ぷらすです。
今回ご紹介するのは、週間少年ジャンプに連載され大ヒット、アニメかもされた
同名マンガの実写化作品『バクマン。』ですよー!
もう、結論から先に書いちゃいますけど、超面白かったです!
画像出典元URL:http://eiga.com/
概要
週刊少年ジャンプのヒットメーカー、大場つぐみ&小畑健コンビの同名大ヒット漫画を実写化。
プロジェクションマッピングやCGを大胆に使い、週間少年ジャンプで漫画家を目指す二人の少年の青春を描いた。
真城最高 を佐藤健、高木秋人 を神木隆之介 がそれぞれ演じ、更に染谷翔太、桐谷健太、山田孝之など人気俳優の起用でも話題になった。
あらすじ
高校生の真城最高 (佐藤健)は高い画力を持ちながら、目的もなく無為に高校生活を送っていた。
彼の叔父(宮藤官九郎)はかつて、週刊少年ジャンプで連載しアニメ化もしたマンガの作者だったが、その後連載は打ち切り。その後叔父が過労で帰らぬ人となったことで、サイコーは漫画家の夢に踏み出せないでいたのだ。
そんなある日、ふとしたキッカケでクラスメート高木秋人(神木隆之介)はサイコーがノートに描いたクラスメイトの亜豆美保(小松菜奈)の絵を見てサイコーに一緒に漫画家になろうと誘う。
感想
冒頭でも書いたとおり、超面白かったです!
ネットなどでの評価も高かったので、かなり期待してレンタルしたんですが、予想以上でしたよー!
一本の映画として完成している。
マンガやアニメ原作の実写化というと、その作品を知らない人には内容が伝わりづらい事が多々あります。
原作通りにやろうとするあまり、ダイジェスト版みたいになっちゃって、原作を知らない人にはよく分からないとか、逆に、愛情も敬意もない改悪で全く別の映画になっちゃってる、いわゆる『原作レイプ』と呼ばれる映画だって多々あります。
本作のスゴイところは、単行本20巻分の内容やキャラクターを大胆にカットしつつ、しっかり原作の肝の部分を描き、かつ原作をまったく知らない人でも(多分)十分に楽しめる一本のエンターテイメント映画としてキッチリ完成させていることだと思います。その上で、原作ファンの人も楽しめるように目配せを効かせた脚本と演出には脱帽ですよ!
キャスティングが起こしたグルーブ感
本作が成功した一つの要因として、キャスティングがあると思います。
まず、主役の佐藤健・神木隆之介。
『るろうに剣心』の実写でも見事にキャラクターを演じて原作ファンを唸らせた二人を起用したことはまさにグッジョブです。
年齢的にはかなり無理のある配役ではありますが、それでもこの二人だから実写化にあたっての説得力が出たんだと思いますよ。
編集長役のリリー・フランキーと叔父さん役の宮藤官九郎も個人的に見事にハマっていたと思います。
特にクドカンの叔父さんは良かったですねー。クドカンは役者としてはクセのある人ですが、それだけに役にハマると見事な実在感を出すんですよねー。
あと、二人のライバルで10年に一人の天才漫画家 新妻エイジを演じた染谷翔太さんも、かなりハマってたと思います。
そうしたキャスティングのアンサンブルが起こすグルーブみたいなものが、この映画には働いていたんじゃないかなーって思うんですよねー。
完璧な翻訳
以前、他の映画感想で書いたかもですが、僕はマンガやアニメを実写にするとき、内容や設定を変更することは絶対に必要だと思っています。
というのも、マンガ、小説、アニメ、舞台、映画など、メディアによって同じ物語を描いても、それぞれ得意な表現が違うからなんですね。
人気のマンガを原作通りに実写化しても、マンガと同じには絶対になりません。
だからこそ、メディアが違えば、それように内容や設定を変える『翻訳作業』が必要不可欠だと思うんです。
で、本作はこの『翻訳』が完璧といっても過言ではないくらいバッチリでした。
原作20巻分の内容を2時間に収めるために、女性キャラを亜豆美保一人にして、新妻エイジとの対決させることでサイコーとシュージンの成長を描くというシンプルな構造に落とし込んだのは大正解だったと思います。
他のキャラクターの設定や役割の変更も、本作ではプラスに働いていたんじゃないでしょうか。その上で、『バクマン。』の実写化というだけでなく、マンガ家という人種そのものに迫った作りは本当に素晴らしかったですよ!
映像のショック
『バクマン。』を実写にする一番のネックは『絵面が地味になる』という事です。
なんせ主人公がマンガ家ですから、そのまま描けばどうしたって動きのない絵になってしまいますよね。
本作では、この漫画を書くシーンの映像が素晴らしかったですんですよね。
最初にサイコーとシュージンが持ち込み原稿を書き上げるまでのシーン。
僕はてっきりCGだと思ってたんですが(もちろんCGも併用してますけど)、漫画の原稿を仕事部屋にプロジェクションマッピングで映し出して、その中で二人がマンガを書き上げる動きのある映像に仕上げたセンスは、ある意味ショックだったし、その後、新妻エイジとの対決。CGを使ってジャンプマンガの戦闘シーンのような構成で、原作ではドラマとして見せていた部分を抽象化してみせる発想には舌を巻きました。
あと、細かい部分で言うと、体育館の生徒たちを眺めているうちにシュージンがストーリーを思いつくシーン。
生徒たちとシュージンが交互に映し出され、ハッとアイデアを思いついてからは、シュージンのメガネにマンガのコマ割りされた原稿が映し出されていくんですよね。
そうした映像的なケレン味が、二人の(特に佐藤健の)、オーバーアクトとバランスが取れて、「物語内リアリティー」やキャラクターの実在感を生み出しているんだと思います。
音の演出
本作では、音の演出にも細やかな気配りがされています。マンガを書くときペンが紙に擦れるシャッシャッっという音のリズムにシンクロするように、サカナクションの劇中音楽が流れて、物語を盛り上げていくんですねー。
その辺の細やかな演出も気が利いてるなーと思いました。
努力・友情・勝利!
週間少年ジャンプの理念といえば『努力・友情・勝利』
本作では、このジャンプの理念と映画のテーマを深くリンクさせています。
さらに、ジャンプだけでなく、手塚治虫を始めとした、日本のマンガの歴史をサイコーやシュウジン他のキャラクターに乗せて観せる演出には思わずシビれてしまいましたよ!
さらに、志半ばで生涯を閉じた叔父さん 川口たろうにも、監督は小さな救いを与えていて、監督の『バクマン。』やマンガ、もっと言うと作り手に対する深い愛情を感じずにはいられませんでした。
もちろん100%全てが完璧とまでは言いませんが、マンガ原作の映画としては最高峰の出来と言っても過言ではないと思いますよ!
興味のある方は是非!!!