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MCUドラマ「ムーンナイト」ネタバレあらすじ紹介&解説&考察 第一夜

ぷらすです。

今回は、2022年3月30日から放送を開始、5月4日に最終回を迎えたばかりのマーベルドラマ『ムーンナイト』全6話のあらすじを6回に分けてご紹介&解説や考察していこうと思います。

主演はオスカー・アイザックヴィラン役をイーサン・ホークという名優二人が演じた、サイコミステリー仕立てのダークヒーロードラマですよ。

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ムーンナイトとは

本作のタイトルでもあるマーベルヒーロー「ムーンナイト」は1975年発行の「Werewolf By Night#32」で初登場し、その後単独コミックが発行されています。

元傭兵の主人公マーク・スペクターは、エジプトで仕事に就いた際に雇い主に騙されて瀕死の重傷を負わされる羽目に。

生死の境を彷徨うマークは古代エジプトの月の神・コンシュの化身「ムーンナイト」として悪人に裁きを下すのと引き換えに、命を助けられるんですね。

ただ、このコンシュは月の神であると同時に復讐の神でもあるので、ムーンナイトの”裁き”とはイコール死刑(殺人)。つまりムーンナイトは、他のマーベルヒーローとは違って殺人も厭わないダークヒーローなのです。

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また本作最大の特徴は、主人公マーク・スペクターが解離性同一障害(多重人格)であり、マークの他に、スティーヴン・グラント、ジェイク・ロックリーという人格を有しているということ。

原作ではマークは元傭兵、スティーブンは社交的な大富豪、ジェイクは気さくな下町のタクシー運転手で、ジェイクの情報収集能力、スティーブンの財力とマークの運動能力&戦闘術で探偵・ヒーロー活動をこなすというDCコミックの「バットマン」的キャラクターなんですが、今回のドラマ版ではマーク=元傭兵なのは原作と同じですが、スティーブンは英国国立博物館のギフトショップで働く冴えない店員で歴史・エジプト神話・遺跡オタクという設定になってました。

というわけでここからは、ドラマ版「ムーンナイト」のあらすじをネタバレありで1話ずつ語りつつ、物語の謎について解説・考察していこうと思いますので、ドラマ未見の方はご注意ください。

第一話"もうひとりの自分"

ストーリー:ロンドンに住むスティーヴン・グラント(オスカー・アイザック)は、深夜無意識に徘徊してしまう睡眠障害に悩み、いつも足をベルトに巻き付けて寝ているんですね。

温厚な性格だけど孤独で冴えないスティーブンは、勤務先の国立博物館で女性上司にこき使われてますが、エジプト神話や歴史オタクで学芸員顔負けの深い知識をもっているのです。

そんなある日、女性職員から「明日のデートは7時でいい?」と言われますが誘った覚えはなく動揺したまま眠りについたスティーブンは目覚めると、そこは見知らぬ丘の上。なぜか手にはスカラベコガネムシ)の装飾品を握っていました。

脳内で「マークに体を返せ」と声が聞こえ動揺するスティーブンは、何故か銃を持った兵士に追い回され街の人混みの中へ。

その広場にはカルト教団の教祖アーサー・ハロウ(イーサン・ホーク)が、女神アメミットの力が宿った杖で信者に審判を下していて、不思議な力で老女の命を奪ったハロウにスカラベを返すよう迫られたスティーブンは、自分の意思とは反対にスカラベを持ったまま逃走。

近くに止めてあったバンに乗り込んで山道を走っている途中、記憶が飛ぶと何故かピンチを脱しています。

そしてベッドで目を覚ますと何故か3日も立っていて、違和感を覚えた部屋の中を探ると、隠し棚に貸金庫の鍵と携帯電話が。スティーブンが携帯の電源を入れると電話が掛かってきて、レイラと名乗る女性の声で「マーク!生きていたの!?」と言われまたまた混乱するスティーブン。
それでも何とか博物館での仕事を終えると、そこには夢に出た男ハロウが。
ハロウはスティーブンに、スカラベを返すように言い、スカラベの持ち主で女神のアメミットは天秤で人々の魂を計り「悪事を働く前に罪人を罰する」と説明。

その後、ハロウが杖の力で召喚したモンスターに追い回されるスティーブンの頭の中に、「俺と変われ」と語りかけてくる声。

ティーブンが意識を失う(交代する)と同時に変身したムーンナイトは、圧倒的力でハロウのモンスターをボコボコにするのでした。

解説・考察

原作ではマーク・スペクターが主人格として物語が進むんですが、このドラマ版第一話ではもう一つの人格・スティーブンが主人格に。
彼は自分が解離性同一障害とは知らず、自分が知らない場所で目覚める夢遊病者だと思っているんですが、彼が寝ている間、もう一人の人格・マークがコンシュのアバター(化身)として活動していたというわけですね。

この第一話では、終始スティーブン目線でドラマを展開。”信用出来ない語り部”である彼を主人公にすることでサイコミステリー調の物語に仕立て、同時に後の展開への布石や伏線を張っているわけです。

また、スティーブンの設定を原作の社交的な大富豪から、温厚だけど孤独で冴えない男に変更したのは、第一話でムーンナイト=スティーブンというキャラクターに視聴者の共感を誘うためなんでしょうね。

あと、アメコミヒーローといえば、スーツを着て戦うのが一般的だと思いますが、この「ムーンナイト」の場合“変身“するタイプのヒーローで、そういう意味では日本人には馴染みがあるヒーローと言えるかもしれませんね。

 

というわけで、MCUドラマ「ムーンナイト」概要と第一話のあらすじと解説・考察でした。次回は第2話のあらすじ、解説や考察を完全ネタバレありでご紹介していきますよ。

ではではー(´∀`)ノシ

公開直前!『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を楽しむために知っておきたい3つの事

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ぷらすです。

マーベル・シネマティック・ユニバースMCU)の28作品目にして2016年に公開された前作「ドクター・ストレンジ」の続編、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開がいよいよ迫ってきましたね!

映画館やネット上での予告編だけでなく、テレビスポット予告もバンバン流れているのでご存じの方も多いのではないかと思います。

しかし、MCU作品といえばシリーズの作品同士に繋がりがあり、最新作を楽しむためには過去作の流れを掴んでないと物語を100%楽しむのが難しく、フェーズ4(現在進行形のシリーズ)に入ってからは、マルチバース設定やDisney+で配信されるドラマ版も絡んで、いよいよ新規ファンが入りにくい状況になっているんですよね。

5月4日に公開される『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(*以降ドクスト2)』も、予告編を観る限り、どうやら過去作とドラマ版の設定やストーリーが絡んでくる事が予想されます。(もちろん本作だけ観ても楽しめるよう、劇中で最低限の説明はされていると思いますが)

そこで今回は、「ドクスト2」に興味はあるけど、過去作を見る余裕はないという人のために、ドクター・ストレンジというキャラクターの成り立ちや他作品との関わりなど、現時点で恐らく最新作に関係があると思われるアレコレを、出来る限り簡単に解説していこうと思いますよ。

尚、解説の過程で、若干過去作のネタバレを含む可能性がありますので、読まれる方はご注意下さい。

ドクター・ストレンジってどんなヒーロー?

