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アルゼンチン発新感覚ホラー「テリファイド」(2019)*ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのはアルゼンチン発のホラー映画『テリファイド』ですよー!
いやー、久しぶりに「怖い!」って思う映画を観ましたねー((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

この映画、ギレルモ・デル・トロプロデュースでハリウッドリメイクされるらしいですが、それも納得の怖さ&上手さでした。

というわけで今回はネタバレありで感想を書くので、これからこの作品を観る予定の人やネタバレは絶対に嫌!という人は、先に映画を観てからこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

ザ・ホスピタル』の脚本などを担当してきたデミアン・ルグナがメガホンを取ったホラー。ある住宅で起こる怪奇現象が、ショッキングに映し出される。キャストは、ドラマシリーズなどに出演してきたマクシ・ギヨーネ、ノルベルト・ゴンサロら。シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭などで上映された。(シネマトゥディより引用)

感想

アルゼンチン発の新感覚ホラー

本作は「未体験ゾーンの映画たち2019」で公開されたアルゼンチン映画だそうで、パッケージのいかにもなB級ホラーっぽさから最初は食指が伸びなかったんですが、あのギルレモ・デル・トロプロデュースでハリウッドリメイクされるという話や、ある人のレビューで俄然気になり始めて、今回レンタルしてきました。

一言で言うなら、久しぶりに怖い映画を観たなーっていう感じ。

しかも、(恐らく)ホラー映画を沢山観ている人ほど怖いんじゃないかって思う演出がされているんですよ。

というのも、ホラー映画っておばけ屋敷的に観客を「わっ!」と驚かせる前の貯めの部分っていうか、キャラクターの行動や音楽で「来るぞ来るぞ…」って思わせる部分があるじゃないですか。

本作はその「来るぞ来るぞ…」が延々続く感じで、それってホラー映画の一番怖い部分がずっと続くって事でもあるんですよね。

来るぞ来るぞ…来ない。来るぞ来るぞ…やっぱ来ない。来るぞ来るぞと思わせて来ないんでしょ…ってホントにキターっ!(;Д;)ギャー! みたいな。

で、ホントかどうかは分かりませんが、アルゼンチンはスプラッタホラーが盛んな土地柄らしく、結構血まみれだったり「え、それ見せるんだ」っていうショッキング描写も普通に描いていて、その辺の絶妙に嫌なバランスは他のホラー映画ではあまり観たことがなくて、新鮮だなーって思いましたねー。

「小さな物語」の向こうに見える絶望的な世界

ブエノスアイレスのとある住宅街の一角。

ある夫婦の家庭で、奥さんが排水口を覗くシーンから物語はスタートします。
もうね、この時点でこっちは「覗いてる奥さんの目を鋭い針のような物が…」って想像しちゃってドキドキなんですが、この時は特に何もなく、帰ってきた旦那に「下水管から話し声が聞こえるの」って奥さんが言うんですね。「『お前を殺してやる』って聞こえるの」と。

旦那の方は「隣に住む男がリフォームしてるからじゃないか」なんて気にもかけないわけですが、その翌日の午前5時。

起きた奥さんがシャワーを浴びに行くんですね。
で、旦那はそのまま寝ているんですが、壁を叩くような音がして目を覚ます。
定期的にドン・ドンと聞こえる音に「隣の男が早朝からリフォームを始めた」と思った旦那は、壁を叩いて文句を言うんですが壁を叩く音は止まらない。

ぶち切れた旦那は、家を出て隣のチャイムを鳴らして文句を言うも、チャイムからは雑音混じりの気配は感じるけど応答はない。

仕方なくベッドに戻った旦那は、壁を叩く音が隣からではなく、バスルームから聞こえる事に気づくんですね。

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で、奥さんが何かしているのかと思ってバスルームの扉を開けると、そこには宙に浮いた血まみれの奥さんが、左右の壁に激しく叩きつけられているのです。
なすすべの無いホアンの目前で奥さんは絶命してしまいます。

で、ここで時間は戻って隣の男の物語に。

目が覚めるとベッドが勝手に動き、暗い屋内を何かが走り回るという謎の怪現象に悩み、眠れない日が続く男は超常現象の研究者に電話で助けを求めますが、秘書らしき女性に「確たる証拠がないと調査はできません」と無下に断られてしまいます。

