今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

テキサス系ホラーを逆手に取ったスプラッタコメディー「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」(2012)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、テキサス殺人鬼系ホラーを逆手に取ったコメディー
『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』ですよー!

公開時に気になってた作品ですが、DVDレンタルを待ってる間にすっかり忘れてて、「何か面白い映画ないかな~」と先日TSUTAYAをウロウロしてる時に見つけて「あ、そういえば!」と早速レンタルしてきましたー!

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あらすじと概要

休暇を過ごすため森へやって来た2人の男が、キャンプ中の若者たちに凶悪な殺人鬼と勘違いされたことから巻き起こる騒動を描いたスプラッター・コメディー。思わぬ誤解から死人が続出する事態に陥っていく気のいい中年男2人を、『猿の惑星:創世記ジェネシス)』のタイラー・ラビーンと、『3時10分、決断のとき』のアラン・テュディックが演じる。血みどろ残虐描写の連続など、従来のスプラッター映画のイメージを覆す前代未聞の展開に爆笑必至。

ストーリーとても仲がいい中年男のタッカー(アラン・テュディック)とデイル(タイラー・ラビーン)は、手に入れたばかりの別荘で休暇を過ごすため森へやって来る。しかし、同じころに近所にキャンプに来た大学生グループから、森の奥深くに住む殺人鬼と勘違いされてしまう。さらに、二人が川でおぼれかけていた女子大生を救出したことが誤解を招き、思いもよらぬ事態へと発展していく。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

テキサス殺人鬼系ホラーのテンプレを逆手にとったコメディー

本作は「悪魔のいけにえ」から連なる、いわゆる「テキサスの田舎に行くと殺人鬼に襲われる系ホラー」のテンプレを逆手に取って、勘違いと思い込みからのボタンの掛け違いで、事態が大ごとになっていくドタバタホラーコメディーです。

(多分テキサスの)ある森のキャンプ場に遊びにきた大学生のグループは、その道中でいかにも不気味な二人組、タッカーとデイルと出会うんですね。
しかし、実は二人はコツコツ貯めたお金で買った念願の別荘(山小屋)に休暇でやってきた、仲良しのおっさん二人組。

この二組の目的地は一緒で、キャンプに来ていた大学生が夜、湖で泳いでいるところに、たまたま夜釣りに来ていたタッカーとデイルと鉢合わせ。
びっくりして湖で溺れた女の子アリソン(カトリーナボーデン)を助けようとしている二人を見た大学生たちは、友達が殺人鬼にさらわれたと勘違いしたからさぁ大変! 

その後「さらわれた」アリソンを救おうとする大学生たちですが、偶然が重なって次々に無残に死んでいく(全部自滅)んですねー。

タッカーとデイルを応援せずにはいられない!

イケてる大学生に殺人鬼と勘違いされる、イケてない中年タッカーとデイルですが、二人は田舎のトイレ工場で働くただの気のいいオッサンでして、とくにデイルの方は魚が可哀想で本当は釣りも嫌いな優しい男なんですね。
対する大学生グループは都会のインテリ学生で、最初から田舎者をバカにするイヤな感じのやつら。

なので、二組の事情を知った観客は、どうしたってタッカーとデイルに感情移入してしまうわけです。

二人に救われたアリソンは早々に誤解に気が付くものの、大学生グループのリーダーでアリソンに言い寄る青年チャドのせいで、状況はどんどん悪化していきます。

二人が買った小屋に、アリソン救出のために忍び寄る→小屋の修理のためチェーンソーで朽木を切っていたタッカーがうっかり蜂の巣を切ってしまってチェーンソーを振り回しながら蜂から逃げる→大学生は自分に襲いかかってきたと勘違いして逃げる→前をちゃんと見てないので尖った木の枝に突き刺さって死ぬ。

トイレ用の穴掘りを手伝うアリソンを物陰から見た大学生が、デイルに脅されて自分の墓穴を掘らされてると思い込む。

ウッドチョッパー(木片を粉砕する機械)の前で作業していたタッカーの後ろから襲いかかる学生→タッカーが木を拾おうとしゃがむ→学生はウッドチョッパーに頭から突っ込んで死ぬ。みたいな感じ。

いや、最初から警察呼べよ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ 

と、観ているこっちは大学生グループにツッコんでしまうし、実際メンバーもチャドにそう進言するんですが、チャドの方は自分たちでアリソンを助けようとノリノリで被害は拡大する一方なんですね。
つまり本作は、無能なリーダーは組織を壊滅させるという組織論的映画です。(嘘)

まぁ、全体的にかなり無理があるなーと思うものの、「悪魔のいけにえ」系映画のパロディーだし、すぐに解決しちゃうと映画にならないので仕方ないのかなーと。
この手の映画の場合、ストーリーのゆるさも味のうちですしねーw

ただ、ラストの方でチャドの行動の理由が明かされるんですが、それは流石に蛇足なんじゃないかなーと思いましたねー。
無理に物語の統合性をつけようとしないで、最後まで勘違いのまま、大学生グループが全滅して欲しかったかなと。

そんな感じでストーリー的にはかなり無理があるし、残酷な描写も満載(R-15指定)なので万人にオススメできる映画ではありませんが、スプラッタホラー好きな人は結構楽しめる良作なんじゃないかと思いましたよー。

興味のある方は是非!!

 

NYを影から守る4人兄弟が帰ってきた!「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2014年公開のアメコミヒーロー映画「ミュータント・タートルズ」の続編、『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』ですよー!

前作よりもスケールアップしたカメ4兄弟が活躍する楽しい映画でしたー!