ドクター・ストレンジことティーヴン・ストレンジベネディクト・カンバーバッチ)は、元神経外科医。
神経外科医として天才的な才能があったものの、自己中心的でメッチャ嫌なヤツだったストレンジは、ある日、交通事故で両手に大けがを負い、外科医としてのキャリアも名声も失ってしまいます。

しかし、どうしても外科医の道を諦めきれずあらゆる治療法を調べたスティーブンが辿り着いたのは、チベットに住む魔術師エンシェント・ワンだったんですね。

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ティーブンの中に”何か“を感じ取ったエンシェント・ワンは、治療の代償に弟子入りを持ち掛け、世界最高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)の元で修業を重ねたスティーブンは、やがて彼女の意思を継ぎ魔術で世界の秩序を守るヒーローに成長するというお話。

マーベルヒーローをざっくり分けると、

アイアンマンやハルク・スパイダーマンなど、科学由来のヒーロー

マイティー・ソーやムーン・ナイトなど、神話由来のヒーロー

X-MENなど、超能力由来のヒーロー

そして、ブレイドドクター・ストレンジやワンダ・マキシモフ(スカーレット・ウィッチ)など、オカルト・魔術由来のヒーローに分類できます。

そうした普通なら世界観も違うし交じり合う事がないヒーローたちが一堂に会しチームを組んで地球を守るのが、アベンジャーズなんですね。

アイアンマンらが主に外的(主に物理的に地球を侵略しにくる宇宙人)脅威に武力を持って対抗し地球を守るのに対し、ドクター・ストレンジは主に内的?(異次元や精神世界など)脅威から魔術で世界を守っています

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彼が使う「魔術」は物理法則とは別に、世界を構築するもう一つのルールや原理にアクセスする術という設定で、ゆえにストレンジたち魔術師は他のヒーローよりも、より世界の真理に近い場所にいるわけです。

前作で、暗黒次元を支配している強大な敵ドルマムゥと対峙することになったストレンジ。しかし力の差は歴然で到底勝てる訳もない。

そこでストレンジは自身に時間の魔法をかけることで何度殺されても蘇り、やがて余りのしつこさに嫌気がさしたドルマムゥと交渉。自ら暗黒次元に引き揚げさせるという奇策で世界を守ってみせたんですね。

この、力ではなく作戦と交渉で自身よりも強大な敵を退けるところが、ストレンジと他のヒーローの違いで、彼は世界を守るためなら自身を含む犠牲が出る事も厭わない。ある意味合理主義者でもあるのです。

また、別次元や未来にもアクセスできる術を持つ彼だから、フェーズ1~3の通称「インフィニティ・サーガ」で、1400万605通りの未来からたった一つ、ラスボスのサノスから世界を守る方法を見つけたることが出来たんですね。

最新作と関連する(だろう)作品

さてここからは、そんなドクター・ストレンジが主役の最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を楽しむために知っておいた方がいい作品とそのあらすじをざっくりご紹介していこうと思います。

ここからは若干のネタバレを含むのでご注意を。

「ドクタース・トレンジ」(2016)

前作ですね。そしてあらすじについては上記の通りなのでここでは省きます。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018)「~エンドゲーム」(2019)

この2作についても上記の通りですね。

「ワンダヴィジョン」(2021)

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Disney+で配信されている作品です。

「/インフィニティ―・ウォー」で、愛するヴィジョンを失ったワンダ・マキシモは、「/エンドゲーム」のあと、2人で暮らすはずだったウエストビューの土地を訪れますが悲しみが爆発。無意識に現実を思い通りに変えてしまう「現実改変能力」で町一つを巻き込み、愛するヴィジョンや二人の息子と暮らす幸せな家庭を造ってしまうんですね。

元々ワンダは、ヒドラという悪の軍団の実験によって念動力と相手の脳にイメージを植え付ける力を持ったわけですが、その後、ホークアイに諭されてアベンジャーズ入り。
両親とたった一人の弟まで亡くし天涯孤独だった彼女は、人造人間のヴィジョンを愛し将来を誓いあうも、ヴィジョンの死で再び孤独になってしまい、そのこらえ切れない悲しみと、彼女の能力を利用しようとした悪者の策略によって「現実改変能力」を開花させてしまうわけですね。

今回の「ドクスト2」は、そんな「ワンダヴィジョン」のストーリーと直結しているらしいので、上記の流れを頭に入れておくと理解しやすいかもしれません。

「ホワット・イフ...?」(2021)

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こちらは、Disney+配信のアニメシリーズ。

「ホワット・イフ(もしも?)」のタイトル通り、MCUシリーズで実際には起こらなかった“もしもの展開”が描かれる全9話のシリーズなんですね。

例えば、スティーブ・ロジャースが超人血清でキャプテン・アメリカにならず、代わりに恋人のペギー・カーターが、超人血清によって「キャプテン・カーター」になったら?とか。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のスター・ロードがピーター・クイルではなく、「ブラックパンサー」のティ・チャラ王子だったら?みたいな感じ。

これらのストーリーが直接ドクスト2の本筋に関わることはないと思いますが、予告編にキャプテン・カーターの盾が出たり、ホワット・イフでも登場した悪いストレンジやゾンビ・ストレンジなども登場するっぽいのでドクスト2で主題となるマルチバースの中の一つという設定で登場する可能性はあるかもしれません。

X-MEN」シリーズ(2000~2020)

ご存じの方も多いかと思いますが、2000年~2020年にかけて20世紀フォックスで映画化もされたマーベルコミックの人気ヒーローチーム「X-MEN」。

そのリーダーを務めるのがパトリック・スチュワート演じるプロフェッサーXです。
ディズニーの20世紀フォックス買収により現在シリーズは休止中のX-MENですが、なんとドクスト2にプロフェッサーXが登場するようなんですね。

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もちろん、マルチバースという物語の性質上そのプロフェッサーXが僕らの知る彼と同一人物の可能性は低いですが、もしかしたらドクスト2を発端に、MCUX-MENシリーズがスタートする可能性もあり、ファンとしては楽しみですよね。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2022)

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コロナによる延期で、今年1月に日本で公開された「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は、MCUスパイダーマン3部作の最終章です。

あらすじをざっくり説明すると、前作「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の敵、ミステリオによってスパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることををばらされた上、ミステリオ殺しの濡れ衣まできせられてしまい大ピンチ。

なんとか濡れ衣は晴れたものの、自分だけでなく恋人のMJや親友のネッドの進学にまで影響が出た事で、ピーターは自分がスパイダーマンであることを世界中の人々が忘れる魔術をかけて欲しいドクター・ストレンジに頼むんですね。

ストレンジはピーターの願いを聞き入れるも、色々あって魔術は失敗。
別アース(別次元)のスパイダーマン2人と、ドクター・オクトパスやグリーン・ゴブリンらヴィラン達をMCU世界に召喚してしまうという物語。

おそらくこの作品が最新作ドクスト2のストーリーと前後する、もしくは何らかの形でリンクするのは間違いないと思うんですよね。

マルチバースとは?

