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ラスベガスを舞台にスコセッシが描くギャング映画「カジノ」(1996)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「沈黙」のマーティン・スコセッシ監督のギャング映画、
『カジノ』ですよー!

スコセッシxデ・ニーロxジョー・ペシのギャング映画ですからね!
もう、面白くないわけがないのです!(;゚∀゚)=3ハァハァ
その割には初見)

 

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画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp/

概要とあらすじ

ある天才賭博師を通じて、まだマフィアの支配下にあった1970年代から80年代のラスベガスを描いたニコラス・ピレッジ原作の同名書籍を、「沈黙」「タクシードライバー」「グッドフェローズ」のマーティン・スコセッシが映画化。
主演はスコセッシの盟友ロバート・デ・ニーロ

ストーリー:賭博の才を買われてヴェガスのカジノの経営をまかされる事になるサム・ロススティーン。カジノは売り上げを伸ばし、バックについている組織への上納金も増えていく。美しい女ハスラー、ジンジャーを見初めたサムは彼女と結婚し、生活は順風満帆のように見えた。しかしサムの長年の盟友ニッキーがヴェガスに乗り込んで来た事から事態は急変する。暴力的で破壊衝動の強いニッキーは次々とトラブルを引き起こし、それはカジノの経営にも少なからず影響を及ぼしはじめていた……。(allcinema ONLINEより引用)

 

感想

ギャング映画の名手マーティン・スコセッシ

本作の監督は、現在公開中の話題作「沈黙-サイレンス-」の巨匠マーティン・スコセッシ
タクシードライバー」「ヒューゴの不思議な発明」「 ウルフ・オブ・ウォールストリート」など、多作・多彩な監督ですが、アメリカのイタリア系マフィアの実態を描いた『グッドフェローズ』『ギャング・オブ・ニューヨーク』『ディパーテッド』などなど、彼の真骨頂といえば何と言ってもギャング映画ですね。

フランシ・スフォード・コッポラの「ゴッドファーザー」はイタリアシチリア地方のマフィア一代記を荘厳に描いたマフィア映画の傑作ですが、対するスコセッシはアメリカに住むギャングの俗っぽい実態を生々しい描写でリアルに描く名手。
日本で言えば「仁義なき戦い」の深作欣二的な感じですかね。

本作では、まだギャングに支配されていた頃の金と欲望と暴力が支配していたラスベガスを鮮烈な色彩で描いています。

 

盟友デ・ニーロとジョー・ペシ

本作の主人公、天才ギャンブラー エースことサム・ロススティーンを演じるのは、数々の作品でスコセッシと組んできた盟友、ロバート・デ・ニーロ
冷静沈着で慎重な男サムが成り上がり、人生の絶頂から転落していくまでを見事に演じきっています。

そして、そんなサムとは対照的な、凶暴で感情的、一度キレたら止められない男ニッキを『グッドフェローズ』でも二人と組んだ “近づきたくない男ナンバー1“ のジョー・ペシが演じています。

もうね、スコセッシが監督するギャング映画で、デ・ニーロとジョー・ペシが出演してるんだから面白くならないわけがないんですよ。

ちなみに、本作は実話に基づいたストーリーで、登場するキャラクターにはそれぞれモデルがいます。
主人公のモデルとなったフランク・"レフティ"・ローゼンタールという人は、最初原作者の取材に応じなかったらしいですが、スコセッシが監督でデ・ニーロが自分の役を演じて映画化されると知って、取材に応じたそうです。

また、ニッキのモデルとなったのはアンソニー・"トニー"・スピロトロという、こちらも実在の人物ですが、ジョー・ペシを見たスタッフが本人と間違えたという噂があるくらい、そっくりだったんだとか。

そして、本作でサムが一目惚れて結婚するジンジャー。
感情の起伏が激しい難しい役を『氷の微笑』のシャロン・ストーンが体当たりで演じています。

3時間近い長尺な作品だけど超面白い

本作の内容を一言で言うなら「友達と奥さんはよく選ばないとヒドイ目に遭う」という物語。
徹底的にデーターを集めて分析することでギャンブルに勝ち続け、予想屋として財を成すエースことサムは、その腕を見込まれてシカゴのボスからベガスのカジノ経営を任され大成功。
順風満帆なサムですが、ある日、男を食い物にして荒稼ぎするハスラーのジンジャーに一目惚れ。時を同じくしてシカゴから用心棒として、超短気で凶暴なニッキがベガスにやってきたことがサムの人生の歯車を狂わせていくのです。

このジンジャー、とにかく金遣いが荒くて、ダメンズなヒモに惚れてて、アル中で、メンヘラっていうとんでもない女性で、もうね、観てるこっちがイライライライラしちゃいます。
特に、サムにヒモとの交際がバレてからは、酒浸りの薬浸りで湯水のように金を使いまくわ、ニッキーと浮気するわ、しまいには夜遊びのために幼い娘をベッドに縛り付けて外出するわシッチャカメッチャカで、サムのことも1ミリも愛してないんですよね。

しかし、それはサムも承知だったわけで、それでも最初は十分な金と贅沢な暮らしが彼女の気持ちを変えていくと思っていたんです。
ところが、サムの理詰めな考え方が自由を愛する彼女を次第に追い詰め、事態はどんどん悪化していきます。
結局、二人はまったく別種の人間で、サムの計算違いはそんな彼女を理解、コントロール出来るという勘違いから既に始まっているわけです。

一方のニッキーも、恐喝、強盗、ゆすり、たかりとやりたい放題。
そんな行いが祟って、FBIに目をつけられてカジノに出禁になったりボスに睨まれたり。おまけに一度キレると簡単に人殺しもしちゃうっていう荒くれ者で、そんなニッキーと付き合いがあるサムまでFBIに目をつけられていく。

そんな理解も予測も不可能な二人と関わることで、サムの計算はどんどん狂わされていくという物語。

約3時間もある長尺な作品ですが、本当にテンポが良くて話の展開も早いので、観ていて長いとは感じなかったですねー。

当時のラスベガスの『空気』を写し取る

デ・ニーロとジョー・ペシが交互にナレーションしながら、物語は進んでいくんですが、早い展開とスマートな語り口、そして光と影と色彩を意識した映像が、当時のラスベガスの危険で雑多で勢いに溢れた空気感を見事に写し取っているんですよね。
さすが巨匠スコセッシ。

特にサムの衣装はど派手な原色で、まるでコメディアンみたい。
普通の人が着たら絶対ダサくなる原色のスーツもデ・ニーロが着ると何故か格好良く見えます。
そのくせ彼はズボンにシワが付くのが嫌で、オフィスで一人の時は、ズボンを脱いでネクタイシャツにパンツで仕事する神経質な一面も。

これは、いかにも成金趣味で見栄っ張りで毒々しい派手さで自分を飾り立てる一方で、ズボンのシワさえ気になる神経質で慎重なサムというキャラクターを、衣装の色と行動で観客に分からせるというスコセッシの演出意図だし、服装一つで物語の流れを映像的に表現しているわけですね。

あと、本作でもやっぱジョー・ペシが怖かったですw
特に、敵対勢力ヒットマンの頭を万力で挟んで……のシーンなんか、もうね、
(;Д;)ギャー! ですよw

背が低くて、声も高く、一見人懐っこくて陽気なオッサンに見える彼ですが、それゆえキレて凄んだり暴力を振るいだす瞬間の怖さが際立つんですよねー。
まさに怪優です。

ロバート・デ・ニーロジョー・ペシシャロン・ストーンが織り成すスコセッシのギャング映画。長尺だけど超面白いですよ。

興味のある方は是非!!!