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あらすじと概要

4人組のカメ忍者が活躍する人気ヒーローシリーズを実写映画化した『ミュータント・タートルズ』の続編。タートルズの面々が世界を救うため、ニューヨークの街を飛び出し力を発揮するさまを、カーアクションや迫力あるアクロバティックシーンと共に描き出す。前作に続きヒットメーカーのマイケル・ベイが製作を務め、ヒロインのミーガン・フォックスが続投。『アース・トゥ・エコー』などのデイヴ・グリーンがメガホンを取る。

ストーリータートルズの宿敵シュレッダー(ブライアン・ティー)は、マッドサイエンティストバクスター・ストックマン博士(タイラー・ペリー)らの協力で脱獄し、再びニューヨークを大混乱に陥れようと画策。邪悪な陰謀を阻止すべくタートルズと仲間たちが動くものの、ミュータントに変身したビーバップ(ゲイリー・アンソニー・ウィリアムズ)とロックステディ(ステファン・“シェイマス”・ファレリー)が立ちはだかる。さらに世界征服をたくらむ悪の帝王クランゲが異次元から襲来し……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

前作の感想でも書いたんですが、「ミュータント・タートルズ」が日本でアニメ放映されてた頃、僕はすでに大人だったので、(名前は知ってたんですが)観たことはなく、なので前作「ミュータントタートルズ」で初めてちゃんと観たんですね。

スーパーマンバットマンが、いわゆる中二的カッコよさなら、本作は小学五年生男子がワクワクするような、笑いありアクションありの作品です!

主人公は4人組のカメ忍者!

本作の主人公は、突然変異で誕生したカメ忍者。
日本でも放映していたので、アニメで観たことがある人も多いんじゃないでしょうか。

1984年、原作者ケヴィン・イーストマンとピーター・レアードの二人がミラージュ・スタジオの名義で3000部だけ印刷された白黒同人誌『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』からスタートしたこのシリーズは、映画、ドラマ、アニメなどのメディアに登場し、マイケル・ベイ制作のもと、前作「ミュータント・タートルズ」としてリメイクされました。

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リーダー兼戦略担当のオールラウンダー、レオナルド(青)
男気溢れる釵(さい)の達人、ラファエロ(赤)
陽気で無邪気、ヌンチャクの達人、ミケランジェロ(黄)
棒術の達人でメカニック担当、ドナテロ(紫)

4人は、NYの下水道を改造した隠れ家で、突然変異したネズミの師匠、スプリンターと暮らし、密かにNYの街を守るニンジャヒーローなんですね。

前作でも登場したヒロイン、エイプリル・オニール役のミーガン・フォックスが続投。
前作のラスボス、シュレッダーも今回は顔出しで登場します。

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更に、本作ではマッドサイエンティストバクスター・ストックマン博士(タイラー・ペリー)
ホッケーマスクをかぶったNY市警のケイシー・ジョーンズ(スティーヴン・アメル)
イノシシとサイのミュータントに変貌したビーバップ&ロックステディ
悪の帝王クランゲ などなど、本シリーズの人気キャラも登場しますよー!

ディテールにワクワク!

本シリーズの特徴は、他のアメコミヒーローものに比べて低年齢層向きだということ。なので、DCやマーベルのヒーローのように深刻に悩みすぎないし、ストーリーも極めてシンプルです。

もちろん、彼らも悩んだり、揉めたり、傷ついたりするんですが、テーマを兄弟の絆に絞って、あとはアクションや笑いで観客を楽しませてくれるんですよね。

今回は全体的に前作よりスケールアップしていて、ウォータースライダー付きの隠れ家や、タートルズが出動で使う改造ゴミ収集車(ニトロ、巨大ヌンチャク、各種レーダーやモニター、捕獲網発射台など装備)のディテールは、もう見ているだけでワクワクしてしまう小五男子仕様になってます。

なので一本の映画として、ストーリーは大人が観るには少々物足りなさはあるかもですが「そういうもの」として観れば、大人でも十分に楽しめる作品なんじゃないかなーと思います。

ビーバップ&ロックステディがサイコー!

前作で、タートルズの活躍で刑務所に収監されたシュレッダー(ブライアン・ティー)の脱走から物語はスタート。
悪の帝王クランゲから渡された謎の青い液体を使い、サイと猪の怪人になってしまった小悪党のビーバップ&ロックステディは、本作のコメディーリリーフとして活躍するんですが、この二人が何とも微笑ましくて、悪役なのに全然憎めないんですよねーw

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悪党というよりもクラスの悪ガキコンビのような感じなんですよ。
で、サイと猪の遺伝子によって強くなったものの、元がバカなのでシュレッダーの足を引っ張ってばかり。でも、二人共ずっと楽しそうで、観ているこっちまでハッピーな気持ちになっちゃうんですよねー。

前作では、主にミケランジェロがコメディーリリーフを担当していたんですが、本作では彼らの成長や葛藤が描かれる分、4人は少しだけシリアス寄りになっていて、その分を、この二人があらゆるシーンで笑わせてくれるのです。
もちろん、タートルズ4人のやり取りの面白さも健在ですけどね。

アイデンティティーの物語

本作で登場する、遺伝子を組み替えてしまう謎の液体をドナテロが解析してみると、人→獣だけでなく、獣→人にもなれることが分かります。
タートルズの4人はカメなので、人前に姿を見せる事はできません。
しかし、もし人間の姿になれたら……。
人間への憧れに揺れ動くタートルズの4人はどうするのか!

というのが、本作のメインテーマ。
つまり、本作はアイデンティティを巡る成長の物語なんですねー。

整理されたアクション

とは言うものの、本作のお楽しみといえばド派手なアクション。
本作でも、アクションの面白さは健在で、道路で、ビルで、飛行機の中、ジャングル、川と、あらゆる場所で4人のニンジャアクションが繰り広げられますよ!

正直アバンの部分は目が慣れてなくて、少し観づらい印象もあったんですが、4人と敵、味方が入り乱れる複雑なシーンでも、観客が置いてきぼりにならないよう整理されているので、トータルではとても見やすかったし、各セクションでそれぞれ工夫も凝らされているので、最後まで飽きることなく観ていられましたー!