そんなドクスト2で繰り広げられるであろう物語の根幹にあるのが、マルチバースという設定。

日本人に馴染みのある言い方に置き換えるなら、「パラレルワールド」や「並行世界」でしょうか。

つまり、自分たちの住むこの世界(次元)は、少しづつ違う別世界(別次元)が何重にも重なっている中の一つという考え方で、例えば、ドクター・ストレンジが闇落ちして悪ストレンジになっている世界だったり、ペギー・カーターが超人化し「キャプテン・カーター」になる世界みたいな、「あったかもしれない&あるかもしれない」の別世界のことを、MCUではマルチバースと呼びます。

「/インフィニティ・ウォー」でストレンジが見てきたという1400万605通りの未来とは、つまりそれだけの数の次元(世界)が存在しているって事なんですね。

それぞれが目の前に広がる無数の選択肢の中から一つを選択することで、僕らの住む世界(次元)の未来は決定していくわけですが、そこには“選択しなかった世界(未来)”も別次元として存在するみたいな感じですかね。

で、MCUフェーズ4では、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」ドラマ「ロキ」、そして今回の「ドクスト2」などで、このマルチバースという設定を基にしたストーリーが展開、マーベル世界がどんどん拡張されているわけです。

 

というわけで、5月4日公開のドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を楽しむために知っておきたい3つの事でした。

ホント、細かく説明すると何文字あっても足りないわけですが、最低限ここに書いた事さえ押さえておけば「ドクスト2」は楽しめるんじゃないかと思います。

もちろん、それ以外の過去作のキャラクターも登場するかもですが、それは知らなければ知らないでさほど問題がない、ファン向けのサービス的な登場となると思うし、前述したように、それ以外の重要な事は劇中である程度説明されるでしょうからね。

何より、「ドクター・ストレンジ」はドラッギーとも言えるもの凄い映像体験が売りでもあるので、余裕のある方はぜひ劇場の大画面でご覧ください!

ではではー(´∀`)ノシ

細田守はアニメーターに徹した方がいい「竜とそばかすの姫」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、日本のアニメ界を牽引するトップランナーの一人、細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』ですよー!

配信の都合かAmazonでも中々レンタルにならなかったり、なったと思ったらちょっとお値段が高かったりして観られなかったんですが、先日やっとブルーレイ・DVDのレンタル開始に合わせて普通の値段でレンタルが始まったので、観ることにしました。

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概要

おおかみこどもの雨と雪』や、アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた『未来のミライ』などの細田守が監督を務めたアニメーション。“もうひとつの現実”と呼ばれる巨大インターネット空間の仮想世界を舞台に、心に傷を抱え自分を見失った17歳の女子高生が、未知の存在との遭遇を通して成長していく。企画・制作は、細田監督らが設立したアニメーション制作会社・スタジオ地図が担当する。(シネマトゥディより引用)

感想

新作発表のたび賛否が分かれる細田守最新作

細田守といえば、今や日本のアニメ界を牽引するトップランナーの一人であることに異論のある人はいないでしょう。

しかし一方で、自身が脚本も務めるようになった「バケモノの子」以降は、賛否で言えば否の意見を多く見かける印象。

アニメーションに関して言うなら、作品を重ねるごとに映像の美しさやアニメーションの技術レベルが上がっているのは間違いなく、だとすれば批判ポイントはストーリーテリングにあると言わざるを得ず、また、その後ろに見え隠れする、細田守という作家が持つ思想の時代遅れ…というより時代錯誤感に対し、多くの観客が違和感や拒絶感を感じているのではないでしょうか。

細田守監督と僕は同い年なので、彼が影響を受け作品に影響を与えたコンテンツ、作品でやりたい事や言いたい事は大体分かるつもりではいますが、それでも、ストーリーテリング、特に「バケモノの子」~本作までの作劇については首を捻らざるを得ないんですよね。

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本作においては、Disneyアニメの「美女と野獣」をやりたかったというだけあって、主人公・鈴を演じたシンガーソングライター中村佳穂の歌声や、音楽と3Dアニメのコラボレーションは非常に素晴らしいんですが、ストーリーの方はあまりにもお粗末というか、特に誰もが指摘するクライマックス以降の展開は、「フィクションだから、アニメだから」では済まされない杜撰さで、さすがに容認できないと思いましたねー。

というわけで、ここから先はネタバレするので、まだ本作を観てない人や内容を知りたくない人は、映画を観てからこの続きを読んで下さい。

いいですね?注意しましたよ?

 

ざっくりストーリー紹介

17才の少女・内藤鈴(中村佳穂)は6歳の時に母を亡くしてから歌を歌えなくなり、役所広司)との関係にも溝が生まれていた。

作曲だけが生き甲斐となっていたすずはある日、ネットに詳しい親友ヒロちゃん(幾田りら)の手引きで、全世界50億人以上が登録するインターネット上の仮想世界〈U〉にベルというアバターで登録。自作の歌を披露し瞬く間に歌姫として人気を得るようになる。

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そんなある日、大規模ライブの最中に突如謎の竜が現れ〈U〉の自警団を相手に大暴れ。ライブはメチャクチャになり、怒ったファンによって「竜の正体探し」が始まる。

というストーリー。

本作の〈U〉は、明らかに「サマーウォーズ」のOZ(オズ)の焼き直しで、映像的には数段美しくなっているのに、何故か初めてOZを見た時ほどのワクワク感はありませんでした。

様々なノイズ

で、これも多くの人が指摘してますが、〈U〉にアバター登録をすると、勝手に生体情報などを読み取られて、自動生成されるアバターに反映するんですけど……え、それ普通に嫌じゃね?っていう。

例えば鈴のアバターであるベルのデザインには、鈴のそばかすが反映してるし、竜のアバターには正体である少年・佐藤健)が虐待を受けて出来た背中の痣が反映してるわけですよ。

