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「モンキーマジック 孫悟空誕生」(2015) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、今や香港アクション映画界の大スター、ドニー・イェン主演の大作映画「モンキーマジック 孫悟空誕生」ですよー!
パッケージを見て、なんとなく地雷臭がしたものの、ドニー・イェンが主演ならとレンタルしたら見事に地雷を踏んでしまいましたw
なので、今回は概ね悪口ばかりになっちゃうと思いますので、本作を好きな人は読まないほうがいいと思います。(ゴメンね)

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画像出典元URL:http://eiga.com/

概要

2014年度の春節(旧正月)1月31日にファミリー映画として中国本土で公開されるや、初日だけで1億2300億元(約20億5000万円)を記録した大ヒット映画。
西遊記」の前日譚として、孫悟空が誕生するまでを描いている。
孫悟空役のドニー・イェンを始め、チョウ・ユンファ、アーロン・クォックなど、豪華スターが出演していることでも話題を呼んだ。(らしい)
監督はソイ・チェン。

 

あらすじ

遥か昔、天界、魔界、人間界の三界を天界の神が収めていた時代に、天界の支配に反旗を翻した牛魔王(アーロン・クォック)率いる魔界と、天帝(チョウ・ユンファ)率いる天界の全面戦争があり、辛くも天界が勝利。

天帝の妹で牛魔王を愛する鉄扇公主(ジョー・チェン)の懇願で、命は助けられたものの、二人は火焔山に追放されてしまう。

破壊を受けた天界は創造の女神女媧(じょか)の放つ五色の石によって修復されることとなったが、その途中神聖な石の欠片が下界の花果山(かかざん)に落ちて命を宿し、やがてそこから生まれた一匹の猿(ドニー・イェン)がその地で猿の王となった。

その事を知った観音菩薩ケリー・チャン)は仙人である須菩提祖師(すぼだいそし/ハイ・イーティエン)にこの猿を正しい道に導くよう頼み、須菩提祖師の弟子となった猿は孫悟空と名付けられ、様々な術を取得する。

しかし、他の弟子たちといざこざが絶えなかった悟空の未来を案じた須菩提祖師は、悟空を花果山に戻し、孫悟空は仲間の猿たちに煽てられ美猴王と名乗るようになる。

一方、天界転覆を諦めていない牛魔王は、野心家の二郎神(ピーター・ホー)と孫悟空を利用し、密かに天界転覆計画を進めていく……。

 

感想

西遊記の前日譚と言えば、チャウ・シンチー監督の「西遊記~はじまりのはじまり」が記憶に新しいんじゃないかと思います。

西遊記~」が三蔵視点の前日譚だったのに対し、本作は孫悟空が「西遊記」の孫悟空になるまでのストーリーなんですが、少なくとも僕の知っている孫悟空とは随分キャラが変わっていました。僕の知ってる孫悟空はハチャメチャで手の付けられない暴れん坊。天帝は敵で何とか悟空を退治しようと躍起になるも、強すぎる悟空をどうにもできず、弥勒菩薩に頼んで封印してもらう。みたいなヤツだったんですが、本作の悟空は、善悪の区別がつかないトコはあるけど、基本子供のように純粋でいいヤツになってるんですね。

最終的に天界を襲撃するのも牛魔王に騙されて、仲間の仇討ちということになってるし。原作では敵だったはずの天帝とも大の仲良し。
観音様を始め、周りのみんなに甘やかされてます。

なので、どうにもストーリーが飲み込みづらいんですよねー。

一応、孫悟空になるのに必要なアイテム(如意棒や筋斗雲)を持つためのエピソードは原作に習ってるんですが、悪たれで自分の欲望に忠実ってわけでもなく、行動原理は全部、仲間のためなんですよね。

東海竜王の収める宮殿、竜宮に行って、如意棒や衣装を半ば強引に『借りてくる』ときに、竜宮破壊したり大津波を起こしても、仙桃(天界の偉い神様が食べる桃)を食べ荒らしても、最終的に天界の宮殿を破壊しまくっても、師匠、天帝、観音様は「まぁまぁ、子供のすることですから」「あいつはまだ、良いことと悪いことの区別かつかないだけなんだよねー」なんて甘やかしまくり。