ぶっちゃけ、ヒーロー映画はアクションさえしっかり押さえててくれれば僕はある程度は満足ですし、ストーリーも前作より本作の方が個人的には面白かったように思いましたねー。

興味のある方は是非!

 

▼関連リンク▼

orera.hatenablog.com

 

とにかく映像がスゴい! 「ドクター・ストレンジ」(2017) 感想

ぷらすです。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『ドクター・ストレンジ』を3Dで観てきましたよー!(*゚∀゚)=3
予告編で観て超期待してたんですが、とにかく映像がどエライ事になってました。
先に書いてしまいますが、本作を見るなら3D、それも出来ればIMAX3Dがオススメです。ただし、人によっては映像酔いしてしまうかもしれませんねー。

今回は公開直後の映画なので、出来るだけネタバレは避けて書きますが、ネタバレがイヤという人は先に映画を観て、それからこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのベネディクト・カンバーバッチを主演に迎えたヒーローアクション。事故で両手が思うように動かせなくなった天才外科医の姿を描き出す。『スポットライト 世紀のスクープ』などのレイチェル・マクアダムス、『偽りなき者』などのマッツ・ミケルセン、『フィクサー』などのティルダ・スウィントンらが共演。たとえ敵であろうとも他者を傷つけることのできない外科医の行く末に注目。

ストーリー:ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、天賦の才能を持つ脳外科医として名をはせていたが、ごう慢さが玉にきずだった。彼は地位も名誉もリッチな生活も手に入れていたが、交通事故によって全てをなくしてしまう。神の手と崇拝された両手の機能を取り戻すため、高額な治療を繰り返すが……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

というわけで『ドクター・ストレンジ』観てきました!
いつもの映画館では2Dしかやってなかったので、地元のイオンシネマで3D吹き替え版を観ることに。

観終わって思ったのは、本作はとにかく映像の情報量が多いので、字幕版じゃなく吹き替え版の方がいいかもなーと。あと、人によっては画面酔いしてしまうかもしれません。(僕も軽く酔いかけましたw)

ドクター・ストレンジとは

本作の内容を一言で書くと、良い魔術師が悪い魔術師から地球を救う物語です。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジ

ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジは、高慢ちきな天才外科医ですが、交通事故で外科医の命とも言うべき両手の神経がズタズタになってしまいます。で、全財産をつぎ込んで何とか両手を治そうとしますが、結局どうにもならず全財産を使い果たしてしまうんですね。
そんな彼が最後の望みをかけて向かったチベットで、地球を守る魔術師エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)の弟子になるわけです。

そして、異次元にある『ダーク・ディメンション』の“ある存在“に魅入られ、エンシェント・ワンに造反した悪い魔術師カエシリウスマッツ・ミケルセン)と戦う事になるんですね。

つまり、マーベル版の『スターウォーズみたいな感じです。(ジェダイVSシス的な意味で)

驚愕の映像

本作の見所は、何と言ってもVFXを駆使した映像です。
街がグルグル回るわ、立ち並ぶビルはパズルみたいに組み替わるわ、時間は巻き戻るわ、まるでジェットコースターに乗せられているような感覚でした。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ 

映像の凄さは渡辺謙とディカプリオが共演した『インセプション』を遥かに超えてましたねー。

アバン(タイトル前のワンエピソード)のカエシリウスとエンシェント・ワンが戦うシーンに、いきなり度肝を抜かれたし、クライマックスの巻き戻る時間の中でのストレンジとカエシリウスの戦闘シーンもとても新鮮でしたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ アバンのエンシェント・ワン師匠

今までのマーベルヒーローがひとつの次元の中で物理的に戦うのに対し、本作のストレンジは幾重にも重なっている多層次元の中で魔術を駆使して戦うヒーローというロジックを、言葉ではなく一発で納得させることができる映像だったと思います。

ただ、後半に行くほど映像に目が慣れてしまうので、ストーリーや映像のちょっとしたアラが気になってしまうところもありましたけども。

ちょっと詰め込みすぎ感も

で、肝心のストーリーなんですが、映像の凄さに比べると、やや尻すぼみ感もあるかなと。ストレンジのヒーローとしての在り方や、カエシリウス、エンシェント・ワン、そしてストレンジの先輩魔術師モルド(キゥエテル・イジョフォー)や、ウォン(ベネディクト・ウォン)など、それぞれのキャラクター自体は魅力的なのにイマイチその魅力が活かせてない感じがしました。

というのも2時間弱の映画にしては、エピソードや設定の説明が詰め込みすぎだからじゃないかなーと。
本作が一本で完結する物語ではなく、MCUの大きな流れの一本という位置づけなので「ここまでは物語を進めないと」という事情もあるのかもですが、新ヒーローのお披露目作品という事を考えれば、カエシリウスVSストレンジというシンプルなストーリーにしたほうが全体的に飲み込みやすかったんじゃないかなと思いました。
その分を、ストレンジが魔術師になっていく過程や各キャラクターの人物像を描く時間に割り振れば、物語に深みがましたような気がします。

あと、映像自体はスゴいんですが、観客が状況を飲み込む前にシーンが変わっていくのも気になるところでした。こういうパズル的映像だと尚更、一つのシーンやカットの交通整理をしっかりしたほうがストレンジの凄さが伝わるような気がしましたねー。

ファンタジーとSFの両立

ドクター・ストレンジは魔術の力で世界を守るヒーローということで、なんでもありのファンタジーになってしまうのでは? と思ったし、他のマーベルヒーローとのバランスが取れるのかが少し心配だったんですが、魔術に『制約』があるというロジックと、SF的なワードを入れ込むことで、ファンタジーとSFのバランスをしっかり取ってた印象でしたねー。

その上で、今までのヒーローとは一線を画すスタンスのヒーローとしてドクター・ストレンジを描いたのは良かったんじゃないかなと。(その辺は賛否分かれそうですけど)

余談ですがストレンジのマントと、医者時代の同僚、クリスティン(レイチェル・マクアダムス)が可愛かったですねー。
クリスティンがキャッと飛び上がるトコに、不覚にも萌えてしまいましたよー

興味のある方は是非!!

