ぷらすです。
今回ご紹介するのは、ピクサー2年ぶりの新作『インサイド・ヘッド』ですよー!
一人の少女の5つの感情を擬人化し、『脳内』を大冒険する異色のエンターテイメントでした!
画像出典元URL:http://eiga.com/
概要
今や3Dアニメ会社としては世界一といっても過言ではない、ピクサーが5年の歳月を費やした意欲作。
1人の少女の誕生から思春期にかけての感情や記憶のメカニズムを擬人化したエンターテイメント映画。
日本では竹内結子・大竹しのぶら大物俳優が声優を務めたことでも話題になった。
監督は、『モンスターズ・インク』のピーター・ドクター。
あらすじ
ミネソタで生まれたライリー(幼少期ローラ・クーリー/ 鎌田英怜奈:11歳ケイトリン・ディアス/伊集院茉衣)は、優しい両親の元すくすくと素直に育っていた。
そんな彼女の頭の中では、ヨロコビ(エイミー・ポーラー/竹内結子)・カナシミ(フィリス・スミス/大竹しのぶ)・イカリ(ルイス・ブラック/浦山 迅)・ムカムカ(ミンディ・カリング/小松由佳)・ビビリ(ビル・ヘイダー/落合 弘治)の五人の『感情』が彼女の幸せのために日々奮闘しているが、カナシミの役割だけは謎に包まれていた。
ミネソタで幸せいっぱいに暮らしていたライリーだが、11歳のある日、父親の仕事の都合で大都会サンフランシスコに引っ越すことに。
慣れない環境で不安定になった彼女の心は『感情』たちにも混乱を起こし、ある日記憶を脳内に送るチューブに誤ってヨロコビとカナシミが吸い込まれ頭の中の『司令部』から消えてしまう。
感想
まず最初に書いてしまうと、とても面白かったです。
映像が凄い
ピクサーといえば、3DCGアニメのトップランナーとして知られています。
『トイストーリー』ではプラスチックなど当時のCGが得意な表現を活かして『おもちゃ』の世界を描き、『バグズライフ』『モンスターズインク』『ファインディング・ニモ』『メリダと恐ろしの森』と作品を重ねるごとに新たな技術を導入し、火や水、植物や動物の毛など、本来CGが苦手とする表現を次々と克服していき、そのクオリティーの高さで観客を驚かせてきました。
本作でも冒頭生まれたばかりの赤ん坊ライリーの肌や毛の質感などは、一瞬、実写かと思わせるほど柔らかで、加えて仕草や表情も赤ん坊らしさを完璧に表現していました。
また、ライリーの頭の中にいる5人の『感情』やその他のキャラクターも、特性や性格に合わせて質感を変えていくなど、細部へのこだわりはさすがピクサーだなーと感心してしまいました。
物語が凄い
また、ストーリーの練り込み方も素晴らしく、主観客である子供たちが飽きてしまわないよう、どの作品もおよそ90分前後に抑えつつ、その枠の中で常に物語の内容を研鑽し冒険や感動、教訓を入れ込みながら、それでいて決して難しくしなく、大人も子供も楽しめるエンターテイメントに仕上げていく手腕にはいつも驚かされます。
そんな彼らが、今回選んだ題材は『人間の脳』です。
主人公ライリーの成長とともに複雑になっていいく、感情の流れや記憶のシステムを擬人化、舞台化したいわば『脳内エンターテイメント』です。
実際目に見えないものだし、空想で描けばいいんだから簡単なんじゃないの? と思われるかもですが、そんなことはありません。
ピーター・ドクター監督は自身の娘の成長と変化に戸惑う気持ちから本作の発想を得て、共同監督であるロニー・デル・カルメンと話し合ってこの物語の骨格を作り上げていったそうです。
その過程で自身の子供たちを観察し、子供の頭の中で行われる成長の過程を専門家に相談しながら、世界観やキャラクターにそれぞれの役割を考えていったんだとか。
そうして徹底したリサーチの末に完成したのが本作『インサイド・ヘッド』なのです。
複雑な脳の働きと成長、感情と記憶の仕組みを誰でも分かるようにシンプルな物語として可視化して、誰もが楽しめる極上のエンターテイメントに消化させるのはとても難しいことだと思うんですよね。
好きだったシーン
5人の『感情』にはそれぞれ役割があります。
ヨロコビはポジティブで前向きな感情。
ライリーをパッピーな気持ちにさせる感情たちのリーダー的存在です。
イカリはその名の通り「怒り」の感情。
ライリーの溜まった不満を吐き出すのが仕事。
ムカムカはライリーが嫌なもの(こと)を遠ざけるのが仕事です。
ビビリはライリーを恐怖や危険なもの(こと)から守るのが仕事。
しかし劇中、カナシミだけはその役割が分かりません。
幼いライリーにとってカナシミは負の感情で、『ライリーを幸せにする』という感情たちの目的に沿わない困った子として描かれます。
そんなカナシミの存在理由が物語の進行とともに明らかになっていくというのが、本作の一つのテーマでもあるんですね。
ある事件によって『頭の中の司令部』から放り出されてしまったヨロコビとカナシミが、司令部に戻るため記憶の中を冒険するわけですが、3歳の頃に動物にハマっていたライリーが作り出した空想上の友達ビンボン(リチャード・カインド/佐藤 二朗)と出会い、彼の案内で司令部に戻る過程で、カナシミの存在理由や大切さが分かっていくわけです。
しかし、本作ではカナシミの役割や大切さを言葉で説明はしません。
あくまで物語と映像だけで、それを伝えていきます。
だからこそ、ロジックで『理解』するのではなく、感情で『分かる』んですね。
笑って泣いて
ライリーの頭の中に司令部があるように、パパやママにも司令部があり『感情たち』がいます。
サンフランシスコに移って不安定なライリーが原因で家族がギクシャクするシーンでの彼らの司令部の描写は思わず笑ってしまうし、ヨロコビとカナシミが司令部に戻る過程で出会うキャラクターや、二人(というか主にヨロコビ)がいなくなって混乱・暴走する司令部の様子も面白いです。
そうやって観客を笑わせたりハラハラさせたりしながら、最後にしっかり感動させる手腕は、さすがピクサー映画って感じですね。
正直これまでのピクサー作品と比べると少々異色だし、歴代ピクサー作品ナンバー1とまでは言えませんが個人的にはかなり上位に入る作品だなーと思いました。
多分、観る人の年齢によって見えてくる部分や共感する部分が変わってくるタイプの作品だと思うので、今観るのと数年後に観るのとでは、また印象が違ってくるかもしれませんね。
興味のある方は是非!!