今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

ほぼマッドマックス「ベイブ/都会へ行く」(1999)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、牧場に貰われてきた子ブタのベイブが牧羊犬のチャンピオンになる「ベイブ」の続編『ベイブ都会へ行く』ですよー!

誰だったか忘れちゃいましたけど、評論家の人が本作を「ほぼマッドマックス」と評していたのを聞いて気になっていたので、今回レンタルしてきました。

で、先に感想を一言で言うと…「ほぼマッドマックス」でしたねーw

https://eiga.k-img.com/images/movie/49109/photo/b166d4d8c974b7bb.jpg?1469166988

画像出典元URL:http://eiga.com

概要

子ブタのけなげな活躍で、世界中を笑いと涙の渦に巻き込んだ「ベイブ」の続編。牧羊犬コンテストで優勝したベイブは一躍、時の人ならぬ時のブタとなり、牧場には番組の出演依頼が絶えなかったが、ホゲット叔父さんは全然取り合おうとはしなかった。そんなある日、叔父さんはベイブのせいで大怪我をしてしまう。働けなくなった叔父さんの借金を返済するためベイブはエズメ叔母さんと共に都会へと旅立つが……。(allcinema ONLINEより引用)

感想

ただの「ほんわかファンタジー」ではなかった前作

前作「ベイブ」では製作と脚本を担当したジョージ・ミラーが、脚本だけでなく自ら監督も務めたのが本作「ベイブ/都会へ行く」です。

前作では「子豚の体重当てコンテスト」の景品として、無口で実直な老農場主アーサー・ホゲットに貰われた子ブタのベイブ。
アーサーの牧場に連れてこられた彼が動物たちやアーサーと交流を重ね、紆余曲折あって牧羊犬コンテストで優勝するまでを描いた成長譚なんですね。

僕はこの映画をずっと子供向きだと思ってたので、つい最近まで観てなかったんですよ。

しかし、いざ観てみたら確かに子供向けの作品ではあるものの、僕がイメージしていた可愛い子ブタが主役の“ほんわかファンタジーとは全然違っていてビックリ。

牧場の家畜たちはあくまで「家畜」なので、いつ人間に食べられるか分からない(実際ベイブも最初は太らせて食べられる予定だった)という結構リアルな設定になっていて、確かに楽しい物語ではあるけど、その裏には常に「死の影」がついてまわる物語だったんですよね。

映画冒頭で大人のブタたちが、良いところに連れて行って貰えると信じて屠殺場行きのトラックに乗り込む様子なんかはちょっとしたトラウマになりましたよ。

おとぎ話のようなストーリーの中に、逃げずに生と死を盛り込むあたり、ある意味でジョージ・ミラーらしい脚本と言えるかもですが。

前作より現実味が増した本作

で、そんなジョージ・ミラー御大が監督も務めた本作。

前作のラスト直後、牧羊犬コンテストで優勝したベイブの凱旋パレードのシーンから物語はスタートします。

アーサーの元には、初の“牧羊ブタ”ベイブに、テレビやイベントから大量の出演依頼が来るんですが、静かな暮らしを望むアーサーは全てを断っていつも通り仕事に励みます。

そんなある日、井戸に水汲みポンプを取り付けていたアーサーを手伝おうとしたベイブは、誤ってアーサーに大怪我を負わせてしまうんですね。

大黒柱が動けなくなった牧場は資金繰りに困り、銀行に差し押さえられてしまう。
そこでアーサーの妻エズメ婦人は、ベイブと共に高額な出演料の出るイベントに出席するため都会に向かうのだが――というストーリー。

当然のように都会の空港についたエズメ婦人とベイブは次々とトラブルに見舞われていきます。

麻薬密輸の容疑をかけられイベントには出演出来なくなり、次の飛行機までの間泊まったホテルでは、猿に盗まれたバッグを取り返そうとしたベイブが道化師ファグリーのショーに出るもエライ事になり、ベイブを探しに外に出たエズメ婦人は騒ぎを起こして逮捕されてしまい、ベイブは獰猛な番犬に追い掛け回され、(ホテルに集まった)捨てられた動物たちは(向かいの動物嫌いな奥さんの密告で)保健所に捕まって、辛うじて難を逃れたベイブたちは囚われた仲間たちを助けるため保健所に忍び込み――と、大都会の殺伐とした様子は前作以上にダークさ増し増しな展開になっていくんですね。

かなりドタバタ要素が強くなったことや、前作とはかなりニュアンスが変わったことで、前作ファンの中には拒否反応を起こす人も多いみたいで、まぁ、その気持ちもよく分かるんですが、でもマッドマックス好きな僕的にはむしろ前作以上に楽しめました。

ほぼマッドマックス

本作ではいくつか驚くシーンがありまして、例えばベイブが鎖を引きちぎった獰猛な番犬に街中を追い掛け回されるシークエンス。

鋲のついた首輪をしている番犬は、まさにマッドマックスの悪役そのものなんですが、そんな番犬とベイブのチェイスもまたマッドマックスのカーチェイスのような手に汗握る展開になっていて、しかも動物映画特有の“無理矢理感”は一切感じないんですよね。

CGやアニマトロニクスを駆使して、さらにカット割りや編集を工夫して、犬とブタのチェイスをビックリするくらい自然に見せる技術はそれだけでも見る価値ありだと思いますねー。

また、クライマックスで、道化師の衣装を着てパーティー会場で大暴れするエズメ婦人が、会場に垂れ下がる垂れ幕?のようなものに体を結びつけて、バンジーみたいにビヨンビヨン飛び跳ねるシーンは、マッドマックス3作目「サンダードーム」のよう。

ここは恐らくジョージ・ミラー自身意識的にセルフオマージュしたと思うんですが、そこに動物のドタバタも加わるスラップスティックコメディー的な展開は、ミラー監督の大好きなサイレント映画をオマージュしているようにも見えました。

あと、後ろ足が動かず台車を体に装着している犬や、救急車で運び出されていく年老いた道化師ファグリーなんかは、元々ERの医師だったミラー監督的なキャラクターでもあり、前作でもチラリと見えた現実の残酷さみたいなものがよりしっかりと描かれている感じでした。

もしかしたら、ミラー監督は本作の中でマッドマックス続編に向けての実験をしようとしていたのかな? なんて思ったりもしましたねー。

興味のある方は是非!!

 

▼よかったらポチっとお願いします▼


映画レビューランキング

 

▼関連作品感想リンク▼

aozprapurasu.hatenablog.com