神様の娘が家出!? ブラックで可愛いファンタジーコメディー「神様メール」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、カンヌ国際映画祭ゴールデン・グローブ賞など、世界各国の映画祭、映画賞で称賛を浴びたコメディー『神様メール』ですよー!

ちなみに原題『Le tout nouveau testament』は直訳すると「新・新約聖書」になるそうです!

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

カンヌ国際映画祭ゴールデン・グローブ賞など、世界各国の映画祭、映画賞で称賛を浴びたコメディー。パソコンを駆使して世界を翻弄(ほんろう)する神と、そんな彼に愛想を尽かした娘が巻き起こす騒動を描く。メガホンを取るのは『ミスター・ノーバディ』などのジャコ・ヴァン・ドルマル。『チャップリンからの贈りもの』などのブノワ・ポールヴールド、名女優のカトリーヌ・ドヌーヴ、『エール!』などのフランソワ・ダミアンらが結集。奇想天外なアイデアと設定、予想もつかないストーリー展開に圧倒される。

ストーリー:ベルギーのブリュッセル。とあるアパートに家族と共に生活している神は、慈悲深いという人々が抱いているイメージとは真逆の嫌な人物であった。自分の部屋に置かれたパソコンを駆使して世界を管理しているが、いたずらに災害や事故を起こしては楽しんでいた。そんな父親に怒りを覚える10歳の娘エア(ピリ・グロワーヌ)は、家出を考える。立ち入りを禁じられている父親の部屋に忍び込んだ彼女は、全人類それぞれの死期を知らせるメールを送信して家を飛び出してしまうが……。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

前々から評判は耳にしていた本作。
僕も、そのうち観ようとは思うものの、パッケージを見ると中々手が伸びなかったんですよねー。
なんかこう「小さくて、可愛くて、オシャレな、素敵コメディーなんじゃないのー?」と。いや、そういう映画が嫌いって訳じゃないんですけど、近頃はイマイチ気分が乗らないというか。

で、今回思い切って観てみたら、何かこう…面白かったです!
そして、何ともヘンテコな映画でしたねーw

どんな映画?

本作の主人公は10歳の女の子エア。
そして、この子のお父さんは天地創造でお馴染みの神様で、お兄さんはイエス・キリストです。

という趣旨のエアのナレーションで物語が始まるんですが、最初は何かの比喩表現だろうと思いながら観ていたら、この子本当に神の子でした

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 画像出典元URL:http://eiga.com/ 主人公のエア(ピリ・グロワーヌ)

そんなエアのお父さん(神様)は、非常に「人間? の小さい」嫌なおっさんで、家族に対しても威圧的。
エアはそんな父親の横暴に耐えかねて、家出してしまう――という物語です。

登場キャラクター

で、この神様一家がどんな家族かというと、

父親(神様)は無精ひげを伸ばして、チェックのネルシャツにねずみ色のTシャツ姿。世界を管理してるんですが色々飽きちゃってて、人間を争わせたり、天災を起こしたり、マーフィーの法則的な小さな不幸をばら撒いて憂さ晴らししているという嫌なオッサン。
家族に対しても威圧的でモラハラでDVな最低オヤジで、そんな父親に嫌気がさしたJC(イエス・キリスト)は家出してキリスト教を起こすんですねw

お母さんは女神なんですけど、頭の回転が遅くて旦那の言いなり(神に何かされてる?)刺繍と集めた野球カードを集めるのが趣味という中年のオバサン。

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画像出典元URLhttp://eiga.com/ 左から父親(神様)・母親(女神)・エア(娘)

お兄さんのJCは、多分2017年前くらいに家出して、後にキリスト教を起こすも死んじゃってるんですが、密かに置物(キリスト像)として家に帰ってて、エアの家出にアドバイスと協力をするんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ 兄(キリスト)と密談するエア

で、エアはJC兄さんのアドバイスに従い、父親が世界を管理してるパソコンをいじって世界中の人間に余命をメールで一斉送信したあと、父親がパソコンをいじれないように細工(父親は機械音痴)して、家の洗濯機から下界に家出。
6人の使徒と会って、『新・新約聖書』を作ろうとするわけです。

そんなエアが起こせる奇跡は、
1・人間の体の中に流れる音楽が分かる。
2・動物と話ができる。
3・ハムサンドを増やせる。(失敗率高し)

くらい。(後に水の上を歩けるようになる)
まだ10歳ですからね、起こせる奇跡はごくわずかなんですねー。

6人の使徒

さて、そんな下界はといえばエアがみんなの余命をメールしたことで、諸々影響がでてるんですね。
そんな中、彼女が無作為に選んだ使徒はと言えば、

夫と冷めた関係の寂しい主婦でゴリラと恋に落ちるマルティーヌ。
人間の余命を知って、保険屋からこっそり殺し屋に転職するフランソワ。
自分の余命を知って、性欲を開放したら破産したマルク。
小さい頃に片腕を失い、モテモテだけど孤独なオーレリー。
冒険家を諦めて会社員になったけど、余命を知って冒険の旅に出るジャン=クロード。
余命を知って、女の子になりたいとカミングアウトした少年ウィリー。

そこに、エアからの指名で「新・新約聖書」を書くことになったホームレスのヴィクトール。

エアは小さな奇跡で、そんな彼ら彼女らの孤独な心を救っていくんですね。

原作は聖書!?

