にしなければと、監督だって思うハズですしね。

そんなプレッシャーの中、本作は「作家主義」×「俳優発掘」を揚げ、13年に始動した「松竹ブロードキャスティングオリジナル映画プロジェクト」の第7弾として制作。

ストーリーは、緊張が極限に達すると気絶してしまう主人公・和人が、演技でトラブルを解決する“何でも屋稼業”を務める俳優事務所「スペシャル・アクターズ」に所属することになり、そこで旅館乗っ取りをもくろむカルト集団と対決するという、いわゆる“ケイパーもの”系の作品です。

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前作とは趣向が違うものの、オーディションで選んだ無名俳優とワークショップを行い、役者本人に当て書きした脚本であること、“ある種”のバックステージもの(映画や演劇の舞台裏を物語)という設定であるのは前作と共通しています。

つまり、上田監督は大きなプレッシャーのかかる中、敢えて自分が最も得意で面白いと思うやり方や作劇で勝負に出たわけですね。

 監督の持ち味が存分に活かされた作品

個人的に上田監督最大の持ち味は、何と言ってもストーリーテリングの上手さだと思っています。
前作「カメ止め」でも、ワークショップを行いながら役者本人の性格や個性を見て“当て書き”することで一度観たら忘れないアクの強いキャラクターを生み出し、そんなキャラクター同士が劇中に起こす掛け合いや摩擦によって、物語は熱を帯びていく。

また、基本的にはセリフ劇でありながら、物語で本当に大事なところはセリフに頼らず映像で語るストーリーテリング映画を分かっている人だなーという印象でした。

さらに、インディー映画故の粗さすらも、観客を「あっ」っと驚かせる仕掛けとして利用するクレイバーさは見事という他なかったです。

それは本作も同じで、主役の和人を始めとしたメインキャラクターたちは、キャラ名は覚えられなくても、1度観たらキャラクターや顔は覚えてしまうアクの強さで、キャラクターの多い作品にありがちな「コイツ誰だっけ?」はありません。

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また、基本はコメディーですが、和人と仲間たちがカルト教団に潜入してインチキの証拠を掴むという構成は和人の“緊張すると気絶する”という個性を活かしつつ、バレるかバレないかというサスペンスも生んでいるので、最後まで飽きることなく楽しむことが出来ましたねー。

しかし「カメ止め」超えはならず

とはいえ、残念ながら「カメ止め」を超えるほどのインパクトはなく、個人的には普通に面白い秀作といった感じ。

それは2作目ということで、上田監督のクセというか手口に、こっちが慣れた部分もあると思うし、どんでん返しに次ぐどんでん返しという話運びもちょっと強引さが目立ってしまった感じがしたんですよね。

観客に“そう思わせる”こと自体がラストのある展開への伏線にもなってるんですが、個人的には、劇中でどんでん返し→ネタばらしが複数回あることでラストのインパクトが弱まってしまっているかなと。

ケイパーもの(相手を策略にハメるストーリー)の醍醐味は、いよいよ窮地に陥ったかに見えた主人公チームが、最後の一手で全てをひっくり返して大逆転するカタルシスですからねー。

あと、あのラスト自体も評価が分かれるポイントかと思ったりしました。
あれだと、物語を通して成長した主人公が、最初に逆戻りしたように見えなくもないですから。

それと個人的に主人公が大好きなヒーローやカルト教団などの細々したディテールも、もっと詰めて欲しかったです。
この2つは物語にとって重要な要素なので、和人が本当に憧れそう&こんな教団本当にありそうって観客が思えないと、映画が一気に安っぽくなってしまうんですよね。

とはいえ作劇の志も高いし、邦画としてはストーリーテリングのレベルも非常に高くてコメディとしても十分に面白いエンタメになっていたので、本作で上田監督の実力は十分に証明出来た作品だと思いますよ!

興味のある方は是非!!

 

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