今日観た映画の感想

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計算しつくされた作りで低予算を感じさせない秀作!「REC / レック」(2008)*R-15

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、スペイン発スパニッシュホラーの大ヒット作『REC / レック』ですよー!
主観映像(POV形式)のみで撮影された本作。「超怖い!」というネット評が多かったので、ずっと観るのを躊躇していたんですが(ビックリ系ホラーが苦手)、ツイッターのやり取りで、久しぶりに名前を見て、「よし! 一丁観てみっか!」と覚悟を決めてレンタルしてきましたよー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

封鎖されたアパートで起こった伝染病の惨劇を、テレビ番組クルーの手持ちカメラ視点でとらえた、ドキュメンタリー調の臨場感あふれるパニック・ホラー。『機械じかけの小児病棟』などで知られるスパニッシュ・ホラーの旗手ジャウマ・バラゲロとパコ・プラサがメガホンを取り、スペインで大ヒットを記録。ラストに映し出される衝撃映像に目がくぎ付けになる。

ストーリー:レポーターのアンヘラ(マニュエラ・ヴェラスコ)は、あるアパートに出動する消防団に同行取材を行う。現場にいたのは血まみれの老婆。老婆は警官にかみ付き、建物は外から封鎖されてしまう。救出に来た衛生士の口から、この建物で発生したと思われる人や動物を凶暴にする病原菌の存在を知らされ……。(シネマトゥディより引用)

 

感想

まず最初に本作の感想を一言で言うと「超怖ぇえええ!!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタ」でしたよ!

本作の怖さは、いわゆる「お化け怖い」的な生理的恐怖というより、お化け屋敷的な恐怖、つまりビックリさせられる系の怖さで、僕が最も苦手なタイプのホラーでしたw

ただ、同時に映画として超面白くて、劇中何度も関心してしまったんですね。

スペイン映画の規模を考えるとかなりの低予算作品だと思うんですが、それを感じさせない計算しつくされた作りで、観客を恐怖のどん底に引きずり込んでいく秀作でした。

ゾンビ映画

本作はいわゆるゾンビ映画です。(いきなりのネタバレ)
消防隊員に密着していたテレビクルーが、街中のアパートでゾンビに襲われるという非常にシンプルな物語なんですね。

POV形式

POV形式とは日本語で言うと「主観映像」の事。
登場人物の誰かが持っているカメラに記録された映像で物語が進むという設定で、モキュメンタリー(ドキュメンタリーっぽい劇映画)作品でよく使われます。

ホラー映画だと「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」、SF? だと「クローバーフィールド/HAKAISHA」が有名ですよね。

ただ、このPOV形式は観客に臨場感や没入感を与える一方で、かなり上手くやらないと映像が観ずらかったりとか、「こんな状況で撮影なんかしないだろう」とか「この映像は、誰が撮影してるの?」という違和感が目立つデメリットがあったりします。

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画像出典元URL:http://eiga.com

本作の場合、消防隊員の密着取材について行ったレポーターとカメラマンが、そのまま事件に巻き込まれるという設定なんですが、これが非常に上手い!
テレビクルーなら、どんな状況でも絶対カメラを手放さないのは違和感がないし、撮影してるのはプロのカメラマンなので、手ブレも最小限でストレスが少なく、観客は物語に集中できますからね。

ちなみに、本作でカメラマン役を演じているパブロ・ロッソさんは本職のカメラマンで、本作ではカメラマン役と撮影を兼任してるそうですw

登場人物

本作の主な登場人物は以下のとおり。

アンヘラ:深夜枠で放送してそうな情報番組のリポーターで仕事熱心。

パブロ:同番組のカメラマン。アンヘラと一緒に行動する。

消防隊員:「住人の部屋から悲鳴が聞こえた」という通報でレスキュー出動。

警官:同じく住民の通報でやってきていた。アパートの住人に責められてかわいそう。

老夫妻:アパートの住人で通報者。

扁桃炎の娘と母親:アパートの住人。父親は娘の薬を買いアパートから出ていた。

日本人一家:劇中、中国人と言われてるけど日本語だったので多分日本人。

研修医・ギレム:アパートの住人。老婆に噛まれた警官と消防隊員の手当てをする。

衛生検査員:調査のため重装備でアパートに乗り込んでくる。ゾンビウィルスの秘密を知ってるっぽい。

限定された空間

本作の舞台はスペインの街中にあるボロアパート。
消防隊員に密着取材していたレポーターのアンヘラ(マヌエラ・ベラスコ)とカメラマンのパブロ(パブロ・ロッソ)が、通報を受けて出動する消防隊員についていくと、現場のアパートでゾンビに遭遇、逃げ出そうとするも、政府機関 によってアパートは完全に封鎖され陸の孤島状態で、狭いアパートの中を次々ゾンビ化していく住人や警察官、消防隊員から逃げ回るんですが、この設定も上手い。

舞台をアパート内に限定してある種の密室状態にすることで、物語にサスペンスと臨場感が生まれるし、広さがない分、通常のゾンビ映画とは違い縦の移動がメインになるんですね。
さらに撮影場所が限定されているので予算も抑えられる上に、物語に必然性があるので映像の安っぽさを感じませんでした。

ゾンビではない

そして、本作のゾンビは厳密に言うとゾンビではありません。
彼らはウィルスに感染して凶暴化した人間という設定なんですね。(ダニー・ボイルの「28日後...」と同じ設定)

感染と感染のルールは、

1・感染者に噛み付かれると唾液・血液から感染する。

2・感染者は頭を撃たないと死なない。

3・感染者はとにかく噛み付いてくる。

の3点で、ほぼゾンビと一緒。
ですが、死人ではないので猛スピードで追いかけてくるんですねー。Σ(||゚Д゚)ヒィ~!!

そして、ゾンビじゃないから傷のメイクと血糊だけで、ゾンビメイクはしなくていいわけです。
それが逆に生々しさや凄惨さを増していて、より怖さに繋がってるんですよね。

セリフ

本作では、偶然事件に巻き込まれたアンヘラとパブロの「取材」によって、徐々に事件の「概要」が見えてくる作りになっているんですが、この設定が絶妙で、状況説明のセリフに説明感を感じないんですよね。

アパートの構造や中で何が起こっているのか、何階に誰がいるのかなど、物語に必要な情報が彼らのインタビューや警察の質問に答える形で登場キャラクターたちよって語られるし、さらに一見パニックになって怒鳴りあっているだけに見えるシーンでも、しっかり現状や誰が感染しているのかなどが分かるように、セリフが設計されているんです。

なので、観客は込み入った状況でも混乱することなく純粋に怖がれるし、一連の「感染の秘密」が隠された場所に、テレビクルー二人が自然にたどり着くようにストーリーが構成されているんですね。

また序盤の消防署のシーンでも、人間だった時の消防隊員の姿や、彼らが火事以外の通報でも出動する理由もしっかり説明されてて、上手いなーって思いました。

 

ただ、あえて文句をつけるなら、あまりにもストーリーをしっかり作り込みすぎている分、キャラクターがストーリーを進めるための駒っぽく感じたり、POV形式ゆえにホラーゲーム感を感じてしまったりするかもしれません。

それでも、僕がこれまでに観たPOV形式の作品の中では一番、違和感なく最後まで楽しめた(怖がれた)し、「ゾンビ映画」としても非常に新鮮でしたねー。

あと、アンヘラが可愛かったです。

どうやら、続編では本作ではまだ明かされてない謎も徐々に明かされるっぽいので、絶対観なくちゃって思いましたよー!(でも怖いw

興味のある方は是非!!!

 

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