本作の、神様、キリスト、エアのキャラクター造形は、それぞれ聖書に準えてるらしいんですね。

神様が意地悪なのは「旧約聖書」が元になってるからで、旧約聖書の神様は嫉妬深くて威圧的で、「他の神を信じたり俺様に逆らうやつは殺しちゃうから」的な描かれ方らしいんですね。(間違ってたらスイマセン)
で、キリストの新約聖書はお馴染み「汝の隣人を愛せよ」という、許しと慈悲の教えですよね。だからオヤジとはそりが合わないわけです。

でも、キリストの力だけでは、父親の作った世界は変えられないってことで、キリストは妹に新しい聖書を作れと、そういう物語……なんだと思います。多分。

つまり、本作はキリスト教が抱える矛盾点(旧約聖書新約聖書)にツッコミを入れてる映画だ(意訳)と、映画評論家の町山智浩さんはラジオで話してますね。

そもそも、世の中から不幸が消えないのって、神様がアレだからじゃね? とw

そんな感じでキリスト教のタブーっぽい部分を皮肉ったコメディーでありつつ、本作では現代社会における人間の存在意義や、命のあり方や、マイノリティー、孤独などなど、わりとシリアスで重いテーマを、コメディーのパッケージででラッピングしたポップで可愛らしい物語にしてるんですねー。

本作はベルギー映画で、フランスとルクセンブルグとの合作なんですが、コメディー部分やストーリーもアメリカ映画と違ってて、(いい意味で)ヨーロッパ映画だなーって感じです。

多少中弛みしてる感はあるものの、ラストのオチもハッピーで可愛くて面白いので、男性も女性も楽しめるんじゃないかなーと思いましたよ。

あ、そうそう。
あと本作のもう一つの見所は、劇中登場するケヴィンです。
EDの最後にも登場するので、最後まで方がいいですよー。(´∀`)

興味のある方は是非!

 

新三部作完結編。ヤングX-MENが大暴れ! 「X-MEN:アポカリプス」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開された『X-MEN:アポカリプス』ですよー!
X-MENシリーズとしては6作目にして、時代を遡って若き彼らの活躍を描くトリトジーシリーズ3部作の完結編でもあります!

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あらすじと概要

ヒットシリーズ『X-MEN』の第6弾にして完結編。数千年の眠りから目覚めて人類に新しい秩序をもたらそうとするミュータントのアポカリプスに、プロフェッサーXらX-MENが立ち向かっていく。監督は、シリーズ第1作、第2作、第5作も手掛けたブライアン・シンガー。『フィルス』などのジェームズ・マカヴォイを筆頭に、マイケル・ファスベンダージェニファー・ローレンスオスカー・アイザックと実力派スターが結集する。VFXを駆使した壮絶なバトル描写の数々に加えて、X-MEN結成をめぐるエピソードにも注目。

ストーリー:1983年。文明が誕生する前から神として君臨していた、ミュータントの始祖でもあるアポカリプス(オスカー・アイザック)が、突如として長い眠りから覚醒する。数千年ぶりに目にした人間とその文明が、誤った方向に進んでしまったと考えた彼は新しい秩序が必要だと判断。マグニートーマイケル・ファスベンダー)など、4人のミュータントを率いる。彼の存在と考えを知ったプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)は、ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)らと共にその行動の阻止に挑むが……。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

僕が「X-MEN」シリーズを観始めたのは、トリロジーシリーズ第一弾「~ファースト・ジェネレーション」からなんですね。
それまではぶっちゃけX-MANには全然興味がなくて、キャラクターもウルヴァリンくらいしか分からない状態だったんです。

ただ、「~ファーストジェネレーション」は、X-MEN結成の物語という噂だったので、それじゃぁ観てみるかと劇場で観たんですが、これが面白かったんですよねー!

で、前作「~フューチャー&パスト」も劇場で観たんですが、こちらは何だかごちゃついてて、ニワカファンの僕には少々分かりずらく。

なんで、本作はどうしようかなーと思ってたんですが、DVDがレンタルされたので思い切って観ることにしました。

ざっくり解説

まず、X-MENをまったく知らない人のためにざっくり概要を説明すると、
超能力者チーム X-MENが、悪い超能力者と戦うヒーローシリーズです。
ただ、それだけじゃなくて、超能力者(ミュータント)は人間に差別・迫害を受けているという設定。
これは、米国の公民権運動に準えていて、超能力者=黒人やユダヤ人などマイノリティーのメタファーなんですね。
X-MENのボス、プロフェッサーXは人間との共生を望む鳩派で、敵役のマグニートは暴力で自分たちの居場所を獲得しようとする鷹派です。(キング牧師マルコムX的な)

これまで、旧3部作、ウルヴァリンが主役のスピンオフ3部作、そして本作を含むX-MENの過去を描いた新三部作(トリロジーシリーズ)が公開され、今年ウルヴァリン主役の「ローガン」が公開されます。

本作の敵

本作で登場する敵は、世界最初にして最強のミュータントであるアポカリプス。

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この男、自らを神と名乗り古代エジプト文明を支配していて、年を取ると謎の技術で若い身体に魂を入れ替えることで、生き長らえているんですね。
そんな、彼が手に入れたのは、不老不死の肉体。
「これで永遠にこの世界を支配できるぞー!」と魂入れ替え作業に入った彼ですが、兵士の反乱によって、崩れ落ちたピラミッドの中に閉じ込められてしまいます。

それから数千年経った1983年のある日、そんな彼が目覚めることで地球は危機に陥り、お馴染みX-MENのメンバーたちがこのアポカリプスと戦うというという物語です。

圧倒的な映像

個人的に面白かったシーンは、まず冒頭の兵士の反乱シーン。
アポカリプスとお付の4人がピラミッドに入って、魂の入れ替えを始めたのを見計らった兵士が、やおら石柱を叩き折る→その上に設置されていた巨石がピラミッドの中に滑り落ちていく→ピラミッドを支える石が巨石で破壊され、それが次々連鎖してピラミッドが崩れるんです。

