ぷらすです。
今回ご紹介するのは、7年前にファンのカンパで制作されたSF映画「アイアン・スカイ」の続編、『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』ですよー!
続編の情報を聞いてから心待ちにしてた作品ですが、ついにレンタルが開始されたので早速借りてきましたー!(僕の地元では上映されなかったから)
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
月の裏側に潜伏していたナチスの残党が地球を侵略するSFアクションの続編。月面ナチスの地球侵略から30年後を舞台に、ナチスの月面基地で生き延びていた人類の姿が描かれる。前作に続きティモ・ヴオレンソラ監督がメガホンを取り、本作も資金をクラウドファンディングで調達。ララ・ロッシが主演を務め、ユリア・ディーツェとウド・キアが再び出演している。(シネマトゥディより引用)
感想
衝撃の前作から7年まさかの続編!?
本作は、フィンランドの映画監督ティモ・ヴオレンソラが制作した、“月の裏側に逃げ延びたナチの残党が地球に攻めて来る”というトンデモ映画「アイアン・スカイ」の続編として、前作同様クラウドファンディング&フィンランド映画財団とメディアボード・ベルリン=ブランデンブルクから提供された資金合わせて100万ドル以上の製作費で制作されました。
ヴオレンソラ監督は生粋のボンクラオタクで、2005年に公開したSFアクションコメディ自主映画「スターレック 皇帝の侵略」(スタートレックじゃないですよw)が国内外のボンクラ映画ファンに高い評価を得たんですね。
「スターレック」で一躍注目を浴びた監督は前作の制作を発表。クラウドファンディングで制作費を募って前作を完成させます。
当時はまだ珍しかったクラウドファンディングの成功例として、前作は大変話題となったんですね。
で、僕も前作をDVDで観たわけですが、第二次世界大戦で敗れたナチスが、ロケットで逃げ延びた月の裏側で文明を作り上げていたっていう、都市伝説を元ネタに物語を膨らませた悪乗り全開のB級SFコメディーで、まぁ内容はハチャメチャでしたw
なんですが、監督自身がかなりのSFオタクということもあり、何気にSFオタクのツボを抑えた映像や展開。振り切ったバカバカしさ。そして、SF映画への情熱が画面から溢れるカルト的な作品として、(僕を含む)ボンクラ映画オタクのハートをガッチリとキャッチしてしまったのです。
それから7年、まさかの続編が作られるという情報を耳にし、しかも今回はヒトラーを始めとした古今東西歴史上の“支配者”たちと人類が戦うっていうじゃないですか!
いちボンクラ映画ファンとして、これは絶対に見逃せません!…よね?
フィンランド版「Fate」
そんなわけで本作がどんな映画かというとですね。
前作のあと起きた核戦争によって人類はほぼ絶滅。
地球は放射能によって生物が住めない死の惑星になって30年が経っています。
僅かに残った人類は、かつて月面ナチの子孫で前作のヒロイン、レナーテ・リヒター(ユリア・ディーツェ)をリーダーに月面のナチ基地に逃げ延びるも、資源不足や老朽化によってジリ貧状態。しかもレナーテも病にかかり、今は主人公でレナーテの娘オビ・ワシントン(ララ・ロッシ)が一人で基地のメンテナンスを行っているありさま。
さらに、生き残った人類の中でも貧富の差があり、一部の富裕層の間ではスティーブ・ジョブスを崇める「ジョブズ教」なる宗教まで登場するんですね。(もちろん聖典はiPhoneアプリ)
そんなある日、青年サーシャ(ウラジミール・ブルラコフ)を始め地球で僅かに生き残っていたロシアの人々を乗せた宇宙船が月面基地にやってきます。
サーシャは廃品を継ぎ合せて、宇宙船を自作したというんですね。
その中に前作のラスボスで、死んだはずの月面ナチ総統のコーツフライシュ(アドルフ・ヒトラーと二役 : ウド・キア)も乗り込んでいて――というストーリー。
なんと今回は「地球空洞説」を元に、ヒトラーを始めとした古今東西の“支配者”たちが、実は恐竜時代にやってきたレプタリアン・ヴリル族という宇宙人で、今も地球の空洞「ロストワールド」に暮らし、しかも人類を造ったのは彼らだった――。という前作以上のトンデモ設定。
画像出典元URL:http://eiga.com / ロストワールドで食事する“独裁者”たち。ダビンチの「最後の晩餐」をしれっとオマージュ。
また“支配者”の面々というのがヒトラー、スターリン、カリギュラ、ローマ法王、ビンラディン、ジンギス・ハン、毛沢東、金正恩、サッチャー、ジョブズ、ザッカーバーグなど、まさに新旧オールスター勢ぞろいのアベンジャーズ状態なんですよねーw
オビたちは月面基地の人類を救うため、彼らの命の源である超エネルギー、ヴリル・ヤーの入った「聖杯」を手に入れるべく、ヒトラーが支配するロストワールドに決死の潜入作戦を決行する――という物語なのです。
つまり「聖杯戦争」ですよw
画像出典元URL:http://eiga.com / ヒトラーはTレックスに乗って登場。
前作ヒロイン、レナーテや娘であるオビやその仲間たち人類が、恐竜を操るヒトラーと戦い、歴代の“支配者”たちと聖杯をめぐってチェイスするのは観ていて単純に面白いし、ストーリーや映像も前作よりずっとまとまっているのでかなり観やすくなっていました。
画像出典元URL:http://eiga.com / 「聖杯」を巡り鉄の女サッチャーと古代ローマの戦車でチェイス
ただ、その分、全体的に前作のハチャメチャ感は影を潜め、小さくまとまってしまっててる感じは否めないかも。(まぁ、続編だから仕方ないかもですが)
いや、もちろん自主制作映画としてはとんでもないクオリティーですけどね。
あと、折角沢山登場している歴史上の“支配者”たちがただの出オチ要員で、物語的にほとんど活かされていないのも残念でしたねー。
とはいえ、約90分の短い映画ながら盛りだくさんだし、そもそも、原題である「The Coming Race」は、エドワード・ブルワー=リットンの同名小説「The Coming Race/来るべき種族」からの引用(“ヴリル・ヤー”も同作からの引用)で、設定も明らかにこの小説を元にしているし、詳しくは分かりませんがアーリア人地球外起源説なんてのもあるらしく、それらが本作のヒントになっているのは間違いないようです。
一見、ただのバカ映画に見えるけど、SF要素がふんだんに盛り込まれてるので、オカルトやSF関係に詳しい人なら思わずニヤリとしてしまうかもだし、もちろんそんなの知らなくても普通に楽しめます。
この年末年始、前作と合わせて、友達とワイワイ観るにはうってつけの作品なんじゃないでしょうか。
興味のある方は是非!!
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