ぷらすです。
今回ご紹介するのは、2014年の公開後、全米大ヒットした新感覚ホラー映画『イット・フォローズ』ですよー!
僕がフォローしている映画レビュアーの方々の間でも概ね高評価だったので、「みんながそこまで褒めるなら観てみよう」とTSUTAYAでレンタルしてきましたー。
画像出典元URL:http://eiga.com/
あらすじと概要
2004年に米国で公開後、その斬新な設定と物語の謎から多くの観客を惹きつけ大ヒットした新感覚ホラー映画。
あのクエンティン・タランティーノが絶賛したことで一気に知られるように。
ただ、テーマの解釈を巡って映画評論家やファンの間で論争が起こり、ついには監督自ら反論せざるを得ないところまで追い詰められた。
監督は新鋭のデヴィッド・ロバート・ミッチェル。
恋人と熱い夜を過ごした19歳のジェイ(マイカ・モンロー)は、直後恋人によって失神させられる。
目覚めたジェイは廃墟の中車椅子に縛り付けられ、恋人に驚愕の告白をされる。
それは、セックスによって“伝染“した者は『IT(それ)』によって追われ、追いつかれると殺されてしまう。ITから逃れるためにはセックスを通じて誰かにITを伝染すしかなく、自分もITから逃れるためにジェイに伝染されたのだという内容。
そんな恋人の話をにわかには信じられないジェイだったが……。
感想
本作は、セックスによって『呪い』を人に伝染させるという不幸の手紙的な設定から、「性病のメタファー」ではないかなど、テーマの解釈を巡り評論家やファンによって論争が起こったことでも知られ、その目新しさとテーマの複雑さからリピーターが続出したらしいです。
実際観てみると、確かに分かりにくい! 観終わった後もなんかモヤモヤする!
という映画でしたよーw
日本的な恐怖設定。だが性質の悪さが尋常じゃない
本作で「IT(それ)」と呼ばれるお化け? は誰かに取り憑き、その誰かが他の誰かとセックスすることで伝染っていくという厄介なお化け? です。
お化けというより、呪いってう感じですね。例えば「リング」でいう呪いのビデオや不幸の手紙系。またじわじわ寄ってくるのはメリーさんの電話的な日本では割とお馴染みの都市伝説的な設定です。
ただ、このITの性質が悪いのは、最後の伝染者を殺すと、その前(最後の伝染者に伝染した相手)に遡って殺すという設定です。
つまり、セックスをして誰かにITを伝染して終わりじゃないんですねー。嫌すぎるw
その他のITのルールとしては、
① 必ず歩いて追ってくる。(速度は遅い)
② どこに逃げても必ず追ってくる。
③ その姿は不定形で、時には知人や恋人、家族に化けていることもある。
④ 姿は取り憑かれた本人にしか見えない。
⑤ 実体がある。
ですかね。
本作ではこれらのルールを活かして、恐怖やサスペンスを盛り上げています。
あと、基本的にITは死なないんですね。拳銃で打たれたりするとダメージは受けるっぽいけど、頭を打たれてもすぐ復活します。
つまりは、一回伝染したら最後、逃れようがないわけです。
ITの正体。ITは何のメタファーなのか
作中、ITのルールについては語られるんですが、その正体については一切言及されません。とにかく正体不明なんですね。
ネットで色々調べてみると、セックスによって伝染する『呪い』のようなITは、死を象徴してるのではないかという説が有力みたいです。
死は誰にでも訪れ、決して逃れられないものですから。
で、セックスはITとは対照的に生の象徴。
つまり生と死はセットってことですかね?
そう言われて思い返すと、セックスはイコール大人への通過儀礼でもあり、大人になるということは死に近づくということで。
ITに伝染するのが若者ばかりということを考えると、ITは、大人になる=死に近づく事への漠然とした不安の象徴なのかなーと。
そして、大人になるということは愛を知ることでもあり、逃れようのない死=終わりに近づく恐怖や不安を受け入れるには、愛するパートナーが必要なんだというのが、監督が本作で描きたかったテーマなんじゃないかと思いました。
ホラー形式を取った青春映画
なので、本作では大人はほとんど登場しません。
メインの登場人物は、ジェイが子供の頃から一緒にいる幼馴染みばかり。
いわば、子供のコミュニティーなんですね。
そんな狭いコミュニティーの中で、各々が互いにコンプレックスや嫉妬を抱えながら、彼ら彼女らは迫り来るITから仲間のジェイを守るために必死に抗います。
そして紆余曲折を経て、真の愛を知ったジェイは、パートナーと一緒にITを受け入れるわけですね。
つまり、本作はホラー映画でありながら、その本質は少年(少女)期の終わりと、愛を知り大人になることを受け入れる主人公たちを描いた青春映画なのだと思います。
いや、間違ってるかもしれませんがw
まぁ、そんな小難しい理屈は置いておいて、本作はホラー映画としても非常によく出来ています。
おばけ屋敷系のビックリホラーを期待すると肩透かしを食らってしまうかもですが、ジワジワと迫り来る怖さを描いた、ある種古典的なホラー映画を現代的に再構築した、新感覚ホラーと言えるんじゃないかなーと。
監督自身、古典的なホラー映画のファンでもあるようで、映像や音楽色彩も新しさの中にどこか懐かしさも感じる作品になってましたよ。
なので、観て怖さを感じて、観終わってからテーマをじっくり考えることの出来る一粒で二度お美味しい系の作品だと思います。
興味のある方は是非!!