もうね、ピラゴラスッチかと。

あと、X-MENの見所といえばミュータントの超能力描写ですが、本作で際立ってたのは、テレポート能力を持つナイトクローラーと、前作にも登場した超スピードで動けるクイック・シルバーですねー。

ナイトクローラーは、まるで悪魔みたいな見た目で、テレポートするとき、ボフっという音がして、元いた場所に黒い霧みたいなのが残るのが良かったなーと。
戦いの時に、テレポートで相手の攻撃を交わす描写はカッコよかったし新鮮でした。
あと、悪魔っぽい見た目なのに、基本、気が弱くてヘタレなのもポイント高かったですねー(´∀`)

それと、前作では少なかった、クイックシルバーの高速移動描写が、本作ではたっぷり描かれてたのも嬉しかったです。
X-MENの基地と、ミュータントの子供たちの学校も兼ねた「恵まれし子らの学園」にアポカリプス一味が乗り込んできて、建物が大爆発するんですが、そこにたまたま到着したクイックシルバーが、学園の中にいる子供やメンバーを助けるんですね。

爆発の炎や子供達はまるで止まっているみたいに見える中、クイックシルバーだけが早回しみたいに動きまくって、爆発からみんなを守る様子はユーモアもあり、人々を救うヒーロー像もしっかり体現してましたねー。

このクイックシルバーの活躍するシーンの撮影だけで、3ヶ月近くかかったというから、このシーンの映像に対するスタッフの意気込みが伝わります。

一方ストーリーは

前作「フューチャー&パスト」は、未来の世界でミュータント殺害ロボが暴走。それを止めるためにウルヴァリン(の魂?)が過去と未来を行ったり来たりするみたいな物語で、正直ニワカファンの僕にはかなり分かりづらかったんですが、本作は割と一本道のストーリーなので分かりやすいなーと思いましたねー。
まぁその分、現実に起こった歴史的事件とリンクさせる「ファーストジェネレーション」のような面白さはなくて、普通のヒーローものっぽくなっちゃってましたけども。
あと、とにかく登場人物が多いのと、原作ファンでないとキャラ同士の関係性がイマイチ掴みずらいかもしれないなーと思ったりしました。

それに、正直ちょっと長いなーと。
なんたって144分もありますからね。
ただ、どこかのシーンを削ってしまうと、新規のファンには物語やキャラクターが分かりにくくなるだろうから、難しいとこですけども。
他にも細々「あれ?」と思うシーンもありましたけど、個人的にはそれほど気にならなかったかな?

敢えて言うなら、全体的にスリルが足りない感じはしましたかねー。
こう、ミュータント同士のイザコザ→人間置いてきぼり=他人事みたいな感じで、何が起こってて、どのくらいヤバイのかがイマイチ伝わってこないんですよね。

ただ、前述のように映像はスゴいので、それだけで十分楽しめちゃうんですけどね。
例えばX-MENを全く知らない状態で本作を観ても、多分それなりに楽しめちゃうんじゃないかなーなんて思いましたよ。

興味のある方は是非!!

 

絵本がそのまま動き出したようなアニメ映画「くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ」(2015) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、本国フランスでは2012年、日本では2015年に公開されたフランスの長編アニメ映画『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』ですよー!

まるで絵本がそのまま動いているような、可愛らしい作品ながら、風刺も効かせて子供から大人まで楽しめる素敵な作品でしたー!

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あらすじと概要

ベルギーの絵本作家ガブリエル・バンサンの代表作で、世界中で親しまれている「くまのアーネストおじさん」シリーズをアニメ映画化。無愛想で大きなくまの音楽家アーネストおじさんと、小さなネズミの女の子セレスティーヌの出会いと冒険、そして種の違いを超えて育まれる関係を描く。優しいタッチでつづられる心温まるストーリーは、第86回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた。

ストーリー:大きなくまの音楽家アーネストおじさんは空腹でゴミ箱をあさっていたとき、小さなねずみの女の子セレスティーヌを見つけて食べようとする。その後セレスティーヌは、アーネストに菓子屋の倉庫に潜り込む方法を教え、難を逃れた。やがて両者の間には、種の違いを超えた友情が芽生えるが……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

僕は原作の方は、表紙を見かけたことがあるかなー? くらいで読んだことは一度もなく、恥ずかしながら本作もまったくのノーチェックでした。。
で、ネットのお友達に教えて貰い今回初めて観たんですが、これ、すごくね?

と思ったら、第86回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされてたんですねー。

本作の世界観

まず、本作の世界観をザックリ説明すると、この世界ではくまとねずみがそれぞれ地上と地下に棲み分けていて、お互い対立しているんですね。

双方それぞれに文明的な暮らしをしているので、雰囲気的にはディズニー・ピクサーの「ズートピア」の世界観を連想する方も多いかもしれません。

そして、本作の主人公は、無愛想で嫌われ者のくまアーネストと、絵を描くのが好きで、園長先生の語る恐ろしい熊像に疑問を持つねずみの少女セレスティーヌ。
周囲に馴染めない二人は、互いの世界でそれぞれ一人ぼっちなんですね。

ねずみの世界の文明を支えているのは、丈夫な前歯。
孤児のセレスティーヌたちは、夜中地上でくまの家に忍び込み、子ぐまから抜けた乳歯を盗んでくるのが仕事で、彼女らが盗んできた丈夫なクマの歯を加工して、前歯の抜けたねずみの差し歯にしているんですね。

一方のアーネストは、人里離れたボロ屋に住む音楽家。
食べ物がなくなると街に出てきて、路上パフォーマンスをしてお金や食べ物を貰っているみたいです。ただ、路上でのパフォーマンス(というかほぼ物乞い)行為は禁止されてるらしく(迷惑行為なのかな?)、警察に見つかると捕まっちゃうっぽいんですね。

そんな二人が偶然出会うものの、ある事がキッカケで二人はくま、ねずみ、それぞれの世界からお尋ね者になってしまうという物語です。

CGと手書きのいいとこ取り?

