ぷらすです。
今回ご紹介するのは、29歳の若さでこの世を去った天才棋士・村山聖の生涯を描いた伝記映画『聖の青春』ですよー!
体重の増量や外見だけでなく、徹底した役づくりで鬼気迫る演技の松山ケンイチと、羽生名人の細かいクセまでほぼ完コピした東出昌大の徹底した役づくりは本当に素晴らしかったですよー!
画像出典元URL:http://eiga.com
あらすじと概要
29歳の若さでこの世を去った天才棋士・村山聖の生涯をつづる大崎善生のノンフィクションを、松山ケンイチ主演で映画化。幼いころより患う難病と闘いながら将棋の道を突き進んだ村山の壮絶な人生を、羽生善治をはじめとする同世代の棋士との死闘や、彼を支える師匠や両親たちの愛を通して描く。『宇宙兄弟』などの森義隆がメガホンを取り、『マイ・バック・ページ』などの向井康介が脚本を担当。大幅な体重増量など徹底した役作りに挑んだ松山の熱演が光る。
ストーリー:幼少期から難病を患う村山聖は、入退院を繰り返す中で将棋と出会い、15歳で森信雄に師事する。10年後、名人になる夢をかなえるべく上京した聖(松山ケンイチ)は周囲に支えられながら将棋に全力を注ぎ、七段に昇段したころ、同世代で名人のタイトルを獲得した羽生善治に激しいライバル心を抱く。さらに将棋に没頭する聖だったが、がんが彼の体をむしばんでおり……。(シネマトゥディより引用)
感想
難病を患いながらも29年の生涯を駆け抜けた天才棋士の物語。
本作の主人公、村山聖(むらやま さとし)は、幼少時に「ネフローゼ」という腎臓の難病を患い、無理のきかない自らの重い身体と闘いながら、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指して快進撃を続け「東の羽生、西の村山」と言われた若き天才棋士でしたが、膀胱がんのため29歳という若さで亡くなったそうです。
「三月のライオン」の二階堂のモデルも確かこの人だったと思います。
本作は生前の村山聖と交流のあった作家・大崎善生の渾身のデビュー作となったノンフィクション小説を原作に、村山の最後四年間にフォーカスを当てた“フィクション”になっています。
松山ケンイチ、東出昌大の徹底した役作りと鬼気迫る演技
まず、本作で驚くのは何といっても主役の村山聖を演じた松山ケンイチの見た目じゃないかと思います。
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もう、ぷっくぷくですよ。
というのも、村山聖がそもそもそういう体型だからなんですが、松ケンは役づくりのために体重を大幅に増量。
さらに、村山氏の対局中の細かいクセなどを研究して役に望んだようです。
それは羽生善治名人を演じた東出昌大も同じで、対局中の細かい仕草や相手を刺すように睨みつける視線など、ほぼ完コピに近い見事な役づくりをしているんだそうですよ。(僕は将棋を見ないので分かりませんけど、ネットで調べたところ将棋ファンの人が褒めてました)
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もちろん、ただの物マネではなくて、クライマックスになる両者の対局では表情や視線、一手一手の緊張感など、将棋を全く知らない僕でも息を呑むような演技を見せていました。
両者の対局シーンでは(例えば両者の思考をビジュアルで見せるような)派手な演出はなく、あくまで松ケンと東出昌大の演技だけで淡々と見せていくんですが、その分、二人の鬼気迫る演技のぶつかり合いが際立っていましたねー!
また、脇を固める役者陣も実力派揃いで、非常に見ごたえがありました。
原作からの改変
本作の原作はノンフィクション小説なので、あくまで事実に忠実に書かれているようなのですが、本作では村山聖と羽生善治の二人に物語を絞っています。
例えば村山が生涯で唯一タイトル戦に挑戦することが出来たのは、1992年の谷川浩司との王将戦だけらしいんですが、劇中では羽生名人とのタイトル戦に変えられていたりするようで、個人的は約2時間の物語に収めることや、将棋を知らない一般の人の分かりやすさを考えれば致し方ないのかなーと思うんですが、その辺は将棋ファンや原作ファンにとっては不満に感じてしまう点かもです。
将棋が分からない人でも楽しめる
将棋に限りませんが、特殊な世界を題材にした作品だと「その世界を知らない人は面白さが分からないのでは?」 と不安になったりしますよね。
僕も将棋はコマの並べ方も知らないので、観る前は少し不安だったんですが、実際観てみたらまったく問題ありませんでした。
どちらが優勢か劣勢みたいな状況はサブキャラクターが説明してくれるし、本作の本題は将棋ではなく、あくまで村山聖という人の生き様と、彼と周囲の人との関わりを描いた人間ドラマがメインですからね。
なので、本作でも将棋の内容について観客が理解させるような説明は一切ありません。
控え室などで、他の棋士の人たちが将棋の内容について語るシーンも、将棋を知らない人にはまったく理解出来ないですが、それでいいという作り方なんです。
「シンゴジラ」で言えば、会議室での会話シーンみたいなものですねw
気になったところ
ただ気になるところもあって、多分、本作は時系列を入れ替えてるシーンがいくつかあると思うんですが、その演出は正直あまり意味がないし、そのせいでストーリー(というか状況?)が分かりずらくなってるように思いました。
特に冒頭のシーンは、村山聖という人物を説明したいという意図は分かるけど、その後のストーリー展開に繋がってるわけではないですしね。
むしろ幼少期から順を追って見せていった方が、観客もすんなり物語に入れるし感情移入もしやすかったのではないかなって思いました。
逆に、前述したように対局シーンで過剰な演出をせず、役者の演技に任せて淡々と描いたのは個人的にはとても好印象でした。
例えばマンガ原作みたいな完全フィクションなら、派手さのある映像で盛り上げたほうがいいかもですが、実在の人物が主人公のいわば伝記映画ですからね。
ともあれ、全体的は地味で静かな映画ですし傑作とまでは言いませんが、見れば面白いし、人によっては心に刺さる秀作だったと思います。
それに、しつこいようですが松ケン&東出昌大の演技だけでも、本作を観る価値アリだと思いますよー!
興味のある方は是非!