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楽しみ方が分からない…「アド・アストラ」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのはブラピことブラッド・ピット主演のSF映画アド・アストラ』ですよー!
……なんですけど、(´ε`;)ウーン…どうしよう。
正直に言うとドコをどう面白がれば良いいのか分からなかったです。
なんでしょうね?僕のSFリテラシーが低すぎるからなのか、はたまた教養が低すぎるのか。はたまた……(´ε`;)ウーン…

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概要

ブラッド・ピットトミー・リー・ジョーンズが共演したスペースアドベンチャー。地球外知的生命体を探求する父親に憧れて宇宙飛行士になった息子が、父の謎を探る。『エヴァの告白』などのジェームズ・グレイが監督を務め、『ラビング 愛という名前のふたり』などのルース・ネッガをはじめ、リヴ・タイラードナルド・サザーランドらが出演。(シネマトゥディより引用)

感想

ざっくりストーリー紹介

まず、本作のストーリーをざっくりと紹介すると、近未来、地球外知的生命体探索に人生をかけた英雄クリフォードトミー・リー・ジョーンズ)を父に持つロイ・マクブライドブラッド・ピット)は、自らも宇宙飛行士の道を歩んでいるんですね。

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何事にも動じないメンタルを持つ彼は、遥か大気圏外まで伸びる超巨大な国際宇宙アンテナでの作業中にサージ(電磁嵐)が直撃し、地上に落下する時も冷静に対処し最善を尽くして生き延びます。

その後、アメリカ宇宙軍の基地に呼び出された彼は、そこで驚くべき極秘情報を告げられます。
太陽系外知的生命体探求を目指す、“リマ計画”の責任者として約30年前に宇宙へ探索に出発して16年後に消息を絶ったことで死んだと思われた、父がどうやら生きていて、サージは海王星付近にある彼の乗るリマ号から発生したらしい事。
サージは太陽系の全生命を滅ぼしかねない事。
宇宙軍が交信を試みるも、クリフォードは反応しない事。

そこで息子のロイに、サージの影響を受けない火星地下の基地から父に通信を試みよという極秘命令を与えられるのだが――というのが本作のストーリー。

物語の骨格は古代ギリシア叙事詩オデュッセイア」、映画のルックやストーリーには「2001年宇宙の旅」と「地獄の黙示録」の影響が色濃く出ていると感じました。

ロイは英雄である父を尊敬する一方で、家庭を顧みず仕事に熱中し、挙句16年も音信不通だった父が原因で心に大きな傷を負ったキャラクター。
彼の何事にも動じないメンタルは、実は他人に対して完全に心を閉ざしている事の裏返しなのです。

それはまさに、父クリフォードの教えでもあり、彼は父の生き様をなぞる様にここまで生きてきたんですね。そんな彼に耐えられず奥さんは家を出て行ってしまったんですよね。

本作は、そんなロイが月から火星、そして冥王星へと父の足跡を追うという物語なのです。

物語と関係なく無駄死にする人々

映画冒頭、国際宇宙アンテナを襲ったサージによって、共に高所作業をしていた同僚や、サージの影響で命を落とした何千人もの人々を皮切りに、本作では物語の本筋と関係なく登場キャラクターが次々に無駄死にしていきます。

月面基地では、ロイを火星行きの資源輸送ロケットまで護衛していた宇宙軍の人々が、資源を巡って敵対する盗賊の襲撃で殺され、盗賊たちはロイに返り討ちにされます。

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その輸送ロケットは火星に向かう道すがら救難信号をキャッチ。
動物実験を行う宇宙船?に救助に向かうんですが、輸送ロケットの船長が逃げ出した実験動物の狒々に襲われ死亡。

火星で父親との交信に成功したロイですが、宇宙軍は親子であることを理由にロイを計画から外し、輸送ロケットに核爆弾を乗せて冥王星に向かわせようとするんですね。
火星基地司令官の協力で、軍の命令を無視して輸送ロケットに乗り込もうとするロイですが、軍から殺害命令が下されため、ロイは乗組員と格闘に。結果的に乗組員(3人)全員が死亡します。

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ただ、この人たちの死と、物語の本筋(ロイが父を探す旅)はまったくリンクしてないし、その死自体に意味はないので、本当にただの無駄死になんですよ。

そもそも「サージ」って何よ

で、ロイが43億キロも旅をするキッカケとなったサージ(電磁嵐)ですが、本作ではそれが起こった理屈もどんな影響があるのかもセリフで語られるだけで、具体的なことはよく分かりません。
サージはどうやら、冥王星付近に停泊中の父親が乗っているリマ号から発射?されているらしい事。そしてこのサージは太陽系の星々に暮らす人類や動植物を全滅させる可能性があることは分かるんですが、そもそもこのサージが何なのか、一艘の宇宙船から発射?されているサージになぜそんな威力があるのか、サージがもし武器なのだとしたらなぜそんな武器が必要だったのかについては、最後まで分からないままなのです。

もっと言えば、そのサージによって太陽系の生物が全滅しかねない差し迫った状況にも関わらず、宇宙軍はわざわざ地球にいる息子を何週間もかけて連れてきているわけで、そんな暇があるなら、すぐに作戦部隊を結成し、核爆弾を積んだロケットで火星から冥王星に向かうべきなのでは?と思うんですよね。サージがあるから近づけないってことなのかな?

結局、登場キャラの無駄死にと、このサージの謎(というか飲み込めない部分)がノイズになり、観ていても内容が頭に入ってこないんですよね。

父殺しの物語

物語の定形の一つに「父殺し」というのがあります。
これは本当に父親を殺すということではなく、主人公が父親を乗り越えることで一人前になる=成長するという意味ですが、本作の核となるのはまさにソレなんですね。

主人公ロイが、父親の足跡をなぞった長い旅路の末に父親とは別の答えを見つける=父親のかけた呪いからの開放と成長が、本作のテーマなのだと思うんです。

要はアイデンティティの確立のための自分探しの物語で、そんな極めてパーソナルな話を、宇宙(太陽系)を舞台に描くという、スケールが大きいんだか小さいんだかよく分からない物語なんですよねー。

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結果、ロイの行動によって一応太陽系の滅亡は防がれたわけですが、それはあくまでサブストーリーに過ぎず、メインはロイの成長っていう非常に内面的で小さな物語でしかない。
大予算を掛けているので映像は綺麗だし宇宙やロケット、無重力などの描写は確かに凄いんだけど、舞台のスケールに物語のスケールが見合っていないので何だか迫っ苦しい物語になっているし、緩急や山谷もないので非常に退屈な物語になってると思うんですよね。ブラピの演技が良いから何とか観てられたけど、僕にはまったく合わなかったです。

父クリフォードが(多分2000年以降の)アメリカのメタファーになってるのでは?というレビューも読んだし、それは当たっていると思うんだけど、そんなのニューシネマで40年以上も前にやった事を今更やられてもっていう。

ただ、ネットをチェックすると絶賛しているレビューも結構あるので、見る人がみれば面白いのかもしれませんねー。

興味のある方は是非。

 

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