今日観た映画の感想

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豪華キャストがフルスロットルの演技「GONIN」(1995)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、映画関係者→漫画家→脚本家→映画監督という異例の経歴を持つ石井 隆監督が描いたバイオレンス映画『GONIN』ですよー!

僕は公開後、レンタルビデオで観たはずなので今回が2回目の鑑賞なんですが、内容を殆ど忘れてたので、今回初見みたいな気持ちで観ましたよw

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画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp

あらすじと概要

暴力団の金庫から現金強奪を企てた5人の男たちの顛末を描いたバイオレンス・アクション。バブル崩壊により暴力団・大越組に多額の借金を抱えてしまったディスコのオーナー万代。彼はさまざまな出会いにより知り合った4人の男たちと共に、大越組事務所からの現金強奪を実行する。しかし、それも些細なミスから大越組に知れ、彼らは命を狙われることになる……。(allcinema ONLINEより引用)

 

 

感想

「GONIN」とは

ざっくり言うと、ヤクザのお金を奪った人生どん詰まりの五人の男が、ヤクザに報復されるというバイオレンス映画で、ニューヨークでタランティーノの「レザボア・ドッグス」を観た盟友、竹中直人から大筋だけを聞いて石井監督が想像で作ったのが本作ということらしいです。(そしてタランティーノは本作のファンなんだとか)

それ以外でも本作では、竹中直人がお金や役者集めなど色々サポートしているらしいですね。

で、そんな本作に登場する5人はというと、

・元々は音楽をやってて、バブル期にディスコ経営で時代の寵児となったものの、バブルが弾けてヤクザからの借金で首が回らないナルシスト男 万代樹木彦 (佐藤浩市

・男娼のフリをしてかかった客を脅して金を巻き上げる美青年で、実はゲイ? の三屋純一 (本木雅弘

暴力団のチクリによって汚職がバレてクビになった元刑事の氷頭要 (根津甚八

・家のローンを抱えているのにリストラされたサラリーマン荻原昌平 (竹中直人

・パンチドランカーの元・ボクサーで、タイ人の恋人がいるジミー(椎名桔平

そんな五人に報復のため送り込まれたヒットマン役がビートたけし木村一八で、ビートたけしはこの時バイク事故から復活したばかりで、片目の眼帯は役作りじゃなくてまだ治ってなかったらしいです。

他にも、鶴見辰吾、永島敏行など、豪華キャストたちがリミッターなしのフルスロットルで熱演。今でもカルト的人気を誇っている名作で、それから19年後の2015年に公開された「GONINサーガ」へと繋がっていくんですね。

今観れば色々思うところはあるけれど

とはいえ、約20年前の作品ですからね。
今観れば、画面の古さや、バブルの残り香満載のファッションや音楽、時代を感じさせるオーバーアクト、ケレン味たっぷりなアブノーマル設定、説明台詞など、「あー昔っぽいなー」と思うのは致し方なしです。
しかし、その後隆盛を極める韓国ノワール映画のような荒れた空気感だったり、バイオレンスを際立たせるカメラワーク、思いもよらない展開など、多分、その後に続く日本のバイオレンス映画に、多大な影響を与えた作品なのだろうと推測させるインパクト抜群の映画であることは間違いありません。

一旦は成功したかと思われた強奪計画が、ある男の行動によるほんの小さな綻びから破綻、その後の目も当てられない惨劇に発展していく展開には、見ているこちらも手に汗を握ってしまうし、その途中にあっと驚く「真相」を挟み込む上手さは、さすがだなーと思いました。

このシーンがスゴイ

中でも今観ても衝撃的だったのは、計画がバレて、引き込み役となる椎名桔平演じるジミーが、横山めぐみ演じるタイ人の恋人のナミィーと共にヤクザの拷問を受けるシーンは、裸で椅子に縛り付けられ拷問されるジミーとチンピラたちに陵辱されるナミィーを、引きの画で同じ画面に収めているんですが、それによって陰惨さが増してるんですよね。
しかもその後、ジミーがナミィのワンピースを着て組長に復讐しようとするシーンでの、椎名桔平の鬼気迫る演技は凄かったですねー。

あと、金を手にした荻原が家に戻ってからのシーンは中々のホラー展開で、真相が分かった瞬間に、遡って「あれはそういう事か!」と衝撃を受けました。
まさに、竹中直人の真骨頂といった凄みのある恐ろしいシーンです。
そこに踏み込んできた、ヒットマン二人の関係が明らかになるのも衝撃的でしたねー。
お前もかーい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ っていうね。

ヤクザの事務所を襲撃するシーンでのモッくんの身のこなしは、思わず目を奪われる見事な中二アクションで、超かっこよかったですよ!(;゚∀゚)=3ハァハァ

残念だったシーン

ただ、やっぱり残念なシーンが多いのも確かで、特に全体的に無駄な説明セリフが多いのは気になりました。
ゴチャゴチャ言わないでキスするだけで良くない? とか、そこは表情と行動で分かるのになんでセリフで言っちゃうかなーとか、芝居がかったリアクションとか。
その辺は、時代もあるのかもしれませんけど。(観客に分かりやすくするための説明セリフは常識だった)

あと、基本登場人物が全員トリッキーと言うか、特に、竹中直人、モッくん、永島敏行の三人は“芝居しすぎ”な感じがしました。
キャラ的に仕方ない部分もあるんですが、演技がオーバー過ぎてちょっと引いちゃうし、嘘っぽく見えちゃうんですよね。

根津甚八が(キャラ的にも)抑えた演技で物語のトーンを引き締めているので、そこまで気にならずに済んでるものの、やりすぎのオーバーアクトで、物語のリアリティーやキャラクターの実在感が薄れてる部分が多いのがもったいないなーと。

トーリー自体が突拍子もない話なので、キャラクターやセリフでリアリティーを出していたら、もっと引き込まれたかもとは思いました。
まぁ、それも今の感覚で観てるからなんだと思うんですけども。

ともあれ、とても面白い映画だったのは間違いがないし、「GONINサーガ」を観てみようと思うなら、予習の意味でも先に本作をチェックしていたほうがいいと思いましたよ。

興味のある方は是非!