それって、ネットのアバターに自身のコンプレックスが反映されるってことだし、それ以前に勝手に生体情報読み取られるとかめっちゃ怖くないですか?
僕だったらそんなSNSには絶対登録しませんけどねー。

これって、終盤で背中の痣が竜の正体探しのヒントになるっていう展開のための振りなんですが、結局作り手の都合で作られた、このヘンテコ設定が物語にとってノイズになってしまっているわけですよね。

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それにOZの時と一緒で、この〈U〉にも大量の雑魚アバターみたいのがいるわけですが、ユーザーの彼ら(彼女ら)は一体、現実の何を反映されてあの姿になったのかっていう疑問も生まれます。

竜の事で言えば、〈U〉の格ゲー?の中で、相手のデーターが壊れるくらい徹底的にアバターを破壊するくらい乱暴なヤツで、〈U〉の秩序を乱す者として自警団に追われ、〈U〉のユーザーたちからも忌嫌われてる――という設定なんですが、多分格ゲーでの彼の行為は嫌われる戦法ではあっても、データ改ざんなどの「違法」ではないハズなんですよね。(違法なら運営にBANされるハズだし)
むしろ格闘でデーターが壊れるなら、それは竜ではなく〈U〉のシステムに問題があるわけじゃないですか。

一方、竜の正体を暴いて〈U〉から追放しようとする自警団のリーダー・ジャスティ森川智之)は、撃たれると〈U〉に個人情報を晒される謎ビーム砲を装着し、竜の居場所を知ってると睨んだベルを監禁。「竜の居場所を言わないとこれでお前の正体を晒してやる」と脅迫する始末。

え、何でこの人BANされないの?っていう。

これだけ高度な仮想空間なら多分、全行動・言動のログも残ってるでしょ。

鈴の現実で言うと、彼女は高知県に暮らす少女でいわゆる「陰キャ」らしいんですが、普通に親友も友達もいるし、彼女の事を想う男の子もいるし、母親の友達のおばさんたちにも可愛がられ、お父さんにも心配されてる。

確かにルックは地味かもだけど、誰かにいじめられてるわけでもなく、他人とコミュニケーションのとれるごく普通の女の子なんですよ。

一方の恵(竜の正体)は家で父親に虐待を受け、誰にも助けて貰えず、(恐らく)障害を持つ弟を父親の暴力から守るため、一人奮闘してるわけで。

本来、この二人は鏡合わせのキャラクターにしたかったと思うんだけど、共通しているのは〈母親に捨てられた〉と思い込んでいるところだけで、それ以外の二人の環境は全然釣り合ってないというか、なので鈴(ベル)が恵(竜)にしてるのは共感ではなく同情でしかない。

だとしたら、ベルは竜の一体どこにどのように惹かれたのかがよく分からないんですよね。

で、物語的には〈U〉で鈴が歌姫ベルとして名を馳せていく流れと、現実世界で友達や知り合いと和気あいあいと暮らす鈴の日常の流れが終盤で合流するいつものヤツですが、例えば鈴と父親、鈴としのぶくん成田凌)、ルカちゃん(渡辺瑠果)と鈴、ベルと竜、鈴と母、鈴と恵など、色んな要素を持つ一つ一つのエピソードの繋ぎが荒く、物語がとっ散らかったまま無理矢理進むので、それがまたノイズになっちゃうんですよね。

特に中盤以降のインターネット表現なんかは、いかにもおっさんが聞きかじった情報をもとに考えたような、個人情報の取り扱いがしっちゃかめっちゃかで、ネットやSNSのマイナスイメージの方ばかりがクローズアップされてるし、結局自分を晒さないと信用生えられないっていう結論もまたオッサンくさいじゃないですか。

今の時代に合ってないというか、今現在のネットの流れみたいなものをちゃんと掴めてない感じなんですよね。

クライマックスと結末

そして問題の終盤からクライマックス。

竜の正体が父親に虐待された兄弟だと分かりライブチャットで会話するんですが、恵は鈴がベルだとは知らないので、彼女の「助ける」という言葉もただの冷やかしだと思って居場所を言わずに連絡を切ってしまう。

何とか二人の居場所を知りたいけれど、そのためには鈴=ベルだと恵に信用してもらわなければならない。

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で、しのぶくんが「正体を晒して歌うしかない」って言うわけですよ。

この時点でかなり無理矢理すぎる展開ではあるし、いかにもおっさん的なネット感だと思うけど、ここは100歩譲るとして

それで、〈U〉内で正体を晒し歌うことで恵との連絡が再開出来たわけですが、そこで恵が住所を言う前に恵の親父が部屋に踏み込んできて連絡を切られ、でもチャット映像や音の情報から何とか恵たちの居場所を特定。

母親の友達が警察か児童相談所に保護の要請をするも、規則でうんぬんかんぬん役に立たず。

その間に鈴はその場を飛び出し、電車に飛び乗って高知から東京近郊?まで一人で向かうわけですよ。

その駅まで車で送った母友「ホントに良かったのかな」……って。

いいわけねぇだろ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

それに対し、もう一人の母友「鈴が決めた事だから」

ふざけんな!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

子供を虐待する親父のいる家に、17才の女の子一人で行かせるなんてダメに決まってるでしょ!

で、さらに電車の中で父親に「黙って出てきてごめんなさい」的なラインする鈴。
それに対し「合唱団(母友)のおばさんから連絡を受けた。お前にもお母さんと同じ様に優しい子に育ってくれて嬉しい」的な返信をする父親……って、

この映画にまともな大人は一人もいないのかーい!<(@Д@)>

恵のオヤジが虐待オヤジなら、鈴のオヤジはネグレクトオヤジだったよ!

もう一度いいますけど、相手は自分の息子を虐待するイカれたオヤジですよ?
そこに17才の娘を一人でいかせるとか、頭おかしいでしょ。

100歩譲って、止めるまえに電車に乗っちゃったっていうなら、せめて車で追いかけろよ!

で、案の定、虐待オヤジから二人を守ろうとした鈴は、虐待オヤジに引っかかれて頬っぺたから流血ですよ。

それでも二人を守るため虐待オヤジの前に立ちはだかった鈴の気力に気圧された虐待オヤジは(二人を残して)逃げるように家に戻り、鈴の行動に勇気づけられた恵は、これからは父親に立ち向かうと鈴に誓う―――って、何一つ解決してねぇええええ!!orz

 

(深呼吸・深呼吸)

いやね、別にこっちだってフィクションにリアリティーなんて求めてませんよ。
現実的にはいくら無理があっても、映画を観て間だけコッチが納得できる内容なら文句はいいません。

でもさ、これは流石にダメでしょ。

フィクションだからでは許容できない、ある意味あまりにも(大人の書く物語として)無責任すぎる。
細田監督的には、この展開をドラマチックで良き事みたいに捉えているのかもだけど、全然いい話じゃないし、むしろ周りの大人たちが役立たずっぷりにただ腹が立つだけでしたよ!
何してんだお前ら!と。っていうか、その場にいた友達も誰か一人くらいついてってやれや! しのぶくん、お前鈴の事好きなんちゃうんかい!

