ぷらすです。
今回ご紹介するのは「天元突破グレンラガン」シリーズやアニメ「キルラキル」の今石洋之監督と脚本の中島かずきが再びタッグを組んだ劇場版アニメ『プロメア』ですよー!
この作品、劇場オリジナルアニメなんですが、なんだか「TVアニメの総集編みたい」でしたねー。
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
『天元突破グレンラガン』シリーズやアニメ「キルラキル」の今石洋之監督と脚本の中島かずきが再び組んだ劇場版アニメ。炎を自在に操る集団によって危機に陥った世界を舞台に、主人公と宿敵の戦いが描かれる。ボイスキャストは『聖の青春』などの松山ケンイチ、『BLEACH』などの早乙女太一、ドラマ「半沢直樹」などの堺雅人のほか、声優の佐倉綾音、吉野裕行、小山力也、小清水亜美ら。(シネマトゥデイより引用)
感想
今石洋之と中島かずき
本作で監督を務めたのは「天元突破グレンラガン」「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」などで知られる今石洋之。
ガイナックスから退社後、大塚雅彦・舛本和也と共にアニメスタジオ「TRIGGER」を設立。「キルラキル」などの人気アニメーションを世に送り出しています。
そんな今石と組んで「天元突破グレンラガン」で脚本を担当したのが、劇団☆新感線の座付き作家としても知られる中島かずき。
その後、「TRIGGER」を設立した今石と再びタッグを組んだTVアニメ「キルラキル」や、「コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜THE LAST SONG」「ニンジャバットマン」など、数々のアニメ作品で脚本を担当してるんですね。
で、そんな二人が「~グレンラガン」「キルラキル」に続き三度タッグを組んだのが本作「プロメア」なのです。
ざっくりストーリー紹介
炎を操る新人類バーニッシュの出現に端を発する惑星規模の発火現象、「世界大炎上」で人口の半分が焼失してから30年が過ぎた世界。
炎上テロを繰り返す過激派バーニッシュの集団“マッドバーニッシュ”に対抗すべく、対バーニッシュ用装備を扱う“高機動救命消防隊バーニングレスキュー”が消火活動を行っていた。
そんなある日、新米隊員ガロ・ティモス(松山ケンイチ)は、火災現場でマッドバーニッシュの首魁である少年リオ・フォーティア(早乙女太一)と出会い――というストーリー。
最初は敵同士の二人でしたが、後半でガロがある真実を知ったことで二人は力を合わせ、真の敵に立ち向かうという、まぁ王道の展開なんですが、観た感想を一言で言うなら、(オリジナル長編のハズなのに)「TVアニメの総集編みたい」だと思いました。
物語のスケール感がおかしい
なぜそう思うかというと、物語のスケールがそもそも2時間弱に収まる分量ではないからです。
映画冒頭のアバンで、セリフやナレーションを一切入れずにアニメーションだけで“事の始まり”を見せていく編集には「お!?」と期待したんですが、始まってみればいつものTRIGGER作品で、炎上テロを繰り返す過激派バーニッシュの集団“マッドバーニッシュ”のボス・リオと対バーニッシュ用装備を扱う“高機動救命消防隊バーニングレスキューの新米隊員ガロの戦い。
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ここまでは両者入り乱れてのチーム戦で、まぁいい感じではあるんですが、マッドバーニッシュがガロに逮捕され、バーニングレスキューの手柄を横取りするように対バーニング特殊部隊「フリーズフォース」が現れて横暴な振る舞いをする。
この時点で、観ている人の殆どは“真の敵”の存在を確信するはず。
で、実際その通りの展開になるし、ラスボスも登場した瞬間に大抵の人は「コイツがラスボスだろ」って気づくと思うんですが、やっぱりその通りの展開になっていくんですよね。
つまり、本作はTVアニメ1~2クール分(6~12時間分くらい?)のスケールの物語を無理やり2時間弱にギュッと詰め込んじゃってるんですね。
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だからストーリーの起承転結を追いかけるだけで精一杯。
時間的にキャラクターの魅力や個性や関係性を描く余裕はなくなってしまう。
ところが、TRIGGER……というか今石・中島作品の魅力ってキャラクターの魅力や関係性で物語を引っ張る構成ですからね。
本作では、その一番の魅力を切り捨ててるわけですよ。
さらに、炎を使うバーニッシュたちの扱いはまんま「X-MEN」のミュータント。
X-MENのミュータントって、要は人種的マイノリティーのメタファーですからね。
そういうキャラを出すってことは、当然人種差別というテーマが物語の中心になるハズで、実際、本作でも“バーニッシュ”に対して差別的な描写や“フリーズフォース”のバーニッシュに対するホロコーストっぽい描写もあるにはあるんですが、そこに平行宇宙がどーのこーのとか、地球の危機がどーのこうーのみたいなつじつま合わせの設定をぶち込むだから話の軸がブレてしまう。
あのラストには正直、「はぁ?」って思いましたよ。
「X-MEN」かと思って観てたら「ウォッチメン」でしたみたいな。
そんな感じで、最終的には「グレンラガン」や「キルラキル」と一緒で、ロジックも何もなく根性と魂ですべてが解決するに至って、もう全てがどうでも良くなってしまうんですよね。
それでも「グレンラガン」や「キルラキル」はTVアニメとして2クール分の積み重ねた分、観客はキャラクターに思い入れがあるけど、本作はそれもないですしね。
アクションシーン
とはいえ、本作はアクションシーンが見せ場のアニメ。
アクションシーンさえカッコよければそれで万事OKなハズ。
で、どうだったかと言えば、無駄にカラフルでポップ、溶岩や炎のカリカチュアされた絵面も相まって、何かもう画面がうるさい。
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しかも、キャラやカメラポジションが動きまくる3D描写や「金田フォロワー」今石監督の演出も相まって、どこに何がいてどう動いてるかがさっぱり分からないし、一つ一つの動きに溜めがなく、すごいスピードで絶えず動いてるので、全体的に何してるのかよく分からないんですよね。
お前はマイケル・ベイか!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッっていうw
足し算の作劇、引き算の作劇
今石・中島コンビの魅力と言えば、足し算に次ぐ足し算で過剰に盛った作風だと思うんですが、それはあくまで尺の長いTVアニメだから活きるわけで。
やっぱ劇場アニメ、しかもオリジナル作品の場合は何を活かして何を捨てるかっていう引き算でストーリーを作っていく事は必須だと思うし、それが出来てなかったのが本作の失敗だったのではないかと思いましたねー。
いや、ネットを見ると絶賛評も結構見かけたので、もしかしたら僕がオッサンだから新しいアニメの形についていけてないだけかもだし、もしくは単純に好みの問題かもですね。
興味のある方は是非!
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