ぷらすです。
今回ご紹介するのは、米国で2015年に公開された、スプラッタホラーコメディー『ファイナルガールズ 惨劇のシナリオ』ですよー!
一応、“スプラッタホラーコメディー“と書きましたけど、スプラッタ要素もホラー要素もほぼゼロ!
でもとっても面白い映画でしたよー!
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp
あらすじと概要
主に1980年代に公開された低予算なB級映画のテイストをモチーフに、スプラッターホラー映画の世界に入り込んでしまった若者たちの奮闘を描く“スプラッタホラーコメディー“
ありがちなホラー映画を連想させるパッケージ構成になっているが、主人公たちが映画に入り込んでしまうというSF(ファンタジー?)要素が大半を占める異色コメディ作品。
カルト的な人気を誇るスラッシャー映画『血まみれのキャンプ場』に出演した女優で母親のアマンダ(マリン・アッカーマン)を交通事故で亡くした少女マックス(タイッサ・ファーミガ)は、事故から三年経ち、なんとか立ち直ったものの、その傷が癒えることはなかった。
そんなある日、親友のガーティ(アリア・ショウカット)の兄で映画館の副支配人のダンカン(トーマス・ミドルビッチ)に、亡き母が出演していた『血まみれのキャンプ場』のリバイバル上映をする際のゲストとして来場してほしいと頼まれる。
一度は断ったマックスだったが、苦手な古典のレポート作成を一年分代わりにするという条件を提示され、渋々承諾。
ところが、マックスと友人たちが映画を観ている途中に火災が発生。
出入り口にも火が回り、スクリーンの裏から脱出を試みたマックスたちだったが、そのまま気を失ってしまう。
そして、彼女たちが目覚めた場所は、映画で観ていたはずのキャンプ場だった。
日本では劇場未公開。
主演は『アメリカン・ホラー・ストーリー』で知られるタイッサ・ファーミガ。
監督はトッド・ストラウス=シュルソン。脚本はM・A・フォーティンとジョシュア・ジョン・ミラー。
感想
いやー、超面白かったですよーー!
本作はラジオ番組で、三宅隆太監督が絶賛していたので凄く気になっていた作品なんですが、実際に観てみたら、とても良く出来た映画でしたー!
『スプラッタホラーコメディー』だけど怖くないよ!
本作の流れをザックリ説明すると、
三流女優の母親と主人公マックスの乗った車が自動車事故に遭って母親が亡くなる。
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三年後、マックスは親友の兄(スプラッタホラーマニア)の頼みで渋々、亡き母の代表作だった『血まみれのキャンプ場』リバイバル上映のゲストに。
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映画館が火事に。スクリーンを切り裂いて逃げようとしたら気絶。
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目が覚めるとそこは『血まみれのキャンプ場』の“映画の中“だった。
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マックスはスプラッタホラーの“お約束“を逆手にとって、殺人鬼ビリーの魔の手から若き母が演じたキャラクターのナンシーを救おうと奮闘する。
という、変形のタイムスリップ映画のような内容。
パッケージが結構アレだし、確かに『スプラッタホラー』のパロディーコメディではあるんですが。
マックスと母親、そして母親が演じていたキャラクター、ナンシーとの関係が映画のメインなので、残酷なシーンやおばけ屋敷的ビックリ展開もほとんどなく、スプラッタやホラーが苦手な人でも全然平気だし、むしろそういう人ほど楽しめる映画だと思います。
随所に散りばめられた、80年代スプラッタホラーオマージュ
80年代はいわゆるスプラッタホラーの全盛期でもあり、『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』『ゾンビ』などなど、様々な映画が次々に誕生し人気を博した時代です。
で、スプラッタホラーには、色々とお約束がありまして。
ザックリ簡単に言うと
・リア充から殺される。
・ヌードになった女の子が殺される。
・殺人鬼が登場する時は怖い音楽や効果音がなる。
などなど。
本作ではそういういわゆる“お約束“を知っている主人公たちがその映画の中に入ってしまい、“お約束“を利用して殺人鬼と対決したり、ピンチを脱したりするというメタ構造のコメディーになっています。
特に殺人鬼ビリーをおびき出す為に女の子が脱いだり、ピンチになって回想シーンに逃げ込んだりするシーンは秀逸でしたw
本作で登場する『血まみれのキャンプ場』の元ネタは、言わずと知れた『13日の金曜日』で、マスクを被ってキャンプ場の指導員に復讐する殺人鬼ビリーは、明らかにジェイソンオマージュです。
そしてマックスの母親が演じていたのは、内気な自分を変えるためにエッチしたら殺人鬼に殺されちゃった女の子ナンシー。
何故か『血まみれのキャンプ場』の物語の世界に入ってしまったマックスや仲間たちは、劇中のキャラクターたちを救おうと奮闘するんですが、何らかの力が働いて、中々上手くいかないんですね。
つまり、スプラッタホラーの“お約束“は、マックスたちに有利に働くばかりではないというのが、本作の面白さなんだと思いました。
マックスと母親、そしてナンシー
そんな本作のメインストーリーは、要約すると『現実世界で母を亡くしたマックスが、映画の中で母の演じた“キャラクター“ナンシーを救おうと奮闘する』というお話です。
映画の物語の世界なので、ナンシーは当然マックスの事を知りませんしナンシーを救っても母親が生き返る訳ではないんですが、それでもナンシーを、マックスは何とか救おうとするわけです。
そりゃあ、グッとくるでしょ!
そして、ナンシーも完全に母親と分離しているわけではなく、ナンシーの夢はどこかマックスの母親に通じていて、マックスが自分(を演じた女優)の娘だと悟り、救おうとするシーンは、画面的にはバカバカしいのに思わずグッときちゃうんですよ!
マックスの母親とナンシーの両方を、38歳のマリン・アッカーマンが演じてる頑張りも含めて感動的です。
そして、ナンシーとマックスの関係が感動的なのは、冒頭で短い時間ながら自動車の中の会話で、マックスと母親の関係をしっかり見せているからなんですねー。
この辺の物語の構成や脚本は本当に素晴らしいと思いました。
主演のタイッサ・ファーミガ
本作の主演タイッサ・ファーミガを僕はよく知らなかったんですが、米ドラマの「アメリカン・ホラー・ストーリー」でヴァイオレット・ハーモン役を演じて人気を博した女優さんみたいですね。
最初に画面に登場したときは何て言うか、地味で華がないなーと思いながら観ていたんですが、物語が進むうちにどんどん可愛く見えてくるという不思議な魅力の女優さんです。
日本の女優さんでいうと、ちょっと黒木華さんに近い感じがしましたねー。
作品としては大傑作と言うほどではないものの、パロディーやコメディーとしても一本の映画としても、とても面白い「隠れた名作」なんじゃないかなーと思いましたよー!
興味のある方は是非!