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前述したように、鈴が電車に乗っちゃったなら、車で父親が追いかけるとか、合唱団おばさんに連絡を受けた父親が駅で待ってて車で一緒に行くとか。
で、現地では鈴の父親が虐待オヤジに対して大人の知恵で対処するとか、いくらでもやりようはあったハズなのに、なぜよりによってこんな無茶苦茶な展開を選んだのかと。

結局、地元に戻ってきた鈴を駅で父親(と仲間たち)が待ってて、何となくハッピーエンドみたいになってるけど、何一つ解決もしてないし、終わってもいない。

虐待オヤジと恵たちのその後も、〈U〉で正体を晒した鈴のその後も全部投げっぱなし。

せめてエンドクレジットの止め絵でもいいから、物語に何かしらの決着(オチ)を付けてみせるのが創作者の責任ではないかと、僕は思うんですけどね。

もちろん、好意的に解釈しようと思えば出来ないことはないですよ。
でもね、そこまで受け手が負担を背負わなきゃならない作品ってどうなんですかね?

細田守は今後アニメーターに専念するべき

事程左様に、自身が監督と脚本を兼任するようになってからの細田作品のストーリーテリングはひどくなる一方。
それでも、これまではアニメーションの技術、映像の美しさで誤魔化されてきたけど、本作に至って、さすがにこりゃぁダメでしょって思いましたねー。

前述したように、細田守と言えばアニメーション監督としては日本でトップレベルなわけで、だったら今後はちゃんと脚本家と組んで、自身はアニメーションに専念した方がいいんじゃないかって強く思いました。

興味のある方は是非!

 

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Disney+ドラマ「ボバ・フェット」感想

ぷらすです。

実は本作はリアルタイムでずっと観ていたんですが、ずっと感想を書きそびれていて、この5月末からDisney+で「オビ=ワン・ケノービー」の配信が始まるということで、その前に本作の感想を書くことにしました。

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ボバ・フェットって何者?

ボバ・フェットは映画スター・ウォーズ(以降SW)『エピソード5/帝国の逆襲』と『エピソード6/ジェダイの帰還』に登場した(後に合成でエピソード4にもカメオ出演)ルークやハン・ソロを追い詰める最強の賞金稼ぎで、ファンの間で大人気のキャラクターの一人です。

ただ、僕の中では『エピソード6~』でのルークやハン・ソロとの戦いの中で、ソロのやみくもな攻撃でジェットパックが誤作動を起こし、船から吹っ飛んで大きな砂虫・サルラックに丸呑みにされて死ぬという。なんかこう、割と間抜けなヤツというイメージだったんですよね。

その後公開された『エピソード2/クローンの攻撃』では、“銀河最強の賞金稼ぎ”と名を馳せたジャンゴ・フェットのクローンという彼のオリジンが明らかにされたりもして、相変わらずの人気ぶりだったんですが、個人的にはそのまま忘れてしまったキャラクターだったわけです。

その後、SWのエピソード7.8.9の続三部作/シークエル・トリロジーが公開され、ほぼ同時期にDisney+で番外編「マンダロリアン」も配信。

続三部作は生みの親であるジョージ・ルーカスの手を離れ、Disneyが製作した事もあってかファンの間では大不評だったわけですが、逆に番外編のドラマシリーズ「マンダロリアン」はファンを中心に高い評価を得たんですね。

そのドラマの中に、サプライズ的にボバフェットが(しかもオリジナルキャストのテムエラ・モリソンで)登場し、ファンの度肝を抜いたんですね。

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ドラマ「ボバ・フェット」配信開始

そんな中、2021年12月29日~2022年2月9日にかけ前7話のドラマ「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」の配信が開始されるんですね。


「マンダロリアン」は観ていたものの、僕の中ではまだボバ・フェットのカッコよさがよく分かっていない状態でして、なので「まぁ、一応観ておくか」くらいのテンションだったんですね。

で、第1話。

まさかの『エピソード6~』でサルラックに丸呑みにされた直後から物語がスタートですよ!

サルサックの腹の中から何とか生還したボバでしたが、そこで意識を失ってしまい――という、『エピソード6~』~「マンダロリアン」までのボバの回想と、ジャバ・ザ・ハットの死後に領地を収める新・ダイミョウになった彼が領民から信頼を得るまでを、同時進行で描いていくという構成。
そこに彼の幼少期の回想も入ったりするので、ボバ・フェット初心者の僕にも、非常に分かりやすく彼の魅力を伝えてくれているんですね。

ボバとタスケン・レイダー

砂漠の真ん中で意識を失ったボバは、廃品回収を生業にするジャワたちによってアーマーやヘルメットなどの装備を持ち去られ、砂漠の民タスケン・レイダーたちの奴隷にされたボバですが、子供を助けたのをキッカケに徐々に認められるようになり、やがて仲間として受け入れられていくんですね。

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ジャワやタスケン・レイダーなどのキャラクターは、SWの映画正史の中では世界観を彩る蛮族の脇役でしかなく、まぁタスケン・レイダーはアナキン・スカイウォーカーが闇落ちしてダース・ベイダーになるキッカケを作ったりもしたので、悪役でもあるわけですが。

しかし、「マンダロリアン」と本作では、ジャワやタスケン・レイダーを単なる脇役ではなく、その生態であったり彼らの中のルール(常識)などディテールを深掘りすることでその魅力を再構成。それによってSW世界の魅力をより深めているんですね。

また、「マンダロリアン」はマカロニ・ウエスタンを、本作は「アラビアのロレンス」などの白人酋長ものを、SWの世界観に落とし込んでいるところも素晴らしく、続三部作が「スター・ウォーズ」そのものを作ろうとして結果失敗したのに対し、このドラマ2作はSWの世界観を描くことで、結果的にSWの精神性を再現することで成功したんですね。

そもそも、ルーカスがSWでやろうとしたのはスペースオペラであり、要は宇宙という舞台に西部劇や時代劇、冒険譚など、自分が大好きなアレコレを詰め込んだおもちゃ箱のような映画なんですよね。

本作ではタスケン・レイダーとボバの交流が物語の中心になっているんですが、ボバが長からタスケン・レイダーの武器「ガダッフィの杖」を授かる=仲間として認められるところなどは、思わずグッときてしまいましたよ。