それならと、ベッドルームにスマホを仕掛けて撮影を試みる男。
そして夜中にバタンという物音で男が目を覚ますと、スマホが倒れているんですね。
男がスマホを確認してみると、ベッドの下からつるっぱげの全裸男が這い出てきて、男をじっと覗き込み、その後クローゼットの中に入っていくのが録画されているのです。

男は護身用の拳銃を持ってクローゼットを開けるも、中には何もいない。
そこで、もう一度スマホを確認しているその後ろで、クローゼットの扉が開いて……。

翌日、男の家の庭に入ってしまったボールを取りに来た少年が、ついでに庭の水道から水を飲んでいると、家の中から「この家に近寄るな!」という男の声が。

その声に驚いた少年が道路に出たその瞬間、彼は走ってきたバスに轢かれて亡くなってしまうんですね。

そして葬儀が終わった数日後、早朝に電話で叩き起された検視官ハノ。
電話の相手は刑事のフネスで、部下を迎えにやるからすぐに来て欲しいと言われます。
ハノが到着したのは、死んだ少年の家。
憔悴した母親を見ながらフネスの案内でキッチンに通されたハノが見たのは、テーブルに座っている少年の死体で、しかもその前には牛乳と朝食が置かれているんですね。

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フネスが言うには、死んだ息子が帰ってきて朝食を食べているという母親の通報で駆けつけた彼と部下が、少年が動いているところを見たと言うのです。

家のドアには泥だらけの手形、廊下には泥の足跡がキッチンまで続いている。

話を聞いたハノは、とにかく少年を墓に戻して出てこないようにコンクリートで固めるようフネスに言うんですね。

そのやりとりが何だか奇妙で違和感があるなって思っていると、その後、動き出した死体が少年だけではなかった事が明らかになるのです。

その後、この住宅街で起こっている怪現象を解明するため、ハネを含めた3人の専門家とフネスが、3件の家を調査するのだが――というストーリー。

こう書くと、典型的なホラー映画と思うかもですが、実はこうした事件は世界各地で起こっていることが専門家から語られ、推論ながら“悪霊”の正体は異次元にいて“こちら”に敵意を持つ“何か”ではないかという事が語られ、さらに“彼ら”は水分を媒介にして、こちらの次元と繋がる事が出来るらしい事が分かるのです。

え、SF?

いやいや、これはいわゆるオカルト(幽霊とか悪霊とか)の新解釈なんですね。
つまり、この世界には僕たちの住む「この世」にレイヤーを重ねるように別次元があって、それがいわゆる「あの世」ではないかという解釈。
そして、二つのレイヤーは普段交わることはないしあの世の住人の姿は見えないんですが、どうも水(水道水でも血液でも)を媒介に二つの次元は繋がるらしい。
で、あの世とこの世が交わりやすいスポットが世界には存在し、この住宅街の3件はそうであるらしいんですね。

そして、そうしたスポットを起点に人ならざるモノたち(悪霊)は侵食し、その場の水分を摂取・もしくは触ってしまった人間は、あの世の人ならざるモノが見えるようになる(=侵食されてしまう)。その人間が新たなスポットとなって、侵食が広まっていくという設定を本作は描いているわけです。

つまり、それってビデオを介して侵食してくる「リング」と同じ「呪いもの」であり、SFで描かれる異次元からの「侵略もの」(ゼイリブとか)でもあるわけですね。

しかもこっちは絶対に水から離れることは出来ないっていう絶望的な話で、本作で(直接)描かれるのは3件の家の怪現象という小さな物語ですが、その向こうには既に世界中で別次元(あの世)からの侵略が始まっていて、それを止める術はないっていう背景が見えてくる。
けれど“奴ら”の目的も正体も本作の中では一切明かされないっていうね。

これって超怖いくないですか?

同時に革新的かつ、よく出来た物語だと思うんですよね。

もちろん低予算なりのルックだし、物語の運びが分かりにくい部分も多少ありますが、最後の最後まで気が抜けないし、単純にホラー映画としても久しぶりに怖い映画を観たなって思いました。

興味のある方は是非!

 

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