今日観た映画の感想

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デンマーク発のウエスタンノアール「悪党に粛清を」(2015)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、デンマーク発の西部劇『悪党に粛清を』ですよー!
どこかとても懐かしい雰囲気がする、西部劇らしい西部劇でしたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

『偽りなき者』などのデンマークを代表する国際派スター、マッツ・ミケルセンが主演を務め、19世紀アメリカを舞台に描かれる怒とうの西部劇。はるばる海を渡りやって来た妻子と7年ぶりに再会した男が、妻子の命を虫けらのように奪ったならず者を殺害したために起こる復讐(ふくしゅう)の連鎖に肉迫する。敵方に属する沈黙のヒロインを『ダーク・シャドウ』などのエヴァ・グリーンが好演。荒くれ者たちを相手に、愛と正義のために銃を取る主人公の男気に脱帽。

ストーリー:1864年、ジョン(マッツ・ミケルセン)と兄のピーター(ミカエル・パーシュブラント)は、祖国デンマークで兵士として勇敢に戦った。戦争に嫌悪感を抱いた彼らは新天地を求めアメリカ西部に移住し、ジョンは1871年にようやく妻と息子をアメリカに呼び寄せる。だが、駅での再会の喜びもつかの間、親子3人は帰りの駅馬車でならず者と同乗することになり……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

本作は、TSUTAYAでレンタルが始まった時から密かに気になってはいたんですが、他の作品を優先して観ているうちに、いつの間にか旧作になってしまってましたー。

作品を観たあと、ネットでチェックしてて知ったんですが、この作品デンマーク制作なんですね。北欧の国デンマークのスタッフと俳優が南アフリカでロケをして作り上げた正統派西部劇……日本で言えば千葉県にある東京ドイツ村みたいな?(違
ちなみに監督は西部劇大好きで、作品内でたくさんのオマージュを入れてるらしいですよー。

復讐が復讐を呼ぶストーリー

本作の主人公、ジョンは1864年のデンマーク戦争で敗北した元兵士で、兄と共に新天地を求めアメリカに渡って働き、7年後やっと奥さんと息子を呼び寄せる事ができたんですね。
一緒にマイホームに帰ろうと駅馬車に乗る三人でしたが、相乗りしてきたのが刑務所から出所してきたばかりの男2人。
この時点でイヤンな予感しかしないんですが、案の定、男達に奥さんと子供を殺されたジョンは、即効で二人や駅馬車の従者まで皆殺しに。
その後、家財土地を売って町を出ようとするんですが、ジョンが殺した男は町を牛耳る悪党・デラルー大佐(ジェフェリー・モーガン)の弟だったからさぁ大変。
という物語です。

復讐劇なので全体的に暗いトーンの映画なんですが、今時の西部劇にしては珍しく、流血などの描写はかなり抑え目。
ストーリーもならず者に愛する家族を殺された主人公が復讐するという、よく言えば王道、悪く言えばどこかで見たような物語だったし、登場キャラも、ならず者に虐げられる町の住人や、辛い過去を持ち、ならず者のボスに囲われている女など、いかにも昔の西部劇らしい設定だなーと。

ただ、アクションなど要所要所見せ場もあるし、新しさはないけど本当に西部劇が好きっていう感じが伝わって来る作品でしたねー。

もうちょっとキャラクターが描き込み不足だった気も……

ただ、個人的にはもうちょっと盛り上がりが欲しかったような気もするんですよね。
冒頭の駅馬車での悪党とのやりとりや、クライマックスのシーンなんかは良かったんですが、主人公ジョンと兄貴が元デンマークの兵士だったという設定が、もう一つ上手く活かされてない気がするし、デラルー大佐の弟(ジョンに殺された)の死後、デラルーに囲われることになったマデリン(エバ・グリーン)も、なんだかちょっと物足りない感じでした。(演じてるのがいかにも勝気そうなエバ・グリーンだからってのもあるかも?)

ジョンの兄や、保安官、町長、町人などのキャラクターも含めて、全体的にキャラクターが平面的というか、描き込みが足りない=ストーリーが物足りないに繋がってる感じがしましたねー。

冒頭でジョンの兄貴が町に残って(家族水入らずにしてやろうという計らい?)、最初に乗り合わせた夫婦の代わりに強引にデラルーの弟たちが乗り込んできた時は、絶対兄貴もグルになってジョンをハメようとしてるって思いましたもんw

(どんでん返しのシーンは別にして)ちょっと一言セリフや動きや表情を足して、キャラクターの特徴や立ち位置をハッキリさせる工夫があれば、クライマックスの攻防のカタルシスがよりアップしたんじゃないかなー? なんて思ったりしました。

役者陣は良かった

とはいえ、本作に出演する役者陣は良かったですねー。
主人公ジョンを演じるマッツ・ミケルセンは『007カジノ・ロワイヤル』の悪役で、恐ろしい拷問でボンドのタマを潰そうとした

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僕的には何となく悪役のイメージが強いんですが、本作のような陰性のストーリーの主人公にはバッチリハマってる気がしました。

ネイティブアメリカンに舌を切られた上、助けてくれた男はアレだわ、その兄貴には囲われるわと散々な目に遭うヒロイン? マデリン役のエバ・グリーン。

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今回は一言もセリフがないという難しい役柄を見事に演じていたように思いました。

あと、ラスボスのデラルー大佐を演じたジェフェリー・モーガンも、いい感じにゲスい男を好演してましたねー。

 

色々文句も書いてしまいましたが、決して面白くないわけではなくて、一言で言うと惜しい作品って感じでしたし、近年のど派手なウエスタンアクションを期待すると肩透かしを食らうかもですが、個人的には嫌いじゃない作品でした。

興味のある方は是非!