今や、ディズニーピクサーを筆頭に海外は3DCGアニメが主流ですが、本作はそんな流れに逆行するように、まるで水彩の絵を動かしている手書きアニメのような味わいがあります。そのルックに高畑勲監督の「かぐや姫」を連想する人もいるかもですが、実はこの作品はキャラ造形はPCで、背景などは水彩で描き、コンピューターで合成しているようです。

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また、特にねずみの世界の描写や、ねずみのおまわりさんが大挙して押し寄せるシーンなんかは、宮崎作品を連想させるんですが、本作がデビュー作バンジャマン・レネール監督はインタビューで、宮崎監督の「ルパン三世 カリオストロの城」に影響を受けていると語っていて、なるほどなーって感じですね。

さまざまなメタファーと風刺が効いた大人にも楽しめる作品

そんな絵本の世界をそのままアニメにしたような、可愛らしくてワクワクしてしまう本作ですが、ただ可愛いだけの物語ではありません。
くまとねずみに置き換えてはいるものの、本作は人間社会を寓話化した作品で、民族対立を主軸に、同調圧力や、価値観の押し付けなどの風刺が随所に組み込まれていて、それらが本作のスパイスにもなっているんですね。

セレスティーヌは絵描きに、アーネストは音楽家に憧れますが、ふたりの周囲は絵も音楽も無価値なものとして認めようとしません。
中盤、一緒に暮らすことになった二人ですが、セレスティーヌの絵を初めて認めてくれて、どんどん描かせてくれるのがアーネストなんですね。

あと、ピリリと皮肉が利いてるなーと思わず笑ってしまったのが、序盤でセレスティーヌが忍び込んだくまの家でのエピソード。
乳歯が抜けた子供に、母親が「ねずみの妖精が、歯とコインを交換してくれる」的な話をするんですが、セレスティーヌを見つけると悲鳴を上げて追い出そうとするんですよね。

そんな人間社会が抱える様々な問題を組み込みながら、本作は極めてシンプルに80分という短い時間で観せてくれるんですねー。
なので、小さな子供から大人まで楽しめると思うし、もしお子さんがいらっしゃる方は、是非是非親子で観て欲しい作品だと思いました!

興味のある方は是非!!

 

今更ながら観てみた「ボーンシリーズ/アイデンティティー・スプレマシー・アルティメイタム」(2003/2005/2007) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、マット・デイモン主演のスパイアクション映画「ボーン・アイデンティティー」「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」の、ジェイソン・ボーン三部作ですよー!

恥ずかしながら僕は「ボーンシリーズ」は今回が初見なので、今更ながらフレッシュな感想をお届けしますよー!w

 

概要

米国の小説家、ロバート・ラドラムの代表作『暗殺者シリーズ』の実写映画化。
記憶を失ったCIAエージェント、ジェイソン・ボーンと、機密保持のために彼の命を狙うCIAとの死闘を描く。

主演は演技派俳優として評価の高いマット・デイモン

 

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ボーン・アイデンティティー

あらすじ:ある嵐の夜、イタリアの漁船が洋上に漂う意識不明の若い男を発見する。
引き上げられたその男の背中には弾痕があり、皮下にはマイクロカプセルが埋め込まれ、それにはスイスの銀行の口座番号が印されていた。男はなんとか息を吹き返すが、記憶を失っており、自分の名前も分からない状態だった。
数週間後、彼は身元の唯一の手掛かりであるスイスの銀行に向かう。その貸金庫にはジェイソン・ボーン名義を含め6ヵ国のパスポートや大金、そして拳銃が入っていた。やがて暗殺者たちに狙われ始めた彼は、偶然出会ったマリーの協力を得てパリへと向かうのだったが…。(allcinema ONLINEより引用)

感想

まず最初に思ったのは、マット・デイモンが若いなーとw

そりゃあ、13年前の映画なので当たり前と言えば当たり前なんですが、彼ってなんとなくデビューの時から変わってない印象があったんですよね。
でも、こうして13年前の映像を観ると「マット・デイモンも年を取ってるんだなー」なんて感慨に浸ってしまいましたよ。

本作では、そんな若きマット・デイモン演じるジェイソン・ボーンが海で漁船に引き上げられるところから始まります。
一命を取り留めたジェイソンですが、記憶を失ってるんですね。
身元の分からない彼が唯一身につけていたのが、お尻の皮膚の下に埋め込んであったマイクロカプセルで、そこにはスイス銀行の口座番号が。
そこから、ジェイソン・ボーンの「自分探し」の旅が始まっていくという物語。

そして、彼の命を狙うヒットマンを返り討ちにしながら、偶然知り合ったマリー(フランカ・ポテンテ)の協力を得つつ、彼は自分の正体に近づいていくわけです。

マット・デイモンの主演には賛否があったようですが、僕はボーン=マット・デイモンは合ってるなーと思いましたねー。
彼の、良く言えば普通のあんちゃんぽい、悪く言えば少しぬぼーっとした感じと、いざ敵を目の前にした途端、スイッチが切り替わったみたいに「暗殺マシーン」へと変貌するギャップが、本作のジェイソン・ボーンというキャラクターにぴったりハマっていたと思いました。

また、観客がジェイソン・ボーンとほぼ一緒に、謎を解明していくストーリー展開も実に上手いなーと思いましたねー。
アクション自体も「アクションのためのアクション」ではなくて、それぞれ意味があるというか、ジェイソン・ボーンが只者ではない→凄腕のエージェントであると徐々に明かされる映像的な説明の役割も兼ねているのも個人的にはツボでした。

 

