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“ロッキー”からの卒業「クリード 炎の宿敵」(2019)

ぷらすです。

公開したら即観に行こうと思ってたのに、中々都合が合わなくて観られなかった『クリード クリード 炎の宿敵』を、やっと観てきました!!

…まぁ、僕も「ロッキー」と共に青春を歩んできた世代ですからね。

そりゃ、こんなん観せられたら泣きますよ!

なので今回、多少の文句を書いたとしても、それは「この映画、最高!」っていう前提の上で、物足りなかった部分に文句を言ってるという事を予めお伝えして感想を書きたいと思います。

あと、まだ劇場公開中の作品ということで、出来るだけネタバレしないよう気をつけて書きますが、これから本作を観る予定の人や、ネタバレは嫌! って人は、先に映画を観てから、この感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『ロッキー』シリーズでロッキー・バルボアと激闘を繰り広げたアポロ・クリードの息子を主人公に据えた『クリード チャンプを継ぐ男』の続編。父の命を奪ったイワン・ドラゴの息子との戦いを軸に、クリードがさらなる成長を遂げる。監督は短編やテレビシリーズを手掛けてきたスティーヴン・ケイプル・Jr。シルヴェスター・スタローンマイケル・B・ジョーダンらが前作に続いて出演している。(シネマトゥデイより引用)

感想

ちょっとした昔話

ロッキー」第一作を、僕は確かテレビの洋画劇場で観たんだと思います。
内容は、ダメボクサーのロッキーが世界ヘビー級チャンピオンの当て馬として抜擢され、結果(判定で)負けるけど大事なものを手に入れるという物語。
映画解説者、荻昌弘氏の言葉を借りるなら「ロッキー」は「するかしないかで『する』を選んだ勇気ある人たちの物語」なのです。

そして、「ロッキー」の大ヒットを受けて、作られたシリーズ作品は計6作。
完結編として制作された「ロッキー5/最後のドラマ」が大不評に終わり、これでは終われないとスタローンが自ら脚本・監督・主演を務めた「ロッキー・ザ・ファイナル」は、当初の予想を裏切り批評家からもファンからも大絶賛
「ロッキー」シリーズは大団円でその幕を下ろしました。

それだけに2015年公開の前作「クリード/チャンプを継ぐ男」の制作情報が耳に入った時、「ロッキーはあんなに素晴らしい終わり方だったじゃないか! もうやめてくれよスタン!」と、思ったのは僕だけではないハズ。

しかし、いざ蓋を開けてみれば、新進気鋭の映画監督ライアン・クーグラーアドニス役のマイケル・B・ジョーダンのコンビは素晴らしく(二人はその後、MCUの「ブラックパンサー」でもタッグを組むことに)、また老齢に差し掛かったロッキーを演じたスタローンがアカデミー助演男優賞にノミネートされるなど、「クリード/チャンプを継ぐ男」は、世界中のロッキーファンを納得させる作品だったんですね。

そして、昨年公開された本作の情報を見てビックリ。

「ドラゴの息子とアドニスが闘う…だと?(; ・`д・´)」

ロッキー4/炎の友情」は東西冷戦末期に作られた作品で、元世界チャンピオンのアポロ(アドニスの父親)が、ロッキーに挑戦してきたソビエト連邦(現ロシア)のボクサーイワン・ドラゴドルフ・ラングレン)の挑戦を代わりに受け、試合中ドラゴの強烈なパンチを受けて亡くなってしまうんですね。

で、ロッキーはアポロの仇を取るため特訓の末にソビエトに乗り込んでドラゴとの死闘の末に見事勝利するという物語。

当時若く、スタローン信者だった僕はもちろん大興奮でしたが、シリーズを重ねるごと徐々に人気が衰えて、しかも当時、スタローンの生み出した人気キャラ、ロッキーとランボーソ連を相手に闘うというタカ派的内容も手伝って、その年のクソ映画を決める「ラジー賞」4部門にノミネートされるなど、興業的には大ヒットながら評価の方は散々だったんですよね。

まさか、大ヒットした「クリード/チャンプを継ぐ男」の続編に、その「ロッキー4」を絡めてくるとは……。

しかも本作は、監督がライアン・クーグラーではなく、発表されていたスタローンでもなく、本作が長編二本目の新鋭ティーヴン・ケープル・Jrだって言うし、これはあまり期待し過ぎない方がいいのかな…なんて思ってたわけです。

しかし、蓋を開ければそんな心配はまったくの杞憂で、本作は「ロッキー4」&「クリード~」の続編として実に見事な作品でした!(;//́Д/̀/)'`ァ'`ァ

ロッキー2~4までを一気に駆け抜ける

前作は、アポロ・クリードの非嫡出子ながら、正妻メアリー・アンに引き取られ不自由のない生活を送り立派な青年に成長したが、ボクサーの夢を捨てきれないアドニス(以降ドニー)が、ロッキーとともに猛特訓。

クリードのネームバリュー目当てで、チャンピオンの当て馬として抜擢され、試合には判定負けするも大切なものを手に入れるという内容。
いわば次世代の若者が「ロッキー」一作目をなぞるような物語だったと言えたと思います。

