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反抗期のスーパーマン「ブライト・バーン/恐怖の拡散者」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のジェームズ・ガンが制作を務めたホラー?映画、『ブライト・バーン/恐怖の拡散者』ですよー!

みんな大好きジェームズ・ガン他、弟や従弟、旧知の仲間など彼の”ファミリー”が集結して制作されたアンチヒーロー映画なのです。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズなどの監督であるジェームズ・ガンが製作を務めたホラー。異様な力を持つ12歳の少年が、周囲を恐怖に陥れる。『ハンガー・ゲーム』シリーズなどのエリザベス・バンクス、『シャッター』などのデヴィッド・デンマンらが出演。『インバージョン 転移』などのデヴィッド・ヤロヴェスキーがメガホンを取り、2019年に17歳でデビューアルバムをリリースしたビリー・アイリッシュが主題歌を担当した。(シネマトゥディより引用)

感想

反抗期のスーパーマンは手に負えない

本作は、子供の出来ない夫婦の前に宇宙から赤ん坊が落ちてくるところからスタート。
これ「スーパーマン」とまったく同じ設定です。

「スーパーマン」では、この赤ん坊を子供のいないケント夫妻がクラークと名付けて育てるんですが、本作では不妊に悩むカイル(デヴィッド・デンマン)とトーリエリザベス・バンクス)のブライア夫妻が、農場の裏山に落ちた隕石(脱出ポット?)の中にいた赤ん坊をブランドンと名付けて育てるわけです。

こうしてブランドン(ジャクソン・A・ダン)を迎えブライア一家は幸せいっぱいなわけですが、12歳になったブランドンは突如能力に目覚め、同時に反抗期もやってきたからさぁ大変――というストーリー。

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まだ少年とはいえブランドンの能力はスーパーマンとほぼ一緒ですからね。
そりゃもう大騒ぎですよw

しかもブランドン、中二病も併発してしまいまして、自分のイニシャル(BB)を基にオリジナルのマークをデザインしたり、若干クトゥルフっぽいマスクを自作して被ったり、エロスクラップの中にグロ系のが混じってたり。

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それでも、これが普通の男の子なら「まぁ、そういう時期もあるよね」って感じですが、彼はスーパーパワーとアホみたいに強靭な肉体を持っていてそれを自覚しちゃってますからね。

ボクは特別なんだー」とか言いだして、自分の気に入らない人間を感情に任せてサクサク殺し始めちゃうわけです。

リミテッドシリーズ

いわゆるアメコミには、ヒーローごとに描かれ続けている正史シリーズの他に、「もしも〇〇がXXだったら」みたいなifの世界を描くアンソロジー的な「リミテッドシリーズ」ってのがありまして。
例えば「もしもスーパーマンソ連に落ちていたら」という世界を描いた「スーパーマン: レッド・サン」とかね。

そういう意味で本作は、「もしもスーパーマンが邪悪だったら」というリミテッドストーリーとも言えるわけです。

まぁ、オフィシャルではないので二次創作とかパロディ・オマージュって言った方が正確で、ある意味DCヒーローをモデルにしたヒーローたちを描いた「ウォッチメン」に近いかもしれません。

つまり本作は、近年のマーベルやDC映画のヒットで、マニアではない一般の人たちにもヒーロー映画リテラシーがある程度広まったから成立する作品でもあるわけですね。

家族の物語

一方で、本作は家族(親子)を描いた作品とも言えます。

可愛い我が子が反抗期に入って、急に乱暴な口を利いたり暴力を振るったり、まるで別人のようになってしまい戸惑う――なんてことは、お子さんを持つ人なら多かれ少なかれ経験すると思うんですね。

本作は「我が子がたまたまスーパーマンだった」という設定にして、そんな思春期の子供を持つ親の不安や悩みをカリカチュアすることで、どこの家でも起こる子育て問題をアンチヒーロー的ホラーというジャンルに落とし込んでいるわけです。

一見、生まれながら邪悪な本性を持った子供に見えるブランドンですが、愛する母親と好きな女の子の一言が全ての発端だったり、その女の子の裏切り?がブランドンのその後の行動を決定してしまったり、ブランドンの異物としての予兆が見え始めた時に、彼と正面から向かい合い正しい道へと導く大人がいなかったことで、彼の行動はどんどんエスカレートしてしまう。

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画像出展元URL:http://eiga.com

まぁ、ブランドン自身にもサイコパス的なところもあるわけですが、もし、誰かひとりでも彼と真正面から向き合っていたら結果は違っていたかもしれないと思ったりしました。

つまり、本作は正義のヒーロー・スーパーマンになり損ねた主人公と、(クラーク・ケント育ての親)ジョナサン&マーサ・ケントになり損ねた両親の物語なんですね。

ジェームズ・ガン本来の資質

大傑作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の大ヒットで、メジャー監督の仲間入りをしたジェームズ・ガンですが、映画人としての彼のキャリアは「悪魔の毒々モンスター」などで知られるB級映画専門制作会社トロマ・エンターテインメントからスタート。
メジャー映画では「スクービー・ドゥー」 (2002)や「ドーン・オブ・ザ・デッド」 (2004) で脚本を担当はしているものの、監督としては「ガーディアン~」までは低予算のインディー映画しか経験がありません。

そんな彼が2011年に監督した作品が「スーパー!」で、気弱でうだつの上がらない男が、子供番組に感化されて自前のコスチュームを着て“クリムゾンボルト”というヒーロー(というか自警団?)になるという内容。

でもこの男、自称ヒーローなので、別に能力も何もなくて悪党(町のチンピラ)をレンチでぶん殴るっていう、はたから見ればただのアレな犯罪者。
奥さんをケヴィン・ベーコン演じる町のギャングに奪われたと思い込んでいるけど、奥さんは男に嫌気がさして自らギャングと付き合い始めただけなのです。

そんな感じで「スーパー!」は「リアルに(自称)ヒーローがいたらこんなんですよ」っていう「キック・アス」をもっと救いがなくて痛々しくしたようなアンチヒーロー的なブラックコメディーなんですね。

つまり、ジェームズ・ガンの資質って、本来そっち側なんですよ。

本作の内容にも、そんなジェームズ・ガン本来のテイストが反映してる感じがしましたねー。(まぁ、彼がどれくらい本作の中身に関わってるかは分かりませんけども)

で、エンドクレジット後のポストクレジットシーンでは、マイケル・ルーカー(ヨンドゥの人)演じるYouTuberがブランドンのような「謎の存在たち」を紹介していく中に、ワンダー・ウーマンやアクアマンっぽいのとか、前述のクリムゾンボルトっぽいのがいるっていうちょっとしたお遊びもあったりするんですが、どうやらこれ、続編というかジェームズ・ガン・ユニバース“への布石っていう噂もあって、個人的にワクワクが止まらないですよ!

興味のある方は是非!!

 

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