しかし不満点も

そんな感じで個人的には非常に楽しんだドラマ「ボバ・フェット」でしたが、全てが大満足というわけではなく、正直不満点も。
それは本作だけではなく「マンダロリアン」シーズン2のラストでも感じた事なんですが。

映画正史に登場するようなメインキャラクターを登場させるより、マンドーやボバと、(深掘りした)映画脇役たちのキャラクターの魅力でラストまで突っ走って欲しいし、変にSWユニバース的な繋がりを意識したような構成にはしないで欲しいなーと。

つまり、映画正史とこのドラマシリーズはそれぞれ分けて欲しいし、マンドーのストーリーとボバのストーリーも分けて、それぞれ1本の物語にしてほしいって思うんですよね。

それぞれ主役の違う物語を変に繋げようとすることで、折角SWの呪縛から解き放たれたこのドラマ版がまた、映画正史の隙間を埋めるだけの窮屈な物語になってしまう気がするのです。

そういう意味ではこの5月から放送される「オビ=ワン・ケノービー」なんかは、ボバ・フェット以上にSWではメイン級のキャラクターなので、正直楽しみより心配の方が大きかったりするんですよね。(スタッフもマンドー&ボバとは変わるらしいしね)

映画版は仕方ないとして、このドラマ版のほうだけは自由であってほしいと思う次第です。

興味のある方は是非!

マーベルの新たなアンチヒーロー登場「モービウス」(2022)

ぷらすです。

劇場公開初日に観に行ってきましたよ。

「ヴェノム」「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」に続くソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)シリーズ第3弾『モービウス』をね!

というわけで、今回は公開されたばかりの作品なので、ネタバレしないよう気を付けて感想を書きますが、ストーリーや事前情報を一切入れたくない人は、先に映画を観てからこの感想を読んで下さい。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

マーベルのキャラクター、モービウスを主人公にしたアクション。コウモリの血清を用いて血液の難病を治療したために、肉体や能力が激しく変貌した彼の運命を描く。メガホンを取るのは『ライフ』などのダニエル・エスピノーサ。『ダラス・バイヤーズクラブ』などのジャレッド・レトー、『オフィシャル・シークレット』などのマット・スミスに加え、『スパイダーマン:ホームカミング』で敵のバルチャーを演じたマイケル・キートンが出演している。(シネマトゥディより引用)

感想

ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)とは

本作は、「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」通称SSU第3弾。

SSUとはマーベルコミックの人気ヒーロー・スパイダーマンスパイダーマンに登場するキャラクターを主人公にしたクロスフェードシリーズで、第1弾はトム・ハーディ―主演でマーベルの人気キャラクターが主役の「ヴェノム」、第2弾はその続編「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」続く第3弾が本作「モービウス」なんですね。

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「え、スパイダーマンならMCUじゃないの?」と思う人もいるかもですが、その昔、マーベルが倒産の危機に陥った際に、自社のキャラクターたちの権利を色々な映画会社に切り売りし、その中でスパイダーマンの権利を買い取ったのがソニー・ピクチャーズだったのです。

なのでMCUスパイダーマンは、ソニーから権利をレンタルする形で登場させていたんですね。

で、スパイダーマンに関わる他のキャラクターの権利も持っているソニー・ピクチャーズは、それらスパイダーマンに登場する人気キャラクターたちを主人公にした作品世界をクロスフェードさせる「スパイダーマン・ユニバース」のシリーズを始めたというわけなんですね。

モービウスってどんなキャラ?

SSUシリーズ第1・2弾の主人公ヴェノムは、スパイダーマンに登場するキャラクターの中でも1・2を争う人気キャラクターなので知っていた人も多いかと思いますが、本作の主人公モービウスは、原作ファンの人しか知らないのではないでしょうか。(僕も今回初めて知りました)

予告編を見れば分かるように、一言で言うならモービウスは吸血鬼的です。

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原作コミックでの初登場は1971年10月「Amazing Spider-Man #101」で、スパイダーマンが1962年にデビューしている事を考えれば、かなりの古参キャラと言えるかもしれませんね。

マーベルコミックに登場する吸血鬼キャラといえば、ハーフヴァンパイアの吸血鬼ハンター「ブレード」が有名ですが、モービウスの方は厳密に言えば吸血鬼ではなく、ある事情から吸血鬼じみた力をもったアンチヒーローなんですね。

本作の主人公マイケル・モービウスジャレッド・レト)は生まれつき血液の難病を患っている天才医師で、同じ病気を患っている幼馴染のマイロ(マット・スミス)から資金援助を受けながら難病の治療薬研究をしています。

そして、吸血蝙蝠の遺伝子から開発した薬の効果を自らの身体で実験したモービウス博士は、強靭な肉体や超音波による超レーダー能力などの超人的能力を得た代わりに、定期的に人間の血液を摂取しないと我を失ってモンスター化する、疑似吸血鬼になってしまったわけです。

原作版では最初スパイダーマンヴィラン(悪役)として登場するも、人気キャラとなったことで時にヒーローと組んで活躍もする、いわゆるアンチヒーローとして活躍。本作では原作よりヒーロー的なキャラクターとしてチューニングされていましたねー。

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本作でモービウスを演じたのは、DCEUの「スーサイド・スクワッド」(2016)「ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット」(2021)でジョーカー役を演じたジャレッド・レト

彼の演じたジョーカーは個人的には大好きなんですが、世間的な評価はイマイチらしく、そういう意味では不遇なアメコミ映画デビューとなってしまったんですよね。

しかし、彼自身は実力派俳優として知られているし、本作での演技も素晴らしかったですねー!

そして監督は「デンジャラス・ラン」「チャイルド44 森に消えた子供たち「ライフ」など、若くして話題作を手掛けたダニエル・エスピノーサ
子供のころからコミックオタクで、特にモービウスのファンだというだけあって、本作でも蝙蝠の持つ能力を備えた、モービウスというキャラクターのアクションは、これまでのどのヒーローとも違う独自の動きでしたよ。

え、たった108分!?

