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ファンの後押しにより配信で復活「ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、前々から観なきゃ観なきゃと思いつつ中々手が出なかった『ジャスティス・リーグザック・スナイダーカット』ですよー!!

うん、先に結論から言っちゃいますけど………

めっっっっっちゃ面白かった!!

多分、あちこちの配信で観られると思うので、劇場版「ジャスティス・リーグ」(2017)に納得のいってない人は絶対観た方がいいです。
まぁ、4時間あるけどねw

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

2017年に公開された『ジャスティス・リーグ』を制作中に降板したザック・スナイダー監督が抱いていた構想に基づき、追加撮影や再編集を施したディレクターズカット版。バットマンワンダーウーマンたちがチームを結成し、世界の存亡を懸けた戦いに挑む。バットマン役のベン・アフレック、スーパーマン役のヘンリー・カヴィルワンダーウーマン役のガル・ガドットらが出演している。(シネマトゥディより引用)

感想

ファンの後押しで配信作品として復活

まず、「ジャスティス・リーグザック・スナイダーカット」とは何かについて、軽く説明します。

2017年公開の「ジャスティス・リーグ」はスーパーマンバットマンワンダーウーマン、フラッシュ、アクアマン、サイボーグというDCヒーローがチームを組んで、闇の支配者ダークサイドから地球を守るという、いわばDC版「アベンジャーズ」的作品で、当初「マン・オブ・スティール」(2013)、「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」(2016)も手掛けたザック・スナイダーが監督で制作が進んでいました。

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しかし、製作途中に娘さんを亡くしたことで、ザックは監督を途中降板。
MCUで「アベンジャーズ」(2012)を手掛けたジョス・ウェドンがノークレジットながら監督を引き継ぎ、2017年に劇場版「ジャスティス・リーグ」が公開されるんですね。

ところが、この「ジャスティス・リーグ」は興行成績も批評も散々な出来に。
まぁ、ザックがほぼ撮影を終わらせ編集に入るタイミングで降板、作品を引き継いだジョス・ウェドンにワーナーブラザーズは、当初前後編になる予定だった作品を2時間にまとめるよう指示したとも言われていて、流石のジョス・ウェドンもあらすじをまとめるだけで精一杯だったんじゃないでしょうか。

そして、この作品の失敗でDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)はシリーズ化を断念。ホアキン・フェニックス主演の「ジョーカー」から、DCの人気キャラクターを主役に据えた作品をそれぞれ単独映画として作っていく方向に舵を切ったわけです。

その後、ザックが退任前に考えていた作品の構想が明らかなると、ファン、スタッフ、キャストはザックスナイダー版の公開を嘆願。
これを受けて「ジャスティス・リーグザック・スナイダーカット」が、HBO Maxで2021年3月18日に公開されたわけですね。

4時間越えの超大作

ただまぁ、個人的に「マン・オブ・スティール」や「bvs ジャスティスの誕生」と、明らかにフランク・ミラーアラン・ムーアらモダン・エイジ世代のアメコミ大好きかつ多大な影響を受けているザックの中二病的作風や、やたらスローモーションを多用したテンポの悪いアクションが正直苦手で。
なので、ぶっちゃけていえば世間的には評判の悪いジョス・ウェドン版の「ジャスティス・リーグ」を観た時だって「そうそう!こんな明るく楽しいDC映画が観たかったんだよ!!」って思ったくらいですよ。

なので、この「スナイダーカット」の配信が始まって、あちこちから良い評判を聞くたび気になりつつも、本編だけで4時間越えという長尺に、正直、観るのめんどくさい!って中々食指が伸びなかったわけです。基本的な内容はジョス版と変わらないという話だったので尚更。

でもまぁ、僕もヒーロー映画好きなボンクラの端くれとして「ジャスティス・リーグ」の別バージョンがあると聞けば観ないわけにはいかないわけで、この度、意を決してAmazonvideoでレンタルし、本作を観たわけです。