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で、その続編となる本作では、ロッキーの指導のもと序盤でサクッと世界チャンピオンになったドニーに、イワン・ドラゴドルフ・ラングレン)の息子ヴィクター(フローリアン・ムンテアヌ)が挑戦状を叩きつけ……という物語。

つまり、「ロッキー2~4」までの要素を一本の作品に全部乗っけたような作品なんですよね。

ヴィクターとドニーの戦いを縦軸に、ドニーの恋人で進行性難聴のシンガー ビアンカテッサ・トンプソン)との結婚・妊娠・出産、ロッキーに敗北して以降30年間のドラゴ父子の物語、ロッキーと息子ロバート(マイロ・ヴィンティミリア)の物語など、3つのサイドストーリーが織り込まれています。

前作では、正妻の子ではなく直接は父親を知らないという出自ゆえに、“自分”を支える土台がなく、自分を確立するために父の盟友でもあったロッキーの手を借りて戦いに挑むというドニーの成長譚でした。

対して本作でのドニーは、同じ立場に立ったことでアポロとロッキー、二人の“強さ”を知り、偉大な“二人の父”を乗り越えるために闘うんですね。

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(些か変形的ではあるけど)本作は「父殺し」の物語で、つまりドニーが親離れをして自立するまでの物語なのです。

一方、本作はイワンとヴィクターのドラゴ親子の物語でもあります。
30年前、ロッキーと戦ったソビエトでの一戦で、金、名誉、妻。全てを失ったイワンは、ただ一つ残ったボクシングを息子ヴィクターに叩き込みます。

自分から全てを奪ったロッキーに復讐するために。

そして、父譲りの豪腕と強靭な肉体、スピードを併せ持つヴィクターは、父から全てを奪った男が育てたドニーから全てを奪うために野獣のごとく襲いかかるのです。

この辺、「ロッキー4」をリアルタイムで見ていた世代としては、ついついドラゴ親子の方に感情移入してしまうんですよねーw

普段は安いホラーやアクション映画で、省エネ演技をして小遣い稼ぎをしているドルフ・ラングレン久しぶりの熱の入った演技も素晴らしかったし、ヴィクターを演じたルーマニアのボクサー フロリアンムンテアヌもまだまだ荒削りではあるけど、説得力のある肉体と風貌は良かったです。

そもそも、ドルフ・ラングレンも元空手のチャンピオンで演技はほぼ素人、長編映画は「ロッキー4」が2本目だったんですよね。

不満点

とまぁ、色んな要素がてんこ盛りな本作ゆえ長尺で、特にドニーがうだうだうだうだ悩む中盤はあまりにもテンポが悪く感じたし、肝心の試合シーンも前作のような長回しもなく、試合自体も端折りすぎでカタルシスは弱め。
何より、後半の一番盛り上がるところでのBGMが「アイ・オブ・ザ・タイガー」じゃないんかい!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ と。(「ロッキー4」を観てない人には分からない文章)

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いや、ヴィクター戦に向けて、ドニーを鍛え直すためにロッキーが、カリフォルニア州デスバレーにある“ボクサーの虎の穴”ことパーガトリア・エル・ボックスに連れて行って特訓するシーンはアガりましたけどねー。

“ロッキー”から“クリード”へ

前述したように、本作はクリードがロッキーの手を離れて自立する物語で、劇中ロッキーが「お前の時代だ」と言うシーンがあるんですが、これはつまり「ロッキー」のスピンオフの「クリード」は本作で終わり、以降は無印の「クリード」になりますよ。という宣言だと思うんですね。(スタローンも本作でロッキーを引退と言ってるらしいし)

前作・本作は、「ロッキー」シリーズを推進力に大ヒットしたわけですが、次回作以降は(恐らく)ロッキー=スタローンの力を借りずに、ドニーの自立したシリーズになるのでしょう。多分。

そもそも、映画「ロッキー」シリーズは、スタローン自身の人生とリンクした作品であり、そんなスタローンの元に、前作の監督だったライアン・クーグラーがスピンオフの企画を持って現れたことで「クリード」がスタートしたというのも、そのまま前作の内容とリンクしているわけですしね。

そして、本作で「ロッキー」のスッピリッツを伝承し終え、またドラゴの人生にも決着をつけた事でスタローンは身を引き、これからは次世代の若者が「クリード」という新たなヒーローの物語を紡いでいくのでしょう。

それは僕らのようなロッキー世代にとって寂しくもあるけど、「クリード」自体がボーナストラック的な感じもあったので、これでいいんだと思います。

多分、本作でロッキーの音楽がほぼ使われなかったのも、「ロッキー」からの卒業を意識したんじゃないかと思います。

本作は「ロッキー4/炎の友情」や前作「クリード チャンプを継ぐ男」を観ていなくても楽しめるように作られているので、安心して劇場に足を運んでください。(両作、またはどちらかを観ておくとより楽しめるとは思いますがw)

興味のある方は是非!!!

 

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