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「ナイトクローラー」(2015) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年日本で公開されて話題を呼んだ映画『ナイトクローラー』ですよー!
僕は劇場では観ることが出来なかったんですが、先日DVDレンタルが始まったので早速レンタルしてきましたー!!

 

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/81238/poster2.jpg?1430190068
画像出典元URL:http://eiga.com/

概要

本国アメリカでは2014年公開の犯罪スリラー。
学歴もコネもなく正職につけない男が、ふとしたキッカケで映像パパラッチになりのし上がっていく。
監督脚本は「ボーン・レガシー」など数々の映画脚本でキャリアを積んだでいるが、本作が監督デビューのダン・ギルロイ

主演は「ブローバック・マウンテン」など数々の映画に出演している演技派俳優 ジェイク・ジレンホール。

 

あらすじ

学歴もコネもなく、ロスアンゼルスでコソ泥をしながら生計を立てていた主人公 ルイス・ブルーム(ジェイク・ジレンホール)は、ある日たまたま事故現場に遭遇。
そこで、いち早く事故現場に駆けつけニュース映像を撮影してテレビ局に売る映像パパラッチ「ストリンガー」という職業を知り、ネットを参考に独学でストリンガーになる。

そして、最初に撮影した銃撃事件の映像がローカル局で朝のニュース番組の監督であるニーナ(レネ・ルッソ)に気に入られたルイスは、それをキッカケにのし上がっていくのだが……。

 

感想

この映画を一言で言うなら『ゲス男の成り上がり』物語です。

なのに、何故か面白いんですよねー。
ただ、主人公があまりにアレすぎて、好き嫌いは分かれるんじゃないかと思いますが。

キャラクターの勝利

本作の主人公 ルイス・ブルームは、仕事に対して真面目で勤勉、研究熱心で覚えも早く頭もいい、いわゆる『出来る男』です。

ただし、倫理観と道徳観、共感能力は持ち合わせていない、いわゆる「パラノイア」と呼ばれる人間なんだと思います。

そんな主人公を演じるのは、この映画のために(監督に頼まれてもいないのに)12キロも減量して役づくりを行った演技派俳優 ジェイク・ジレンホール。
もともとギョロ目がちな顔立ちの人なんですが、減量によってよりギョロ目が強調され、細身の体とも相まってどこか死神を思わせる不気味な風貌に。

『事故現場や強盗殺人などの陰惨な事件現場に現れて記録する死神のような男』
というキャラクターを、見事に表現してみせた彼の功績は大きく、彼の演じる主人公ルイス・ブルームのキャラクターが、この映画最大の魅力といえるんじゃないでしょうか。

勤勉で優秀な男 ルイス

そんな彼は最初、金網やマンホールを盗んではくず鉄のリサイクル会社売って生計を立ててるわけですが、あるとき偶然居合わせた事故現場で、映像専門のパパラッチ「ストリンガー」を見かけ、ビル・パクストン演じる地元のベテランストリンガー ジョー・ロダーに近づきますが、すげなく追っ払われてしまいます。

しかし、そこからのルイスの行動力がスゴイ
まず、スポーツ用自転車を盗んで、古道具屋でカメラと警察無線受信機と交換。
テレビでどんな映像が喜ばれるかを研究しつつ、インターネットで警察の無線コードを調べて現場に駆けつけ、トライ&エラーを繰り返しながら我流で仕事を学んでいくわけです。

そりゃぁ、成功もするわという馬車馬のような働きっぷり。

そんな彼が撮影する法律ギリギリ(アウト)の映像を認めるのが、レネ・ルッソ演じるニュース番組の監督 ニーナ。
テレビ局との2年契約で後のない彼女は、視聴率獲得のためにルイスの刺激的な映像を次々と買い取り放送していくのです。

なんというか、もっとも出会っちゃいけない二人が出会っちゃった訳ですね。

で、ルイスは『仕事』をより効率的に進めるために、地元のボンクラ リック(リズ・アーメッド)を雇い、益々頑張っちゃうんですが、元々倫理観や道徳観を持ち合わせてない彼の行動は次第にエスカレートし……。という物語。

快感と憧れ

上記したように、ルイスはとても真面目で勤勉で熱心な男です。
ストリンガーの仕事を覚えるために、トライ&エラーを繰り返しながら成長していく姿は、どこかアイアンマンを製作してるときのトニースタークを思わせる快感があるんですね。
努力が報われていくカタルシスというか。

また、ルイスには倫理観・道徳観・共感能力が備わってません。
それは裏を返せば、業界のしきたりや仁義や人間関係に一切縛られずに、目的地に向かって一直線に走っていけるということでもあり、それは(善悪は別にして)社会生活を送る人なら一度は憧れてしまうことなんじゃないでしょうか。
「コイツさえいなきゃもっとスムーズに事が進むのに」とか「目的地が目の前にあるのになんで回り道しなきゃいけないのか」とか。

そうしたある種の不満や願望に甘んじざるを得ない社会に暮らす人々は、ルイスの「邪魔なものは排除する」「目的のためには倫理や道徳なんか関係ない」と邁進する姿に、ほの暗い快感や憧れを感じるんじゃないかなって思うんですね。

新たなダークヒーロー

その感情は、例えばスーパーマンスパイダーマンが自分には出来ない『正義』を行うヒーローに憧れる気持ちにかなり近く、もっと言えば「ダークナイト」のジョーカーに感じる気持ちに近いのかもです。

つまり、本作の主人公ルイスはある意味で正しくヒーローのテンプレに沿ったアンチヒーローと言えるんじゃないかと思うんですね。

また、その一方でゲスい行動も厭わずにのし上がっていく彼に、不快感や違和感を覚える人もいるかもしれません。
「なんで、こんな奴が成功していくんだ!」(#`皿´)ノと。
ただ僕には、物語の流れや彼自身の行動の端々に、近い将来ルイスの破滅を予感させるエピソードも入れ込んでいるようにも見えました。(単なる深読みというか、ただの願望かもしれませんが)

本当はその辺をもっと詳しく語りたいんですけど、これ以上書くとネタバレになっちゃうので、ヤメていきますw

その先は出来ればご自身の目でお確かめください。

上記のように本作は多分、かなり観る人を選ぶし、好き嫌いも分かれる映画だと思います。でも、個人的には非常に面白い作品でしたよ。

興味のある方は是非!!