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「オオカミは嘘をつく」(2013) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは2013年公開のイスラエル映画『オオカミは嘘をつく』ですよー!
あのクエンティン・タランティーノが絶賛したことで注目を浴びたイスラエル発のサスペンス・スリラーですよー!

 

概要

2013年公開、イスラエル発、犯罪サスペンス・スリラー映画。
少女暴行殺人事件の最有力容疑者で、中学校で宗教学を教えているドロール(ロテム・ケイナン)と、彼を犯人だと確信している暴力刑事のミッキ(リオル・アシュケナージ)、娘の復讐に燃える父親(ツェヒ・グラッド)による狂気の物語。
監督は『ザ・マッドネス 狂乱の森』のアハロン・ケシャレスとナヴォット・パプシャド。

 

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじ

ある日、子供達がかくれんぼで遊んでいると、そのうち一人の少女が行方不明になってしまう。
その最有力容疑者として刑事のミッキ(リオル・アシュケナージ)が目をつけたのは、中学校で宗教学を教えているドロール(ロテム・ケイナン)だった。
ミッキは仲間とドロールを誘拐監禁し、廃ビルに連れ込んで暴力的な『尋問』するが、それが署長の耳に入り、ドロールは口止めされた上で開放され、ミッキは交通課に左遷される。

その後、森の中で無残な少女の死体が発見され、さらにミッキたちの『尋問』の様子がYouTubeにアップされたことで、ミッキは停職に。一方のドロールも警察に疑いをかけられていることが周囲にバレて、教師の職を追われてしまう。

それでもミドロールを犯人と確信して疑わないミッキは、停職中にも関わらず単身ドロールを誘拐、少女が死んだ森の中で『尋問』する。
ロシアンルーレットのように、一発だけ玉を込めた拳銃の引き金を引きながらドロールに自白を促すミッキだったが、突如後ろから何者かに襲われ気絶。
それは、被害者少女の父親(ツェヒ・グラッド)だった。

 

感想

イスラエル発、犯罪サスペンスムービーの傑作

今まで、色んな国の映画を観てきたと思いますが、イスラエル映画は(多分)今回初めて観たんだと思います。

というか、この映画も完全なジャケ借りで、どこの国の映画で、どんな内容かをまったくのノーチェックで観たんですが、ハリウッド映画にはない、ザラザラした独特の空気感を感じましたねー。

恐らくはかなりの低予算映画で、物語上足りてない描写も多かったように思いますが、それでも、独特の緊張感を感じさせる作品です。

物語は、少女暴行殺人の容疑者として浮かび上がった中学校教師を、暴力警官と被害者の父親が拷問して自白させようとする。という内容なんですが、ミックや警察(ついでに被害者の父親も)が何故ドロールに目をつけたのかが語られないために、ミックや被害者の父親が無実の善良な教師をいじめるだけに思えるんですよね。
また、ドロール役のロテム・ケイナンが超いい人っぽいんですよ。

ただ、これは脚本上のミスではなく、監督の計算みたいです。

本作の要は『ドロールは本当に犯人なのか否か』です。
前半、ミッキはドロールを犯人と確信して『尋問』しますが、後半では、完全にイっちゃってる少女の父親の登場で、その確信が少し揺らぐんですね。

郊外の一軒家、地下室、手作りの拷問椅子、チェストに並べられた工具類。

誰もが、このあと起こる陰惨な展開を想像してしまうし、実際ギャーとなるシーンもあるんですけど、物語が進むうちに観客はある事に気づきます。

あれ? この映画コメディーじゃね? 

そうなんです。この映画は一見、事件の謎を追うミステリーでもあり、被害者少女の父親による復讐劇でもあるんですが、その本質はブラックコメディーなんですね。

中盤くらいから、物語の展開に軽い違和感を覚えるんですが、地下室のシーンあたりから、「あ、この映画コメディーなんだ」と気づく作りになってます。

この父親、軍人上がりで警察の偉い人にもコネがあるらしく、警察の資料も入手していて、ドロールに向かって犯人の残忍な手口を一通り語ったあと、
「お前にも同じことしてやる」と拷問を始めます。
拷問用の工具を持って来て、さぁいよいよ痛いシーンになるぞ!! とこっちも息を飲んだところで、突然年老いた母親(被害者の祖母)からの電話がかかってきて、その母親に全然関係ない事で説教されたりするんですね。

そんな間抜けな展開に思わず笑ってしまいます。

でも、その後ちゃんと痛いシーンにも突入するので、どういうテンションで観ればいいのか困惑してしまうんですがw

そんなオフビートな笑いを挟みながら、しかし、ミステリー・サスペンスの縦軸はラストまで通っていて非常に見ごたえのある映画になってました。

クライマックスのどんでん返しには、「おぉっ!!」って驚きましたしね。
一見アイデア一発のB級映画のようで、かなりストーリーがしっかり練られてるなーと感心します。

ただ、痛いシーンも多々あるので、かなり好き嫌いは分かれそうですが。

興味のある方は是非!!

*ただし本作は、R18なので気をつけてくださいねー。