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ボーン・スプレマシー

あらすじ:ジェイソン(マット・デイモン)とマリー(フランカ・ポテンテ)は人目を避け、インドのゴアで暮らしていた。相変わらずジェイソンの記憶は戻っていなかったが、町で見かけた男(カール・アーバン)が暗殺者と気づき……。(シネマトゥディより引用)

感想

本作が公開されたのは前作『ボーン・アイデンティティー』から二年後ですが、劇中も同じ二年後の物語になっています。
前作で恋人になったボーン&マリーの二人は、インドのゴアで暮らしているんですが、ボーンは相変わらず記憶喪失のままで、過去のフラッシュバックに苦しんでいます。
そんなある日、街で見かけた男が暗殺者だと気づいたボーンは、マリーと共に街を逃げ出そうとするも、男の狙撃によってマリーが死亡。

男の正体を探り復讐するために、ボーンは再び戦いの中に身を投じる。
というストーリー。

前作と比べると、トーンの暗い作品となった本作ですが、続編として前作の物語を引き継ぎつつ、アクションや作品の規模も前作よりアップしています。
また、記憶喪失のボーンが、僅かな手がかりを辿りながら真実を究明していく謎解き要素を引き継ぎ、『過去に追われる男』という負の面を表、陰影を強調した画面も、前作よりハードボイルド感があっていい感じでしたねー!

今回メガホンを取った、ポール・グリーングラス監督はイギリス出身で、血の日曜日事件を描いた『ブラディ・サンデー』で一躍注目され、本作の監督に抜擢。
手持ちのハンディーカメラで寄って撮影することで、前作以上に迫力のあるアクションやサスペンスを演出しています。

ただ個人的には、迫力を優先して引きの画が少ないので、大掛かりで複雑なクライマックスのカーチェイスでは、何が起こっているのかが少々分かりづらかったのが残念ポイントでしたねー。

ただ、ストーリー的にも映像的にも緊迫感が増していて、『続編映画』としては申し分ない面白さだったと思いましたねー。(´∀`)

 

 

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ボーン・アルティメイタム

あらすじ:自分を暗殺者に仕立てあげたCIAの極秘プロジェクト、“トレッドストーン計画”などに関する取材を進めていた新聞記者ロス(パディ・コンシダイン)とロンドンで接触しようとしたボーン(マット・デイモン)。しかし、CIAの現地要員に監視されていたロスは、若い暗殺者(エドガー・ラミレス)に狙撃されてしまう。(シネマトゥディより引用)

感想

アイデンティティー」「スプレマシー」に続く、ジェイソンボーントリロジー(初期三部作)完結編です。
ボーン役のマット・デイモン、CIAのパメラ・ランディ役のジョアン・アレン、ニッキー・パーソンズ役のジュリア・スタイルズなど、前作から引き続きのキャストも多く、また監督も前作「スプレマシー」から引き続きポール・グリーングラスがメガホンを取りました。

本作は、前作ロシアでのシーンの続きからスタートします。
つまり「スプレマシー」と本作は、時系列が重なっている作りなんですね。
今回も各国の駅や市場など人ごみの中でのチェイスやアクションは健在。
 さらに、ボーンが新聞記者を携帯で誘導したり、モロッコでは建物の中と屋根や屋上などを使った立体的なアクションも登場、前二作より更にアクションに力を入れた印象を受けました。

個人的にはあまり好みじゃないんですが、ハンディーカメラで寄って撮影し、細かいカット割りでスピード感を増す演出も健在。
ドキュメンタリータッチの迫力あるアクションとチェイスが釣瓶打ちで、正直最後の方はお腹いっぱいになりましたよw

その分、前二作が重きを置いていたリアリティーのある描写は薄まってしまった印象もあって、グッとエンタメ方向に舵を切った感じも無きにしも非ずですが。

物語的には最終章だけあって、ついにジェイソン・ボーンの誕生秘話が明かされます。
そして、ここまで謎だった黒幕も登場、いよいよ最終決戦です。

一番印象的だったのは、「アイデンティティー」ではチョイ役だったニッキーが、「スプレマシー」、本作と、章を重ねるごとに出番が増えて重要な役になっていったことでしょうか。
本作では、ボーンの元カノだったのかもと思わせるようなやり取りをしたり、「アイデンティティー」でのマリーと対になるようなシーンもありました。
前作のラストでのパメラとボーンの会話シーンが、本作でカギとなる演出も気が利いてるなーと思ったりしましたねー。

正直、今回明かされるジェイソン・ボーンの誕生秘話は、え、そんな感じ? と肩透かし感がなくもなかったですが、その辺は、アクションやチェイスなどの観せ方とテンポのいい編集で最後まで一気に突っ走った感じですね。

アイデンティティー」のオープニングと対になる、本作のラストシーンも綺麗に締めたなーと思いましたよ。(´∀`)

 

総括

ファンの人からすればホント、「今更なに言ってんだ!」って感じでしょうが、今回初めて三本を通して観た感想としては、やっぱマット・デイモンが良かったですねー。
そして、このジェイソン・ボーントリロジーが、その後のスパイアクション映画に大きな影響を与えたのは、ダニエル・クレイグ版の007を観ても間違いないかなと。

それまでの、激しい中にもスマートで華やかさがあるアクションが当たり前だったスパイものとは逆ベクトルの、泥臭くて暗くて人間臭い主人公、ジェイソン・ボーンというキャラクターは、ある意味でそれまで停滞していたスパイ映画というジャンルを復活させる起爆剤でもあり、新たな発明と言っても過言じゃないのかもしれません。

まぁ、ジェイソン・ボーンの影響がでかすぎて、揺り返しみたいに「キングスマン」のような荒唐無稽スパイものが登場するわけですがw

ともあれ、まったく文句がないわけじゃないですが、ジェイソン・ボーントリロジー三部作、個人的にはかなり面白かったですよー!

(今更ですが)興味のある方は是非!

 

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