ぷらすです。
今回ご紹介するのは、鬼才ポール・バーホーベン監督の『ショーガール』ですよー!
1995年、その年の最低映画を決めるゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で10部門にノミネートされ、6部門を制覇したことで話題になった本作ですが、いやいや、
ちゃんと面白かったんですけどー!
やっぱラジー賞なんか信用出来ないなーって思いましたねーw
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概要とあらすじ
ショービジネスの都、ラスベガスを舞台に『スターダンサー』を目指す少女の挫折と成長を描いた作品。
ポール・バーホーベン監督、ジョー・エスターハス脚本という『氷の微笑』コンビが膨大な予算をかけて望んだ作品だったが、ヌードやセックスなどの過激な描写からNC-17指定での公開になった。
また、同年の最低映画を決めるゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で10部門にノミネート、6部門を制覇しバンホーベン本人が会場で受賞スピーチをした事でも有名。
ストーリー:スターダンサー夢見て、ラスベガスにやってきた少女ノエミ(エリザベス・バークレイ)を待っていたのは、虚飾と、どろどろの人間模様。
そんなショービジネスの世界で、敗北を繰り返しながらも、ノエミはトップダンサーを目指す。
感想
恥ずかしながら僕は最初、本作の監督がポール・バーホーベンだと知らなかったし、ラジー賞を受賞した事も知らなかったんですが、たまたまネット知って気になったので観てみたんですね。
正直に言えば怖いもの見たさな気持ちもあったんですが、実際に観てみたら……
ちゃんと面白い作品でしたよ?
まぁ、ラジー賞自体がある種のシャレみたいなものだし、作品の出来云々というより、ヌードやセックスの描写、莫大な制作費、「俺たちが望んでいたバンホーベン作品“じゃない“」も込みでの評価なんでしょうね。
( ゚∀゚)o彡オッパイ! ( ゚∀゚)o彡オッパイ! ( ゚∀゚)o彡オッパイ!
本作の主人公ノイミは、ラスベガスでストリッパーをしながらスターダンサーを目指しています。
スターダンサーって言っても、高級ホテル『スターダスト』のトップレスで踊るショーダンスのメインダンサーなんですね。
僕は、ラスベガスのショービジネスが分からないので、このショーやスターダンサーの地位はよく分かりませんけど、そういう内容なので登場する女性は劇中ほぼ裸です。
画面いっぱいに躍動するおっぱい、おっぱい、おっぱい。
主演のエリザベス・バークレイもベガスの女王・クリスタルを演じたジーナ・ガーションもバンバン裸になります。
また、ノエミが最初に踊っていたストリップ・バー「チーター」では、サービス『プライベートダンス』っていうサービスがあるんですけど、そこでノエミは全裸で扇情的に踊ったりするんですねー。
これらの描写から、本作を低俗、下品と批判する人もいるみたいですが(そして概ねその通りですが)、ダンサーの人たちの体は美しいし、(セックスシーンも含めた)ダンスの映像は圧巻の迫力でした。
っていうか、裸はバンバン出てきますけど、本作は全然エロくないですね。
アメリカと日本のエロ感の違いもあるんでしょうが、基本、ダンスにしろセックスにしろ、ノエミやダンサーたちにとっては戦いだし、バンホーベン監督もそのつもりで撮ってると思うんですね。
つまり本作は、何も知らずに戦場に飛び込んだ一兵卒が、戦士として成長していく様子を描いた『スターシップ・トルーパーズ』であり、負け犬が運と努力で栄光を勝ち取る『ロッキー』であり、野望が叶った途端に破滅が始まる『スカーフェイス』であり。
その主人公がもしも女性だったらっていう映画です。
そりゃぁ、いくらおっぱいや裸が出てきてもエロくないですよね。
共感を呼ばない主人公
本作が酷評される理由の一つに、主人公ノエミのキャラクターがあるんじゃないかと思います。
映画冒頭の彼女は、とても攻撃的で他者を寄せ付けないハリネズミみたいな少女です。
その理由は後半明かされるんですが、基本的に他人は信用しないし、気に入らないことがあるとすぐキレるし、野望のためなら手段を選ばない。その割に、ちょっと優しくされるとすぐに人を信じて、ころっと騙されるバカな部分もあり。
そのアンバランスさも込みで観客は彼女にイライラするだろうし、非常に共感しにくいキャラクターだと思います。
そんな何者でもない彼女が唯一の拠り所にしてるのが、自分はダンサーであるというプライド。
だから序盤でクリスタルに「ストリッパー」と言われ反発するし、後半クリスタルが自虐的に言う「ショーガールは売春婦」という言葉にも激しく反発します。
たとえ場末のストリップバーで裸を見せ、プライベートダンスで扇情的な踊りで男を悦ばせても「自分はダンサーだ」というプライドが彼女を支えているんですね。
ところが、宿敵クリスタルに対し、彼女はある行動に出てしまいます。
それによってノエミは、ついに憧れのスターダンサーの座につきますが、その行動は今まで彼女を支えていたプライドを自ら破壊してしまうわけですね。
そこまでして立ったトップの座から見た景色は、クリスタルの言葉通りで、更にそんな彼女を罰するように、立て続けにある事件が起こります。
これが男性主人公なら、そのまま身を持ち崩してバッドエンドっていう、破滅の美学に流れてしまいそうなものですが、彼女は自分なりのけじめをつけたあと、あっさりと地位も名誉を捨てて新天地に旅立ちます。(ここのラストはちょっと分かりにくいんですが、もしこれから観る人はラストシーンの道路標識に注目してください)
このラストシーンは冒頭のシーンと対の構図になっていて、冒頭でプライドだけを頼りにショービジネスの世界に入ってきた一兵卒の少女は、確かなダンスのテクニックとショービジネスで生き残る術を手に入れた戦士として、ラスベガスを卒業するんです。
その割り切りの早さや、潔さ、しなやかさは、女性主人公ならではなのかなーと。
もっと言えば、このラストに監督の『男性主人公のマッチョな映画』=男性社会への皮肉屋批判が込められているのかなーなんて思ったりしたんですが、違いますかねー?
いや、こんな風に書くと、超名作! みたいに思われるかもですが、そんなことはなくて、良いところもあるし悪いところもある、いつものバンホーベン作品です。
ただ、そこまで酷評されるほど酷い映画ではないと思うし、個人的には十分楽しめた面白い映画でしたよ。
興味のある方は是非!