ぷらすです。
今回ご紹介するのは、サブカル界の二台巨頭みうらじゅん&いとうせいこうのユニット「ROCK'N ROLL SLIDERS」が行っているトークイベント「ザ・スライドショー」の20年を追ったドキュメンタリー『スライドショーがやって来る!「レジェンド仲良し」の秘密』ですよー!
アマプラの見放題に入ってたのを見つけたので早速観てみました。
画像出展元URL:http://eiga.com
概要
みうらじゅんが全国で撮影した写真をスクリーンに映し、いとうせいこうが突っ込むというトークイベントのドキュメンタリー。「マイブーム」などの造語を生み出したイラストレーターなどの肩書を持つみうらとクリエイターのいとうが、写真をネタに独特のセンスや鋭い感性でトークを繰り広げるステージの様子のほか、WOWOWに残る舞台裏映像や撮り下ろしのインタビューなどで構成される。写真のセレクションや、みうらといとうの仲の良さが印象的。(シネマトゥディより引用)
感想
映画にする意味があるのか問題
映画界、というか邦画界では人気ドラマの劇場版とか、人気漫画やアニメの実写版とか、はたまたバラエティー番組のワンコーナーの劇場版とか、国民的名作アニメの駄リメイクとか、「それ、映画にする意味ある?」と頭をかしげるような作品が決して少なくないですよね。
僕も若い頃はそういう映画に噛みついたりもしましたが、今は“そういう作品“には最初から近づかなければいいと思ってるし、きっと映画界にも色々事情があり、またそういう「映画」が好きな人だっているわけで、それについてとやかく言う気はさらさらなく、個人的には「そういう作品ってあるよね」くらいの距離感だったりします。
で本作。
画像出展元URL:http://eiga.com
劇場公開をネットで知った時、まさに「それ、映画にする意味ある?」って思ったわけですね。
みうらじゅん&いとうせいこうは広く名前を知られてるだろうけど、二人の「ザ・スライドショー」というイベントを知ってる人はそんなに多くないだろうし、劇場に足を運ぶほどこの二人に興味のある人も、それほどは多くないと思いますしね。
僕は「ザ・スライドショー」の名前や概要を何となくは知ってたけど、会場に行った事もないし映像でも観たことがないので、アマプラで本作を見つけて、“映画として”というよりも「『ザ・スライドショー』が観られるなら」くらいの感じで観たわけです。
二人の天才が「レジェンド仲良し」になるまで
京都出身のみうらじゅんは、武蔵野美術大学に在学中から糸井重里の事務所で働き、マンガ雑誌ガロで漫画家としてデビュー後、イラストレーター、文筆業、バンドなどマルチに活躍し、「マイブーム」「ゆるきゃら」「クソゲー」など、いくつものムーブメントを日本中に浸透させた稀代の天才の一人。
画像出展元URL:http://eiga.com
この人の凄さは、普通ならダメなもの、つまらないもの、不要とされるものなどに新たな価値と見方(楽しみ方)を提示することで、その物に対する世間の認識を変えてしまうところでしょうか。
また、どうでもいいバカ話と思って聞いていたら、いつの間にか彼の哲学や宗教感に引きずり込まれているんですよね。
それって今風に言うなら「インフルエンサー」ってやつなのかもだけど、「最初に発見して広める」ではなく従来の価値観では何の意味もない物に新たな価値観を提示することで意味や価値をつける。つまりは「無から有を生み出す」という意味で、やはりみうらじゅんという人はクリエイターだし、ある種の天才なのだろうと思うわけですね。
一方、江戸っ子のいとうせいこうは、早稲田大学在学中にピン芸人として活動を開始。
『ホットドッグ・プレス』などの編集部を経て、日本語ラップのパイオニアとして活動する一方で作家としても活躍するなどマルチな活躍で知られていて、やってることはみうらさんとほぼ一緒なんだけど、この人の場合はよりポップな形でその才能を世間に知らしめた人というイメージです。
画像出展元URL:http://eiga.com
そんな二人の共通点はいわゆる「サブカル」だという事なんですが、劇中のインタビューでみうらじゅん本人が言うように、「モテる方とモテない方」で言えばみうらじゅんはオタク寄りでモテない方のサブカル村、いとうせいこうはオシャレでモテる方のサブカル村にそれぞれ住んでいたため、当初はお互いに反目しあう関係だったのだとか。
本作はそんな二人の出会いから、現在の“ホモソーシャル”を通り越して熟年夫婦のような関係性を”完成”させるまでを、みうらじゅんが日本全国から集めてきたネタをスライドで紹介、それにいとうせいこうがツッコミを入れる形式のトークショー「ザ・スライドショー」の歴史を通して追っていくというドキュメンタリー。
つまり、本作の主題は「ザ・スライドショー」というよりも、みうらじゅん&いとうせこうの出会いと積み重ねた歴史そのものなのです。
画像出展元URL:http://eiga.com
同時にこの「ザ・スライドショー」は二人にとって代名詞とも言えるイベントの一つであり、その時々の二人の関係性がそのままイベント内容に反映するので、みうらじゅんといとうせいこうの歴史を語るうえで避けては通れない題材でもあるわけですね。
最初は互いにある種のライバル意識やある種の反目も持ちながら始まり、やがていかにお互いを驚かせるか、感心させるかに重点を置いてネタ集めや演出をするようになっていき、最終的にはイベントのメインである「スライド」すら不要なのではないかという境地に達する二人。
さらに互いに還暦を超え、「もしみうらさんが自分以外の相方を見つけたら廃人になっちゃうよ」「自分が死んだら棺桶の中の遺体に「死んでんのかよ!」ってツッコミ入れてほしい」と、言い合える仲になった二人のトークは、見ているだけで幸せな気持ちになるし、還暦を超えた仲良しおじちゃん二人が舞台を転げながらキャッキャ笑い合う姿は、それだけで単純に面白いのです。
そして、その背後にはイベントスタート時の1990年代~現在の間に確実に失われゆく日本の姿がうっすらと見え隠れしているんですね。
というアレコレを含めて、この作品を映画にする意味があるのかないのかは、アマプラで観て各自ご判断ください。
興味のある方は是非!!
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