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コーエン兄弟のブラックコメディー「バーン・アフター・リーディング 」(2009)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、コーエン兄弟が2008年に製作したクライムコメディー『バーン・アフター・リーディング 』ですよー!

豪華キャストが共演する、コーエン兄弟節全開のブラックなコメディーでしたよー!

 

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画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp

あらすじと概要

ノーカントリー』でアカデミー賞作品賞ほか主要3部門などを受賞したジョエル、イーサン・コーエン兄弟が放つクライム・コメディー。CIAの機密情報が書き込まれた一枚のCD-ROMをめぐり、さまざまな人々が衝撃の結末へと突き進んでいく。出演は『オーシャンズ』シリーズのジョージ・クルーニー、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のブラッド・ピットら。演じる俳優をそれぞれ想定して書かれたという個性豊かなキャラクターたちと、彼らがたどる運命の行方に注目だ。

トーリー:CIAの機密情報が書き込まれた1枚のCD-ROMを、勤務先のフィットネスセンターで拾ったチャド(ブラッド・ピット)とリンダ(フランシス・マクドーマンド)。そのころ、元CIA諜報員のオズボーン(ジョン・マルコヴィッチ)は、機密情報の紛失にうろたえていた。一方、オズボーンの妻ケイティ(ティルダ・スウィントン)は、財務省連邦保安官ハリー(ジョージ・クルーニー)と不倫中で……。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

勘違いコメディー?

本作は、元CIA職員が執筆中の暴露本のデータが入ったCDロムを拾ったバカが、国家機密だと思って恐喝しようとしたら大変なことになったっていう物語で、いわゆる「勘違いコメディー」ってやつです。

物語自体は非常にシンプルですが、登場するキャラはとにかくアレなヤツばかり。
そんな主要キャラをざっくり紹介すると、

アル中が原因で左遷されそうになり、それに怒って辞職する元CIA職員のオズボーン

オズボーンの妻で女医。ヒステリックな性格でハリーと不倫中のケイティ

財務省連邦保安官で出会い系サイトにはまり、ケイティを含む複数の女性と不倫中のハリー

美容整形しないと人生真っ暗と思い込んでいるスポーツジムの従業員リンダ

リンダの同僚で身体を鍛えることばかり考えている筋肉バカのチャド

ハリーの妻で絵本作家のサンディ

スポーツジムの支配人でリンダに思いを寄せるテッド

事件自体はシンプルなのに、この7人それぞれの思惑が絡まりあって、事態がどんどん悪い方向に進んでいくという、いつものコーエン兄弟作品でした。

無駄に豪華なキャスト陣

そんな本作、規模の割にキャストが無駄に豪華です。

オズボーン役にジョン・マルコヴィッチ
ケイティ役にティルダ・スウィントン
ハリー役にジョージ・クルーニー
リンダ役にフランシス・マクドーマンド
チャド役にブラッド・ピット
サンディ役にエリザベス・マーヴェル
テッド役にリチャード・ジェンキンス

そして、そんな彼らの動向を見張るCIAの偉い人役にJ・K・シモンズ

アカデミー賞を始めとした様々な賞にノミネートまたは受賞した実力者ぞろい。
そんな実力派俳優陣で、コーエン兄弟はほとんど悪ふざけとも言える映画を作っちゃったんですねー。

特にブラピは、情けない筋肉バカをノリノリで熱演してましたよw

神視点から見た悲喜劇

で、この人間関係が非常にややこしくて、オズボーンの妻ケイティは、オズボーンに愛想を尽かしていて不倫相手のハリーに結婚を迫り、そのハリーはケイティだけでなく出会い系サイトを使って複数の相手と不倫中。

リンダの方も同じ出会い系サイトに登録していて、ハリーとセフレになるんですね。

で、このリンダは(年齢による)容姿の変化にコンプレックスを持っていて、整形手術を受けようとするも、お金が足りずにいます。

そんな時、スポーツジムに落ちていた一枚のCDロムを従業員が発見。
チャドが中身を見てみると、そこにはCIAの機密情報らしき文章が入っているんですが、これ、CIAを辞めたオズボーンの自伝の原稿で、それを持ち出したのはオズボーンと離婚しようとしているケイティで……って、ややこしいわ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

で、チャドとリンダはこのCDロムがCIAの機密情報だと思い込んでるので、オズボーンを脅して金を取ろうとするのだが……。

という顛末を、CIAはしっかり見張ってて、上司のJK・シモンズに報告してるんですけど、報告する方も報告を受けるJK・シモンズも、状況がまったく理解できなくて、どういうこと?? ってなるんですよね。

劇中のCIAとJK・シモンズの立ち位置は、物語のツッコミ役であり、観客の代表であり、物語を俯瞰で眺めている神の視点でもあるわけで、つまり、本作は猥雑な人間関係を観察する神の物語でもあるんですね。

この作劇法は、まさにコーエン兄弟の十八番で、「ノーカントリー」や「ファーゴ」のようなサスペンスホラーも同じで、コーエン兄弟作品って基本全部コメディーの作劇法で作られてるんですよね。

そういう意味では、日本で言えば北野武監督に近いのかもしれません。

ただ、それがハマる時もあればスべる時もあり、本作はどちらかといえばスべってるんじゃないかなと思ったりもします。
つまらないわけじゃないし、少なくとも観ている間は面白いんですが、終わってみると特に何も残らないというか、こんなに豪華キャストなのに登場キャラクターが薄いっていうか。

ちなみに本作のタイトル「バーン・アフター・リーディング 」は「読み終わったら燃やせ」=極秘文書としての意味合いという意味ですが、バーン(焼く)には焼き増し=コピーの意味もあり、「読んだ後に焼き捨てたくなるほど下らない内容」的な意味もあるらしく、コーエン兄弟はタイトルの時点で「この映画は超下らないですよー」って警告済みってことなのかなーなんて思ったり。

そう考えると、この無駄に豪華なキャスト陣も「これだけ豪華なキャストでコーエン兄弟が作るんだから、何かあるんだろう」と観客に思わせるミスリード的な“フリ”なのかもしれませんねw

興味のある方は是非!

 

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