ぷらすです。
本日ご紹介する映画は、京都のビデオ制作会社? が8万円のデジタルカメラで作ったというインディペンデント映画『拳銃と目玉焼き』です。
僕はTwitterのTLに情報が流れてきてこの映画を知ったんですが、タイトルとポスターのビジュアルが妙に引っかかって、レンタルしてしまいましたよー!
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/
概要
京都・伏見でビデオ撮影業を営む安田淳一監督が、「やりたいことをやろう」と私財をつぎ込んで3年がかりで制作したインディーズ作品。
自主制作映画とは思えないレベルの高い作品で、脚本・撮影・編集まで監督自身が手がけ、自ら交渉し手回り劇場上映にこぎつけた。
主演は小野孝弘。他に、ゆうき哲也・田中弘史・紅 萬子らベテラン俳優陣が脇を固める。
あらすじ
新聞配達員の志郎は、行きつけの喫茶店に務めるユキ(沙倉ゆうの)に片思いの中年男。
ある日、志郎は町工場の社長、阪本(田中弘史)がオヤジ狩りに合う現場を見て思わず助けに入るものの、若者たちにボコボコにされてしまう。
偶然パトカーが通りかかり、その場は事なきを得たものの、腹の虫が収まらない阪本は、志郎に若者たちへの復讐を持ちかける。
感想
本作は、TwitterのTLで偶然知って、興味を持ったんですが、その後すぐに全国のTSUTAYA&ゲオでレンタルが開始されることを知って、今回思い切って観てみることに。
自主制作映画と聞いて地雷映画かもと覚悟して観たんですが、蓋を開けてみれば想像したよりもずっとずっと完成度の高い面白い作品でした。
例えるなら、マシュー・ボーンの「キックアス」やジェームズ・ガン「スーパー!」などのボンクラヒーローものの系譜にある作品で、うだつの上がらない男がヒーローになるまでを描いています。
しかし、ほかの作品と大きく違うのは、主人公 志郎がヒーローになる動機で、彼は片思いしている女の子に褒められたい一心で、ヒーローを目指すんですね。
というのも、志郎はユキ目当てで喫茶店に通っているものの、気が弱く彼女にまともに声もかけられないような男で、たまたま助けた形になった阪本が喫茶店を訪れて、話を盛ったことでユキが褒めてくれたことにすっかり舞い上がり、じわじわとヒーローに目覚めるっていう設定なんです。
その後、阪本の誘いを断りきれずに、せめてもの防御策としてバイクのプロテクターをネットで購入。それを身につけてオヤジ狩りの不良少年グループと戦い、辛くも勝利した志郎。
この時点ではユキに正体を隠していて、このニュースを新聞で知ったユキが、謎の変人(と新聞に書かれた)を褒めたことで彼のヒーロー熱が上がり、より強力な装備を求めて、趣味のプラモ作りの腕を活かしてプロテクターを強化したり、体を鍛えたりしつつ徐々にヒーローになっていく様子を丹念に描いていきます。
この序盤から終盤にかけての展開は少々冗長で、正直ダレてしまうんですが、終盤、物語が動き始めてからは、序盤から中盤の展開が『前フリ』として活きてきて、グッと盛り上がります。
とはいえ、実戦経験は不良少年との一度だけ。体を鍛えると言っても、その辺をランニングしたりシャドウボクシングの真似事をしたりする程度なので、実力は全然上がらず、大事なところでヘマをして敵にボコられたりと、最後まで情けないヒーローではあるんですが、気の弱いボンクラ中年男がお手製の装備で惚れたユキのために、敵に挑む姿に、同じボンクラ中年の一人として感情移入せずにはいられません!
本作はインディー映画ながら、おもに関西圏で活躍している本職の役者さんを器用しているので、お芝居的にはメジャー映画と遜色なく見られし、監督は元々映像畑の人ということもあり、全体的に安っぽさは殆ど感じません。ストーリーもしっかりしていて、下手なメジャー映画よりもずっと面白いくらいですよ。
終盤での敵とのアクションには、しっかりヒーロー映画のカタルシスもあって盛り上がりますし、童貞中年男の悲哀もしっかり描かれてます。
難を言えば、序盤から中盤にかけてが少々もたついているのと、EDのあとに挿入されているラストシーンは正直蛇足だなって思いました。
全体的にストーリーをシェイプして、90分くらいに収まればもっともっと面白くなったような気がするので、そこだけがもったいないなーと思うトコロではありますが、本作は、日本発のボンクラヒーロー映画としては、間違いなくトップレベルだと思います。
なんて、ちょっと褒めすぎてハードルが上がっちゃうと観たときにガッカリするかもなので、あまりハードルを上げず、インディペンデント映画ということを頭の片隅に置いて観ていただければいいんじゃないかなって思います。
興味のある方は是非!