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モキュメンタリーならぬ“ロキュメンタリー”「スパイナル・タップ 」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは「スタンド・バイ・ミー」などのロブ・ライナー初監督作品『スパイナル・タップ』ですよー!

米国では1984年に公開されましたが、日本では34年を経た昨年劇場公開されたらしいです。

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概要

架空のハードロックバンドをめぐるフェイクドキュメンタリー。全米ツアーを行う彼らを待ち受けるトラブルの数々を追いながら、バンドの軌跡をたどる。メガホンを取り、劇中に登場する映画監督にふんするのは『スタンド・バイ・ミー』などのロブ・ライナー。ドラマシリーズ「ベター・コール・ソウル」などのマイケル・マッキーン、脚本家や監督としても活動しているクリストファー・ゲストらが出演する。レッド・ツェッペリンなど実在するバンドのエピソードをベースにしたというシーンもある。(シネマトゥディより引用)

感想

ロックのモキュメンタリー、略して“ロキュメンタリー”

本作はイギリスのロックバンド「スパイナル・タップ」の全米ツアーを追うドキュメンタリー。

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スパイナル・タップは60年代にデビューしたイギリスのバンド。
ビートルズスタイルでデビューし、その後フラワーチルドレンを経てハードロックバンドに。

すっかり大御所となったものの人気に陰りが見え始めた彼らは、最新アルバム発売に合わせて全米ツアーを敢行するんですが、その様子をドキュメンタリー監督マーティ・ディ・ベルギーが密着取材する……という“体”(てい)で作られた、フェイクドキュメンタリー(モキュメンタリー)形式のコメディー映画なんですねー。

バンドメンバーは、ナイジェル・タフネルリードギター)、デイヴィッド・セントハビンズリードギター)、デレク・スモール(リードベース)の三人なんですが、

ナイジェル役を俳優・映画監督・脚本家クリストファー・ゲスト
デイヴィッド役を俳優でコメディアンのマイケル・マッキーン
デレク役を「ザ・シンプソンズ」の声優として知られるハリー・シーラー

が、それぞれ演じ、バンドを追うドキュメンタリー監督のマーティ・ディ・ベルギー役は、本作の監督ロブ・ライナーが自ら演じています。

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画像出典元URL:http://eiga.com /若き日のロブ・ライナー

しかも、スパイナル・タップの楽曲は全てこの3人が作詞作曲し、実際に演奏や歌も担当してるんですねー。

劇中のやりとりはほぼアドリブで脚本は存在せず、そのリアルさから公開当時は本当のドキュメンタリーだと思った観客から「カメラワークが悪い」などのクレームが寄せられたり、あまりの人気に映画とはまったく関係のない2枚目のアルバムを発表するなど、スパイナル・タップは米国などでは実在のバンド扱いでカルト的な人気を誇ってるらしいですよ。

確かに言われなければ、(少なくとも途中までは)「へー、こんなバンドがいるんだー」って思っちゃうかも。

とはいえ、ドラマーが次々に変死するとか、明らかにおかしなところもいっぱいあるんですけどねw(自然発火死とかステージ上で爆死とかあるわけないw)

一方で、舞台裏からステージに出る途中で迷子になってしまうエピソードには多くの大物ミュージシャンが「俺もあるー!」と告白したり、米ヘヴィメタルバンド“ドッケン”のジョージ・リンチは本作を見たときに「これ俺たちじゃん!」と叫んだのだとか。

U2のギタリスト、ジ・エッジは「泣いた」と言い、本作を50回鑑賞したというスティングは「リアル過ぎて泣いていいのか笑っていいのかわからなかった」とコメントしてるそうですよ。

それほど、本作で描かれるエピソードの数々は、リアルなバンドあるあるが満載だし、バンドに干渉して解散寸前に追い込むデイヴィッドの恋人ジーニン(ジューン・チャドウィック)は、多分オノ・ヨーコがモデルですw

解散寸前のバンドメンバーでしたが、ラストのアルバムが日本で大ヒットしたことで仲直り。みんなで日本ツアーというオチは、アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」を思い出して、嘘だと分かってるのに思わず胸が熱くなってしまいましたねー。(「アンヴィル~」の方が公開は後で本当のドキュメンタリーだけど)

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とはいえこの映画、公開当初は控えめな成功は収めたものの大ヒットというほどではなかったそうで、ビデオが発売された後にクチコミで人気に火がつき、今尚カルト的な人気があるのだとか。
ブレードランナー」と同じパターンですね。

評論筋も絶賛

批評家からは、ロックスターの波乱万丈なライフスタイルへの風刺のためだけではなく、ノンフィクション映画ジャンルそのものへの風刺としてもこの映画を称賛し、

雑誌『エンパイア』の「史上最高の映画500」リスト48位。
雑誌『タイム・アウト・ロンドン』は、本作を史上最高のコメディ映画と賞賛
ニューヨーク・タイムズの「今まで制作された最高の映画ベスト1000」
『トータル・フィルム』の「史上最高の映画100」
雑誌『エンターテインメント・ウィークリー』の「古今の最も素晴らしい映画100」
2003年の『エンターテインメント・ウィークリー』誌の「カルト・ムービー・トップ5」
Mojo』誌が2005年に発表した「歴代ロック映画トップ10」などに選出。
同年のBLENDER』誌の「ロックンロール映画オールタイムベスト100」で第1位を獲得するなど今尚評価が高く、2002年にはアメリカ議会図書館によって「文化的、歴史的、審美的に重要」とみなされ、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されたんですねー。

これだけの評価を得たのは、本作が単にバンドあるあるを描いたコメディー映画というだけでなく、笑いを交えながらも、その奥にある友情や音楽への愛、普遍的な人間ドラマを描いたからではないかと思います。

ロックやヘヴィメタルが大好きな人はもちろん、僕みたいに音楽にはあまり興味のない人も楽しめる内容になってますし、時間も90分弱と見やすいのでオススメですよー。

興味のある方は是非!!

 

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