本作は、そんなモービウスのオリジンを描いた作品で、前半は難病を患うモービウス博士の半生と開発した薬によって”モービウス“の能力を得るまで。

後半は、ヴィランとのド派手なアクションシークエンスになっています。

そうしたモービウス博士の様々な感情の動きを、ジャレッド・レトは見事に演じていたし、個人的には血液の効能が切れて体の力が抜けてぐねっとなる動きとかは「おぉ」ってなりました。

あと、本作ではそんなモービウスを2人の刑事が追うんですが、黒人のストラウド刑事の方は、あの「ワイルド・スピード」でローマン役を演じているタイリース・ギブソンでした。
ワイスピではコメディーリリーフ役ですが、本作では超シリアスな刑事役を熱演していて、それがちょっととぼけた相棒のロドリゲス刑事(アル・マドリガル)といいコントラストを生んでいました。

で、個人的な感想としては、正直この前半が冗長でかったるいと思いました。

いや、このモービウスはスパイダーマンバットマンなどの有名人気キャラとは違い、多くの人にとって初めましてのキャラクターなので、どういう経緯で彼は吸血鬼の能力を得たのか、彼には一体どんな能力があるのかなど、いわばモービウスというキャラクターのルールをしっかり描かなくてはならない=説明が長くなるのは正直仕方がない部分もあるとは思うんですが。

それにしても、物語自体はシンプルなのにモービウスになるまでの件があまりにも長すぎるし、たった108分の映画なのに体感としては2時間30分くらいに感じてしまったんですよね。

それはやっぱり、前半の冗長な“ルール説明“に原因があると思うし、もっと一つ一つのエピソードを掻い摘んで、テンポ良く見せる事だって出来たと思うんですよね。

また、煙っぽいエフェクトを使うアクションシーンについても、モービウスが知覚ている世界を映像化しているのは分かるんですが、正直ちょっと見辛さを感じたし所々何が起こっているのかが分かりづらいシーンもあったりしました。

まぁ、本作はモービウスの紹介編ということもあり、物語自体は非常にシンプルなので、その分、モービウス博士の半生や感情の方にスポットを当てざるを得ない部分もあったのかもですけどね。

とはいえ、今後SSUのシリーズで他のキャラクターたちと絡んでいく事を考えれば、ここでモービウスのオリジンをしっかり描くのは重要だったのかもしれません。

興味のある方は是非!!

 

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憑き物が落ちたように爽やかジュブナイル「あの夏のルカ」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、コロナ禍で前作「ソウルフル・ワールド」に続き劇場公開はされずDisney+独占配信になったディズニーピクサー24作目作品、『あの夏のルカ』ですよ。

エンリコ・カサローザ監督もインタビューで話しているように、ジブリ感のある作品でしたねー。

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概要

水にぬれると姿を変える「シー・モンスター」の少年を主人公にした、ディズニー&ピクサーによるアニメーション。人間たちが暮らす町を訪れた彼の冒険と成長がつづられる。監督は、第84回アカデミー賞短編アニメ賞にノミネートされた『月と少年』などのエンリコ・カサローザ。製作を務めるのは、アンドレア・ウォーレン。(シネマトゥディより引用)

感想

憑き物が落ちたように爽やかなジュブナイル

ディズニー・ピクサーといえば、「トイ・ストーリー」で世界で初めて3ⅮCG長編劇場アニメを公開、一躍世界的なアニメスタジオとして名を馳せたことで知られています。

その後、「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」「カーズ」など数々の大ヒットアニメを発表するんですが、クリエイターの個人的体験を基に、その時々の世相や社会問題、はては死生観や哲学まで物語に取り込む、世界規模のエンターテイメント・アニメーション・スタジオながら非常に作家性の強い作品群で知られていますよね。

そんなピクサーアニメが極に達したのが前作「ソウルフル・ワールド」と言えるんじゃないかと思うんですが、しかし同時に、制作陣がピクサースタジオ創成期を支えたジョン・ラセターら第1世代から次世代のクリエイターに移っていくことで、その作風にも変化が訪れている印象があったりするんですよね。

つまり、それまでピクサー作品が背負っていた(メッセージや作家性などの)荷物を下ろすというか、憑き物が落ちたというか。
いや、制作体制自体は変わらないだろうから、監督によってはこれまで通り作家性の強い作品も発表されるでしょうけど、少なくとも本作は、物語的には爽やかなジュブナイルものという印象。

もちろん、「無知が恐れと分断を生み、知る事で理解が生まれる」という、現代的なテーマは内包しているものの、これまでのピクサー作品と比べるとそうしたテーマ性はあくまでスパイス程度に抑えられていて、むしろ色彩や動きの気持ちよさ、キャラクターの魅力に注力されている印象で、それを物足りないと感じるか、観やすいと感じるかは人それぞれなのかなと思いましたねー。

ざっくりストーリー紹介

自由自在に海を泳ぐことができる不思議な能力を持つ種族シー・モンスターの少年ルカジェイコブ・トレンブレイ)は、両親の言いつけを守る“良い子“だったが、ある日、陸で暮らす同族の少年アルベルト(ジャック・ディラン・グレイザー)と出会います。

彼らシー・モンスター族は陸に上がると人間と変わらぬ見た目になり、水に濡れると元の姿に戻るんですね。

最初はおっかなびっくり、やがてアルベルトと一緒に陸で遊ぶようになるルカですが、ある日陸に行っている事が両親にバレ、深海の叔父の元に送られそうになったルカは、アルベルトと共に海辺の町ポルト・ロッソに向かう——という物語。

物語の舞台はエンリコ監督の故郷、北イタリア地方で自身の子供のころの体験が本作の基になっているのだそう。

それまではちょっと(かなり?)過保護な両親が世界のすべてだったルカが、アルベルトとの出会いをキッカケに世界を広げて親離れするという物語は、ファインディング・ニモに近いですが、思春期に入ったルカは自らの意思と好奇心から人間たちと関わっていくんですよね。

そして、ポルト・ロッソで憧れの乗り物ベスパを手に入れるため、二人はこの町で出会った少女ジュリア(エマ・バーマン)とチームを組み、毎年夏に開かれるトライアスロンレースに出場を決めるわけです。

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本作におけるベスパは、ルカとアルベルトをどこにでも連れて行ってくれる、いわば自由の象徴であり、翼でもあるわけです。

ジブリ

そんな本作を観た人は、多分もれなくジブリ作品――というか宮崎駿作品を連想するんじゃないかと思います。

実際、インタビューでエンリコ監督は「紅の豚」や「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」などの影響を公言しているし、個人的にイタリアが舞台のジュブナイルものということで「魔女の宅急便」の雰囲気もあるような気がしますねー。

で、水の表現も実写と見間違えるようなCGではなく、あえてピクサー社内で「漫画の水しぶき」と呼ばれる「完全なリアリティを追求しない水」を描き、ビジュアル面で2Dアニメーションを意識した作りになっているんだそうです。

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また、本作はピクサー史上初の「夏」を題材とした作品でもあるんだそうですよ。

レベルは高いがピクサー作品としては…

そんな感じで、もちろんピクサー作品なのでアニメーションとしてのレベルは高いんですが、ピクサー作品にしては正直ストーリーが弱いと感じました。
それはテーマ性が薄いとかではなく、単純にストーリーテリングという意味で。

まぁでも、新型コロナウイルス感染拡大の影響でピクサーの本社が閉鎖され、スタッフの多くは自宅で本作の製作にあたったということらしいので、それまでの全スタッフがアイデアを出し合って物語を作っていくという、ピクサーストーリーテリングの工程が十分に出来なかった事も関係してるのかもしれませんね。

それに、それもこれもあくまでピクサー映画としては」という話で、普通にアニメーション作品としては十分なレベルに達しているし、ジュブナイルものとしても爽やかで楽しい作品でしたよ。

興味のある方は是非!!

