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ドラマチックでエモい。だがそこがいい。「ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実をリアリティーたっぷりに描きアカデミー賞三部門にノミネートされた「ボーダーライン」の続編『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』ですよー!

監督交代で前作よりドラマチックになった分、個人的にはグッと楽しめましたねー。

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概要

麻薬戦争を題材にしたサスペンスアクション『ボーダーライン』の続編。麻薬カルテルの壊滅に乗り出すCIAの特別捜査官と、彼が雇う暗殺者を映し出す。『暗黒街』などのステファノ・ソッリマが監督を務める。前作に引き続いて『エスコバル 楽園の掟』などのベニチオ・デル・トロ、『ミルク』などのジョシュ・ブローリンが出演。脚本を、前作に引き続きテイラー・シェリダンが担当した。(シネマトゥディより引用)

感想

本作はTV版「攻殻機動隊

ブレードランナー2049」などのドゥニ・ヴィルヌーヴが手がけ、アメリカとメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の闇をエミリー・ブラント演じるFBI捜査官ケイト・メイサー視点で描き観客に追体験させて話題になった前作「ボーダーライン」から3年。

前作で 自称「国防総省の顧問」として登場したジョシュ・ブローリン演じるマットと、麻薬カルテルに家族を殺され復讐に燃える男でベニチオ・デル・トロが演じたアレハンドロが本作の主人公です。

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脚本は前作と同じくテイラー・シェリダンが担当しているんですが、前作では描かれなかった二人の内面が描かれているんですね。

なので前作にはあまりハマらなかった僕も、本作はかなり観やすかったし楽しむことが出来ましたよ!

両作の違いを例えるなら、前作が押井守の「劇場版攻殻機動隊」で、本作は神山健治のTV版「攻殻機動隊的な感じ。
前作はわりと誰にも感情移入させない突き放した雰囲気だったんですが、本作は前作の空気感や緊張感は受け継ぎつつ主役の二人に感情移入出来るエモい展開になってたんですよね。

ざっくりストーリー紹介

冒頭、アメリカ合衆国カンザスの商業施設で自爆テロが発生。多くの民間人が犠牲になります。
アメリカ合衆国国土安全保障省は「テロ実行犯がメキシコの麻薬カルテルの助けを得てアメリカに不法入国している」という仮説を立て、CIAのマットジョシュ・ブローリン)にカルテル殲滅を依頼。
マットはカルテルに家族を殺害されたコロンビアの元検察官アレハンドロ(ベネチオ・デル・トロ)を招集し、非合法な手段を使ってカルテル殲滅のための作戦を計画します。

その作戦とは、メキシコの2大カルテル同士の抗争を起こさせるために、カルテルのリーダーの娘イザベルイザベラ・モナー)を誘拐し、敵対する別のカルテルの仕業であるかのように犯行を偽装。その後テキサスで救出劇を偽装し彼女をメキシコに送り届けるというまさにマッチポンプ

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途中まで計画は順調に進むも、マット、アレハンドロがイザベルを連れメイキシコの国境を越えると、護衛についていたメキシコ連邦警察から奇襲を受けてしまい――という内容。

メキシコ警察の護衛班は、敵対するカルテルに買収されていたわけですね。
銃撃戦の中、逃げ出したイザベルはアレハンドロが保護したものの、メキシコ警察との撃ち合いで死傷者を出したことで、すっかり怖気づいた大統領の命令で計画は中止(しかも自爆テロカルテルとは無関係だった)となり、メキシコに残されたアレハンドロとイザベルは敵対するカルテルの縄張りで孤立無援になってしまうのです。

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そんな状況の中で敵の目を掻い潜り、二人がどうやって国境を越えるのかというのが本作のメインストーリーなんですね。

本作で勘違いからカルテルに陰謀を仕掛けるアメリカ政府は、イラク戦争を引き起こしたブッシュへの皮肉であり、自分の立場が怪しくなった途端、部下のはしごを外し保身を図る大統領はトランプへの皮肉なのかな。

前作からスケールアップ

メキシコ麻薬カルテルとCIAの戦いを描いた前作から、本作は物語も残虐性もスケールアップ。

まずは冒頭、ISISの自爆テロで一般市民が巻き込まれるというショッキングな映像。
続いて、マットがソマリアの海賊を拉致して、マットが行う非人道的にも程がある尋問(というか脅迫)。
作戦が始まってアレハンドロがカルテルの弁護士相手に見せる「バンプ・ファイヤー」(拳銃を機関銃のように撃つ)の描写。
メキシコ連邦警察との壮絶な銃撃戦などなど。

で、なぜ麻薬カルテルとの戦いにISIS(イスラム国)やソマリアの海賊が出てくるかと言うと、冒頭にISISの自爆テロがあったわけですが、9.11以降は空路の管理が厳しくなっているという実情があります。

で、ISISはソマリアの海賊を通じてメキシコまでテロリストを運び、カルテルの手引きで国境を超えさせてアメリカに密入国しているのだろうというのが政府の読みなのです。

さらにカルテル側の稼ぎも、麻薬を密輸入するよりメキシコや他国から人間を密入国させる方が必要経費やリスクも少なく身入りもいいという実情があるんだとか。

なので、国境沿いの町に住む少年が従兄弟の手引きでカルテルの一員になるというサブストーリーがあるわけですね。

アメリカ人なら疑われずに入国出来るというわけです。

本作はアレハンドロとイザベルがどうやってメキシコから脱出するかというメインストーリーと、カルテルの一員になる少年のサブストーリーが同時進行で描かれていて、この少年がメインストーリーにどう絡んでくるのかな?と思いながら観ていたら、まさかまさかの展開に本気でビックリしましたねー。

監督交代

前作のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督からバトンタッチしたのは、イタリア人監督のステファノ・ソッリマで、彼はテレビシリーズの「ゴモラ」というギャングドラマが注目されて本作に起用されたんだとか。

本シリーズを担当している脚本のテイラー・シェリダンは社会的なテーマを扱いながらも、作劇のベースにあるのは西部劇のフォーマット。
ステファノ・ソッリマ監督は、前作のヴィルヌーヴ監督が作り上げた世界観は壊さないようにしながら、シェリダンの西部劇的なエッセンス、つまり暴力性と主人公アレハンドロのエモーションを強めに描くことで、前作では描かれなかったマットやアレハンドロなりの矜持を描き、前作とは違った味わいを出す事に成功していると思いました。

前作と本作は、基本的にどちらから観ても大丈夫な作りになってますが、個人的には本作を先に観て、そのあと前作を観るとより楽しめるんじゃないかと思ったりしましたねー。

興味のある方は是非!!!

 

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