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「日々ロック」(2014) 感想

ぷらすです。
今回ご紹介するのは、「週刊ヤングジャンプ」に2010年~2015年まで不定期連載されていた榎屋 克優さんの同名漫画の実写化作品『日々ロック』ですよー!
監督が入江悠さんということで、期待して観たんですが、さて、いかに!?

 

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画像出典元URL:http://eiga.com/

概要

週刊ヤングジャンプ」に2010年~2015年まで不定期連載されていた榎屋 克優の同名漫画の実写化作品。
監督は、インディーズで時代に『SRサイタマノラッパー』3部作を手がけた入江悠。
主役のロック青
年 日々沼 拓郎役を野村周平スーパーアイドル宇田川咲役を二階堂ふみが演じる。

 

あらすじ

高校時代はいじめられっ子で、東京に出てきたものの、場末のライブハウスに住み込みで歌うのが精一杯の最底辺バンド『ロックンロール・ブラザーズ』が、ライブハウスオーナーの姪でスーパーアイドルの宇田川咲との出会いを通して、本当のロックに目覚めていく物語。

 

感想

本作の原作漫画を僕は全く読んでないんですが、それでもこの作品に興味を持ったのは、監督が入江悠さんだと知ったからでした。
入江さんは自主制作のインディーズ映画出身の監督ですが、インディーズ時代に田舎のラッパーたちの青春を描いた傑作『SRサイタマノラッパー』三部作を手がけ、自主制作映画としては異例の大ヒットを飛ばした人です。

スターやプロには全く関わりのない田舎の青年たちが、小さなプライドをズタズタに傷つけられ挫折したり、それでも小さな意地を通す青春の姿を、寄り添うように描いていったこのシリーズは僕も大好きで、そんな入江監督が今度はロックに青春をかける若者を描くということで、かなり期待しながら観たんですが……。

う、うーん?

最初に書いたとおり、僕は原作は読んでないので、それが原作通りなのか、それとも映画オリジナル設定なのか分からないんですが、なんかこう……やりすぎじゃね? と。

地元の駅前のような場所で、高校時代の『ロックンロール・ブラザーズ』の三人がライブ中に、地元のDQNに絡まれ、乱闘になるところから物語はスタート。

そこから舞台は東京に移り、バンドで一旗揚げようと上京したものの、日々沼拓郎 (野村周平)、草壁まもる(前野朋哉)、依田明 (岡本 啓佑/黒猫チェルシー) の三人はアパートの家賃が払えず追い出され、松本 猛(竹中直人)の経営するライブハウス「モンスターGOGO」に住み込みで働きながらライブ活動をする日々。

そんなある日、謎の美少女宇田川咲(二階堂ふみ)が三人のライブ中舞台に乱入、舞台から日々沼を叩き落としてRCの「雨上がりの夜空に」を歌って舞台をジャックしてしまうんですが……。

勢いよく乗り込んできた割には、別に大したことなんですよね。

ここは、下手くそ三人組のライブに乗り込んできた彼女が、圧倒的な力量差で格の違いを見せつけて初めて説得力の出るシーンだと思うんですが、残念ながら日々沼、咲の両者にさほど実力差がないので、ただ狼藉者が乱入してライブ滅茶苦茶って感じになっちゃってます。

もちろん、監督もそこは分かっていて、咲の破天荒な性格&草壁との格闘シーンでどうにかしようと頑張ってるんですが、うーん……。

でもって、ここまでで主役の日々沼のキャラが、あまりにも漫画的というか、序盤なので勢いが欲しいのは分かるけど、ぶん殴られ叫び、蹴られて叫び、〇玉をぶつけて転げまわって叫び、咲にゲ〇をかけられて叫び……。

いくらなんでもちょっと非道いかなーと。

恐らく原作でも、歌ってる時以外の彼はつねに挙動不審で、言いたいこともちゃんと口に出来ずに意味不明な行動をしちゃう的なキャラなんだと思うんですが、実写でそのままやっちゃうのは如何なものかなーって思いました。

他のキャストの芝居で雰囲気がグッと盛り上がってきても、彼が登場すると空気が壊れてしまって物語に乗っていけないんですよね。

他にも、竹中直人さん演じるライブハウスのオーナー松本は、口が悪く手が早いけどなんやかんや言いつつも三人をバックアップしてくれるおやっさん的な人らしいんですが、描き込みが足りないせいか、手が早い部分だけが強調されちゃってる感じだったし、『ロックンロール・ブラザーズ』と対決するビジュアル系バンドのヴォーカル、新庄(落合モトキ)の喋り方は、あまりにやり過ぎで、まるでコントです。

とにかく登場するキャラクターが万事そんな感じで(多分)原作に寄せすぎて? いて、実写映画のリアリティーがないので誰にも感情移入出来ないし、あまりにキャラ作りがやり過ぎで、『普段はダメダメヘタレだけど歌ってる時は熱い奴ら』っていうギャップも薄まっちゃってるように感じました。

あと、EDを爆弾ジョニーが歌ってるんですが、これは一体……。
どう考えてもそこは『ロックンロール・ブラザーズ』が歌うべきでしょ! って思うんですけど!

爆弾ジョニーが悪いって話じゃないですよ。曲も良かったです。
でも、ここは、最後に『ロックンロール・ブラザーズ』の演奏で締めて、ウォー! って盛り上がるところじゃん!?

うーん、なんかこう大人の事情とか絡んじゃってるのかなー?

じゃぁ、本作が全部がダメだったのかといえば、そんな事はないです。
それまでダメダメだった『ロックンロール・ブラザーズ』が、最初に感情を爆発させて歌にぶつけるバンド対決のライブシーンはグッときたし、日々沼が咲の為に嵐の病院屋上で行うライブシーンはガンガンにアガりました!

また、二階堂ふみさんがスーパーアイドル『宇田川咲』として、大きな会場でライブをするシーンも、さすがの可愛らしさで説得力もバッチリでしたよ!

そのへん流石は入江監督、ツボをしっかり心得てると思いました。

それだけに、お芝居のパートはもうちょっと、観客が入りやすい程度にキャラ設定にリアル感を出してくれればと悔やまれます。

ただ、主人公たちが小さな意地を通すという『SRサイタマノラッパー』からのテーマはちゃんと引き継がれてて、だからこれだけ文句を言いながらも、本作のことが嫌いになれないんですよね。

興味のある方は是非!!

 

 ▼入江監督インディーズ時代の名作三部作▼