 

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毒にも薬にもならない。でもそれでいい「サイコ・ゴアマン」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、80年代のB級?映画オマージュに満ちた低予算ホラーコメディで知られるカナダの映像集団「Astron-6」のスティーヴン・コスタンスキ監督作『サイコ・ゴアマン』ですよー!

僕の地元では公開されなかったので劇場で観られなかっらんですが、先日Amazonレンタルで見つけたので早速観てみました!

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概要

怒りと憎しみの感情しか持たない残虐な宇宙人が地球を危機に陥れる様子を描いたSFスプラッター。幼い兄妹が偶然にも宇宙人をよみがえらせてしまうが、妹は宇宙人を操る不思議な宝石を手に入れる。監督を務めるのはカナダの映像制作会社「Astron-6」のメンバーで、『ファーザーズ・デイ/野獣のはらわた』『ザ・ヴォイド 変異世界』などのスティーヴン・コスタンスキ。ニタ=ジョゼ・ハンナ、オーウェン・マイア、アダム・ブルックスなどが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

あのデヴィッド・クローネンバーグの遺伝子を引き継いでいるかもしれない映像集団Astron-6

個人的な感覚として、イタリアとカナダはヘンテコホラー映画の2大大国という印象があります。

イタリアといえば、最近ご紹介した「マリグナント 狂暴な悪夢」の元ネタジャッロ映画ヤコペッティの「世界残酷物語」など(ヤラセも含めた)世界の奇習・風習を紹介するモンド映画発祥の地として知られています。

一方のカナダと言えば、「イルザ ナチ女収容所 悪魔の生体実験」などナチ収容所の残酷とエロを融合させた低予算エクスプロイテーション映画や、「スキャナーズ」「ヴィデオドローム」など数多くの作品を世に送り出したボディホラーの雄、あのデヴィッド・クローネンバーグを輩出した国。

いや、もちろん両国が名作映画も数多く公開していることは知ってはいますが、僕が子供のころに食らった数々のヘンテコ映画は概ねイタリア&カナダ映画だったので、僕の中のイタリア&カナダはエログロ見世物ホラー大国という印象なんですよね。

そしてカナダは、タランティーノロバート・ロドリゲスの企画『グラインドハウス』のフェイク予告編コンテストで優勝。その後ルトガー・ハウアー主演で長編映画化された「ホーボー・ウィズ・ショットガン」のジェイソン・アイズナーや、BMX版マッドマックスの宣伝文句で話題になった「ターボキッド」のフランソワ・シマール監督が所属するRKSS(ROADKILL SUPERSTAR)、そして「マンボーグ」「ファーザーズディ」、そして本作を制作したAstron-6と、カナダのヘンテコ映画界隈は2000年以降も元気で、彼らが青春を過ごした1980年代B級オマージュのヘンテコ映画を次々発表。

それらの作品群は主にビデオスルー作品としてレンタルビデオ店のホラーコーナーに置かれ、世界中のボンクラ映画ファンに愛されているのです。

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その特徴はCGに頼らず、特殊メイクや合成といった特撮を多用し、過剰なゴアシーンと悪趣味で不謹慎なギャグを連発。
作品には特に何のテーマ性も主義主張もなく、観たところで毒にも薬にもなりません。

しかし、それまで直線を走っていたのに突如急ハンドルでわき道に逸れ、どこに連れていかれるか分からないストーリー展開や、ぶっちゃけ物語とは関係ないけどやりたかったから入れました的なゴア描写など、歪で破綻しているのに無駄に熱量だけは高いオタク心満載の作品群を見ていると、巨乳にさほど興味がない自分が、絵が破綻するくらい巨乳の女の子が登場する巨乳マニアだけのための同人誌をうっかり観てしまったときの、観てはいけないものを観たような背徳感とその中のピュア過ぎる欲望に心を打たれる、あの感覚に限りなく近い”何か“を感じてしまうのです。

伝わりませんか。そうですよね。

もう少し分かりやすく言うと、やってることはメチャクチャだが好きな事を思い切りやってるのが伝わってこっちもワクワクする感じでしょうか。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作のストーリーをざっくり紹介すると、ひょんなことから復活した宇宙を滅ぼすほどの力を持つ恐ろしい悪魔超人が、8歳の女の子に絶対服従するハメになるのだが——という物語。

まるで一昔前のマンガや深夜アニメっぽいストーリーなんですが、本作が面白いのは悪魔を従えることになる妹のミミが、本当に可愛げのないクソガキだという捻りを利かせているところ。

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まぁ、宇宙すら滅ぼす最強悪魔超人のサイコ・ゴアマン(ミミ命名)を従えるのだから、そのくらい邪悪でないと説得力はないかもですけどねw

ストーリーはそんな二人が「クレイジーボール」という謎の遊びをしているところからスタート。
勝負に負けた兄ルークが自分の墓穴を掘っていると、サイコ・ゴアマン(PG)が封じられた棺桶を掘り返し、偶然封印を解いてしまうわけです。

しかし、その棺桶にハメられた宝石の所有者には逆らえないPG。
そして宝石はミミが持っていて——というのが物語の流れ。

その宝石を取り戻そうと、PGが宇宙の果てから仲間を呼び寄せたら裏切られたり、PGの復活を知った天使的な超人が討伐にやってきたりするも、全員がミミに振り回されるわけです。

過去作と比べまとまっている

そんな本作の監督スティーヴン・コスタンスキ監督は、「マンボーグ」や「ファーザーズ・デイ 野獣のはらわた」を手掛けていて、僕は多分、この2作は観てるんですよね。

その2作と比べると本作は物語的にかなりまとまっていて、ティーヴン・コスタンスキ映画作るの上手くなってる!って思いましたねー。

まぁ、よく考えたら「マンボーグ」から10年経ってますしね。
前述した同世代の監督たちもそれぞれ話題作を手掛けていて、彼らの進化も「まぁ、そりゃそうか」って感じですが、それでもやっぱ過剰なゴア描写や着ぐるみ特撮など、初期のころからずっと変わらず、80年代のB級映画大好きスピリットを忘れてないところが嬉しかったですねー。

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そして観終わった後、何の宿題(テーマ性とか主義主張とか)もなく、観ている間だけ楽しければ後はどうでもいい感じも確かに80年代映画ってそんな感じだったし、そもそも映画なんてそれでいいんだって事を、本作は思い出させてくれたましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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