長男の初孫くらい甘やかされてます。

一方、悪役の牛魔王は、一度は敗れた天界に、もう一度戦いを挑みたいんだけれど、天界の入口には魔族が入れないように女媧の張ったバリヤがあるので入るには入れない。そこで彼は女媧バリヤの効かない悟空(元々女媧の石から生まれてるから魔族ではない)や二郎神(強者だけど門番をさせられてる)を騙し、なんとか女媧バリヤを壊すように仕向けるんですね。

こうやって書くと悪役っぽいんですが、彼が天界を支配したい理由は、天帝の妹なのに自分をかばったばかりに火焔山に落とされた嫁さんを、もう一度天界で暮らせるようしてやりたいっていうね。

こうなっちゃうと、悪役らしい悪役がいなくなり、結果、野心家の裏切り者設定にされた二郎神一人が貧乏くじを引くことに。
原作では観音様の推薦で、暴れん坊の悟空を追い詰めて捕まえる英雄的なキャラのはずなんですけどねー。うーん?

あと、気になったのは、悟空、普通に飛んでるんですよね。

筋斗雲に乗って~じゃなく、ほんと普通に飛んだり、フワフワ浮いた状態で戦ったりします。お前、筋斗雲いらないだろ

万事がそんな感じで、ノイズが多すぎて物語に入り込めないんですよね。
キャラクターの配置も性格づけも、西遊記本編に繋げるためのカキワリっぽい感じで何か薄っぺらいし。

それとも、僕の知らないだけで、西遊記の別バージョンがあるのかなー?

あと、本作ではCGが多用されてるんですが、全体的にクオリティーは低いです。
特に天界はオールCGなんですが、全体的になんかふわふわしてる感じで、質量を感じません。

さらに、妖怪の皆さんは明らかに着ぐるみで、そのクオリティーもビックリするくらい低い。なんかもう、ちょっと笑っちゃうくらいの着ぐるみ&被りもの感。

で、そのCGバリバリの天界で悟空はずっと飛びながらアクションするわけですが、(多分凄いことしてると思うんですけど)なんかもう、CGに紛れちゃってドニー・イェンの身体的スゴさが全然伝わらないんですよ。

せっかくドニー・イェン孫悟空なのに、アクションのスゴさが伝わらないのは大きなマイナスだと思うんですよね。
っていうか、何のためのドニー・イェン器用なのかと小一時間問い詰めたい

ただ、本作のためにドニー・イェンは動物園に行って猿の動きを研究してたそうで、一つ一つの動きは見事に猿でした。
それに、孫悟空のお茶目さやひょうきんさを出すために、普段より高い声を作って演じたり、ちょっとした表情にも愛嬌があったり。(京劇の孫悟空を意識してるのかもですね)
ただし、ストーリーには一切プラスに働いてませんが……。

こっちは孫悟空にもドニー・イェンにも可愛さは求めてないんだよぉぉ!!(涙

本作は約2時間あるんですが、キャラ変更の所為で物語は飲み込みづらいし、辻褄合わせに時間を取られてるしで全体的にダラダラとテンポも悪く、なので結果、映画的カタルシスもあまり感じられませんでした。
ファミリー向けの映画だから、あまり暴力的だったり道徳に反するような孫悟空に出来なかったのかもですが、それにしてもちょっと……という仕上がり。
なんか、今度は牛魔王役のアーロン・クォックが孫悟空役になり、続編も作られるらしいんですが、本作を見る限り、もう、いいかなーって感じでした。

そんな訳で、個人的に本作はまったくオススメ出来ません。
日本人的には、チャウ・シンチーの「西遊記~はじまりのはじまり」の方が、多分違和感ない孫悟空だと思うし、大人ならこっちのほうが楽しめるんじゃないかな。
小さなお子さんには、本作の方がいいかもしれませんね。

 

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