で、まず最初に思ったのは「なんだよやれば出来るじゃんザック!」で、次に思ったのは「いままでナメててゴメン…」でした。

僕はこれまでノーランの、やたら暗くて重くて、冗長でシリアスぶってる割にアチコチ間の抜てるストーリーテリングを引き継いだようなザックの監督作品には正直辟易したんですが、彼は決してスト―リーテリングが下手だったわけじゃなく、前2作(「マン・オブ・スティール」143分&「BvS」152分)では単純に時間が足りてなかったんだってのが、今回の作品でやっと分かりましたよ。

というのも、ザック・スナイダーという作家はゴリゴリのアメコミオタクゆえに、普通なら物語や映像的にテンポが悪くなるから切るようなカットやシーンも絵面優先でカッコいいと思ったら全部入れちゃう。つまり、映画を撮ってるというより大好きなアメコミの世界を忠実に再現することが彼の作風だった訳です。

なので本作では、バットマンスーパーマンワンダーウーマン、そして本作が映画デビューのフラッシュアクアマンサイボーグらの背景や心情を描いたドラマパートとカッチョイイ見せ場がたっぷり用意されつつ、前作、前々作の伏線もしっかり回収され、ついでに言えばジョス・ウェドン版ではよく分からなかったステッペンウルフやダークサイドといった悪役の輪郭も立体的に描かれているんですね。そりゃあ4時間かかるよって話ですが、おかげで本作の物語には厚みと説得力があるのです。

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まぁ、だからって4時間はいくらなんでも長いし観るまでには相当な覚悟がいるけれど、作品が章立てになってることもあり、一度観始めちゃえばグイグイ物語に引き込まれていくんですよね。

1本の映画を観てるというより全6話の海外ドラマを一気見してる感覚に近いかもしれません。

オータムに捧ぐ

そんな本作のラストには「オータムに捧ぐ」の文字が。

オータムというのは、ザック・スナイダーと妻でプロデューサーのデボラ・スナイダーの娘さんの名前。
伝え聞く話によれば、彼女オータムはスナイダー夫妻が「ジャスティス・リーグ」の制作中に自死したのだそうです。

むろん、彼女が死に至った理由、両親との関係性などは他人の僕には知る由もありませんが、作中で描かれた若きスーパーヒーロー・サイボーグことビクター・ストーンレイ・フィッシャー)と父親エリノア・ストーン(カレン・ブライソン)とのドラマパートにザックの娘さんへの悔恨と贖罪の気持ちが重なっているように見えるんですよね。

サイボーグの父親エリノアは作中に登場する、宇宙人のテクノロジーの解析を行う博士で、研究に没頭するあまり息子ビクターとの関係に深い溝が出来てしまっているんですね。
そんなある日、妻とビクターが交通事故に遭い、妻は即死、息子ビクターは瀕死の状態に。そんな息子の命を救うため、彼はビクターと太古に封印されたマザーボックスを融合させるのです。

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その結果、文字通りサイボーグになったビクターは、それ以前の確執も手伝って自分をそんな醜い姿にした父親を恨み、エリノアの方もその不器用さからビクターとの関係を修復出来ずにいるのです。

2017年のジョス・ウェドン版ではこのサイボーグと父親との関係はほとんどカットされていたわけですが、今回のスナイダーカットでは物語の中心に置かれる重要なパートであり、またサイボーグ以外のキャラクターたちにも親子や恋人など大切な人との関係を描くパートが随所に挿入されているんですよね。

つまり、本作のテーマは「家族」なのです。

もちろん撮影時のザックはそんなこと意識してなかったと思うし、僕の勝手な妄想かもしれませんが、エンターテイメント作品に徹しながらも随所で描かれる「親子」と「贖罪」は、ザック・スナイダーから亡くなったオータムさんへのメッセージのように思えるし、奇しくもそのことが、映像でアメコミを再現することにしか興味のなかったオタク監督、ザック・スナイダー作品では今まで感じた事のなかった質量というか、各キャラクターに生命の重みのようなものを感じて、グッときてしまいましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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