ぷらすです。
今回ご紹介するのは昨年公開の話題作『翔んで埼玉』ですよー!
「パタリロ」の原作者である魔夜峰央先生が、1982~83年に花とゆめで連載していたマンガが、何故か36年越しに実写映画化。
「なんで今頃!?」と思ったし、正直観る気もなかったんですがね。
先日友人が「一緒に観ようぜ!」って言ってくれたので観ることにしました。
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
人気コミック「パタリロ!」の作者である魔夜峰央の人気漫画を実写映画化。埼玉県民が東京都民から虐げられている架空の世界を舞台に、東京都知事の息子と埼玉出身の転校生の県境を超えたラブストーリーが展開する。『ヒミズ』『私の男』などの二階堂ふみと『カーラヌカン』で主要人物を演じたミュージシャンのGACKTが主演を務める。『テルマエ・ロマエ』シリーズなどの武内英樹がメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)
感想
なぜ、2018年の今なのか
本作が連載されてた1982年~83年といえば日本はバブル前夜。
まぁ好景気に老いも若いきも浮かれていた時代でしてね。
で、タモリさんがデビューしたのもこの頃で、当時DJをしていたオールナイトニッポンのコーナーで“さいたまんぞう”が歌う「なぜか埼玉」という曲を取り上げたのが始まり。さらに、当時原宿で流行した奇抜な衣装で踊る竹の子族ってのがいましてね。
その衣装が奇抜で垢抜けない。タモリさんはそれを「ダサい」と評し、しかも踊っている若者の多くが埼玉や千葉の子だったことから、「笑っていいとも」で「ダ埼玉」という言葉を頻繁に使って、それが流行語になっていったんだそうです。(Wikipediaより)
で、そこから派生して、千葉と茨城を合体させた“チバラギ”なんかの流行語も生まれたりして、ある種の“地方イジリ”が流行ったわけですね。
今にして思えば結構ヒドイなーと思いますが、当時はそういうのもギャグとしてある程度は許容される空気があったんですよね。ほら、みんな浮かれてたし。
で、そこに目をつけたのが当時「パタリロ!」の大ヒットで売れに売れていた、自身も埼玉在住の魔夜峰央先生で、東京と埼玉を始めとした近隣県の格差を極端なデフォルメで描いた、本作の同名マンガが生まれたんですね。
しかし、それから30年以上も経った今になって、なぜこの「翔んで埼玉」が実写映画化されたのかといえば、テレビなどでご当地自慢やご当地対決(特に関東県)的な番組が制作されて人気なのが要因なんでしょうね。
80年代から時代が一周して、地方イジリや自虐ネタすらも、ある種の「ご当地自慢」として許容されるようになった事が、本作の制作に繋がったんだと思います。
マンガの世界観を完全再現
で、友人と本作を観た感想を一言で言うなら「ナメてた映画が想像以上に面白かった」って感じでしょうか。
成功の大きな要因は、徹底的にやりきってる感。
本作では、二階堂ふみが男装して美少年壇ノ浦百美を、そんな彼が恋してしまう美青年麻実麗をリアル2.5次元アーティストのGACKTを配することで、荒唐無稽を通り越して、もはや素っ頓狂とも言える本作の世界観にある種の説得力を持たせています。
画像出典元URL:http://eiga.com / GACKTを主役にキャスティングした時点でこの映画は“勝ち”なのです。
中世ヨーロッパの貴族みたいなあのギラギラな衣装や髪型も、同性愛(というか耽美)も、デフォルメにデフォルメを重ねた突拍子のない世界観も、全てを飲み込んでアリにしてしまう存在感がGACKTにはあるんですよねw
そんなGACKTの存在感を下支えしているのが、二階堂ふみ、中尾彬、京本政樹、伊勢谷友介、麿赤兒などGACKTに負けないクセの強さと確かな実力を併せ持つキャストの面々。
画像出典元URL:http://eiga.com / 伊勢谷友介のアクの強さは、こういう映画にはハマるんですよね
そんな彼らが、ある意味で異世界とも言える“カントウ”を舞台に大暴れし、その中にあるあるや、地方人抱える東京へのコンプレックスや反発心といった、普遍的な“ご当地マインド”を入れ込み現実との架橋にすることで、ファンタジーとして楽しめるけれど完全な他人事にはならないバランスを取っているんですよね。
そこは「テルマエロマエ」の武内英樹監督だけあって、見事なバランス感覚で原作の世界観を忠実に再現しつつ、未完に終わった原作に+αして、日本のエンターテイメント作品としてのカタルシスを持たせているのです。
あと、東京の会場に結納に向かう一家が、ラジオの都市伝説としてこの物語を聞いている(=ツッコミ役になっている)という作劇も上手いなって思いました。
とはいえ
とはいえ、基本物語は埼玉、千葉、茨城、群馬など関東県に集約されているので、それ以外の地域の人がどのくらい本作に乗れたのかな?という疑問は残るというか。
もちろん各県のライバル関係みたいなものはテレビで観ているから、知識としてはある程度分かってるつもりですが、関東圏の人ほど実感を持って楽しめるかと言うと(´ε`;)ウーン…と思ったり。
特に僕みたいに北海道の人間は、本州とは津軽海峡で物理的に分断されてますからね。いわゆる隣県とのライバル関係みたいのは、感覚的にピンとこないんですよね。
なので「物語」としては楽しめるけど、感覚的な部分は登場キャラクターと共有出来てないのかもって思ったりしました。
まぁ、そもそも「ご当地映画」ってそういうものなんでしょうけども。
あとはエンディング曲ですよね。
なぜ、“はなわ”なのかと。
いや、調べるてみると生まれは埼玉らしいですが、一般的には彼って佐賀県のイメージの方が強いですしね。
最後の最後があの歌で良かったのかな?って感じもあったりなかったり。
埼玉出身の有名アーティストは他にもいっぱいいるんだし、そういう人に頼んでスカっとカッコイイ曲で締めてもよかったんじゃないかな?って思ったりしましたねー。
興味のある方は是非!!
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