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テリー・ギリアム最大のヒット作「バンデッドQ」(1983)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、1981年(日本では83年)に公開された、テリー・ギリアム監督のファンタジー映画『バンデッドQ』ですよー!

11歳の少年ケヴィンが、突然子供部屋に現れた6人の小人と時空を超えた冒険に出るというファンタジー? 映画ですが、テリー・ギリアム監督なので、“当然”一筋縄ではいきませんw

今回は古い映画なので、後半でネタバレします。
なので、ネタバレ嫌って方は、後半部分を読む前に映画を観てからこの感想を読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

両親に相手にされない孤独な少年が、自分の部屋で出会った6人の小人に導かれ時空を超えた旅に出かける。シャーウッドの森からタイタニック号まで舞台は目まぐるしく変わり、人物もアガメムノン王(S・コネリー)から巨大な海坊主、悪魔、はては造物主まで登場するファンタジー作品。「未来世紀ブラジル」「バロン」のT・ギリアム製作・監督作品。(allcinema ONLINEより引用)

感想

「バンデッドQ」の“Q”って何だ問題

この作品、原題は「Time Bandits」で、直訳すると「時間泥棒」になります。
邦題の「バンデッドQ」は日本の配給会社が考えた邦題なんですが、いかにも意味ありげな“Q”に意味はなく、語呂の良さでつけたみたいですねー。

それと、日本公開では伝わりづらいシーンや衝撃のラストシーン合わせて約13分ほどをまるっとカットして公開したんですね。(子供向け映画にしたかったらしい)
その後のテレビ洋画劇場やDVD・ブルーレイなどでは、ラストシーンはちゃんとオリジナル版に戻されたようですが、昔の事はいえ随分乱暴な事をするなーって感じです。

ストーリー

歴史好きな11歳の少年ケヴィン(クレイグ・ワーノック)は両親と3人暮らしです。
で、この両親、テレビばかり観ていて話題も家電の話ばかり。ケヴィンの話なんか全然聞いてくれません。
食べ物は、ミキサー的な何かで作った謎料理で、ケヴィンの寝食も、ただ時間に沿って命令するような、子供にまったく興味のない、今風に言えばネグレクトな毒親なんですね。

ケヴィンは歴史が大好きらしく、いつも歴史の本を読んでいて、子供部屋の壁にはポスターや自分で書いた歴史上の英雄たちの絵が貼られています。
そんな彼が眠っていると突然、馬に乗った騎士がクローゼットを突き破って現れ、壁の向こうに消えていくんですね。

次の日、その話を両親にしようとしても、まったく話を聞いてもらえないケヴィンは、証拠写真を撮ろうとポラロイドカメラを持って、服を着たまま“侵入者”を待ち構えているうちに眠ってしまいます。

すると、煙と共にクローゼットから現れたのは6人の小人。
彼らは時空を超えた泥棒で、その地図を「創造主」から盗んでケヴィンの部屋に逃げてきたのです。

そうして、巻き込まれるようにケヴィンは、6人の“バンデッド”と共に、時空を超えた旅に出るまでが前半部分です。

モンティー・パイソン」とテリー・ギリアム

知ってる人には常識と言われるかもですが、テリー・ギリアム監督は元々イギリスのコメディー番組「空飛ぶモンティ・パイソン」のメンバーの1人で、主にアニメーションを担当(たまに出演も)していました。

空飛ぶモンティ・パイソン」をざっくり説明すると、歴史や政治を思いっきり皮肉ったりちゃかしたりする風刺コントの番組で、イギリスだけでなく日本を含む世界中にファンを持つ伝説的なカルト番組なんですね。

その後彼は、「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル 」という劇場版を監督( テリー・ジョーンズと共同)。以後、映画監督として活動を始めます。

監督3作目となる本作では、随所にモンティ・パイソン」感のあるシーンが登場してるんですよねw(実際モンティーパイソンのメンバーも出演してるし)

そして本作は、彼の代表作「未来世紀ブラジル」の資金集めと企画を通すための実績を作るために制作したそうで、結果、この作品は彼の映画の中で一番のヒット作となり、「未来世紀ブラジル」へと繋がっていったんですねー。

テリー・ギリアムの作家性

僕はテリー・ギリアム作品を全部観たわけではないので断言はできませんが、「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」「ゼロの未来」に共通するのは、夢(妄想)と現実の境界がシームレスになっていて、主人公の行動が夢なのか現実なのか分からない物語なんですよね。

多分それが彼の作家性で、その原点と言えるのが本作「バンデッドQ」なのではないかと思ったりしました。

というわけで、ここからネタバレ。

 

 ラストの解釈について

6人の小人たちとケヴィンは、ナポレオンから財宝を盗み、ロビンフットに盗んだ宝を取り上げられ、ギリシャ神話の英雄アガメムノンを助け養子になり、タイタニック号に乗り込んだら沈没し、鬼夫妻の漁師に食べられそうになり、巨人を眠らせ。

そんな冒険の果てに、時空を自由に行き来するための“地図”を狙う魔王におびき寄せられ対決して大ピンチ! と思ったら「創造主」が現れて……、で、そこでケヴィンが目を覚ますと部屋は煙の海で、部屋は煙っていてドアを蹴破って入ってきた消防士に救出され。

火事の原因とされた物体を触った途端に、ネグレクトな両親が爆発して消えてしまい、よく見たらケヴィンを助けた消防士はアガメムノンそっくりだった。という物語なんですねー。

このオチに「???」ってなった人も多いのではないでしょうか?

このラストの解釈としては、この映画でケヴィンが体験したアレコレは、(両親が爆発するところも含めて)火事で両親を失い、正気を失いかけた少年ケヴィンが「現実逃避として見た夢」という説がどうも有力みたいです。

ですが、もちろんケヴィンが体験したことは全部本当だった説もあるし、火事で煙に巻かれたケヴィンが臨死体験中に体験した冒険説もあり、監督もこのラストについては「好きなように解釈してくれればいい」とインタビューで語ってました。

この作品の後に作られた作品の傾向を考えると、「現実逃避」説が有力って感じですが、個人的には、火事に巻き込まれた少年が、この世とあの世の狭間を冒険して、一人で生きる強さを手に入れた。(そのお守りとして神の部下バンデッドたちが道先案内をしていた)っていうのがいいんじゃないかと。

もし、誘惑のまま英雄アガメムノンの子供になっていたら、その時点で死んでしまうので、彼を気に入ったバンデッドたちが慌てて連れ戻しに来たみたいな。
つまり、この冒険自体、ケヴィンの生死を決める、神様の試験だった的な解釈はどうでしょう?

オープニングの地図の模様も曼荼羅っぽかったし、輪廻転生や地獄めぐり的な東洋思想が少し入っていたんじゃないかなーなんて思いましたねー。

まぁ、オチの解釈なんて本編には関係ないし、特撮などは今観るとチープに見えるけど、ケヴィンとバッデッドたちの冒険は観ていてワクワクする楽しい作品でしたよー!

興味のある方は是非!!

 

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