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キング原作のジュブナイルホラー「IT/ “それ”が見えたら、終わり。」(2017) R-15

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開されるやSNSなどで話題になったホラー映画『IT/ “それ”が見えたら、終わり。』ですよー!

27年毎に現れて子供達を襲う“IT”(それ)ことペニーワイズと、家庭や人間関係に様々な問題を抱える主人公たち“ルーザーズ”(負け組)の戦いを描いたジュブナイルホラー?です。

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概要

1990年に映像化されたスティーヴン・キングのホラー小説を、『MAMA』で注目を浴びたアンディ・ムスキエティ監督が映画化。静かな田舎町に突如現れた正体不明の存在が、人々を恐怖に陥れるさまが描かれる。『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのジェイデン・リーバハー、『シンプル・シモン』などのビル・スカルスガルドをはじめ、フィン・ウォルフハード、ソフィア・リリスらが出演。(シネマトゥデイより引用)

感想

米国ホラー小説の帝王、スティーブン・キング原作の長編小説「IT」を原作にした本作は、1990年に放映されたテレビ映画?のリブート版になります。

原作では、幼年期と壮年期の2度「IT」と戦う主人公たちの姿を交互に描く構成らしいんですが、テレビ版は少年期を描いた前半と壮年期を描いた後半の二部作になっていて、リブート版の本作は少年期のみを映画化したんですね。

「IT」(それ)は、ペニーワイズというピエロの姿で現れるため、1990年版を観た世代の子供たちはピエロ恐怖症になったなんて逸話があったりなかったりw

ちなみに「IT」には“鬼ごっこ”という意味もあるみたいですねー。

ざっくりストーリー紹介

舞台は1989年のメイン州デリー。

雨の日に弟が行方不明になった主人公 ビル(ジェイデン・リーバハー)、メガネのリッチー(フィン・ウルフハード)、ユダヤ人のスタンリー(ワイアット・オレフ)、過保護な母親を持つ喘息持ちのエディ(ジャック・ディラン・グレイザー)、転校生の太っちょ少年ベン(ジェレミー・レイ・テイラー)、黒人少年マイク(チョーズン・ジェイコブス)、父親に性的虐待を受けている少女ベバリー(ソフィア・リリス)は、彼らが通う中学で「ルーザーズ(負け組)」と呼ばれ、いじめられています。

そして、この街では、子供たちが次々行方不明になっていて、彼らはひょんなことからそれが「IT」の仕業であることを知り……。

というストーリー。

ストーリー的には、同じくキング原作の「スタンド・バイ・ミー」のホラー版といった感じで、ITとの対決を通して彼らが成長し大人になっていく姿を描いた通過儀礼の物語になっているんですね。

ホラー映画としては怖くないけど…

で、この作品。ぶっちゃけホラー映画としてはさほど怖くないんですよね。

この作品は様々な問題を抱えた少年少女たちが“ITという苦難”と対峙することで成長する姿を描くことを主軸に描いているので、ペニーワイズが怖すぎるとストーリー的にもパワーバランス的にもブレちゃうからかなー? なんて思ったりしました。

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ルーザーズ」が抱える問題

「負け組」リーダーで主人公のビルは、弟が行方不明になった事に責任を感じ、弟を探していて、また自身は吃音をからかわれいじめられています。

ユダヤ系のスタンリーと黒人のマイクは、人種や出自でいじめられているし、転校生で太っちょのベンは友達ができず、エディは体の弱さと過保護な母親がコンプレックス。

そして、ベバリーは家では父親に性的虐待を受け、学校や街ではビッチだと噂を流され苛められているんですね。

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本作はそんな大人と子供の狭間にいる彼らが、協力したり、初恋したり、ケンカしたり仲直りしたりしつつ、ペニーワイズと対決していくことで、仲間や強さを手に入れて、子供から大人へと成長していく姿を描く、ジュブナイル作品なんですね。

ベニーワイズの正体

同時に本作では、子供たちが親や街の大人たちによって捻じ曲げられていく姿も描いています。

ベバリーの父親は言うまでもなく、エディの母親もいわゆる過干渉の毒親で、エディを喘息と信じこませ、家に閉じ込めようとしています。

また、ルーザーズを執拗にいじめる(というかナイフで切りつけたりする)不良グループのリーダー ヘンリー(ニコラス・ハミルトン)は、警官で強権的な父親から受けるDVが原因で、やがて狂気じみた行動を取るようになります。

一方で、彼らの親や街の大人たちは、不自然なくらい子供たちに対して無関心でもあり、ベバリーの父親やエディの過干渉な母親ですら、子供たちを見ていないことが分かります。(自分の欲求を満たす道具でしかない)

その世代間の断絶は実に現代的なテーマと言えるんじゃないかと思うし、この作品の裏テーマとも言えるんじゃないかと。
子供を守ってくれるハズの大人が、自分たちを見てくれないというのは、子供たちにとってはペニーワイズ以上の恐怖なのかもしれません。

つまり「IT」ことペニーワイズとは、子供たちがが抱えるコンプレックスや問題の具象化した姿であり、成長期の不安定さや漠然とした恐怖・不安など、思春期に差し掛かった少年少女が誰しも心に抱える闇のメタファーなんですね。

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そんなペニーワイズを演じるのは、スウェーデン出身の二枚目俳優ビル・スカルスガルド。素顔の彼はペニーワイズとは結びつかない二枚目ですが、この役を獲得するためにペニーワイズのメイクや衣装などを仲間と作り上げ、オーディションに臨んだんだとか。
また、子供たちのリアルな恐怖の表情を取るために、本番まで子供たちとは合わないようにしていたそだし、劇中ペニーワイズの目が斜視になるのもCGではなく自分で演じたんだそうです。

ホラー映画に久々のスター誕生?

そんな感じでビル・スカルスガルドとスタッフが作り上げたペニーワイズは、確かに怖いけど、どこか憎めないユーモラスさもあって、「13日の金曜日」のジェイソンや「エルム街の悪夢」のフレディーなど、ここ最近見かけなかったホラー界のニュースターになりそうなキャラクターでしたねー。

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本作のヒットを受けて、主人公たちの壮年期を描いた続編の制作が決まったらしいので、2年後くらいに再び彼の姿が見られるかもしれません。
まぁ、1990年版の壮年期バージョンはかなり評判が悪かったらしいので、ファンの間では心配の声もあがってつようですけども。
もしかしたら「ドリーム・キャッチャー」みたいな内容になったりしてw

興味のある方は是非!!

 

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