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ハリウッド版・下町ロケット「フォードvsフェラーリ」(2020)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、マット・デイモンクリスチャン・ベールの2大スターが共演するレース映画『フォードvsフェラーリ』ですよー!

僕はそれほど車やカーレースに詳しくもないし興味もないので「今回はスルーかなー」と思ったんですが、本作を観た人に勧められて劇場に行ってきたら、これが超面白かったんですよねー!

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概要

1966年のル・マン24時間レースをめぐる実話を映画化した伝記ドラマ。フォード・モーター社からル・マンでの勝利を命じられた男たちが、王者フェラーリを打ち負かすため、意地とプライドを懸けた闘いに挑む。エンジニアを『オデッセイ』などのマット・デイモン、レーサーを『ザ・ファイター』などのクリスチャン・ベイルが演じる。『LOGAN/ローガン』などのジェームズ・マンゴールドがメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

タイトルに偽りあり

本作は、1966年の「ル・マン24時間耐久レース」で、当時、絶対王者フェラーリを、大衆車を専門にしていた米国の巨大自動車メーカー・フォードが破るという史実を基にした作品。

そんな奇跡とも言える勝利の立役者であるキャロル・シェルビーケン・マイルズの2人を軸に物語は進んでいくんですね。

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で、本作のタイトル「フォードvsフェラーリ」ですが、実はこのタイトル、まぁ、嘘ではないけれど物語の本質とは大きくかけ離れています。

本作で描かれるのは肥大化し風通しの悪くなった巨大組織フォードの中で孤軍奮闘するシェルビー とマイルズを始めとしたチーム。いわば本作は「組織vsクリエイター」もっといえば「組織vs個人」の物語なのです。

つまり、ハリウッド版「下町ロケットなんですねー。

ざっくりストーリー紹介

1959年のル・マン24時間レースで優勝の栄光に輝いた米国人レーサー・キャロル・シェルビー (マット・デイモン)は、心臓病のためレーサー引退を余儀なくされ「シェルビー・アメリカン」という会社を設立。自らもセールスマンとして自社の車を売り込む日々。

一方、第二次世界大戦終結後イギリス軍を除隊し、家族とともにアメリカへ移住して自動車整備工場を経営しながらレースに参戦していたケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)でしたが、レーサーの彼が整備した車は一般人には扱いづらく苦しい経営が続いていたんですね。

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そんなある日、あるレースで出会った2人は、会話の流れからケンカに。
しかし、マイルズがレースで見せた天才的なドライビングテクニックにシェルビーは目を奪われるのです。

1963年、ヘンリー・フォード二世率いる米国巨大自動車メーカーのフォード・モーターは、倒産したフェラーリ買収に乗り出しますが、フェラーリ会長に「醜い工場で醜い車を作ってろ」「ヘンリー二世は所詮二世。偉大な祖父には遠く及ばない」と言われ、買収も失敗。

これに怒ったヘンリー二世は、「社の総力をあげて1964年のル・マンフェラーリを打ち負かせ!」と厳命。
そして、そのチームリーダーにレーサー経験がありフォードとも関係の深いシェルビーが選ばれ、シェルビーはマイルズをドライバーとしてスカウトし――。という物語。

しかし、肥大化し風通しの悪い大企業の中、2人は重役連中から様々な横槍を入れられて思うようにマシン開発が出来ない。
それでも、手練手管を使いマシンを仕上げていくシェルビーと、天才的なドライビングテクニックで結果を上げていくマイルズによって、開発されたレーシングカーGT40はついに絶対王者フェラーリを脅かすまでになっていくわけですね。

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組織vs個人

つまり、本作におけるフェラーリは、レース界で2人が挑む高い壁ではあるけど、物語上のライバル関係ですらなく、本作の実質的な敵は様々な横槍を入れてくるフォード社の重役たち=組織なのです。

特に、いつもニヤニヤ笑いで2人の邪魔をする上級副社長のレオ・ビーブジョシュ・ルーカス)には、ほんっっっっっっとにイライラさせられましたよ!ww

で、この組織vsクリエイターという関係性は、そのまま映画界を始め、あらゆるクリエイトの現場に当てはまるし、もっと言えば組織の中で奮闘する個人、個人を歯車のように使い捨てる組織という対立構造は、資本主義国家アメリカが抱える根本的な問題であり、また、多かれ少なかれ世界中の誰にでも当てはまる図式で、だから本作を観た人はシェルビーとマイルズに感情移入せずにはいられないんですよね。

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大迫力のレースシーン

そんな本作ですが、決して重く、暗くならないのは、シェルビーとマイルズを始めとしたクルーたちによるモノづくりを丹念に描いているから。
トライアンドエラーを繰り返しながら、レーシングカーが出来上がっていく様子は、単純にワクワクしてしまうし、そのマシーンに乗ってマイルズが勝利するシーンは映画的なカタルシスに溢れています。

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また、クライマックスのル・マン24時間耐久レースのシーンは、極力CGを使わず当時の実車をレース場で走らせて撮影してるだけあって圧倒的な大迫力。

車がカーブに差し掛かれば、観ているこっちの体も自然に傾くし、アクセルを踏んで加速するシーンやブレーキをかけるシーンでは、何もない映画館の床を踏みしめてしまいましたよw

車やレースに詳しい人からは、レースシーン(のクリスチャン・ベールの演技や操作)にリアリティがないという意見も見かけましたけど、まぁ、そこは劇映画として盛り上げなきゃだし、致し方ないのではないかと思いましたねー。

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また、実話ベースゆえに、誰もがスッキリする単純なハッピーエンドにはなっていなくて、そこはある意味で本作最大のモヤモヤポイントではあるんですが、「史実」という制約の中で一応の落としどころは作っていて、そのほろ苦い後味が本作の格を1段階引き上げていると思ったし、それは同時に組織の理論に個人の尊厳が奪われている現代社会に対して「本当にこのままでいいのか?」という問いかけでもあるのだと思いました。

興味のある方は是非!!!

 

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